シナリオ詳細
塊!鉄人塾
オープニング
●鉄人ってなあに?
覇竜領域デザストルには木人と呼ばれるモンスターがいる。
植物系のモンスターなのだが、地面から生えて出来の悪い人型に成長する。
そして、独自の武術を会得して何処かへ旅立つ。
まあ……そんな感じの意味の分からない生態のモンスターである。
その際であるが、必ず先に育った「師範代級」と呼ばれる個体が居て、他の木人に武術を教えている姿が見受けられる。
この師範代級は更に成長に「師範級」になると何処かに旅立っていくのだが……その際には他の師範代級が育っていると。まあ、こんな感じの構図なわけである。
放っておくと武術を身に着けたモンスターが覇竜のあちこちに放たれてしまうので、定期的に間引く必要があるのだが……以前『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)『鉄心竜』黒鉄・奏音 (p3n000248)は、これの近似種と呼ばれるものに出会った。
それが鉄人である。
どうやら木人の仲間ではない鉄人は、基本スペックでは木人を上回っているようだが……今のところ、鉄人を生み出す鉄人道場のようなものは確認されていない。
かの前人未到の森を踏破してなお、底知れぬ場所が多い覇竜領域デザストル。
しかし、その覇竜を覆っていた1つの騒動が解決した今、何かが起こっても不思議はない……!
●鉄人塾だ!
「奏音さん、鉄人道場か鉄人四天王を探してみましょうか……!」
「ぽいのは見つけたよ!」
「ええ、見つけたんですか⁉」
打てば響く、とはこのことだろうか。
ユーフォニーが探そうと思ったものがちょうど見つかっているが、これも覇竜の騒動の余波であるのかもしれない。
しかし、ここでユーフォニーは「ん?」と思う。
今、奏音は「ぽいもの」と言った。
「見つけた」と「ぽいものを見つけた」では、ドラネコと猫くらいには違いがある。
はたしてどんな意味なのか?
「えーと……ちなみにどんなのですか?」
「なんかねー。鉄人が数人特訓してた」
「そのものズバリですね……!」
「でもそこで増えてる感じは無かったかなー」
つまり、集まってきた鉄人たちはそこに仮拠点のようなものを作っているということだろうか?
鉄帝に起こっていた異変を感じ、集まることで防衛力の強化を図ったのかもしれないが……せっかくなのでそのまま修行しているのかもしれない。
しかし、しかしだ。鉄人みたいな個体として強いものが集まって、ましてや増えられたりしたら迷惑千万なのは間違いない。つまり、見つけた以上は倒さなければならないのだが……・
「修行にはいいけど、ボクたち2人でやるのは難しそうだよね」
「それはそうですね……」
そう、木人道場ですら仲間を集めて突っ込む必要なある程度には大変なのだ。
その上位個体とも言える鉄人が集まっているともなれば、頼りになる仲間がいなければ難しいだろう……!
「よし、そうと決まればその辺にいる皆さんに声をかけましょう♪」
「そうだね! みんなー! 集まれー! 修行の時間だよー!」
鉄人塾への殴り込み。確かにそれは凄い修行になるのは間違いないだろう……!
- 塊!鉄人塾完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年08月08日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●なぐりこめ!
