PandoraPartyProject

SS詳細

<Pretty VS Pudding>Strongest

登場人物一覧

咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年
マッチョ ☆ プリン(p3p008503)
目的第一


 八月、夏真っ盛り。
 水着浴衣の一大イベントもなんとか一段落し海洋が賑わいを見せるさなか、三人(でいいのか?)はローレットに集っていた。というか待ち合わせした。
「なんでボクは此処に呼ばれた?」
 まずその一人目。美少年たるセレマはその麗しく儚げな表情に憂いを30gばかり乗せて。薄く淡く色付いた口から飛び出るのはそんな貌には似ても似つかない暴言と悪態ばかりである。
 はぁ、と溜め息を添えて頬杖でもついてみればあっという間に被害者美少年の完成。
 その横で紅茶を高く高くから注ぎプリンをびっちょびちょに濡らす百合子。プリンの表情が曇ることはなく楽しげなのが唯一の幸いである。
 あっすっごい顔びっちゃびちゃ。大丈夫? ってなるけど笑顔でハンカチで拭いてティーカップに絞ってる。それでいいのか。
 二人目、百合子。今日も可憐な白セーラーが眩しい。あとはつらつとした笑顔。三人目、プリン。ひまわりにも負けないキュートなイエローボディ。あと夏仕様のプリンタンクトップ。もう何も突っ込まない。
「さて、此度の招集に集まってくれたこと、心より感謝申し上げるのだぞ! 吾こそが白百合清楚殺戮拳、咲花百合子である!」
「あーもう知ってる。知ってるからそういうの大丈夫」
 ノーセンキューの構えをとったセレマ。隣から巨躯な黄色が立ち上がる。あっなんかめっちゃ甘いにおいしたかも。夢?
「オレはプリンダ!」
「はい。知ってる。で、今日はなんで呼ばれたわけ? 結局のところそこの説明がまず最初だって思うんだけど」
 プリンの犠牲によって平和に注がれた己の紅茶を口につける。うわ渋っ。遠慮のえの字も見せず卓上にティーカップを返した美少年は果たし状と書かれていた紙切れてがみを思い出す。日時だけは辛うじて理解できたものの肝心の内容は長すぎて読むのを諦めたのだった。
 一応持ってきてはみたものの判読不能。きっと急いで書いてたから達筆になっちゃったんだね。しらんけど!
「吾が折角書いた手紙を読まなかったのであるか? 吾、悲しい!」
「常識に沿った手紙を書く努力からはじめた方が良いと思うけどね」
「オレは手紙ヨンダ! 次ノ企画の話ダ!」
「そうなのである。吾とプリン殿で合同で何かしらの企画を組んでもっともっと色んな人を楽しませたいと思っているのであるが、マジでなんも浮かばんのでやっぱりなしにしても良いかもしれないと思ってるくらいなのだ」
「へぇ。具体的には? 若干の案とかはあったりしてもいいんじゃないの」
「まだ決まっていない!」
「ソウダ! ノープランダ!」
「誇るな」
 とは言え和気あいあいと大きな企画を動かそうとする野心はまぁ嫌いじゃない。好きって言ってるわけでもないけど!
 ぐいっと紅茶を飲み干した百合子。同じ紅茶のはずなのに渋いという顔すらしない。多分気付いてない。プリンもぐいと飲み干した。もしかしてセレマのだけ渋かったのか?
 並々注がれたティーカップを眺めるセレマを取り残し、百合子とプリンは前回の反省会を行っていた。
「前回の美少女ダービーでは領民も楽しめる形にしたがもう少し血が流れてもよかったやもしれぬ」
「ヌウ! ソレデハ子供に見セラレナイゾ!」
「た、確かに。未来永劫美少女ダービーを安泰したものにするためには血をインクにする方がいいのやもしれぬな」
「いやそうじゃないでしょ。おかしいなぁ。混沌肯定あるのにお前らが何言ってるのか全然わからねえ」
 多分混沌肯定でもカバー出来なかったん。セレマの端正な顔の下に青筋が浮かんだ気がする。
「ハッハッハ! 読解力と理解力の欠如ダナ!」
 煽るプリン。
「どうやらぶっ飛ばされたいらしい。百合子、殴っていいらしいぞ」
「そうなのであるな!」
 しゅっと腕を構えた百合子を見、すかさずセレマの背中に隠れるプリン。セレマがくいっと親指で後ろを指し示す。救いはなかった。
 今日も今日とてEXAが可憐に唸る。再生665で不滅のプリンとなりつつあるプリンは、何度でも蘇るセレマの後ろでぷるぷる揺れながら再生していった。なんかローレット甘いにおいしない?
「直近だと吾が最後であるが、やはり祭りとは良きものであるな! 普段は見れぬ顔ぶれもひょっこり顔を出してくれるのが最高に祭りって感じがするのである」
「ダナ! やはり祭りコソ楽しみヨ!」
 手についたプリンを拭いながら百合子は頷いた。レアな装備もあれば珍しい顔ぶれとの再会もある。あとスペシャルなゲスト。前回はかの有名な一菱流死牡丹・梅泉氏も登場したらしい。あと俺達の最強CWYAMIDEITEI。もう誰にも止められないのである。
 紙を広げやいのやいのとペンと筆とプリンで書き込んでいく(?!)二人を止めることはせず持参しておいた紅茶で口を直しぼんやり見守っていた中、セレマはふとあることが気になった。
 セレマ、後に後悔する。己の愚行を悔み涙するかもしれない。どちらかといえばキレてる方が正しいんだけど。

