SS詳細
faro
登場人物一覧
設定:
海へ出ると言うことはその恵みを享受するとともに危険な行為であるとされており、無事に戻って来られるよう願掛けするためのもの。基本的には村に残る家族から、海へ出る者へ。家族がいなければ親しい者が手作りし、贈るものであるとされている。
戻ってきてほしい場所で拾った貝殻。
贈る相手の目と同じ色の紐。
淡光草という海藻の繊維。
必要なものは上記だけ。貝殻に穴を開け、海藻の繊維を紐と合わせて撚って通し、結んで輪にする。紐の長さを調節してブレスレットにしたり、ネックレスにしたりと身に着けられるようにするのが主流である。
尚、淡光草は比較的採取しやすく、蓄光機能のある海藻の一種である。食べるには工夫が必要であるために廃棄されることが多い。
アイラはブルーノからお守りを貰った――が、貝殻こそ薄い水色に染まった美しいそれであったものの、紐の長さを考えていなかったらしい。ダイクロックアイを思わせる2種の色で撚られた紐がブレスレットにしては長く、ネックレスにするには短く……といった有様であった。結果的には長さを調整し、ブレスレットにした。
そもそも年頃の娘に与える品か? と問われたなら否であるが、同じ海に出る者として安全な旅路となるよう祈りたかったのだろう。
ブルーノからお守りを貰った後、アイラも作り方を教えて貰って――当然紐の長さについては彼を反面教師として――彼へ贈った。これは彼とアイラが別行動している間に紛失している。
作戦中に誤って海へ転落したブルーノがお守りを手放し、沈んだ方向と逆に泳いだことで海上まで辿り着いたのだそう。
次はきっと、貴女を彼の想いが助けてくれるのだろう。
おまけSS『faro(特殊化用簡略案)』
海へ出る親しい人へ、無事の帰還を願って手作りされるお守り。持ち主の瞳を思わせる色の撚り紐は、暗い所で淡く微かに光ります。
父と呼んだ人が願った想いは、今もここに。