PandoraPartyProject

SS詳細

【P-Tube】新設!ハピメイ☆チャンネル!

登場人物一覧

メープル・ツリー(p3n000199)
秋雫の妖精
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
ハッピー・クラッカー(p3p006706)
爆音クイックシルバー

●P-Tube
 目に見えるものばかりが世界の全てではない。
 特に、この練達と呼ばれる巨大都市国家においては。
 この混沌なるはた迷惑な世界に放り込まれどの国家に馴染むことの出来なかった者たちの帰還、或いは逃避のための空間。そこには研究、記録、そして娯楽のために魔法とは違う独自の情報保存媒体が存在した。
 インターネット――再現性東京アデプト・トーキョーにおける情報形態――その中でも特に娯楽や勉学の手段として人気を誇るものの中に『Pan-Tube』と呼ばれる動画配信サイトがあった。
 そしてこれは、その混沌の中でも特に混沌とした世界に足を踏み入れた3人の妖精のお話。

●就任、サイズプロデューサー!
 アイス・ジュース・カラオケ食べ放題・飲み放題・し放題。再現性東京の繁華街ならどこにでもあるネットカフェ。休暇おなじみ練達旅行の最中に立ち寄ったサイズたちは休憩がてら眺めたパソコンの中にソレを見つけたのである。
「あ、これ前に電気屋さんが言ってたホームーページじゃないかな!?」
 サイズからマウスを強奪!?したハッピーがその特徴的な色使いのサイトに載っているこれまた特徴的なサムネイルをクリックすると、可愛らしい銀髪の獣種の少女が混沌の世界各地を巡りながら観光案内をする様子が映し出された。過去を記録した平面の画面でありながら、様々な演出で目まぐるしく光景が移り変わるその様子に思わずハッピーとサイズは感心の吐息をこぼした。
「すっご……」
「なるほどな、たしかに『これ』を買う人もいるわけだ……」
 サイズが視線を落とした先にあったのは立派なビデオカメラ、以前、家電量販店で買った映像記録装置である。もっぱら、『愛おしい妻たち』が日常を謳歌する様子を保存し見返すために買ったものであるがサイズは購入の際に店員に言われた言葉を思い返していた。
「動画配信で視聴者と交流、ね……」
 もっともサイズにそんな趣味は存在しない。自身が鍛冶で創り上げたものならともかく、自分や自分の細やかな幸福を不特定多数に共有するのは、サイズ的には少し憚られる本心では独占したいものであった。
 ……もっとも、それはあくまで他の妖精の頼みがなければの話だが。
 そう、他の妖精の――
「あれ? メープルは?」
「いつもの状態で固まってる」
 翅をつんつんと突いたハッピーにサイズは振り返る。メープル・ツリー、サイズのもう一人の伴侶、懸念事項もんだいじ。変わり者の妖精は初めて見る動画に意識を奪われた様子であった。無理もない、いくら機械好きといっても彼女の本質は大地の精霊種、妖精なのであるから。だが、全く安心は出来ない。だって彼女がこうなった後に言う言葉は大体、決まっている……。

「――サイズ、これ私たちでもできるかな?」
「言うと思ったよ……」
「サイズさん! じゃあハッピーちゃんが何言おうとしてるかわかるかなミ☆」
「……『メープルもそう思う?! じゃあ一緒にやっちゃおうぜい☆ミ』……とか……」
「うわ、サイズものまねうま……」「大正解だよ!!!!!!」