「鉄人……なあ。木人なら知ってるけどそれを鉄にしたようなやつまでいるのか、覇竜には?」
『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)は、思わずそう呟いてしまう。
実際、エーレンの呟きはひどく妥当なものだろう。
「そいつらが増えるに任せてたら迷惑どころの話ではないからそりゃあ討伐せねばならんが……相変わらず何でもありだなこの国」
「鉄人と聞いて、こう、リモコンで動く系のロボットをつい思い描いてしまったのですが修行用の打ち込み人形みたいなあのモンスターの鉄製版のようなものでしたか」
「木人、鉄人、何だか練達の古いカンフー映画のタイトルにでもなりそうですね。修行中? のようですから、此処は……アウトレンジ攻撃から初めましょう!」
エーレン、そして『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)と『夜を裂く星』橋場・ステラ(p3p008617)が、そんなことを言い合う。
「……不慣れな方が叩いたら怪我してしまうのではないですかね? まあ、より強度の高い(素材的な意味で)修行をされてしまうと困ってしまいますから倒す事には異論ありませんが」
そう、瑠璃の言う通り鉄人が更に強くなってしまえば非常に困る……かもしれない。ここで一発叩いて間引いておくのは良いことなのだ。
「以前に鉄人師範と遭遇した時のことはまだ覚えているが今度は、他の鉄人まで現れたのか……何というか、着実に数が増えていってないか?」
『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)も、そう首を傾げる。
「仮拠点で増えてる感じは無い。という事は、どこか別の場所に巣があるのかね?」
汰磨羈の言う通りかもしれないし、そうではないかもしれない。比較的生態が分かっている木人と比べると、近似種であると思われる鉄人の生態は謎だ。今回「道場」が見つかったことも、かなりレアな事例なのだ。
しかしまあ……何処かからやってきたのは確かであるのかもしれない。その辺りは、今のところは予想するしかない。
「どちらにせよ……今回は修行、頑張る……鉄人相手に戦えばいいんだね」
「そうなるな」
「放置すると増えちゃうなら、しっかり倒しに行くよ。よろしくおねがいします、みゃー!」
『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)がそう気合を入れれば『大艦巨砲なピーターパン』メイ・ノファーマ(p3p009486)も「修行だー!」と叫ぶ。
「修行だ! 修行だ! 修行だ! 修行だ! がんばるぞー! そういえば……どーじょーやぶりって、扉を蹴り開けてから「たのもー!」って叫ぶのがお約束なんだっけ?」
「じゃあ扉を作らなきゃね!」
「作らなくていいぞ」
盛り上がるメイと『鉄心竜』黒鉄・奏音(p3n000248)に汰磨羈がツッコミを入れる。
「鉄人の道場であるか。木人と比べて数が少ないせいか道場を開いているとは初耳であるが面白い! その鉄の拳が如何程のものであるか吾輩の強靭な鱗で確認して進ぜようではないか、ガーハッハッハ!」
『ノットプリズン』炎 練倒(p3p010353)もやる気は満々だ。
そう、これからやるのは道場破りだ。
「夏真っ盛りのこんな時期ですが。暑さにバテず、めげずに修行、頑張りましょう……!」
『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)も言いながら、凍らせたスポーツドリンクを取り出す。
人数分用意されたそれは熱中症対策にユーフォニーが持ってきたものだ。
この暑い夏、そうしたユーフォニーの心遣いは中々に染みるものだ。
そうして突入前の休憩をしながら、ユーフォニーはドラネコのリーちゃんを召喚し五感共有して先に鉄人道場を偵察してもらっていた。道場の地形や鉄人たちの位置取りを把握して、共有しようというのだ。
祝音もユーフォニーと同じように鳥のファミリアーを飛ばし五感共有して偵察していた。
「このまま鉄人達の修行風景を眺め……もとい様子を偵察するよ。鉄人達の様子や位置等は皆に伝えるね」
ちなみに祝音の五感共有して見える光景は、鉄人師範代が技を示し鉄人たちがそれを真似ていく、意外としっかりした稽古の風景であった。まあ、そのまま放っておけば鉄人たちが師範代や師範になってしまうので放っておけないことに変わりはないのだが。
そしてユーフォニーは勇気を灯す色も予め自分に付与しておき戦闘準備はバッチリだ。
「最初から有利にいきたいですからね。しっかり準備して行きましょう……!」
そうしてしっかり準備が終われば……いよいよ、殴り込みである……!
●道場破りだ!
