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シナリオ詳細

<烈日の焦土>鉄の掟は幻に終わる

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<烈日の焦土>鉄の掟は幻に終わる
 鉄帝国南部区域。
 幻想王国との領土を分ける地域であり、今迄も諍いはあったものの、大きく事態は変化する事無く押し引きを繰り返している様な状況。
 しかし最近は。
『ヒヒヒ……さぁ、殺すぜぇ……!!』
 ニタリと笑みを浮かべながら、人の体長ほどの大きさをした巨大な剣を振り回す男。
 その武器や鎧には紋様が刻まれており……鉄帝国軍に所属する者であるのは解る。
 ただ、統率された者の筈なのに……その行動は、まるでならず者の如く酷いもの。
 両国の国境沿いの街を訪れた彼ら鉄帝の部隊は、まるで街に恨みでもあるかの如く……武器を建物に叩き落として破壊したり、家畜達を斬殺したり……と非道なる行いの限りを尽くしている。
 勿論その様な事をしている者達に、理性ありし幻想の人々が非難の声を上げる……だが。
『うるせえ、指図すんじゃねえ!! 幻想風情がよぉ!!』
 笑いながら、指図するモノを追い立てる鉄帝国の軍人達。
 いや、その軍勢の中にはどうやら鉄帝国の極々普通の村人達も混じっている様で……鍬等の農具を持った者達も居る。
 しかしながら、その者達も同様に軍人達と共に暴れ回るような状況。
 そんな彼らの暴虐に、幻想国の人々は非難はするものの……それに対抗出来る力は持たぬ彼らは一時的にも国境沿いから避難するしかなかった。


「皆様……どうやら『鉄帝国』にも、遂行者や致命者達の魔の手が伸び始めている様です……」
 天義首都において、不安そうに言葉を紡ぐのは『深緑の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)。
 鉄帝国に遂行者が迫る……今迄にない侵掠に疑問を抱く者もいるだろう。
 ただ今回の事態は、直接敵に行動を起こしているのが鉄帝国で活動を行っている『軍人』達であり、彼らが暴虐の手を下しているのが『幻想』の罪も無い人々である……という事の様で。
「今迄も、鉄帝国と幻想王国の国境線沿いでは諍いは絶えませんでした……最初は、私もその諍いの一つか……と思って居たのですが……どうやら、この後ろで『遂行者』が糸を引いて居る様なのです……街を襲う帝国軍の方達は、まるで人が変わってしまったかの様に正気を失い、幻想の街に襲撃を仕掛けています……更にその正気を失った帝国軍の中には、まるで何かに触れてしまったかの様に鉄帝国の農民等にもその影響が及んでいます……」
「彼らが正気を失ってしまった理由は判然としませんが……昨今の状況からすれば、ここに『遂行者』の影があると考えるのが自然でしょう……でも、この事態を放っておけば、罪のない幻想の人々を放っておく事にもなりかねません……」
「恐らく彼らは聖遺物を手にし、その影響により正気を失っているものと思われます……聖遺物が何かも解りませんが、皆様の力を貸して頂きたく……宜しくお願い致します……」
 そう、ルリアは深く頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 『遂行者』の影は、最早全世界に拡がってしまっている様です……。

 ●成功条件
  遂行者の影響による『鉄帝』と『幻想』の国境沿いの襲撃事件を防ぐ事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   幻想と鉄帝の国境沿いの、極々普通の街が今回の部隊です。
   鉄帝国の者達は狂気状態となっており、突然襲われた幻想側の街の人々は恐怖に戦き逃げ惑っている様な状態になっています。
   当然ながら鉄帝国側の軍勢は、一般人を殺そうと動き回っており、逃げている町の人を見つけ次第、直ぐに察知して攻撃してきます。
   皆様はそんな鉄帝国の者達の間に割り込むと共に、彼らを討伐する……という事になります。
   尚、彼らが正気を取り戻すには、彼らが持つ『聖遺物』を手放す、もしくは破壊する事が必要です。
   ただそれが『何か?』は、現時点では解っていませんので、それの探索という行動も必要になります。
   また、鉄帝国の軍人、村人以外にも、姿を隠して行動をするモノがいるかもしれませんので、そこもご注意下さい。

