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造花の館

執務室

一般的練達人を迎える応接室とは違い、セレマの執務室は半分私室と化している。
幻想風の調度品ばかりかと思えば、執務机の中央にはコンピュータのモニターが鎮座し、もっといえばエアコンまでついている。
アンティークに紛れて文明の利器がそこかしこにある。
再現性の民に言わせれば「古典趣味的」な部屋だろう。

セレマは訳知りの個人的客人はこちらに通すらしい。
いつ来ても部屋いっぱいに焚かれた香(のような独特の香り)があなたを出迎えてくれるだろう。
然るべき客人であるならば。


●やってはいけないこと
・知らない声が聞こえても返事をしてはならない
・書類や機械は勝手に触らない
・執務机の載せた天秤はアンティークではないので触れてはいけない

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(訝し気な視線には気づかないふりをして、両手で差し出された手を包む。
 美少女の指先はいつだって完璧だ。マニキュアも塗らないのに貝殻のように艶めいている。
 その指先が、貴方の手のひらの上を探る様に……もっと言えば薄い皮膚の下の筋の様子を探る様に柔らかく摩擦する)

……随分筋が強張っている。

(酷使された指先の筋肉を矯正せんと軽く押さえた。
 平時であればもう少し強く押さえたとて痛むほどの箇所ではないが……貴方の様子を伺いながら、慎重に)

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