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友月の夜
友月の夜
登場人物一覧
名前:ヴェルグリーズ
一人称:俺
二人称:キミ、~殿
口調:だね、だよ、かい?
特徴:暁月の友人。とても優しい雰囲気を持つ青年。
設定:
「やあ、ヴェルグリーズ。遊びに来てくれたのかい?」
夕食も終わり、夜も更けた時間。酒瓶を手にヴェルグリーズは暁月の元を訪れた。
「たまにはゆっくりお酒でもどうかなって」
「ふふ、いいじゃないか。あまりゆっくりする時間も無かったしね」
この所の忙しさや激動は本当に目まぐるしいもので、一息吐ける暇もなかった程。
国家の危機を乗り越えた先に、まさかドラゴンが攻めてくるなんて夢にも思って居なかった。
「廻殿はもう大丈夫かな」
「ああ、怪我は心配無いよ。少し落ち込んでいるようだけど」
酒瓶から杯へ注がれる日本酒に視線を落す暁月。
「ありがとうね。気を遣わせて。君には感謝しているんだ。何かと気に掛けてくれるだろう?」
「当たり前じゃないか、友達だろう」
「ふふ……当たり前か。君達ローレットのイレギュラーズは本当にお人好しだね。そんな所に随分と救われているよ」
誰もが暁月の傍に寄り添い手を差し伸べてくれる。
背負うものの重さを他人が理解出来るなんて、そんな幻想を抱いているわけではないけれど。
こうして声を掛けてくれるという事実が暁月にとって心安らぐものとなっている。
寸前の所で踏みとどまる事が出来る。
まだ、堕ちていないと実感出来る。
「もしさ、私が……いや、この話は止めよう。こんなに平和な夜なんだから辛気くさい話しは無し無し」
「そうだね。今日は色んな事を忘れて飲もうか。そんな日があっても良いと思う」
「ああ」
杯を掲げ夜の月明かりに平穏を享受する。
眼は曇り苦しみに嘆く時があろうとも。
この時だけは、友と一緒に過ごす幸せに酔いしれるのだ。