「頼もうである」
練倒が、真正面から名乗り口上をあげる。いきなりの奇襲であるが、そんな名乗り口上に鉄人たちがザッと振り向く。
「モンスターが相手とは言えやはり道場破りと言えば正面から乗り込むのが作法であろうがこの覇龍領域に生きる以上、奇襲の一つや二つ位で文句を言っていたのではとても生きていけないのである」
今日の練倒の役目は師範代を除く鉄人の抑えだ。だからこそ名乗り口上に竜核活性・竜気を合わせることで狙われやすくしているのだ。凄そうなオーラも出ているし、鉄人たちもその気になっている……ように見える。
「さぁ! その鉄の拳が飾りでないことを証明して見せるである。だが吾輩の竜核活性・飛竜鱗を簡単に抜けるとは思えないであるがな」
そしてその練倒に合わせ、汰磨羈とステラも動き出す。
「行くぞ、ステラ! 殲光砲魔神師弟砲ツープラトンだッ!!」
「はい、師匠! 一網打尽です!」
鉄人は通常の鉄人が7体、そして師範代が1体。練倒が引き付けた鉄人たちを横合いから撃ち貫く形で、ステラと共に殲光砲魔神を発射しようというのだ。
そうして放たれた2つの殲光砲魔神が炸裂して、当たり所の特に悪かった1体が消滅する。
「よし! まずは数的有利を取る。集団戦のセオリーだな!」
「まずはノーマル鉄人を手早く撃滅してしまいましょう!」
汰磨羈とステラで連携した十字砲火による確実な撃破も意識していくつもりの汰磨羈だが……。
「手数の私に火力のステラ。私達が合わされば――無敵だ!」
「手数には自信はありませんが、その分、一撃の威力には多少の自信があります。師匠との連携があれば、物の数ではありませんとも!」
「ところでステラ。御主、見ない間にまた火力が上がってないか? 9000越えってどういうコト?」
「……はい? 火力、ですか? えぇ、頑張りました!」
曇りなき笑顔のステラと宇宙ねこ顔の汰磨羈だが、今日のステラの殲光砲魔神は威力9037。なんかもう凄い火力としか言いようがない。
「たのもー……みゃ!」
祝音もそう叫びながら鉄人に糸切傀儡を発動させていく。
全部同じに見えるので見分けなどつくはずもないが、範囲攻撃の修行……もとい数を減らしていこうというわけである。
「糸よ、敵だけ……鉄人だけ切り裂け!」
鉄人はその見た目通り防御力がかなり高い……それをメイもしっかりと感じ取っていた。
「ボクには射撃スキルしかないからねー。やれることをやっていくよ!」
ハイパーマニピュレートを発動させたメイが放つのはケイオスタイド。
まずは仲間のサポートから始めていこうというわけだが、この後どうやっていくかの戦術もメイの中ではすでに組み立てが済んでいる。
(かたくてあまりダメージを与えられなかったら、破式魔砲を使ったほうがいいね。これも修行と考えてやっていくぞー!)
そう、これも修行だ。メイに合わせて奏音も突っ込んでいくが、そうした連携も実地でやってこそ磨かれるというものだ。
そんな中を、瑠璃も前衛より少し後ろの位置で敵を見渡すように立っていた。
「露天道場、というのも風情があっていいですね。頂戴する看板の無いのが残念ですけれども……それでは、一手御指南頂きましょうか」
敵の配置は、すでに確認している。ダメージ状況も一目瞭然。
今放つべきはジャミル・タクティール。判断すると同時に放つ瑠璃の動きには、一切の無駄がない。
「忍者刀の間合いはそう広くはありませんが……この練達製の単分子ワイヤーを仕込んだ一振り、そう躱せるものではありませんよ」
瑠璃が狙うは末端や関節部。練倒が引き付けているからこそ、瑠璃としても仕事がしやすい状況が作られていた。
(練倒さんが前衛で名乗り口上して下さっているので攻撃される事はあまりないでしょうが、気を付けなければいけませんね)
万が一攻撃されても反撃の準備は出来ている。それもまた「修行」であるのだろうと瑠璃は思う。眩しくて暑苦しい、この夏の日差しのような……そんな修行だ。
(こうした日々の積み重ねが、自身の性能を少しづつ挙げていくのでしょう)
「たのもー! です! 鉄人のみなさん、お手合わせ願います……!」
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。道場破りに来たぞ。覚悟してもらおう、これも修行だ」
ユーフォニーとエーレンも、乱戦の中で正々堂々と名乗りを上げていく。
