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シナリオ詳細

<孤樹の微睡み>邪道! ポテサラに〇〇〇を入れる奴!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 波の音が聞こえる。
 先程まで深緑に現れた『神の国』、その外縁部に到達していたイレギュラーズの眼前に現れたのは、疑いようもなく波の打ち寄せる音と潮風だった。驚くなかれ、『音』と『潮風』は聞こえるのに、広がっているのは紛れもなく深緑の環境なのだ。
 愕然とした表情を見せた彼等の前に、遠くから草葉をサーフボードでかきわけてくる影があった。ひときわ大きくジャンプしたそれは、一同の前に着地する。
「Hey! ユー達がローレット・イレギュラーズか! 我々の計画を邪魔する不届き者ども!」
 アロハシャツに海水浴用のハーフパンツ、額にかけたグラサン。まあどうあっても海の男的演出がひどいそいつは、何かにかぶれた口調で牽制してきた。「そして……」と言葉を切った彼の手に載せられたのは、なんとも平凡な……そう、平々凡々な「ポテトサラダ」だった。
「こんな田舎じみた古いポテサラで満足しているイモ野郎達の知り合いなんだろう? ハッ(微苦笑)、本当にお笑い種だぜ!」
「……あ゛?」
 この挑発に真っ先に反応したのは、誰でもなく『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)だった。顔に青筋が浮かび、放散される怒気は常のものよりいや増して感じられた。
「こんな山の物しか感じられない、古いポテサラはクズだね! 我々の正しい歴史としてはこんな古いものを有り難がるのは何ら問題ないが、ミーが統べるガデス・ワールド(神の国)ではそうはいかない。啓蒙してやろうというんだよ! Come On!!」
「言いたい事色々あるけど名乗れゆ。Come Onじゃねーんだゆ」
 人の話を聞かない遂行者の呼びかけに応じ現れたのは、水の爆ぜる音と楕円形の……そして平行四辺形めいた……ピンクの物体だった。海から? 海から。
「明太子と……スライスサーモン? まさか、馬鹿やってんじゃねえゆ! それはいかんゆ!」
「Combine(合☆体)!!」
 パパスの制止虚しく、サーモンと明太子は細かくなって適量がポテサラに投入された。因みに、そういうポテサラはなくもないし一部では好評だが、わざわざ深緑で出す意味はない。
「これぞ完全究極ポテサラ! このワールドイーター『ATSF(オールタイム・シーフード)』の前に、『海鮮なき料理』の概念をン消滅させるッ!」
「断末魔はそれで終わりかゆ? 貴様ら全員ギョニソにすゆ。後生の情けだからとっとと名乗るがいいゆ」
「ンん~せっかち! だが名乗ろう、ミーは遂行者『浜海家衛門(はまうみかえもん)』! 深緑クソ喰らえの遂行者さぁ!」
 そういう系ポテサラが無いとは言わないがベーシックタイプを冒涜したことは万死に値すると思った。パパスは。
 こんな海山戦争に巻き込まれたイレギュラーズは、この馬鹿ども全員殴って終わらせておこうと強く思った。

GMコメント

 この遂行者は……なんでもシーフードミックス入れてエンゲル係数を上げてしまいがちなGM自身へのアンチテーゼ……!

●成功条件
・敵戦力の殲滅
・なんか出来上がってるものはちゃんと食べて帰る

●遂行者『浜海家衛門』
 めっちゃ再現性米国かぶれみたいな口調なのに日本風の名前。そして海が好き。シーフードも好き。そのためポテトサラダにも容赦なくシーフード派。
 彼個人の能力も遂行者なりに高めで、EXAとCTが気持ち高め。
また、言葉には洗脳効果を持ち、対象の「海洋名声/2」分だけ戦闘で優位になって襲ってくる。正確な計算式は不明ながらも面倒なやつ。
・磯臭さ(神秘、自分を中心に2レンジ全周、【毒系列】【足止系列】)
・浜焼き(物中単、【ブレイク】【火炎系列】)
・串突き(物近範、大威力)
 などを用いる。

