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捩れ木の匣

ある夜、森の入口。

ある夜、森の入口。
すでに陽も遠く涼しい風。虫の歌声が聞こえている。
家馬車の脇でおんぼろ外套が火を焚いている。
石の輪の中、串に刺された肉が焼ける香りが煙と共に上がる。
君は焚き火に加わっても良いし、足早に通り過ぎても良い。

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(無骨な装具に夜を切り抜いた様な肌の色。幼子の姿をしてはいるが、少年は自身を『絡繰仕掛け』だと名乗りを上げた。定命の人間種以外の存在を未だ良く知らぬ影は、人好きする笑みを浮かべる黒鉄の少年に対してどう接したら良いものかとかんばせを俯けた。そうして喉から音を絞り出すまでに、短くない時間を要した)
私は、――
(カチャ、カチャン。陶磁器の食器が重なり合う様な音色を尖った耳が拾い、小さく跳ねた。
視線を向けた先。其処には大層うつくしい『人形』が。其のきれいなきれいな顔を歪ませたかと思えば、ちゃっかり火の側へやってきたものだから。それからそれから、篝火の主と可笑しげに戯れ出すものだから。
影は事態を飲み込めず、名乗る事も忘れて、只々目を白黒させるばかりだった)

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