「前にルチアは私を招待してくれたんだから今度は私が招待する番よね！」

この小屋の主、オデットはそう言って彼女をここへ招待した。
部屋を綺麗にして、飲み物も用意して、後は彼女を待つだけなのに……
ふと思い立った妖精は『お菓子を忘れた！』と友人の妖精も連れて出かけてしまったのだ。
お茶会の、招待客のくる直前に。

あとに残されたのは事情を中途半端に理解している（そして自分には関係ないと思っていた）鏡面妖怪だけ。


以下2名のみ書き込み可能です
ルチア・アフラニア
水月・鏡禍

せめて消える前には無理無茶でもして一花ぐらい咲かせたいですからね。
（うんうんと頷いて）
そうなんですか？……でもあなたは幸せではない、幸せにならないというわけではないのでしょう？
でしたらお手本にさせていただくのには十分だと思うのですが。鏡のようにしっかり真似るつもりもないのですよ？
あぁ、気分を害したいわけではないですし無理にとも言いません、もちろん。

ま、その気持ちは分からないでもないわ。何者にも生きる権利、抵抗する権利はあるはずだもの。（うなずいて）
あら、私はそれなりに幸せよ？　ただ、世界の多くの人が定義する幸せと、私の幸せは少しばかりずれているのも分かっているから、おすすめはできない……って思ったわけ。

ズレている、ですか。
（ふむ、と少し考えて）
僕は生きるために人間を驚かし恐怖を与えてきました。
他の妖怪は人間を拐い、食らい、かと思えば人間に溶け込むように生きている妖怪もいました。
いろんな生き方を見てきたんです。
人の基準はわかりませんけれど僕らに生き方が色々あったように幸せも色々でいいと思うんです。
だからあなたが幸せなら、ズレていようとそうでなかろうと少なくとも僕には問題にならないですよ。

ふうん……。
ま、そこまで言うなら、別に構いやしないけれどね。

ありがとうございます（にっこりと笑った）
知りたいから……というと言い方が悪いかもしれませんけれど、あなたがより多く幸せであれるように願いますね。
あぁ、でもそれならやっぱり信仰も学んだ方がいいのかもしれないですね……（ふむ、と考える仕草）

あら、嬉しいわね。ありがとう。
とはいえ、実際のところ手本といっても何したら良いのか分からないのよ？　主の教えを教授する事くらいはできるけれど……。

何もなさらなくて大丈夫ですよ。
僕が勝手にあなたを見て手本にしていこうとしているだけですから。
あ、ストーカーまがいなことはしませんよ！もちろん！
（勘違いさせてはいけないと最後は慌てたように早口で）

そうなのかしら？　貴方がそう言うなら別にいいけれど……。
（首を傾げて）
ストーカーねえ。そもそも気にしてないわよ。それに、そんなことしたらオデットに酷い目に遭わされるでしょ？

うっ……確かに……鏡割られて外に干されそうです……。
（想像しただけで胃が痛くなった）
そうはならないようにします、絶対します……。

万が一そんなことになった時は庇ってあげるわよ、なんてね？

いえ、大丈夫です。
大丈夫なんですけど……こう、お気持ちだけいただきますよ。
オデットさんを万が一にでも勘違いさせたのなら僕が悪いのですし、甘んじて干されることにします。

奥ゆかしいのね？　ま、困ったことがあればいつでも言ってくれていいわよ。私で何とかできることなら力になるわ。

奥ゆかしいと言いますか、これでも一応男なんですよというプライドといいますか……（もごもご）

男のプライドねえ……。どっちかというと無性よりって感じて印象だったけれど、そうでもないのかしらね……。（ぶつぶつと）

じゃあ、こういうのでドキっとしたりするのかしら？（ずい、と身を乗り出してみた）

わ、わわっ！？
（顔が思いっきり近づいて来た。まじまじと見つめそうになって慌てて目を逸らす。というかほんのり甘い匂いがする気がするんだけど女性ってこういうものなのかなとか脳内ぐるぐる）
だ、ダメですよそんな安易に、悪戯みたいなことしたら……男は狼って言うらしいですよ？

