PandoraPartyProject

SS詳細

Turquoise.

登場人物一覧

コルボ(p3n000204)
キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!


 あれは随分前の事だった。いや、もうそんなに前になってしまったのか、と思う。あまりにも鮮明に思い出せるものだから、いつまでもつい先日の事のような気がしてしまうのだ。
「てめェがキドーってヤツか?」
 突然現れたその男は、紫ルージュの引かれた唇をニィと上げた。
 ――嗚呼。こいつは只者じゃねえ。
 そう直感した。しかし同時に自身もまたただやられる程ではないと感じた。それを男もまた感じ取ったのだろうか、クツクツとそれは楽し気に笑い出したのだ。
「ああ、いいな。その強気な瞳だよ」
「おいおい、眼球蒐集が趣味か?」
「そんな気持ち悪ィことはしねェさ」
 ただ気に入ったのだと告げる男に、キドー(p3p000244)は小さく肩を竦めた。男に気に入られたって嬉しくもない。
 その日は顔を見に来ただけのようだったが、男――コルボはそれから度々キドーの前へ姿を現した。いや、鉢合わせたと言った方が正しいか。
「これは俺の獲物だ」
「バカも休み休み言えよ。最終的に持っていた方が勝ちだろうが!」
 時に衝突し、時にぶつかり合い、時に怒鳴り合い。お気づきだろうが水と油の様に接しては嵐のような喧嘩を巻き起こす仲であった。互いに強欲かつ貪欲な性を思えば当然であったが、大鴉盗賊団配下はやがてその光景にも慣れ、キドーに対しては『兄貴』と言い出す始末である。
「兄貴、いつウチくるんすか!」
「誰が兄貴だ!」
 反射で返すのももう癖と化していて、しかし存外こんなやりとりも悪くないと思っていた、ある日のことであった。
「おい、キドー。俺と組まねェか」
「は?」
 現れた時と同じように唐突な言動で、キドーは小さく首を振る。自分が誰かの下につくなんて性に合わないのだ。それも大鴉盗賊団と――乱雑ながらも悪くない空気を築いていた者たちと――折り合いが悪くなるなんて、口が裂けても言わないが冗談じゃあない。
「てめェ何言ってんだ。俺と『組む』ンだよ。俺とてめェは対等に決まってンだろ」
 そんなキドーにコルボは呆れたような表情を浮かべた。では大鴉盗賊団を抜けて2人で組むと言う事かと聞けば今度はため息をつく。
「察し悪ぃな。俺と! てめェで! 大鴉盗賊団を率いるんだよ!」
「……はあ!?」
 素っ頓狂な声が上がる。しかしコルボの根回しは周到なもので、盗賊団員は須らくそのことを了承済みだとい言うし、そもそもあれだけコルボとやり合えるキドーを邪険にするような団員は1人としていない。思い返せば初めからそう在るべきだったとでも言うような流れだった。
 何がどうしてコルボの琴線に触れたのか、未だに定かではないが。こうしてキドーは大鴉盗賊団の前に立つこととなったのだ。



「てめェ、寝てると死ぬぞ」
「だーれが寝てるって???」
 眦を吊り上げるとコルボが面白おかしいというように笑う。しかし次の瞬間には表情を引き締め、キドーを見下ろした。
「ヤツら、来てやがるぜ」
「ああ。俺たちが進むには邪魔だな」
 折角ここまで来たというのに――ここはまだ道半ばだというのに。このラサを手中にすら収められぬとなれば大鴉の名が泣くというものだ。
 ここでさっさと奥へ進むか、それとも自分たちの力で以て蹴散らすか。順当に考えるなら部下たちに時間稼ぎをさせ、自分たちは早々に目的を達するべきだろう。
 ――が。
「「面白くねえな」」
  異口同音に2人は不満を述べる。
 ああそうだ、そんな逃げ腰でどうする? ここは誰よりも前に出て圧倒的な力で以て相手を伸し、これからも増え続ける大鴉盗賊団員たちをまとめ上げていくだけの力が必要だ。その力があるのだと示す事が出来る、またとない機会を見逃すなどありえない!
「……なーんて建前を述べちゃいるが」
「わかってンじゃねェか。ここで戦わないと退屈でしかたねェだろ?」
 笑うコルボ、小さく肩を竦めるキドー。
 大鴉盗賊団トップの2人は金も、力も、女も――そして強者ライバルをも求めている。お互いだけでは足りないほど、貪欲に。