 ぶわーっと言わんばかりに燃え上がるハイテンションな二人に振り回され、巻き込まれるのだ。或いはサイズは巻き込まれたかったのかもしれない。巻き込まれている間は、暗い考え事をしなくてもよかったから。
「はいっ、ここで私からサイズさんに依頼です!」
「動画の編集係か? ……いいけど、俺は素人だぞ? そういう動画を見たこともない」
「サイズサイズ~、素人でもいいじゃんいいじゃん、私かハッピーが作ったら多分揺れまくってサイケデリックな電子ドラッグができるぜ!?」
「……どこでそんな言葉覚えてきたんだメープル? まあいい……映るよりはマシだからな」
 たぶん不機嫌になるから同意とは言わない。
「「やった~!」」
 両手でハイタッチをする二人を尻目に、サイズはそのP-tuberと呼ばれる人々のリストを表示する。どうせやるなら二人のために素人仕事でも少しくらいはちゃんとした形にしておきたい、結果としてサイズの無意識な職人気質は、この係は一つの適材適所というものであったのかもしれない――多分。
「さて、プロデューサーとして動画の構成をどうするか、あと、撮影係だが……」
「おいおいおい、一人だけ逃れようってのは無しだよ!」
「うんうん、プロデューサーさんだよねー☆ミ」
「……だろうな……次は水着前のシーズンにちょうど見るのにいいテーマは……考えることが多すぎる、さては前途多難だな……?」
 そうして、数週間が流れ……P-Tubeに、可愛らしさで少し話題になった2人組のチャンネルが誕生したのである。

●というわけで、記念すべき第一回☆
 ハッピーと!
 メープルの!
 妖精国からこんにちは ハピメイチャンネル~ミ☆

 華やかな音楽とともに白地にビビットカラーのエフェクト、そして舞い散る色鮮やかな花びらが舞い踊るオープニング、そしてまるで空から降りてくるようなカメラワークで再現性東京の車と人混みの喧騒がやってくる。その大通りの中、手のひらを向けて両手を振るのは可愛らしい衣服に身を包んだ二人の少女。霊体の下半身を隠すように長いスカートと可愛らしいドレスに身を包んだハッピーと現代っ子らしくカジュアルな服装にしたメープルだ。
「はいはいどうもハッピーです! ハピハピって呼んでもいいよミ☆」「はじめまして、同じくメープルだよ~ 同じくメイメイです!」
 若干まくしたてるように喋るハッピーといつもよりキャラを作ったのかおっとりと挨拶をするメープルに合わせるように二人のネームプレートが動画にフェードイン。視聴者が読みやすく数秒の長い間の後カメラは一気にハッピーに迫る。赤と緑のオッドアイをぎゅっ☆ミとウインクしてみせて、ぐっとサムズアップするハッピー。髪のてっぺんから胸元までその鮮やかな色のコントラストを強調する。
「みんなも始めまして! 私は妖精の国から来たハッピーちゃんだ! これから一杯この世界の素敵☆スポットを紹介するぜい☆ミ」
 あくまで妖精の国からきた妖精というのは設定だ。ハッピーは霊体になった下半身を誤魔化し、メープルは精霊種故の調和能力があるとはいえ、彼女達は小柄であるため、そういう設定にしておくことに問題はないだろう。もっとも、のだが。
 まるで画面を下から持ち上げて放り投げるような硬い動作をふわっとすると画面もゆっくり移動して今度はメープルに。彼女の秋一色な全身と妖精譲りの可愛らしい全身でのジェスチャーを見せる構図の中バーン!と両足を大きく開き両腕を天に掲げるポーズを取ってみせた。
「私も同じく妖精の国から来たメープルだぜ! ハッピーと、もーひとり、『恥ずかしがり屋のカメラさん』と一緒にトーキョーにお邪魔しにきたよ! いーっぱい魅了されちゃって構わないからなー!」
 ……といっても鮮やかなオレンジの蝶の翅を持つ120cmの少女の見た目では魅了というよりは萌える方が正しいと思うが。ゆっくりカメラは引きに戻り、ハッピーとメープルの二人を映すと横断歩道の変化を知らせる鳥の鳴き声が響き渡る。
「というわけで、ハッピーちゃん達はここ東京に来ちゃいました! メイメイ、ここが東京なんだね!!」
「そうだねハピハピ、車や人が一杯でにぎやかだ! ここに人間たちは住んでるんだねえ!」
 横断歩道が緑のうちにと駆け出そうとするハッピーの手をしっかり掴んでゆっくりあるき出すメープル、そんな二人の視線をハイジャックするかのようにカメラはゆっくりと彼女達の後ろへと回る、妖精たちが訪れた現実世界という雰囲気を出すために敢えて低い視線から街にそびえ立つ高層ビルや看板を『カメラさん』――サイズのことである――は映し出す。画面の下端に、風でぴこぴこと揺れるハッピーのリボンとメープルのアホ毛をわざと映しながら。
 しばらくの後、再び二人の後ろ姿が映し出されメープルがハッピーの言葉を引き出すように声をかける。どちらが喋っているか、そして妖精らしさを出すために初めての視聴者にもよく分かるように身振り手振りを交えながら。
「メープルは妖精の国から来たからやっぱりかわいくてふわふわしたものが大好きなのさ! 綿毛の咲き誇る花園やふかふかに苔むした森! ハピハピ、人間たちの国にもそんなものがあると思う?」
「あります有りますありまーす! ここに来る途中にみたでっかい赤いタイヤ観覧車!」
「いいねえいいねえ、東京にある妖精の国みたいで! でももーちょっとふわふわしたものが欲しいと思いませんか!」
「……たしかに! メイメイ、さては名案があるんですね!」
 減速するカメラに合わせて二人が立ち止まるとハッピーの言葉にうなずいたメープルが大きく腕を突き出しあるもの指し示す。それは古式ゆかしいアーケード街、いわゆる雨天でも自由に歩行者が買い物や娯楽を楽しめる巨大アーケード街。
「あれとか、どうじゃないでしょうか!」
「んおー! いかにも何かありそうなエリアはっけーん! さてはさてはアーケードですなあ!」
「はぴっ」
 ハッピーが思い切り名称を出したのに目を丸くして一瞬停止するメープル。あとでカットするか、可愛いので残しておくかサイズは少し悩んだという。案外キャラ付けが崩れる瞬間というのが視聴者にはウケるようだし。
「そうそうアーケ……よく知ってるねハピハピ!」
「お、おおー! あそこの看板に書いてあったからな! じゃああそこまで競争しようぜい!」
「おー!」
 何だかんだメープルのフォローで動画の形になったところで、目まぐるしく画面は変わって――

