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造花の館

執務室

一般的練達人を迎える応接室とは違い、セレマの執務室は半分私室と化している。
幻想風の調度品ばかりかと思えば、執務机の中央にはコンピュータのモニターが鎮座し、もっといえばエアコンまでついている。
アンティークに紛れて文明の利器がそこかしこにある。
再現性の民に言わせれば「古典趣味的」な部屋だろう。

セレマは訳知りの個人的客人はこちらに通すらしい。
いつ来ても部屋いっぱいに焚かれた香(のような独特の香り)があなたを出迎えてくれるだろう。
然るべき客人であるならば。


●やってはいけないこと
・知らない声が聞こえても返事をしてはならない
・書類や機械は勝手に触らない
・執務机の載せた天秤はアンティークではないので触れてはいけない

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(声が掛かった数秒後、ゆっくりと扉を開けて入ってくる。
 片手には小さな包みと、反対側の手には花籠――小さなバラとコスモス等の秋の花で纏めたもの――を持って示された席に腰かけ)

わかった。

(冷蔵庫へと向かうセレマに少しばかり目を細めた。
 何時もよりも強く香ってくる香水の匂い。血色の悪い顔。
 忙しいとは聞いていたが……)

(本当にこの時間を取るだけの余裕があるのか?と問いただせば相手の顔に泥を塗る事になるのに違いないので)

任せる……お前と同じやつでよいぞ。

(何事もないように飲み物の話題に乗っかった)

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