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捩れ木の匣

ある夜、森の入口。

ある夜、森の入口。
すでに陽も遠く涼しい風。虫の歌声が聞こえている。
家馬車の脇でおんぼろ外套が火を焚いている。
石の輪の中、串に刺された肉が焼ける香りが煙と共に上がる。
君は焚き火に加わっても良いし、足早に通り過ぎても良い。

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(席替え。楽しいこと。繰り返し”ソレだけ!”と主張する少年の懸命さに、ふ、と小さく吐息を零し)

私は、黒鉄のあなたよりも、暗い、昏い夜の色を纏っているから。
あまり近くに来たら。ふたりとも、宵の空に溶けてしまう。

(もしもそうなったなら。手を伸ばさずとも星と寄り添う事が出来るかもしれない、なんて)
(内緒話のように囁いて、緩く首を傾いで見せた)
(影は変わらず顔の半ばまでを夜色のフードで覆い隠していたけれど、覗く口元はほんの少しだけ笑みを形作っていた)

(あなたと私。性格はきっとまるで違うけれど――色だけならば、ちょっぴり似ている)
(言ってから気恥ずかしくなったのか、再びついと視線を逸らし)

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