「――てめェら、誰に武器向けてるかわかってんだろうなあ!?」
「わかっていようといまいと、全員ぶっ潰すだけだ。キドー、遅れるなよ!」

 イレギュラーズは立ちはだかる2人に警戒の色を強める。盗賊団トップが並んで現れるなど想定外、というべきか。
 だがここで退けばイレギュラーズにとって、ラサにとってより悪い展開に進んでいくだろう。これ以上の悪事を許すわけにはいかないとイレギュラーズたちは得物を握った。


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●成功条件
 コルボ、及びキドーの撤退

●情報精度
 このシナリオの情報精度はZです。このシナリオに情報精度が必要か?

●フィールド
 ラサにあるファルベライズ遺跡群のひとつ。クリスタル遺跡へのショートカットが存在すると気づいた盗賊団が向かっている最中、イレギュラーズは追いかけてきました。
 比較的頑丈そうな室内ですが、そこまで天井は高くありません。また、立ち位置によっては攻撃が上手く通らない場合があります。
 イレギュラーズのいる手前側、大鴉盗賊団のいる奥側にそれぞれ通路が繋がっています。

●エネミー
・キドー
 大鴉盗賊団を取りまとめる頭領がひとり。ウォーカーでありながらローレットへ所属せず、盗賊稼業の最中にコルボと接触しました。
 コルボに負けず劣らずの強欲な男で、その性質は大鴉盗賊団に属してからより大きくなっています。ともにいるコルボの影響も大きいでしょう。コルボを唯一無二のライバルとして認め、彼に追いつき追い抜くべく強敵との戦いを望んでいます。
 その小柄な体を生かした俊敏さと手数で攻めてきますが、その一撃も決して軽くはありません。ククリと呼ばれる特徴的な大型ナイフを手に戦う近距離ファイター。
 しかし実は神秘適性の方が高く、精霊や妖精の類を使役する魔術に長けています。強力な範囲攻撃と共にBSも付与してくる、非常に厄介な相手です。

・コルボ
 大鴉盗賊団を取りまとめる頭領がひとり。紫のルージュとネイルがチャームポイントです。
 何もかもを手に入れたい強欲な男で、イレギュラーズたちもライバルになりうる存在としてこの場で戦うと決めたようです。割とお喋り好きです。
 主に格闘術で迫る、非常に強力な近接ファイターです。他の能力も抜きんでており、特に頑強さは特筆されるべき点でしょう。その体勢を崩すことは至難の業です。
 強烈な打撃を繰り広げる他、筋肉を一時的に活性化させることで一時的に機動力を上げる等のバフ効果が確認されています。

・大鴉盗賊団員×5
 コルボとキドー率いる盗賊団員。ブルーブラッドで構成されており、短剣で戦います。不意打ちを受けません。
 団員などの身内には非常に気さくな男たちですが、それ以外には残忍な面もあります。たまにラサで聞く大鴉盗賊団の残虐な事件には8割がた関わっていると言って良いでしょう。
 上記2名に比べたら戦力はいうも及ばずですが、十分に強いと言える部類です。目が良く、攻撃を当てるということに長けています。
 彼らはイレギュラーズと戦う他、奥の通路へ向かおうとすると阻止してこようとします。後者を優先します。

●ご挨拶
 愁です。4月ですね!
 このままだとコルボとキドーがラサの覇者となり、やがて他国へも侵略を始めてしまうでしょう。そういう世界線もいいな……。
 当シナリオのリプレイ公開は未定です。エイプリルフールですから!

  • Turquoise.完了
  • GM名
  • 種別SS
  • 納品日2022年04月01日
  • ・キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244
    ・コルボ(p3n000204

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