●――とここでアイキャッチ☆
「はいっ!! という事で今回は、このストリートのスイーツ片っ端から食べ歩こう企画ー!!ミ☆」
「いえーい! どんどんぱふぱふー!」
 そのアーケード街の隅に場面は移り変わり、サムズアップと拍手とともにいえーい!と盛り上がる二人。いよいよ自己紹介のフェーズも終わり動画は本番! どこか喧騒に負けじとハッピーもメープルも声を張り上げて盛り上がる。
「よーし、メイメイ! 今回で一気に全部食べに行こうぜ!」
「ハッピー、お腹破裂しちゃうよ! そんなに食べたら! このアーケード! ……っていうみたいなんだけど、ちょーっと歩いただけでもすっごいお店が一杯見えたんだよ?!」
「なんだって!!! そんなに大きいのか!!!!! にぎやかすぎてハッピーちゃん全然気づかなかったぜ!!!!」
 ハッピーはゆっくりと見渡し、しばしの間口元に拳を当てる。たしかにこれでは、動画の時間がいくらあっても取り切れない……振り返って、うっかりと言わんばかりにウインク☆
「いやぁ、そんなに大きいなんてね! 屋根があるからいーっぱい人が来てくれてにぎやかなんだね! んじゃあ端っこから行けるところまで攻略していこっか!」
「オッケー♪」
 早送りでとことこ歩いた後最初の攻略先となるお店の手前、メープルがハッピーに問いかける所で動画の速度が元に戻り、彼女たちの会話も聞き取れるようになる。
「ねー、ハッピー、最初はどこいこっかー……暑くてクタクタだよー」
「そうだねー、メイメイ、もしかして歩き疲れて喉乾いてない?」
「乾いたー!」
「ここらで一杯水分補給したくないですか!」
「したーい! どうせなら甘いジュースとか飲みたいよね! 木の実をドワーフのみんなが作ったすりすり機に集めて~」
「あはは、メイメイったら、ここは妖精の国じゃあないんだぜ! でもハッピーさんさっき歩いてる所にいいお店見つけちゃったもんね!」
 カメラ目線のハッピーが大げさに腰に手を当てて指を刺す。その先を観察し、メープルがわざとらしく相槌を売った。

