PandoraPartyProject

ギルドスレッド

造花の館

忌憚、その後。

”忌憚なる習合”を退けてから数日…‥
つまり、セレマ オード クロウリーが突然に姿を消してから数日のことだ。

「うわほんとにきたぁ~」

あなたの来訪に対し、執政官は開口一番にそう言い放った。
相変わらず気安く軽そうで、領主と仲の良い(と思われる)客人に対する敬意もない様子だ。アポイントを取っていたわけではないから当然なのかもしれない。だが執政官はあなたを邪険にすることなく、仕事の手を一旦止めた。

「私達の方には『しばらく帰ってこない』という旨を記した手紙が届いたんですよね。
 理由は色々濁してましたけど、しばらく帰省するとかなんとか?
 帰る場所なんてあったんですねあの人。」

自分の領主に対しても何の敬意もなく『あの人』呼ばわりするのは、この者のいつもの調子だ。休憩用にと用意した色気ないマグカップの紅茶に、角砂糖やら牛乳やら柑橘汁やらをこれでもかと放り込みながら、自分の知る限りの情報を提示する。

「御丁寧に送り先まで消してあります。
 余程知られたくないことでもあるんですかね。」

なにか知られたくないことで思い当たることは?

「まさかぁ。でも隠し事なんて数えきれないくらいしてるでしょあの人。
 なんでしたら何を隠しているか、ご家族に聞いてみたらいかがです?」

もはや元の銘柄の面影を残さなくなった極甘ミルクレモンティーを傾ける。
美味しそうに飲んでいる。領主が見たら嫌な顔をするだろう。

「いまね、ご滞在中なんですよ。アレのイトコだとかハトコだとかいう方が。
 件のお手紙もその方が直接届けてくださってですね。」

あれに家族が?

「地方出身の元貴族で、今は隠居の身の上なんですって。
 だから算盤とか内政とかにもちょっと詳しくて、おかげであの人不在でもお仕事困ってないんですよ。助かっちゃいますね。」


「会うのでしたら、離れの小屋を尋ねてください。しばらくはそちらに滞在するとのことですので、行けばほぼ間違いなく会えると思います。

 そうだなぁ……人の秘密を探りに行くわけですし、ほんの少しだけ用心とか覚悟とかした方がいいかもですね。」




「どういたしまして。
 それじゃ私は仕事に戻りますね~。」




あなたの目の前にあるのは敷地内のちょっとした小屋だ。
ごく最近掃除された跡が見える。恐らくは普段は使われていないのだろう。
領主がこの場所に泊めるよう言いつけたなら客人への距離が窺い知れ、客人が望んでここに泊っているのなら人嫌いの気でもあるのかと疑ってしまう。そんな奇妙な距離があった。

→詳細検索
キーワード
キャラクターID
(むせぶような血臭は慣れたものだ。砕いた人間の体も。それが貴方の体でなければの話だが)

何があった。
何があったんだ!

思い通りにならないなんて言われても、言ってくれなきゃわからないだろ!黒幕面もいい加減にしろ!
吾はなぁ、お前を助けに来たんだぞ!
お前が一言いえば、叶えられることは叶えるつもりで来たんだ!
もっと素直に人を使え!それとも、吾が役立たずだから頼るつもりが無いのかっ!
ぜひゅぅ……はぁ…助け”に来た”だぁ……?
誰”がん”なこと頼ん”だ?
い”つ窮状に”陥”って助け”てくれなん”て縋”りついた?
と”このと”いつに泣”きついた?
どんな言”葉で?落と”し”文句はなんだ?なん”でもする”とでも言”ったか?
(追加でまた1本、あの牙の生えた腕が、ぐしゃぐしゃの肉体を摘まみ上げて、どうにか立ち上がって……いやほとんどぶら下げられている形だ。折れ線に曲がった掌でフードを抑えながら、その奥からあなたを睨む。睨む。見下ろされることすら屈辱であるように、睨む。)

