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造花の館

執務室

一般的練達人を迎える応接室とは違い、セレマの執務室は半分私室と化している。
幻想風の調度品ばかりかと思えば、執務机の中央にはコンピュータのモニターが鎮座し、もっといえばエアコンまでついている。
アンティークに紛れて文明の利器がそこかしこにある。
再現性の民に言わせれば「古典趣味的」な部屋だろう。

セレマは訳知りの個人的客人はこちらに通すらしい。
いつ来ても部屋いっぱいに焚かれた香(のような独特の香り)があなたを出迎えてくれるだろう。
然るべき客人であるならば。


●やってはいけないこと
・知らない声が聞こえても返事をしてはならない
・書類や機械は勝手に触らない
・執務机の載せた天秤はアンティークではないので触れてはいけない

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……ありがと。

(ローブを受け取る時、一瞬以上の間が開いた。
 こういう古めかしいものを取って置くような人物であると認識していなかったからだ。
 そもそもこれは何のために、何処から来たのかと考えて――ふと、貴方が不老でもないただの74歳の人間であることに気づいた)

セレマ

(水煙草の準備をする貴方の名前を呼ぶ。
 光に当たれば刺繍が虹色に煌めく夢のようなドレスの裾を揺らして傍に歩き)

あげる

(青みがかった水晶の花、いつか夏に話した朝に咲き昼には消える有限の花の冠を外し、貴方へと)

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