「あ、あの……めっちゃ赤と黄色で目立つお店は!?」
「じゃーん! なんとジュース専門のお店なのだ!!! メイメイの好きな木の実もあるかもしれないのだ!」
「あげてくね~! それじゃあとっつげきー!」
 前面が透明なガラスに覆われたその自動ドアをくぐると冷気が二人の綺麗な髪を揺らす。
「すずしー♪」
「ほんっと、これだけでもありがたいよねえ……お、私の好きなリンゴジュースあるじゃん! この金色のやつが美味しいんだよ!」「いいじゃん! それにしちゃおうよ!」
 メープルが指し示したのはホットドリンク、彼女好物のメープルシロップとシナモン、そして加熱して柔らかく崩したりんごを混ぜ合わせたジュース。メープルの言葉に食い気味に決めようとしたハッピーに一瞬メープルは目を細めると、ちらりと目線を左の方へとそらした。
「でも妖精の国じゃあ見たことがないジュースがあるみたい……ハッピー、挑戦してみたくない?」
 メープルが選んだのはレモネード、強烈で爽やかな酸味と甘味、何より喉に突き刺さるような冷たさは夏の飲み物としてこれ以上はないだろう。
「お、おお!? あ、あの飲み物は!?」
「もう色からしてすっぱそー! ハッピーもそうおもうよね!」
「じゃあたのんじゃおー!」
 大げさに驚くハッピーにくすくすと笑いながらメープルは端のカウンター席に飛び乗るとハッピーが座りやすいように――そして霊体が見えないようにカメラワークを考えて椅子を回転させ、ハッピーを座らせる。そして――なぜか一瞬こちらをちらりと見て――店員へ腕を張り上げて可愛らしく注文をするのであった。
「すみませーん、これ3つください~♪」
「カメラさん! ほら、座って座って!」
 立ちんぼもなんなのでとカメラさん……もとい、サイズは二人に言われるままにカメラをちょっと傾けて、会釈っぽくするとカメラを席の上に乗せるのであった。
 そしてストローを咥え、二人がレモネードを飲みながら笑顔を見せた所で画面がぼやけて音声がフェードアウトし……