テメ”ェの勝”手な妄”想をこっ”ちに押し”付”けてぇ”べらべらべらべらべらべらべらべらべら っか………ぜひゅぅ……こはぁ……と”いつ”もこいつ”もき”れいごと吐”き散”ら”し”ながら”自分”勝”手な欲”望の”為に動い”て”んの”が見え”透いて”ん”だよ騙せ”る”とでも思”ってん”の”かクソ”がぁ!!!!!
する”わ”きゃね”え”だろう”がそんな”惨”めな真”似”をよぉ!!!!!!!ボ”ク”を”なん”だと”お”も”っ”て”や”が”る”ん”だ”ぁ”え”ぇ”っ””””っ””っ””!”?!”?”
(また、周囲の影が淀む。明確な敵意と、それを傍観する悪意とが混ざり合った契約の力が、形を成そうとしている。)
お前の考えだって妄想だろうがっ!

(敵意に怯まない様に吼える。
 貴方に対する感情の落としどころが未だ決められないでいた。
 怒りもあった、困惑もあった。何よりも大きいのは悲しみだったが、それと決めてしまうと立ち向かえない)

いいか、よく聞け。
お前が居ないと困る。
吾が膝を折って許しを請うたのもお前だけだし、対等になりたいと言ったのもお前だけだ!
それを全部嘘だって言いたいのか!
吾はお前が何にもしなくてもお前の為になるような事をしたい!それだけの事を吾は過去にお前に受けている!

(分水嶺だ。そろそろ逃げておかないと不味いと頭の中の冷静な部分が告げる。
 だが、ここで背を向ければもう二度目はないと、いくら情緒面が幼くても理解できた)

セレマッ!

(焦れたように名前を叫ぶ。逃げられない)
(放たれた。
 悪意に満ち満ちた、淀んだ絵具が
                  ……歩くような速度で。
 その量も、勢いも、先ほどと比較することが馬鹿らしいほどに弱い。話にならない。)
(本来ならその一撃はもっと重かったはずだ。
 もっと冴えわたって避ける目の方が少ない……それなのに)

セレマ。

(のっそりと迫る玉虫色の闇を踏み込みながら躱し、もう一度名前を呼んだ)
っる”せぇ……ぜひゅぅ…くんな”ぁってんだよ、ぉ……かはぁ……ひゅぅ……

(痛みで集中と狙いがそれる……いや、それだけではない)

……こんな”ぁ…壊れ”たおもちゃはよお”ずみってかぁ……ぜひゅぅ…かっ…かほっ……
くそが…くそが……契約”をなんだと思って…げひゅ…ひゅぅ……

(軽い。)
(自分の石はあまりにも軽く、あまりにも弱く。
 風向きひとつで吹けば飛ぶ。胸先三寸で左右される。
 なにも、なにも思い通りにならない。
 そんなことがあっていいはずがない。)

こん”な…こ”…こがっ……ひゅっ…ひゅっ………か、ぁ……

(もがくように、その手は懐をまさぐる。
 金色煌めく真鍮の携帯水煙草と、それ用に紙巻された煙草を取り出して……
 取り出そうとして、ばらばらに曲がった指の間のから零れ落ちた。)

あ、あ”っ……ぉ”ぇ…げっ……ちく、じょ……
(下手クソな笛に似た音を喉奥から漏らしながら、もがいて手を伸ばす。
 這いつくばる。陸に溺れた魚のように、惨めな姿で。)
セレマ

(足元に転がった携帯水煙草を拾い上げ、ひざまずいて歪に折れ曲がった貴方の掌に握らせる)

傷を治そう。
お前の思惑を外して傷つけた事は謝るから。
まず傷を治そう。なぁ。頼むから。
見る、なぁ……こんな、こんな姿がぁ……はずがない……
ボクのはずがない、んだ………!!
(頑なに顔を隠す。覆い隠す。
 これは、これだけは見られてはならない。
 自分を、自分の価値を守らねばならないのに。
 だというのにもはや自分を守れるものなど、このぼろ布一枚を除いて他にない。
 あるはずがない。クソが。クソが。クソが。)
「私」はお前の事が好きだよ。
こんな目にあっても縋りつく位に好きだよ。

