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造花の館

住い

鉄帝首都のメインストリートに面した家屋。
ところどころ幻想様式の改築跡が見えるので、探せばすぐそこだとわかる。

二人で済むには十分すぎるほどの広さ。
庭には丁寧に手入れをされた花が咲き、華やかな彩りで迎える。
手伝いのものが出入りする様子や、この家の住人である綺麗な少年少女が生活している様子が覗き見えるが……不思議なことに、親らしき人物が出入りするところを誰も見たことがないという。

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(むっつりとして笑わない顔は見慣れたものだったが、今回ばかりは性質が違う。
 その位は「吾」でも分かった。
 でも、それをどうにかする方法は分からなかったし、きっとどうにかできたらな、なんて思ってる内は出来ないのだろう。
 そう「私」は結論付けた。

 結局のところ出来る事をやるしかないのだ。
 一緒に幸せになりたい人としてこの人を選んだのだから。
 知らんぷりをしていろと言われたってそうする訳にはいかないのだ。
 だからむしろ、無視されたのはよかった。拒絶でなければ、関わる理由になるから。

 小声で断ってから、温まったタオルをそっと貴方の頬に当てた。
 表面を撫でるように優しく。
 何度も頭の中で繰り返しながらひび割れを避けて表層の埃や垢を拭う。
 笑えるほどに震える手を握りしめて誤魔化しながら、じれったい程の柔い力加減でゆっくりと)

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