PandoraPartyProject

SS詳細

第17回小さなお胸同盟会合 in 喫茶店

登場人物一覧

リリファ・ローレンツ(p3n000042)
永遠の0・ナイチチンゲール
ルアナ・テルフォード(p3p000291)
魔王と生きる勇者
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘

 タピオカミルクティーの話をしよう。
 タピオカとはデンプンの塊であり、それをミルクティーに投じたモノがタピオカミルクティーである。それ以上の意味は無く、それ以外の価値もまたない……ない、筈なのだ、が。

「見てよ……あれ、またあそこ『タピオカチャレンジ』してるよ……」
「うわぁ……なんですかねあれ、どうしてあんな事する必要があるんですかね……」

 最近ギルド・ローレットの近くに出来たお洒落な雰囲気の喫茶店――にて、焔とリリファは咥えていたミルクティーのストローを、引き千切らんとする勢いで噛み締める。さっきまで優しくちゅーちゅーしてたのに……視線の先にあるは『タピオカチャレンジ』に挑戦している『持ちし者巨乳共』だ。
 誰が始めたのかタピオカチャレンジ。
 それはタピオカミルクティーの入った容器を己が『胸』に乗せられるか、られないかに挑む『持ちし者』達の傲慢の果てである。タピオカ自体がそれなりの大きさを持つ物体である以上容器も自然と大きくなり、床接地面の肥大から通常のドリンクよりも『地』に安定する傾向が強い。それを利用したチェレンジと言う訳で……
 しかし――その『地』の対象が、己の身体の一つとするなど――!
「最近の流行だかなんだか知らないけど、なんなのタピオカチャレンジってぇ!」
 机に両の手の平を。
 勢い付けて叩き付ければ甲高い音を鳴らして、それは――ルアナの心境を物語っていて。
「あん、あんなの見せつける様にする必要あるの!? 飲み物は飲めればそれでいいのに!! どうして、どうしてあんな、あんな所に乗せて飲む必要が!!?」
「そう! そうですよねルアナさん! あんな飲み方意味ないですよね、おぎょうぎがわるい!!」
 頬をリスの様に膨らませ天に激怒するルアナにリリファ。
 そうだ、あんな飲み方したからって美味しくなる訳ではない。味は同じである。
 飲み物は飲み物であり実際ここにいる皆タピオカミルクティーを飲んでいても、その飲み方は普通。普通? ええ、つまりですね勿論!! 普通に!! 手に!! 持って!! 飲んで!! いるの!! 悪い!!?
 ……くっ、些か感情的になってしまった。ともあれそろそろお分かりではなかろうか。
 焔、リリファ、ルアナ……そして。
「このお店ねー、この前来てすっごく美味しかったからおすすめ! でも蓋がゆるいのはだめだね。うん。落としたくらいで外れてこぼれるなんてダメダメだよ。ちょっと飲料としてありえないっていうか……うん……とにかくダメだよ……起こっちゃダメな事態だよ……」
「フランさん!? フランさんどうしたんですか気を確かに!! タピオカが零れてる!!」
 フラン・ヴィラネル――光無き眼で宙を見る彼女を含め、ここに集っている四人達の特徴を。
 いずれもがチャレンジする事が出来ない者達。
 チャレンジ所か門前払いされるであろう山無き谷無き平原が四つ。
 資格無き天命を授けられた特別者達ナイチチ共である――!!

 そうこの集いは『第17回小さなお胸同盟』の会合の様子なのだ!