(ローブの上から、かつてそうしてもらったのと同じように背中を撫でようと手を伸ばし)

見せたくないなら見せなくていい。
だから、傷を治そう。それから、ねぇ、話を聞かせて。
テメ”ェは……ぜひゅぅ……
 バカ”か…イ”カレの”どっち”かだ”……

(最早この状況を、自分でどうすることもできない。
 なにもかわらない。ようやく魔性のひとつを砕いたというのに、いまだ自分のプライドひとつ自分の手で守り抜くことすらできず、他人の意思と手に委ねることしかできない。
 曲がって折れた背中を撫でる手が、憐みだの同情だのくだらない感傷に任せて、抵抗する牙を砕かれた自尊心を逆なでにする。

 こんなはずじゃない。
 こんなはずじゃない。
 あっていいはずがない。
 少なくともこんなことは望んでいない。)
く”…そぉ……ぐぞぉ………っ

(くしゃり、くしゃり、拳が芝へと打ち付けられる。
 せめてもの反抗だった。なけなしの自己主張だった。
 みっともなくても、こうしなければ自分を維持できなかった。)
そうだね。

(それ以上何も言わず、ただ同じリズムで背中を撫で続けた。
 芝に打ち付けられる拳が痛々しくとも止める事は出来ない。それをさせてるのは自分の所為でもある)
な”にがそ”うだねだ……何”も知”ら”ねえくせに首”ぃツッコんで”来やがって”……
テ”メ”ェ””にな”にかでき”るとで”もぉ”、思”ってんのか…き”えろ、きえろよ”!!
惨め”に””なんだよ”ク”ソがっ、クソ”がほっ…げ”””””っ……ひゅぅ”ぅ……ぇほ”…
消えない。
何も知らなくても何もできなくてもお前と居る。
吾も美味く言えないけど、一緒に居てくれなきゃ困るんだ。
黙ってどこかに行かれたりしたら、多分ずっと探してしまう。
知”るかよ”……こひゅぅぅ……このま”まや”り”すごしゃ”あ全”て”がうまく”いってたん”だ……テ”メェの”せ”いで台無し”だよ……
そう。
(背中をずっと撫でていた手が止まる)
もうやりなおせない?
どうしてこうなったかの理由も話してくれないの?
……


…………


……あ”のクソ彫像”を倒しきっ”て、預けた”リ”ソースが”返”ってきたからだ。
ポンプ”の中”にウー”ブレックを………………… いや、川”が増水”して”滑車”が壊れた思”え…
ほっ”ときゃどう”にかな”ったんだよ……それを”テメ”ェ………クソがよ”……
ほっとけばどうにかなるってお前、お前ホントお前……!!!
最初に一言言っておけば態々お前の秘密を暴くような真似しなくて済んだだろ!?
想定”外の事”態で切”羽詰ま”ってたんだ”よクソが……っ
それにテ”メェこの状”況に至”るまでを振り”返っ”てからも”っぺん言ってみろクソが”よ……
クソが…クソ…っ
……お前の考えを全部分かれって言われても困る。
吾にとってお前は依頼の帰りで突然いなくなってしまって、その後会おうとして使いを出しても返事が返ってこなかったんだから。

あの時気づかない振りなんてできないよ。
わ”かって”ほ”しいなんて言”ってねえ……
も”ういい”だろ……帰”れよ………もう目”的”は果たし”ただ”ろ”うが………
そうじゃない。
こういう時に吾がどう動くかくらい分かれよ。2度目だぞ。
お前が何も言わないのはいいよ。
でも言わないなら、その代わりにしてほしい事もしてほしくない事も教えてくれなきゃわからないよ。