●ワールドイーター『ATSF』×10
 OPの通り、何故か海じみた音とともに現れた切り身とかの店舗用加工が済まされた魚の形をしたワールドイーター。これでも役割は間違っておらず、「海鮮を摂らない文化」を食い荒らそうとしている。
 何故か回復ができ、何故か苛烈な攻撃もしてくる。
 基本的には中~遠距離からガンガンに神秘射撃系(混乱系列など)を叩き込んでくる。ワールドイーターだけあってHPそれなり以上にある。長期戦も考慮しよう。

●パパス
 友軍。釘バットで猛然と殴り掛かりにいく。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <孤樹の微睡み>邪道! ポテサラに〇〇〇を入れる奴!完了
  • 本作中の主張はGM個人の主張を裏付けるものではありません。ないってば。
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年08月19日 23時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ニャンタル・ポルタ(p3p010190)
ナチュラルボーン食いしん坊!
刻見 雲雀(p3p010272)
最果てに至る邪眼

サポートNPC一覧(1人)

パパス・デ・エンサルーダ(p3n000172)
ポテサラハーモニア

リプレイ


「え? ポテサラに海鮮? 普通にうまそーだと思うんだけどダメなのか?」
(ポテトサラダにサーモンと明太子……普通に悪くないと思うんだけど……)
「違(ち)っげえゆ。旨いのは旨いかもしれんけど、工夫もなしにただぶっ込んだだけの海鮮ポテサラは海鮮に味が乗っ取られてポテサラみがボヤけんだゆ。そんな雑な料理をポテサラとは呼べんゆ」
 『生イカが好き』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)は生粋の海洋生まれの海種だけあり、それなり以上に海鮮に――特にイカとか小魚類に――一家言あるタイプだ。ポテサラに入れても普通に美味しいのでは? と思うのは当たり前だが、なぜだか『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)がキレ散らかしているのが理解できなかった。それは『最果てに至る邪眼』刻見 雲雀(p3p010272)も同じらしいが、パパスがキレ始めるのを避けるために敢えて口を開いていない。賢明な判断である。だからこそ反論を聞いて「ああ~」みたいなリアクションが取れた訳だ。
「ニルはかなしいのがきらいです。戦わずにすむなら、それが一番いいと思います。山のポテサラも、海のポテサラも、ポテサラ同士仲良くできたらいいのに……って、思うのです」
 『おいしいで満たされて』ニル(p3p009185)のどことなく懇願するような顔に、遂行者・浜海家衛門は一瞬のたじろぎを見せつつも胸を張って「全てミーに任せればエブリデイハッピー!」と強弁して聞かない。全く人の話を聞き入れる様子がない。ニルは更にかなしい気持ちになった。ニルの言う「おいしい」は相互理解が成り立たなければそもそもたどり着けない境地なのである。
「いきなり喧嘩を吹っ掛けるのは止めろよ!? ていうか何だお前ポテサラのみならず海洋にも喧嘩売ってるのか? お前の服が俺の今年の水着と被ってるのも凄く腹立つんだが???」
「ンん~~~~最後は完全に八つ当たり!」
「イズマおまえ、格好について責めるのは完全にライン超えゆ。ごめんなさいすゆ」
 『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)はなんやかんやイレギュラーズに喧嘩ふっかけてきた遂行者の姿が許せなかった。当たり前の話であるが、横暴は許されないと思った。だが後半、容姿に対しては完全に受忍限度を超えているのでパパスも止めた。え、迂遠な殺害予告はよくてそれはだめなんだ……って皆が思ったけど、流石に触れたくなくて辞めた。