 説明しよう、小さなお胸同盟とはお胸の小さな敗北者……もとい、お胸が可愛らしいメンバーで構成された秘密結社であり、日々『持ちし者』達への呪詛を皮切りに会議を行っているのである。そこ、不毛とかいうな。持ちし者判定するぞ!
 今回の議題は勿論『タピオカミルクティー』である。偶々皆で喫茶店来て楽しんでいたら、前をタピオカチャレンジしながら通る鬼畜共がいて突発的に始まった会合とかそういう訳では決してない。信じて? 持ちし者判定するぞ?
「ああ、そういえば前にここに来て飲んだことあったよね。あの時はたしか……」
「うん。あたし達、前にも来た事があったよね! あの時は……」
 フランの言う『この前』に反応したのは焔だ。この喫茶店へ来たのは、これが初めてではない。
 たしか私用で訪れたあの時は五人で――噂のタピオカチャレンジが始まって――
「うっ、あ、頭が……! ううこの記憶は……!!」
「ほ、焔ちゃん! 大丈夫!? タピオカ、タピオカを飲んで!!」
 涙ぐみ視界。ルアナに言われて飲み込むタピオカ、詰まる喉。
 胸を叩いて咳き込まんとする。ああそうだ。あの時は二人ぐらい成功した者達がいたのだった……!! おのれ持ちし者達め、笑顔と涙顔の真っ二つ。
 タピオカチャレンジはチャレンジと題する程度にはそう簡単に成功するモノではない。まずもってそれなりの質量が必要であり――というかせめて取っ掛かりもないと夢も希望も見えやしない。下向いて床が見えたらまずアウトとは誰が言ったか。
 強引に挑もうものなら真っ逆さまである。あの時のフランの表情たるやなんと表現すべきか。飛び散ったタピオカミルクティーの惨状が全てを物語っていたと言うべきか、耳が気持ちちょっと垂れてた気がするの可愛いというべきか。ンッふっふ。
「ひっ!? な、何か今不思議な視線を感じたような……」
 気のせいですよフランちゃん。
「くっ……やはりタピオカチャレンジは悪い文化ですね……滅ぼすべきですよッ!」
「皆が幸せになれない文化なんて誰が広めたのか……!
 せめて。せめてあの湖の噂が本当だったら……いや『真実』であったなら……!」
 噂? とタピオカを凄まじい勢いで吸引するリリファは、フランの言に首を傾げれば。
「ああ、うん……ちょっと前に、深緑にね? 飲むと……その……お胸が大きくなる湧き水があるって噂を聞いてね。フランちゃんやルアナちゃん達と行って来たんだけど……」
 うん、ダメだったよ……と焔は思い出して意気消沈。
 あの湖の名前はなんだったか。そうだ『ぺたん湖』だ。誰が考えたんだよこんな名前……!  『おおきいことはいいことだ。わかるよ、うんうん』と、ある人物も言っていたのに。見えたのは全部幻だったとか人の所業とは思えねぇ……!!
「――やっぱりボク思うんだ、大きなお胸は全部もぎ取って。
 皆が均一に。平等に小さくなれば世界は平和になるんじゃないかなって……」
 夢に夢見てそこから現実へと引き戻された焔は過激なテロリスト思想を身に宿した! これぞナイチチの魔種である。おむねないない。全体決戦不可避。
「それはまずいですよ焔さん!! ――やるなら計画を立てて一撃必殺しないと!!」
「やっぱりそうだよね。年単位で計画を練らないとね……!!」
 リリファが止める振りして乗ってきた。やばいぞこいつら!
 さりとてぺたん湖の件は余程トラウマだったのだろうか……思い出せばフランも泣いて。
「うっ、うっ……奇跡《ぽよよんぱーてぃーぷろじぇくと》を願ったのにダメだった……どうして、どうしてなの! 神様は、神様はどうして思いを無視するの!!」
 おむねたゆたゆの夢を返して! フランちゃんの抱いたお洋服の買い替えの夢を叶えてあげて!!
 貴様らに分かるか! 洋服のショッピングに出かけた際にサイズをまず一瞥しただけで『あ、こっちのコーナーには用が無いな』となってしまう感覚が!! あっちもこっちも選べるとかいうのは恵まれた者の特権ですよ特権!!
「あの湖は……うう……! で、でもだいたい、お胸なんてなくても生きていけるもん……ぷるぷる、ちょっと羨ましいな、なんて思ってないもん……本当の、本当のわたしを取り戻した時は、きっと。こうおっきくなっている筈だし……!」
 タピオカミルクティーをジョッキかの如く勢いで机に叩き付けるルアナ。彼女もまた、ぺたん湖に参戦したメンバーの一人で……あ。いやミルクティーかと思ったらココアだ! これ身体にホッとする優しいココアだ! 怒りつつも優しいよ!
 ともあれルアナは実は希望(取り戻せるかは不明)がある。それは彼女の本来の姿だ。
 今の姿は幼少期の姿であり、彼女が混沌世界に訪れる前は大人の……きっと、多分。『大人の風格』だった筈なのだ。だから『この身体』はこれからが成長期でありそこへ向かっているとすれば、希望はあると信じてる! 大人に、成年になれば皆おっきくなる! でも昔の世界からの馴染みのおじさまには怖くて真実を聞けない!! 分かってこの乙女心!!
 あっ、ちなみにリリファちゃんは19歳で成年間近です。あ、焔ちゃんもだ。
「今の注釈はなんです? どこの囁きです? 誰の感情でどういう意味です?」
「リリファちゃん、いきなりどうしたの……? 顔色良くないよ?
 だいじょうぶここにいるみんな、仲間だよ。怒りに身を任せなくて大丈夫だよ……!」
 キョロキョロと辺りを見回すリリファの肩を叩くルアナ。落ち着いて、大丈夫だと。
 しかし先述したようにこのルアナ……心中にて希望を抱いて生きている。いや、確定でそうなるかとまで考えると不安がどこかに生まれるので意図的に目は逸らしているのだが、ともかく。つまりですね――