●……ここでもいっちょアイキャッチ!
「いやあ、元気満開だね、ハッピー!」
「私も絶好調さ! メープル! このアイスも美味しいしね!」
「ホントだねえ、あおぞらにゅーぎょーって所の美味しいミルクの味がとってもよくて……こんなに美味しなミルクの牛さん、妖精の国にはいなかったぜ!」
 P-Tuber活動は宣伝もばっちし! というわけで二人は冷たくてとろけるようにおいしーソフトクリームをアーケードのビルに空いた小窓から商品を受け取れるお店から買い、スプーンで掬って舐める。ハッピーはバニラ、メープルはミルク味。同じ白いアイスなのに濃厚なミルク味の素晴らしさを語り、メープルは掬ってソフトクリームをあーんとしてあげる。ハッピーは美味しそうにぱくりと頬張り、メープルにバニラ味のソフトクリームを一匙すくってお返しをする。カメラを気にしすぎてしまったのか、思わずプラスチックの透明なスプーンがハッピーの指先から滑り落ちてしまうがぱくりとスプーンの先を器用に唇でキャッチしてメープルがウインク……嗚呼素晴らしき百合かな……そう視聴者は言ってしまいそうな百合空間がそこにあった。
「メイメイ! いい感じに汗も引いたし次は美味しいケーキでも食べてみたくない!?」
「ケーキ! ふわふわでいいよね! 食べたい食べたいっ! いいところあったの!?」
 メープルの言葉にドヤ顔で両手を腰に当てるハッピー。
「ジュース屋さんの所で聞いたんだ! いろんなケーキが食べられるスイーツビュッフェ!」
「え、ビュッフェ!? ケーキ食べ放題なの!?」
「ほら、メイメイ早速食いついた! それじゃあいこいこ! お腹の残量はばっちりかー!」
「もっちろーん!」
 道路を挟んで幾つも並ぶアーケード街は買い物の聖地、業務用のスーパーからオタク向けのショップ、そして美味しいレストランまで。そう、なんでもあるものなのである!
 ハッピーたちが向かったのは今回のラスボス、格安デパートの商業ビルにあるという今人気のケーキビュッフェ店!
 画面はアーケード街の全体像の地図に代わり、二人の頭部を模した可愛らしいアイコンがアイスやさんからその店の場所へ移動する。……決してハッピーさんが転びそうになったからそういう演出を入れたわけではない。
「たどり着きました! ここがそのお店です!」
「ここなの? ハピハピ、普通のビルに見えるよー? ってうおっ……すごっ!?」
 商業ビルの入り口をくぐり抜け、手を繋いだまま二人は階段を駆け下りる。踊り場を抜けて、地下1階へ、するとどうだろう、階段の壁は無地からトランプの柄を模した不可思議なチェッカー柄のものへと代わり、フロア全体が面白おかしく可愛らしい雰囲気へと様変わりしたのである。
「まるでアルヴィオンのダンジョンみたいじゃん……」
 思わずぽつりと呟いたメープルの言葉通り、そこは人間たちが描く童話の世界を模した魔法の国、色とりどりの可愛らしく小さなケーキが食べ放題のスイーツビュッフェなのであった。
「見てみて! すっごいよ! 私こんなところを探してた!」
「……ああ、ここが本当の妖精の国だ……」
「あはは、みんな見てみて、メイメイがこんなに固まっちゃってる!」
 高い声ではしゃぐハッピーたちの元へと来た店員にハッピーは『ガールズ3人驚くサイズにおかまいなく』を告げ撮影の許可を得ると伝票代わりとなる札を受け取る。そしてお待ちかね、楽しいケーキバイキング。動画撮影のためと全部1個ずつ小さなケーキを欲張ってえらんじゃうハッピーと、やっぱりメープルシロップがかかったケーキが気になってこっそり多めに取っちゃうメープル。ついでに、ハッピーが残すのを察して申し訳程度に片手で運ぶお盆にケーキと軽食のピザを一切れ乗せたカメラさん。今度は撮影許可があると堂々と見晴らしの良いテーブルを選び、お楽しみのあーんで食べ合わせ。1個ずつ、ケーキの味見をしながら、時々半分に切ってカメラさんにこっそり食べてもらって。
「うーん、やっぱりメープルシロップが一番だねぇ♪」
「メイメイはホントにソレが好きだよねー、名前もメープルだし!」
「そういうハピハピだって『ハッピーケーキ』って見つけてちょっと笑ってたでしょー?」
「はい! なのでメイメイに私を味わって貰うために2つ取っておきました!」
 その言葉に思わず口をつぐみ顔が真っ赤になったメープルにカメラがズームイン。ハッと気づいたメープルがカメラに気づくと腕を伸ばして――
「っ……さ、カメラさん! なにしてんだー!?」

●そろそろお時間もちょうどよいので!
「はい! というわけでスイーツビュッフェ『うさぎの隠れ道』でお別れの時間が来ちゃいましたミ☆」
「いやあ、すごかったね……ケーキ……お口の中がぱちぱちして……美味しかった」
 まだ顔が赤くもごもごしているメープルとニコニコと手を振るハッピー。エンディング・テーマが流れ出し、動画は締めへと入る。
「みんなも一度食べてみるといいさ……今回はケーキだけだったけど、次回はパスタやピザのお食事もたっぷり教えるから……お店も教えたい所のまだ半分しかイケてないから、次は後半戦かなー?」
「今度はお食事もガッツリするぜ! お腹ぺこぺこの男子たちも満足させるから! ぜひぜひみてよな! それじゃあ今日はここまで! まったねー!」
 最後にハッピーが顔真っ赤なメープルのほっぺを人差し指で突いて「ふにゃぁ」と声が漏れた所でフェードアウト。なぜだかお店に行っていないのに口の中が甘い居心地になるような終わり方の後、暗い画面に次回予告の動画と他の切磋琢磨するライバル達の動画へのサムネイルが表示されるのであった……