「ぉおん? 基本のポテサラをバカにしとるお前さんをポテサラにしてやろうか?」
「僕はずっと同じ様な食べ物じゃ美味しくてもいつか飽きちゃうし、冒険者だからね。色々な場所に行って色々な味を、料理を楽しみたいのさ! そんな僕の好みも否定させない、よって君の様な遂行者は認められない――!」
 『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)は基本的なポテサラの全否定をカマした遂行者にキレ散らかした。というかそれも半ばポーズみたいなもんで、本音は全部食わせろって感じである。優劣をつけるのではなく同列であるべきだと言っている。なおパパスはその影で胸に手を当てて呻いた。『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)は冒険者という立場上、どれか一つに固執すべきではないというスタンスだ。まあ、飽きは冒険では一番強力なノイズだしそうだろうな。パパスが苦しんでるけど。
「確かに海は良い。俺の好む和食は海の幸の出汁という『土台』があってのものだ」
「フフ、ザッツライ! 海は全てを内包するのだから山や森など及ぶべくも――」
「だが……なればこそ俺はお前を止めねばならん! 海は山を否定しない! するわけがない! 海がそんな狭量であるわけがない! 故に海から現れた貴様に新緑を焼かせるわけにはいかんのだ!」
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)、咆えたッ!
 海というものの偉大さ、大きさを存分に理解した上で、その権威を笠に着て自分が偉大であるかのような口ぶりは許せない! 海は包み込むものであり吐き出してくるものではない、それが彼の心情なのである!
「海鮮ポテサラ大いに結構。ポテサラに枠などありませんからね。……ですが、本当にソレが『完全究極ポテサラ』ですか?」
「なんだァ? てめェ……」
 眼鏡をクイッてさせて挑発(とすら認識してないだろう問いかけ)を仕掛けた『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)に、遂行者は僅かに眉をひくつかせた。寛治はまぁ、アレだ。再現性東京とか元の世界の絡みで食に関しては味わう側として舌が滅茶苦茶に肥えているのだ。そんな彼の前で『完全究極』などという大看板を掲げた遂行者がだいたい悪い。
「まあ……海鮮はおいしいと思うよ? うん。でも毎日海鮮系は流石に飽きるかな……」
「オイラは毎日エビとイワシとブリでも大丈夫だぜ!」
「イワシは避けた方がいいと思うのじゃ。よく分からんが直感がそう言うておる」
 雲雀の、今まで周囲が言わないでおこうと口をつぐんでいた事実を直球でぶん投げた行為に数名がびくりと反応する。もうちょっと回り道をしてほしかった。だが空気が読めていない(褒め言葉)ワモンは海種だけあって見事な緩衝材ぶりだ。……ポルタのツッコミは適切だったと思う。
「悪いけど、治療とか後回しにしてあのバカぶん殴ゆ。各自よきに計らうゆ。本当に危ない時はわたちもなんとかすゆ」
(同じ深緑での依頼なのに、このテンションの落差はなんなんだろうな……そろそろどっちが素なのかわかんなくなってきたな……)
 なお、イズマはガチで釘棍棒(クギバ)を手に殴りかかる気のパパスの姿に、明白な困惑を示していた。こういう時、細かいことを考えたやつから沈んでいく。古文書にもそう書かれているのだ。
「で? あの終焉獣って倒したら消えるんじゃないかの? 残るのか?」
「料理作るくらいなんだし、終焉獣は消えるかもしれないけど料理は残るんじゃない……?」
「かなしいを感じる状況なのに、ニルはとっても不思議に思いました」
 そう言えばそうだなって疑問を投げかけたポルタに、曖昧な返事で返すカイン、そして「不思議」で済ませるニル。大丈夫なのか、この状況……。


