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造花の館

執務室

一般的練達人を迎える応接室とは違い、セレマの執務室は半分私室と化している。
幻想風の調度品ばかりかと思えば、執務机の中央にはコンピュータのモニターが鎮座し、もっといえばエアコンまでついている。
アンティークに紛れて文明の利器がそこかしこにある。
再現性の民に言わせれば「古典趣味的」な部屋だろう。

セレマは訳知りの個人的客人はこちらに通すらしい。
いつ来ても部屋いっぱいに焚かれた香(のような独特の香り)があなたを出迎えてくれるだろう。
然るべき客人であるならば。


●やってはいけないこと
・知らない声が聞こえても返事をしてはならない
・書類や機械は勝手に触らない
・執務机の載せた天秤はアンティークではないので触れてはいけない

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うん、ありがと。

前にも言ったけど本当はこんなに綺麗な姿が長続きする花じゃない。
こんな風に綺麗なのは咲き初めの本当に短い間だけだから、花言葉も「幻」や「儚い夢」だし。
……でも、ニセモノでもやっぱり美しいな。

(ローブの裾から零れる花飾りを撫でると水晶の様に瑞々しい花弁が揺れた。
 本物であればきっとそれさえも傷ついてしぼんでしまいかねない要素だが、魔法の夜の花は涼し気な姿を保っている)

……お前にとってはどうだった?
想像よりも大したことがなかった?

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