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鍛冶小屋スカーレット
(さて。
――策など無い。
諦めてはいないが、片腕は上がらなくなった。
弱者はやはり弱者。このまま苛烈に攻められてはあと数手で敢え無く終わりだ。
だから、防ぎ方を変えた。
手甲ではもはや受けない。
――最初の数手は、目測の誤りか偶然だと思うだろう。
"手応え"がない。
彼女は全ての攻撃を受ける。但し、押された分だけ押される最小限の防御で。
回避ではなく、防御でもない。ただ受け入れるという概念。
イン=ヤン=ドクトリン。その戦術を忠実に行えば。
但しそうであっても実力差は大きい。
その場に居ながら突きを無傷に近い形で受けつつも、それだけで受け切れるほど甘い相手ではない。
結果、足元の覚束無い身体は、ふらふらと動かない左腕側から、ブレンダに近づいていく)
――策など無い。
諦めてはいないが、片腕は上がらなくなった。
弱者はやはり弱者。このまま苛烈に攻められてはあと数手で敢え無く終わりだ。
だから、防ぎ方を変えた。
手甲ではもはや受けない。
――最初の数手は、目測の誤りか偶然だと思うだろう。
"手応え"がない。
彼女は全ての攻撃を受ける。但し、押された分だけ押される最小限の防御で。
回避ではなく、防御でもない。ただ受け入れるという概念。
イン=ヤン=ドクトリン。その戦術を忠実に行えば。
但しそうであっても実力差は大きい。
その場に居ながら突きを無傷に近い形で受けつつも、それだけで受け切れるほど甘い相手ではない。
結果、足元の覚束無い身体は、ふらふらと動かない左腕側から、ブレンダに近づいていく)
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鍛冶小屋からは鎚の音がする
海の向こうで起きた戦いも終幕し、穏やかだが騒がしい日々が返ってきた
しかし小屋の主は少々浮かない顔をしている
その悩みを忘れるためなのかここ数日響き渡る音はいつにも増して大きい
……しかし出来上がるのは鉄くずの山ばかりで心の靄は一切晴れない
「ああ、そう言えば今日は人が来るんだったか……」
研磨の手をひとまず止め、鍛冶を切り上げ母屋へと向かいこれまでに掻いた汗を流す
「酒の貯蔵は何があった……シードルでいいか?」