「さぁかかってこい、調理の準備はできているぞ!」
「ぶはははッ! いいねぇ、万全の準備ってやつだ!」
 イズマはいつの間にやら簡易キッチンを設け、今すぐにでも調理してやろうという意気込みだ。その意志につられてかATSFがゆるりと蠢き、彼の元へと向かおうとする。対して、ゴリョウは家兵衛を正面から見据え、その意志を縛り付けようと足を踏みしめた。ATSFは終焉獣のくせに数が矢鱈と多い。全てを射程に収めるのは難しいが、さりとて何もしないよりは効果がある筈だ。
「皆で色んなポテサラ食べたらいかんのかの? そんでもって! 皆の家庭の味も知りたい! ウチではこんなの入れるよ~とか、こんな作り方してるー、とかな! そんなポテサラ談義でキャッキャッウフフしたい!」
「ポルタさんがそんなにじゃがいもを用意したなら、海産物は急冷保存しないとね……?」
「ワールドイーターは消えてしまうから、その前に食べないといけない、のですね! 勿体ないのはいけないのです!」
 ポルタはポテサラ対決と聞いて(聞いて?)用意していた再現性北の大地のじゃがいもを取り出すと(なぜかふかしてあるが)今から作ろうという気概満点で周囲に話を振った。雲雀もそれに乗っかったか、近付いてきたATSFへと冷気を送り込むことで消滅前に凍らせられないか試している。主張の違うポテサラをいがみ合いながらではなく知恵を交換しつつ作ろうという姿勢、なんとも微笑ましい。
「出来上がったミンチはオイラが美味しくいただきますだぜー!」
「ミンチにしてもサラダにはできるから独り占めはダメだからね!? 食べ頃は僕が見極めるよ!」
 ワモンが得意のガトリング掃射で次々とATSFへ打撃を与える傍ら、カインはおのれの知識を総動員して食べ頃……じゃなかった敵の勢力を分析する。やはり終焉獣ということか、一筋縄ではいかない様子。それでもイレギュラーズの勢いを前に攻めあぐねているのも事実だった。だった、のだが。このノリと勢いだけで何とかなりそうな状況を前に、ATSFがいつまでも耐えられるとは思えない。
(長くコックとして料理してきた俺には分かる! 浜海家衛門は料理が出来るやつだと!)
(このニアオークパーソン、シェフのアトモスフィアを感じる……!)
 ゴリョウと家衛門は多大に攻撃を繰り出し、或いは捌きながらも薄々と何か共鳴じみたものを覚えていた。相手はできるやつだと、分かり合えるところがあるのではないか、と感じたのだ。
 だからだろうか。互いの得物を捌き、凌ぎ、打ち合う動きは舞踏めいていて、ただでさえ不利なハズのゴリョウは彼との戦闘にある種の喜びすらも感じ取れた。が、横合いからパパスのクギバが迫る――が。
「パパス! お主もコッチに協力してくれい!」
「今いいとこなんゆ! 自分たちでなんとかできんのかゆ?!」
「ニルは、パパス様が『悲しい』に自分から向かっていくのは、良くないと思います……」
「――チッ! 貸しにしとくゆ!」
 ポルタが引き止め、ニルの悲しそうな顔が決定打となってパパスはATSFと戦う面々の方へと向かっていく。何故かすでに出来上がっている数名のポテサラはさておき! 何故か消滅前に概念である海産物だけ残したATSFがいるのはさておき!!
「では……改めて貴方に問います。そのポテサラ、『完全究極』と名乗ってもよろしいのですね?」
「ぐっ……!? ウェイッ! ツーミニッツ(2分)!」
「2分も待ったら付与が2回位切れますねえ。戦闘どころではありませんが?」
 パパス(じゃまもの)が失せたことでゴリョウと家衛門とは分かり合う機会を得た。だが、遂行者だ。倒さねばならない。ならばどうすべきかという問に、寛治は圧迫面接(家衛門主観)を敢行する。戦闘どころか明らかに調理師が深緑を練り歩いている構図に、家衛門、ゴリョウ、そして寛治の間の空気が凍りついたが、その凍結の間にイレギュラーズ達はATSFを成敗し残滓として何故か手に入れた海産物と簡易キッチンを囲む形で彼らを待っていた。
「合意と見ていい……いいんだよなパパス!? なんだか依頼の趣旨が変わってないか?」
「いやでもここまでお膳立てして殴って倒しますっていったらスポンサーが黙ってないゆ」
「スポンサーがいるのか?! 成功したら魚もらえるのか?!」
 何故か審判員になったイズマがパパスに問うが、パパスはなんか「四枚目」をぶち抜いてそうな発言。それに即座に反応したワモンであったが、粗方片付いてお互いに「おらが家のポテサラ」を作り始めている一行はまあなんか遂行者を最終的に倒せればいいかなってノリだった。

