SS詳細
『bluebell』
登場人物一覧
名前:夢見 ルル家
ギフト名:brave your heart
設定:
ルル家が自身が世界より得たギフト『brave your heart』を駆使して取り込んだ魂と想いの欠片。
心を通わせた、と口にすれば彼女は「マジで勝手なこと言うじゃん。草生えるわ」などと言うだろうが紛れもなく底には友情が存在した。
魔種ブルーベルの死後、リュシアンと共にカーマ・ルーマを駆けた際に彼は深緑に彼女の墓標代わりに樹を植えたと告げた。
その言葉に従い訪れれば、まだ若木であった樹は『とある精霊』の加護を帯びて細く頼りないながらも成長していた。
樹の小枝を一本折ったのは、そうするようにと精霊が囁きかけたからだ。「拙者、幻想種に燃やされるのでは!?」と慌てはしたが精霊からの指示ならば従うしか在るまい。
小枝を一本折ればそれは直ぐに姿を変化させた。鮮やかな空の色をした小石である。
それはあの気怠げな雰囲気を醸していた魔種を思わせた色彩であり、紛れもなく彼女の心の一欠片であるように感じられた。
「拙者に?」
精霊は微笑むのみでそれ以上は何も言わなかった。それが彼女の霊魂というわけではないだろうが、彼女がルル家に向けていた温かな気持であったのは確かなのだろう。
素直じゃなかった友人は「嫌いじゃなかったよ」と外方を向きながら告げて居るかのようでもあった。
石から感じられた温かな気配は直ぐさまにルル家の心臓部にあるコアに取り込まれた。
暖かく、ルル家にとっては『親友』が傍にいてくれるような、そんな気配がする。
時折、その気配が意志を持って語りかけてくるような気がするがそれはルル家本人の捉え方だ。
死人が化けて出る訳でもなければ、その意志を明確に読み解ける訳でもない。ただ、気配が何かを伝えてくれる気がするのだ。
「親友であるからには気配だけで何を云ってるか察せますよ! いやあ、拙者、案外Bちゃんに好かれたんで分かるんですよ!」
そんなことを言いながらも、『彼女』を連れて旅に出る。
鮮やかな空色の小石は、何かアクセサリーに加工して持ち歩いたって構わないだろう。
――再会の末、リュシアンが其れを見れば「ベル」と呼び掛けるはずだ。
彼がジナイーダの髪飾りを手に旅に出たように。広い世界を飛べない少女に見せてやって欲しい。