PandoraPartyProject

SS詳細

偉大なるポリプの回転

登場人物一覧

ルトヴィリア・シュルフツ(p3p010843)
瀉血する灼血の魔女

 元素の内の地と水が、ぐるりぐるりと大渦を生み、名状し難い輪郭を三次元に残した。四次元の断面である『それ』は自らの偶然を認めて歩を進めていく。大きな大きな帽子でも隠しきれないと把握していても、尚、瀉血を繰り返すサマは狂気の副産物だった。
 あつくるしい。
 窮極の門――銀の最果て――あらゆる可能性が詰まった、地獄めぐりの埋め尽くしとして、玉虫色の球体は姿見の代わりと化す。滓れたイメージを組み合わせて、新たに、改められた成分を再構築して往くのか。時には蟲、時には人、時には怪物として描かれた、真っ黒な魔女の所業も何れ、荒縄の輪っかに囚われるのだろう。それで、如何様な僥倖に見舞われたのか、もしくは、スサマジク拙い不幸に襲われたのか。唆されての数年間、はみ出たゴートを夢に見る……。不意に、現との境目が出鱈目になったのは、ひとつの別れに対しての混乱と謂えよう。心が、精神が、長く永く綴られた設定が、一斉に、電脳とやらにバラ撒かれる。ついでに通りすがりの誰かさんに訊ねるのがよろしい。あたしはこれからどこにいくんだ。それは我が知りたい事なのだが? まったく心当たりの権化とでも表現すべきか黒山羊の化身、彼方に映り込んだパンの大神が松果体のみを傷つけて久しい……。ノイズに塗れていた世界が、嗚呼、開花するかの如く、不可能の類、悪魔の証明を此処に孕んだ。
 40以上の体温が異常と同時に愉快な奇跡を宿していた。いや、パンドラよりは小さい代物だが、これでも、十分な発育と考えられる。華奢だった血肉は内側に引っ張られ、ふくふくと、豊満な沙汰へと改竄されていく。なるほど、つまりは我が現実側に注がれたと、塑う謂うワケなのであろう。セカンド・ライフを満喫するならばお隣さんにも声を掛けるべきだったのだ。グロテスクな運命サマにたくさんの秘密を暴露する、上も下も、右も左も、迷々眩むような――ところで最も悪辣なる魔女の主君、もしやオマエもザンネンなのではないか。こんなはずではなかった、と、全てを知ってしまっている……。
 トリックスターよ。あたしor我はふたつでひとつ、ひとつで全部のマトリョーシカで在り、こぽりと嗤う、心臓の赤に魅せられた獣で在れ。指先でつるつるとした表面を撫で、弄んだならば、魔女のいたずらこそ絶対だ。力とは唐突に沸騰し、冒涜的に出現する不可視で成り――そうとも。
「まだ」は横長の瞳孔から失せている……!


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