SS詳細
海兵、ブルーノ
登場人物一覧
名前:ブルーノ・デュース・ナディア
一人称:俺
二人称:お前、嬢ちゃん
口調:~だな、~だろ?
特徴:筋肉質、豪快、癖毛
設定:
海洋王国、デュース村から出てきた海の男。カニの海種である。
村のあった島では名前のみがつけられ、ミドルネームには村の名前を、姓にあたる部分には異性の親の名前があてられていた。つまり、『デュース村のナディアを母に持つブルーノ』という意味になる。
彼にはアイラと同じ年ごろの一人娘がおり、妻はとっくに他界している。娘も海へ出てばかりの父に似たのか、島を出ているらしい。
家族をあまり顧みる事ができなかったことは本人も罪悪感を抱いており、故に殊更アイラを可愛がったとも言える。
快活にして豪快、情に厚い男であったと同僚たちは口にする。
海洋大号令の折、軍兵だったブルーノは同僚たちと共に作戦へと参加した。これは義務に近い部分もあったが、彼の知る限りは皆率先して名乗り上げていたという。
踏破不可能とされた絶望の青に、イレギュラーズたちと乗り込んでいく。奇跡をつかみ取る彼らと共に行ったならば、先の世界をすることができるかもしれないと。
しかし、勇者とも言われる彼らの中に
船の上で一緒になれば沢山の事を話し、聞かされ。それはブルーノが廃滅病に罹患しても変わる事はなかった。彼が変わらず笑ってくれるから、アイラも変わらずにいた。
――その後、コフィン・ゲージに憑かれたブルーノは変異種となり、アイラを含むイレギュラーズたちによって討伐された。その遺体は現在、静寂の青の海底で眠っている。
おまけSS『いちどだけのおねがい』
「ブルーノさん」
「ん? なんだい、嬢ちゃん」
それは航海も順調な――絶望の青では珍しい――時のことだった。椅子なんて洒落たものは外に置けないから、積んである木箱にそれぞれ腰かけて、作戦海域に到達する前までの短い時間、他愛もない話をする。
アイラはイレギュラーズであるから、仲間たちとの作戦会議も別途必要であったが、その合間を縫って作った時間だった。
普段はブルーノの話すことに良い反応をくれる彼女だが、今はどうにもそわそわと落ち着かない。
「その、ええっと……一つだけ、今だけのワガママを言ってもいいですか?」
「んお?」
目を丸くすれば、代わりにアイラの眉尻が下がる。いや、別に起こっているわけでも不機嫌なわけでもない。続きを促せば、一回だけ父と呼んでみたいというもので。
「ブルーノさんみたいな人だったら、いいなって思ったんです」
「おいおい、娘に愛想尽かされたっていったろ」
こそばゆい。けれどアイラが呼びたいのであれば、ブルーノに否やはない。娘のように思って、構っているのだから。
「それじゃあ……ええと、照れますね」
了承を得たアイラは、小さく笑って。
「おとうさん」
「なんだい、アイラ」
「……ふふ。なんでもない、です!」