 さあ――勝負(りょうり)の時間だ。


(奴はサーモンと明太子を『わざわざ』細かくして『適量』をポテサラに投入した! 丁寧な仕事してるのだ! ならば勝負に持ち込めば……!)
(ユーの手付きから感じる情熱……! ネームド・シェフであることは明確! 手を抜くのは無作法というもの……!)
(とりあえずありあわせでポテサラ作っておくゆ。海産物レスで)
(オイラは混ぜるのはなんだか悪いから添えるだけにしておくぜ!)
 ゴリョウと家衛門が激しい鍔迫り合いを進める中、何故かパパスとワモン、あとカインなどもポテサラを用意していた。それもこれもポルタが大量にふかしイモを持ってきたのが悪い。いいことなんだけど、悪い。
 そしてお出しされた二人の海鮮ポテサラは、なるほどちゃんと海鮮とポテサラのバランスを考えていると思われ、しかしゴリョウの方がひと手間かけて味わいを増していたのだ。
 さあ実食というところで、しかし寛治が全員を止めた。
「明太子を選んだ着想は良い。明太マヨにヒントを得たのだろうが、その先の試行錯誤が感じられない。魚卵には多くの種類があります。それらの組み合わせは試しましたか? 何よりサーモンスライス、生魚は時間が経つと具材から水分が出て、水っぽいポテサラになる……それを踏まえ、こちらをご賞味ください」
 彼が一同の前に差し出したのは、地元から引っ張ってきたシェフに助言を添えて作らせたポテサラだった。
 〆鯖の燻製で水分を抑えつつ香味を与え、削ったからすみによる塩味、食感、そして旨味の追加が効果的だ。さらに燻製の半熟卵、魚卵に卵を追加という贅沢な仕様……おわかりいただけるだろうか、〆鯖とカラスミ、そして燻製卵によるマリアージュを!
「再現性東京なら当たり前にできる工夫を、貴方はできていない。自分の仕事を過信し過ぎです。”自分はポテサラを理解っている”と考えた時点で、思考停止しているんですよ」
「ただ料理で人を幸せにして自らの好みを布教するだけなら、きっと応援すら出来ていた筈……それでも、誰かの好みを、好きな料理を否定する権利は誰にもないんだよ!」
「ニルは、おいしいがわからないけれど……どんなごはんだって、誰かがこころをこめて作ったもの。おいしく食べてほしいって思って作ったもの、でしょう? どんなごはんだって、悪く言うのは間違っていると思います!」
「……ところで海鮮ってさ、磯の香りを楽しむのも含めて海鮮だよね? なのにそれを『磯臭さ』として攻撃に転じるなんて、海鮮に対する愛が足りないんじゃないのかい? 何より……食事がある場に毒を撒くようなものを持ち込むんじゃないよ行儀が悪い!! そんな有様でベーシックなポテトサラダを侮辱しようだなんて百万年早いよ!!」
 寛治の圧倒的なポテサラプロデュース力と、状況を見守っていた一同のこれでもかという精神攻撃! 家衛門にとってこれはつらい!
「よし、じゃあ死ぬ準備はできたも同然ゆ」
 ハ ム る が よ い 。
 そういうわけでこの戦闘は決着を迎えました。あーあ。
「ふふ……子供の頃に食べた基本のポテサラの味はどうじゃ……エモく逝くが良い……」
 なんかいい話っぽくしてるけど直後にバクバクくってるポルタはなー! こいつ本当になー!
「彼の主張に問題はあっても、作り出された食べ物に罪は無いし、食べ物を無駄にするのは何よりの悪行だからね。美味しく頂く事こそが最大の報酬。そういう訳でいざ、いただきます―」
「んー、やっぱ海洋育ちにゃ海鮮がなじむぜー。明太のプチプチがいい仕事してるよなー。芋のホクホク感もいいし、海洋と深緑手を取り合っていけばもっといい感じになるってのを表してる気がするとオイラは思うんだぜー」
「パパスのために海鮮ポテサラをコロッケにしたけど、海鮮は本当にダメなのか?」
「原点にケチつけたのが最悪ゆ」
「……ところで山と海より、山と里の方が仲が悪いって本当ですか?」
「ニルさん、それは里が圧倒的に勝ってるので口にしない約束です」
「あ゛?」

成否

成功

MVP

新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ

状態異常

なし

あとがき

 地雷の上でタップダンスしようぜ! 俺は山派な!

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