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捩れ木の匣

ある夜、森の入口。

ある夜、森の入口。
すでに陽も遠く涼しい風。虫の歌声が聞こえている。
家馬車の脇でおんぼろ外套が火を焚いている。
石の輪の中、串に刺された肉が焼ける香りが煙と共に上がる。
君は焚き火に加わっても良いし、足早に通り過ぎても良い。

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(獣の耳と角を生やした頭部は獣種を思わせるが、角と同じく百合に似た花を絡ませた尾が視界の端に留まる。男が『外の者』であると理解すれば、思わずまじと上から下までをフードの隙間越しに眺め)
…………。
(ややあって我に返る。あまり不躾に眺めては失礼だと気付いたが故に。それよりも今は御相伴に与る許しを得られた事の方が重要だった)
ありがとう。朝から何も食べていなかったから、助かった。
(篝火の側に無造作に腰を下ろすと、肉汁の滴る串に手を伸ばし)

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