  • 【P-Tube】新設!ハピメイ☆チャンネル!完了
  • GM名塩魔法使い
  • 種別SS
  • 納品日2023年07月08日
  • ・ツリー・ロド(p3p000319
    ・ハッピー・クラッカー(p3p006706
    ・メープル・ツリー(p3n000199
    ※ おまけSS付き

おまけSS

●SM 動画撮影前の巻
「サイズ、サイズサイズ」
「ん、どうしたメープル?」
「いやー、私も準備中にいろんな子の見てたんだけどさ、すごいねーこれ、カワイ子ちゃんばっかり」
「どういう目線だ……? それ……」
「あはは、それに多分文章的にはオトコの人からガンガンGOLDが飛んでる……っぽい?」
「なるほど、異性からの熱烈なアプローチもあると……というかこんな機能もあるのか……まるでアイドルだな」
「……するってーと、メープルもそういうの狙った方がいいのかなー、ニンフドリアードの身体で……」
「ダメだ。それは想定より客層が変わりすぎる」
「客層!?」

●ジュース屋さんの NGていく その1
「……俺の存在はそんなに仄めかさなくてもよかったんじゃないか?」
「サイズったら、カメラが一人で動くわけ無いんだし、それならはじめから言っといた方がいいだろ?」
「うんうん、なんならカメラサイズさんも出ればいいのに、もしかしたら私達より人気出るかもよ、可愛いし女の子でも通るかもね!」
「遠慮しておきます、そのために恥ずかしがり屋って設定にしたしな……ハピハピ」
「ぶふっ……」
「メープル、むせるんじゃあない、第一ふたりがそうやって時々呼び合ってるからキャラ付けにしただけじゃないか……メイメイ」
「ぶっふwwwけほっwwwやめっ、きみがいったらおもしろすぎ、サイズ……サイサイ……ふふwwwwwwww」
「わ、わー!? メープルが壊れたー!?」
※レモネードは3人が美味しくいただきました。

●その2
「メープル! なんとね、このジュース屋さんは……サブスクができるって書いてるよ!」
「うわ、ほんとだ! ……ねえ、ハッピー」
「何?」
「さぶすくってなに?」「わかんない!」
 カメラさんサイズはずっこけた。

●HM 撮影休憩中のベンチにて
「むむむー……」
「どうしたメイメイ! なにかが不満か!」
「いやあ、正直食べ歩きって大変だねえ。全部行きたいのにサイズが動画時間的に1,2つが限界っていうから決められないし、それに……」
「それにー?」
「緊張で『やっほ~ 妖精のメープルだよ!』って言えなかった……」
「あはは、メープルっていったらそれだもんねー……私も緊張で途中から喉カラッカラで……」
「ほえー、幽霊も喉乾くんだねえ……なんて、私も精霊だけどカラカラだし……」
「乾くしお腹も空くと思ったらすくんだよ! だから思わずリアクション取りすぎちゃったかも……あのレモネード屋さんで……」
「……ああ、美味しかったねえ、ハッピー……あんなに美味しいなら何回も行けばよかったねー」
「あはは……じゃあ今度は動画とかなしで、二人で飲みにいこっか☆ミ」
「いいね! 今度はあそこのサンドイッチとかも試してみたいね!」
「わかる! 行きたかったよねー!」

●SH 編集中にて
「サイズさん、手が止まってる」
「……あ、ああ、すまない、編集をしていると考える事が多いな。勉強中に見た本にも編集の時間の方が10倍はかかるとあったがその通りだな……あと、ふたりともお互いの呼び方はノリじゃなく統一したほうがいい気がするんだが……」
「ほっぺ、赤かったよ?」
「……!」
「あはは。図星なんだ、サイズさんが撮っちゃってるからちょーっとそういう視線が入っちゃったかも」
「別に、照れてるわけじゃあ……」
「素直になりなさい、サイズさん」
「……はい」
「よしよし、じゃあ素直になったサイズさんにはご褒美だ!」
「わ、わっ……抱きつかないで……操作がずれる……」
「ずらしてるの、ちょっとくらい休むんだよサイズさん、目が疲れちゃうしさ」
「……うぐ」

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