あら、狼になるのかしら？　それは知らなかったわ。（しらじらしく）

そ、そう言う意味ではなくてですね……！
僕がまかり間違って……その、手を出そうとするとか考えないんですか……！！！

そんな反応する人が押し倒してくるとは思わないわよ。それともなに、私にそういう感情抱いたのかしら。

そ、そういう感情って……驚きはしましたけど……
仮に抱いたって言っても困るでしょう？そんなことは言いませんよ。

困るか困らないかで言えば困るかも知れないわね？　ただ、私もよく分からないから何とも言えないのだけれど。

それ、ご自身で分からないのに色々してしまうのはまじめに危険なのでは……
僕だから大丈夫だろうってことならまぁ、良いのですけど……

わ、私だって誰にでもする訳じゃないわよ……。（少し拗ねた声で）

…………それならいいんです。機嫌を損ねてしまったのでしたらごめんなさい。
少しだけ、心配で。

別に、そこまでって訳じゃないけれど。（少し慌てたように手を振って）でも、心配してくれたのは嬉しいわ。ありがとう。

いえ、どういたしまして。
異性をからかうのもほどほどに、ですね。
（ニコッと笑って）

分かってるわよ……ええ。
貴方からいろいろと持ち上げられて、少し気が緩んでいたかもしれないわ。

持ち上げた……つもりはないですよ？
全て本心ですし、少しだけ人でありたかったとも思いましたし。

あら、こういうのは受け取る側の感性ではなくて？

それは……そうかもしれませんね。
なら僕も気を付けないと、万が一にでも勘違いさせてしまっては申し訳ないですから。

あら、私はガード固いわよ。

それならよかったです。
僕のせいで人生を狂わせるわけにもいきませんから。
何よりあなたはとてもきれいな人だから、きっと素敵な未来が待っているのでしょうし。

それはどうかしらね。
私自身の美醜はともかく、男性に声を掛けられたことはなかったわよ？
それに、今はやらなきゃならないこともあるし。

高嶺の花だと思われたのかもしれませんよ？
少なくとも僕は綺麗な方だと思いましたが……やらなきゃならないこと、ですか？

さて、どうかしらね。少なくとも、他人の恋愛対象になるような、そんな御大層なものじゃないわよ。
やらなきゃいけないこと……まあ、大したことじゃないわ。

なら……いえ、なんでもないです。
きっとあなたにも素敵な人が見つかりますよ。

……っと、ごめんなさい。変に突っ込みすぎましたよね。
元の世界に帰るとか少し考えたらいろいろ思い浮かぶというのに僕ってば……

なら……何かしら？　言ってみなさいな。変な遠慮はしなくていいわよ。
元の世界に帰れるなら帰りたいし、帰った先で故郷を取り戻さないといけないから。……といっても、そもそも戻れるかどうかすらわからないし、こちらはこちらで暮らしやすいから、それはそれで良いとも思うんだけど。

いいえ、何でもないんです。変な言葉が頭に浮かんだだけで。
……そう、なんですか。いろんなこと考えていらっしゃるんですね。
でもどちらにしてもやらなきゃならないことはありますものね。

そう、まあいいわ。言いにくいことを聞くってのも野暮よね。
勿論帰れる機会があれば逃すつもりはないし、帰ったらやることは多いと思うけれど。こっちじゃ特に何かしてるってわけでもないのよ。さすがに、糸口すら掴めないものを探すのは徒労だろうし、その手のことができるなら、再現性東京抱えてる練達が実用化してるでしょう。

そうしていただけると助かります……まだ嫌われたくはないので。
確かに帰るというと僕も何も糸口はないんですよね。
そもそも鏡の外に自分がいるという異質からどうにかしないといけないので。
再現性東京は再現性がすごすぎて居心地いいんですよね、そして作ることがどれだけすごいかもわかります。それをしてもできてないというのは……難しいってことがよくわかるというわけですか。

あら。そんなに心の狭い女に見えるかしら。害するような事を思われたならともかく、そうでもないならそう簡単には嫌ったりはしないわよ。何せ、オデットが信頼している人なんだし、それにこれだけ話したらもう友達みたいなもんでしょ。
貴方、再現性東京に近い時代の出身だったの？　なら、確かに居心地はよいでしょうね。

とも……だち……？（ぱちくりと目を瞬かせて驚いた様子）
僕とあなたが……？だとしたら、すごく、嬉しいです。
色んな時代に生きていましたから。でもこの世界に来る前にいた時代は再現性東京に近い時代でしたよ。

あ、えっと。もちろん私が勝手に思っただけだから、嫌だったらそう言ってくれてもいいのよ？（少し慌てて）
それにしても、いろんな時代、ね……。羨ましいわ。いろいろな物を見てきたのでしょうね。

嫌ではないですよ！もちろん嬉しいですし、光栄です。
あなたみたいな聡明で綺麗な方に友達だといってもらったのですから。
そうですね、その時代の人の日常から非日常まで、見てて幸せなものも嫌な気持ちになるものも色々見てきました。ほとんど見るぐらいしかできませんでしたから。

光栄？　なら、いいんだけどね。
聡明だとか奇麗だとかいうのは分からないけれど。
見るだけというのも、もどかしいものかしら？

とても光栄ですよ。面と向かって友達など言ってもらったこともなかったので……。
見てるだけはとてももどかしいですよ。
自分で何かしたならいざ知らず、見えてる危機にも僕の声は届かないのですから。

オデットも人が悪いわね。友達って言ってあげたらいいのに。
見てるだけはもどかしいっていうのは分かるわ。

オデットさんには『おもちゃ』とよく言われます。（苦笑）
僕自身の性質上、仕方のないことだったんですけどね。

『おもちゃ』って、ねえ……。何か言い返したりはしないのかしら。男の子でしょ？

言い返す……？（そういうこともできたのかという顔）
いやでもオデットさんですよ？言い返したらたぶん干されます、外に、一週間ぐらい。