「そういえば、どっちの企画の方がデカかったよ?」

 百合子とプリンにアドバイザーとして呼ばれる可哀想な犠牲者兼ツッコミ役、セレマ。類は友を呼ぶのか爆弾は爆弾を誘発するのか。
 なんてことない問いかけのつもりだったセレマとは裏腹に二人にとっては割りと大きめの問題に発展する。
「そんなこと決まっている。吾のほうが元祖だし、美少女ダービーの動員数も上となれば吾の企画の方が上であろう!」
 ふんす、と胸をはったのは百合子。普段ならばこういう時に肝心なのは規模ではないぞとマジレスで諌めていたのやもしれない。が。今回ばかりは違う。
 なぜならば、プリンが相手かつ問いかけたのがセレマだからだ。
 装備やグッズの企画を行うのはだいぶしんどい。自分の装備を改良するのをそっちのけで収集する場合もある。あと単純になんでこんなことやってんだろうって我に返って全部売り出したときがつらい。もうほんとやだ。
「イイヤ! 凄いのはオレの方ダ!」
「なぜだ! 理由を述べよ!」
「元祖ガ百合子ナノ認めるが、副景品の導入ヤ唯一無二のオリジナルアイテムの作成をして見せたノハオレが先ダ!」
「むむ!」
「ソレニ美少女!」
「なんだ!」
「次は100万ゴールド投資スルらしいジャナイか!」
「そうだ!」
「そう言っているガ! オレは既にソレをやって見せたゾ!」
「むむむ……!」
「ダカラオレの方ガ凄い!」
 ででーんと両手を腰にあてて仁王立ちしたプリン。文字面がやばい。
 参考に拝借している資料から見ると、情報屋ギルオスがどこからか仕入れられた彼のパンツである『ギル♂のぱんつ』がレリック級の強さを搭載されて戦闘用アクセサリーになっている。その数なんと10枚越え。
 かなりの予算が投下されていることが解る。あとギル♂のぱんつも。もう多分ギルオス泣いてると思う。
 しかしプリンの前にずいずいと立って同じように仁王立ちをした百合子。
「でも! 吾だって負けてないもん! エンシェント級の装備を取り入れた事、貴殿にはないであろう!」
「ヌウ……!」
「吾は! 一 番 最 初 ! に! 装備の配布企画をしたという自負がある!」
「ヌウウ……!」
「それに吾の方が動員数も上である! だから吾の方が凄い!」
 これもまた拝借した資料によれば数回の開催実績や2019年頃からの活動履歴がある。これはだいたい『熱砂の恋心』の一ヶ月前。赤ちゃんが三歳になっている。
 ヒートアップするやり取りを見つつ頭を抱えたのはセレマ。あなたのせいですよこんなことになったの。
「逃げたい(逃げたい)」←逃げたい
 もうだめです。諦めてください。あなたが人柱です。
 セレマがクソデカ溜め息をついたのも気にせず二人は火事場に燃料を打ち込んで大火災を起こしていく。二人のデットヒートは止まらない。
「デモ百合子はオリジナル装備を提供して無イダロウ!」
「むう!」
「オレの方が凄インダ!」
「違うもん! 吾だもん!」
 あっもうだめだ。確信的な予感が走る。もうあかんなこれって思ったセレマはそっと身支度を整えすたすたすたと二人から遠ざかる。が、二人はそれを許さない。
 がしっと二人から方を掴まれる。あっなんか片方から甘い匂いがする気がする。夢かも。
「セレマ! どうして帰ろうとするのであるか!」
「ソウダ! セレマが居ないト判定ニ困る!」
「困ることをするなよ……」
 とは言え見目にはこだわりのある美少年。華奢故に逃れることも出来ずこれまたクソデカ溜め息を吐いて二人を眺める。
「どうすんの」
「「……」」
 百合子とプリンは顔を見合わせる。これまたノープランなのである。が、しかし。

「祭りだ!!! どちらの企画が優れているかは祭りで決める!!」

 百合子は叫んだ。
 祭りの勝負こそ祭りで決めるべきなのであると。
 美少女ダービーvsギルぱん伝説。今こそ輝かしい黄金の戦いの幕開けだ。
「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
「(何勝手に巻き込んでくれちゃってんだこの馬鹿たちって顔)」
 ブオオオとほら貝の音色がどこからか聞こえてきた錯覚さえする。燃えるプリンとは裏腹にうわぁってげんなりした顔をするセレマ。読者の皆様の中に身代わりに犠牲者になってくださる方はいらっしゃいませんか?
「決戦日時ハ?」
「来年の正月頃である! でも色々都合があるからもうちょっと替えてもいいかもしれぬ!」
「勝ち負けの判定はどうするのさ」
「後で考える!」
 あっこれもう止まんねえわ。
 おしまいである。いや壮大な企画の始まりではあるんだけど。セレマはもう逃げられないんだ。
 こうして企画されることになった大型装備配布企画<Pretty VS Pudding>。勝者には最強かつ最高の企画の称号が与えられる。
 果たしてセレマの命運や如何に――!
「いや命はかかってないはずなんだけど。なにこれ?」

  • <Pretty VS Pudding>Strongest完了
  • NM名
  • 種別SS
  • 納品日2022年08月06日
  • ・咲花・百合子(p3p001385
    ・セレマ オード クロウリー(p3p007790
    ・マッチョ ☆ プリン(p3p008503

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