ユーフォニーと連鎖行動をするように、そして手番はエーレンが先に。叩き込むのは鳴神抜刀流・衰滅之手引『散華』だ。
師範代は当然効果範囲に巻き込むとして、それ以外の鉄人もできるだけ多く巻き込むようにして放った一撃は、哲人たちの弱体化を狙ったものだ。
そしてユーフォニーは彩波揺籃の万華鏡を攻撃集中し展開していく。ちなみにエーレンが先である理由は「かっこよく初撃の範囲攻撃を決めて貰って、兄貴分を立てるんです!」であるらしい。エーレンとしてもその期待通りに兄貴分としての面目は建てた一撃だっただろう。ユーフォニーも妹分としては兄貴分をサポートする良い一撃だった。
そんな様々な人間関係が見える中で、祝音は「黒鉄さんも修行、楽しめてるかな。良い修行になってるといいな」などと思うが……奏音はいつも通りなので、楽しめているようだ。
そうして最後に残るは鉄人師範代。祝音の神滅のレイ=レメナーが切り裂くべく放たれて。
「神滅の魔剣……師範代を切り裂け!みゃー!」
汰磨羈とステラが、挟撃の形で仕掛けていく。
「いくぞ、ステラ!」
「はい、師匠!」
そして、更にエーレンとユーフォニーが仕掛ける。まずはエーレンの鳴神抜刀流・太刀之事始『一閃』。
「本気で修行しに来たんです。出せる最大威力は惜しみませんっ! 師範代さん……お覚悟を!」
ユーフォニーの彩波揺籃の万華鏡が、鉄人師範代にトドメを刺して。
「うむ、見事に決まったであるな! 勝利である!」
練倒の声が、戦闘終了の合図になった。周囲にはもう鉄人はいないように見えるが……念の為瑠璃は、しっかりと周囲を見回す。
「残した弟子の類はいないようですね。となれば……最後は道場の後片付けですね」
鉄人の残骸はあるので、その辺をどかしておかなければならないだろう。
だがまあ、大した手間でもない。
「うむ、いい修業になったな。なあ、ステラ?」
「師匠の戦いを改めて近くで見られましたし、楽しかったです!」
汰磨羈とステラも頷きあうが、どうやら互いに良い刺激になったようだ。
そう、つまり良い修行が出来たということ。だからこそ祝音も修行を締めるべく声を上げる。
「本当にありがとうございました。みゃー!」
「ありがとうございました!」
そう言ってメイと共に礼をすれば、完璧だ。
「ところで……お腹空いてない? 修行後にはお腹空くかなって思って、お弁当作ってきたんだけど…みゃー」
「あっ! 来探くんがお弁当作ってきてくれたの! わーい!」
おいしい! と食べるメイにニコニコしながら、祝音は空を見上げる。
「木人がいて、鉄人がいて……覇竜って不思議だね。石や金銀のもいるのかな、ちょっと見てみたいかも……?」
石人に金人、銀人。いるかもしれないし、いないかもしれない。可能性は無限大だ。
「いい汗かいたらしっかり水分補給ですね。奏音さんもどうぞ♪」
ユーフォニーもスポーツドリンクを配り始めるが、これもまた修行の後の醍醐味と言えるだろう。
エーレンも一口含んで、意外にも乾いていたことに気付く。
しっかりと終えた修行と、癒されていく喉の渇き。これは、きっと良い修行が出来た証であるのだろう。
「さあ、修行も終えて飯も食って喉も潤した! では帰るとするか!」
そんな汰磨羈の言葉に全員が頷き、片づけを終えた鉄人道場跡を後にする。
今日の修行の成果は一体どうだったのか?
「パワーイズインテリジェンス! 圧倒的なインテリジェンスが今日の修行を経てまた1つ高みに登ったのである!」
そういうことらしい。今日の修行の成果は、そうやって全員をまた1つ高みへと押し上げた。
ならば……文字通りの成功であるのだろう……!
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
ご参加ありがとうございました!
GMコメント
というわけで鉄人塾に殴り込みをかけましょう。
鉄人塾はフリアノン付近の岩山の中腹の広場にあるみたいです。
難しいことは考えないで、修行とか道場破りする気持ちでプレイングをかけると素敵だと思います。
なお、奏音が同行しています。
●鉄人師範代×1
ちょっと強い鉄人。
破壊力重視の「鉄塊拳」と近距離範囲攻撃の「鉄塊回転脚」を使用します。
●鉄人×7
出来の悪い人型みたいなモンスター。顔とかは無いので識別がつきにくいです。
破壊力重視の「鉄塊拳」を使用します。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
Tweet