お前の味方になるのが無理なら道具でもいいから、使い方くらい覚えてよ。
(ぐしゃり、地面を掻いて握りしめる。
 感情を食い殺すか、あるいは絞り上げるみたいに…脆く薄い爪が剥がれて消えた。)

…………この”期に及”んで与え”ら”れた選択肢”しか取れね”ぇ……
こんな惨”い話があ”るか…こんな無”様な話”がある”か……っ
くそ”っ…くそ”っ…………

……じゃあ”、望み”通り道”具みたいにしてや”る………
ボクのこ”の”………こ”のっ…この”、状”態”は、著し”く価値を欠”く状”態だ……
誰”にも見”られ”るべきじゃな”いし、知”られ”るべきでも”ない………これ”とボク”が同”じだと、何”者”に思わ”せてはなら”な”い…それ”はたと”え”この世界”が本当”に”滅びる”とし”て”も、それ”より”も”優先す”べきこと”だ………

元”に戻”る”まで誰”にも知”られ”な”いよう”にし”ろ、お前”にや”れる”もん”ならなぁ””…っ
…………。

(いつまでたっても再構築の起こらない爪の無い指先を取る事は出来なかった)

……わかった。誰も知られない様にしよう。
お前とその姿が結びつかない様にしよう。
…………軽"率"に言い"切り"やがって"……意"味わかん"ねえよ……
……お前とこの小屋に滞在した者が別人だと証明するのはさほど難しいことではない。
死体を身代わりにしよう。
問題点は入れ替わりのタイミングだが……滞在中に心臓発作でも起こして死んだことにするのが一番簡単だろうな。
後はお前が葬式でもしてやればいい。
死体”の準”備まで全”部やるっ”てか…テメ”ェがイ”レギュ”ラーズである”点”を考えても”簡単と”まではい”か”ねえ話”だぞ……
吾の領から条件に近い奴隷を「食糧」として持ち出す。
幸いここは本館から離れているし、本館もどうせ夜には空になるんだろう。
夜中のいいタイミングにファミリアーで合図をよこせ。
…………………そ”れでいい………も”う、お”前”の好きにし”ろ……どう”せなに”か”やれ”なきゃ落ち着か”ねえん”だろ………
うん。

じゃあ、そういう風に準備するから。
(怪我を治せればよかったんだけど、言いかけてやめた。今は互いにその方法を持っていない)
……執政官には怒らせちゃったからしばらく近寄らない様にって言っとく。
テメ"ェ"もしば"らくこっ"ちに来"る"なよ………この"…………誰"にも会"い"たくね"え……
それ”まではひ”と”りにしろ……で”ねぇ”と、次”こそ”は”本当に死”ぬ”までや”る……

死ぬ”までだ、ボク”が、死”ぬま”でと、そう言った”ら…本”当に死ぬまでだ……
うん……。

……あのね。元に戻ったらまた会える?
誰”にもしられ”ずに済んだ”らな……早く”いけよ””っ……
………………。

(静かに貴方から身を離した。
 深呼吸を二度、動揺した少女の顔の上に何時もの不機嫌とも取れそうな無表情を張り付けて)

また。

(二音告げると、背を向けて来た時の通りに落ち着いた歩調で本館へと歩き出す。
 小屋の周囲の人払いと身代わりの選定……やらなければならない事は幾らでもあった)
(静かになった)

(継ぎ接ぎのローブに身を隠したまま、ずぶずぶと離れ小屋へと這った)




(敷居を超えたところで、すでに息が切れた)


(低い嗚咽が漏れる)


(嗚咽だけだ、それ以上もそれ以下もなにも漏らしてはいない)

(疲れているからだ)

(余裕がないからだ)


(それ以上もそれ以下でもない、自分の価値はこんなものではない)
(震える指先で扉に手を掛け、陽光から逃げるように扉を閉めた)

キャラクターを選択してください。


PAGETOPPAGEBOTTOM