 ――まぁ私が一番大きい(大きくなる)よね。

「そう! あたしたち、皆仲間だもんね! 誰も除け者になんてしないよ!!」
「お胸が全てじゃないもんね……! ボク達の友情は、ずっとずっと変わらないよ……!」
「フランさん、焔さん……!!」
 しかしその感情は、なんと! このフラン・焔・リリファにもあるのである!!
 いやそれが四者共に明確に抱いているとかそういう話ではない。友情を謳った言動にも嘘はない。
 これは心のどこか片隅で……誰もが思う事なのだ。人として、生物として……
 そう、もうお分かりだろう……

 誰も!! 自分が最下位とは思いたくないのである!!

「あっ、そういえばね! 湖の依頼の時に――というか大きくなった(幻覚)後用に着る服を買いに行ったお店があってね。そこのお店、色々可愛いお洋服がいっぱいあったんだ、今度はリリファちゃんも一緒に行こうよ」
 タピオカチャレンジの際にむねでか狐耳や同人誌騎士に負けたのは仕方がない。
 心理的に納得できるかはともかくとして土俵が違うのだ。仕方ない。仕方ない、が!
「そう、あたしたちにもぴったりなサイズの服が沢山あったよ!
 あたしたちだからこそ着られるシュッとしてかわいいの買いに行こ! ね!」
「ホントですか! いいですね今度――いややっぱり思い立ったが吉日! 今から行きましょうか!」
 土俵が『同じ』ならば決して負けたくない思いが、誰しもにあるのだ!!
 ここの面子ではどう頑張っても誰もチャレンジに成功はしないという『線』では皆同じだろう。
 しかし万一、なにかの間違いで線の中の面子でサイズを競った場合――この中からも勝者と敗者が生まれるのは確実である。奇跡的にサイズがピッタリという可能性もなくはないが、人間四人も集えば全員ピッタリというのは神様の悪戯か何かでないとあり得ないのではなかろうか。絶ッッッ対測るなよ!!
「フランちゃんも焔ちゃんも、あの湖に行った時のお洋服……まだ持ってる……?」
 自分は箪笥の奥に眠らせたけど、と。辛い記憶をルアナは封じ込めながら遠い眼を。
 ああ。お店に行ったらまたあの日の記憶が……しかし皆楽しそうであれば、共に行くもやぶさかで無い。夢は幻となって潰えたが、それでも現実の友情だけは砕けず美しくここにある。
 ショッピングの話で盛り上がり、仲を深め、お喋りをして――
 第17回小さなお胸同盟の会合はいつのまにやら、なし崩し的に雑談とショッピングの時間となっていた。1~16回も大体こんな感じの様子だった気がする……
 机の上には飲み物の残骸。
 チャレンジせずに普通に。普・通・に飲んだタピオカやココアの容器を片付けて。
 彼女達は今日も仲良く生きていく。
 同じ悩みを抱え、同じ思いを共有して。
 それでも楽しく、毎日を過ごしていくのだ――

 ――なお。フラン達の言う洋服のお店に出向いた先でなぜか巨乳共の群れに遭遇し『第18回小さなお胸同盟の会合』がすぐさま決定したのは完全に余談となる話であった。ムキャアアア!

  • 第17回小さなお胸同盟会合 in 喫茶店完了
  • GM名茶零四
  • 種別SS
  • 納品日2020年01月02日
  • ・ルアナ・テルフォード(p3p000291
    ・炎堂 焔(p3p004727
    ・リリファ・ローレンツ(p3n000042
    ・フラン・ヴィラネル(p3p006816

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