 ●討伐目標
 ・狂気状態に陥っている鉄帝国の軍人・村人達
   人々を殺すべく駆け巡っている者達です。
   軍人達は戦闘能力(攻撃力も防御力も)は高いのは勿論ですが、村人達も『狂気状態』に陥っており、攻撃力が引き揚げられています。
   ちなみに、軍人達の主たる武器は大剣、村人は鍬などの農具です。
   又、その数もかなり多く、ただ単純に討伐していくだけでは、いつしか数の暴力に押しきられてしまう可能性が高いです。
   それ故に正気を取り戻す方法を早めに見つける事が、事態打破の切っ掛けになるでしょう。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <烈日の焦土>鉄の掟は幻に終わる完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年08月11日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)
ロクデナシ車椅子探偵
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
ミヅハ・ソレイユ(p3p008648)
天下無双の狩人
えくれあ(p3p009062)
ふわふわ
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標
芳野 桜(p3p011041)
屍喰らい

リプレイ

●狂気の沙汰は
 鉄帝国南部区域。
 幻想王国と領土を分ける国の境界地域は、国同士の諍いが絶えない地。
 幾度か大きな諍いはありはしたものの、昨今においては大きな争いは鳴りを潜め、暫しの膠着の時。
 だが……そんな境界に、突如降りかかった争いの影。
 鉄帝国軍に属する者達が、突如その平穏を劈いて人々を殺して回り始めたという……そんな事件。
「ああ、嫌だねぇ……」
 どこか嫌世的に、肩を竦める『ロクデナシ車椅子探偵』シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)に、こくり、と怯えるような仕草を見せながら『ふわふわ』えくれあ(p3p009062)も。
「うん……みんなこわいよ……なんで、こんな事をするのかな……これを、みんな望んでしているわけじゃないんだよね?」
 と言葉を零す。
 そんな二人の言葉に『屍喰らい』芳野 桜(p3p011041)は。
「ふぅむ……確かにな。いつもならばこの様な事が無い筈だが、聖遺物の影響でこの様になっているのか」
 思慮する仕草を見せる桜に『竜の狩人』ミヅハ・ソレイユ(p3p008648)は。
「ああ……チッ。ここも遂行者の影響を受けてるって訳か。こうやって手当たり次第に問題起こされちゃあキリが無いぜ。早く大元を叩いて、一連の事件を解決させる必要があるな」
 舌打ちするミヅハに『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)は。
「そうですね。襲撃事件の被害を防ぎつつ、詳細が分からない聖遺物を破壊する必要が有るね。それに加えて、姿を隠して行動しているような、怪しい人物もいるかもしれない……なるほど、これはなかなかやることが多くて大変。だけど、きっちりこなしていきたいね!」
 あえて元気良く、皆を元気付けるように拳を振り上げると、えくれあと『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)も。
「うん。聖遺物って、『よくない』ものを、みんな手にしてるんだよね?」
「そういう事。まるで狂気を感染させるかの如く拡がっていく『聖遺物』、なんて嫌な物もあったものだね。そしてこれを放置していれば、どれだけ拡がるかも分かった物では無いし、放置は出来ないよ」
 ぐっと拳を握りしめるカインに、『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)も。
「そうだな……恐らくこの事件、今迄の事からすれば、遂行者が後ろで糸を引いて居るのは遂行者で間違い無い。しかしその戦略だが、帳を降ろしても切断されるだけだと方針変換されているのだろうか?」
 首を傾げる一嘉にシャルロッテは不敵な笑みを浮かべながら。
「確かに、ね……まぁ彼らからすれば、上手い事行かなくなったから別の方法に切り替えている、なんて事は充分に有りうる話だと思うよ。ま、こういう狂人や烏合の衆との戦闘は、真っ当な定石が通用しなくなる事がある。しかもその触媒は不明と来たもんだ。結構面倒だね、この仕事は……会話が通じるかも怪しいし、面倒な仕事こそ、軍師の見せ場なのかもしれないしね」
 それに桜は。
「そうだな。殺戮衝動を起こさせる類いならば、情状酌量の余地は在るかもしれないが、状況を知らぬ者から見れば、彼らのやった事を許す訳にはいかないだろう。特に聖遺物を持って居るのが彼らではなく、『遂行者』という存在が持って居るのならば、罪のない者を罪に走らせるその行為は許されない。少なくとも、私は許さないよ」
 辛辣な言葉を紡ぐ桜に対し、『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)は。
「敵意があるのなら容赦はしない主義ですけど、彼らに落ち度は無く、いなくなれば悲しむ人がいます。だから殺しません。必ず生きて返します。それすら出来ないのならば、強くなった意味がありません。大切な人を失った方を見るのは、もう懲り懲りですから……『遂行者』の連中は別ですが。生きて帰れるとでも?」
 確かに彼らは聖遺物に惑わされている……それならば被害者であるとも言えるだろう。
 とは言え彼らが手に掛けているのは、平和に過ごしていた筈の幻想の一般人達な訳である……例え操られていたとしても、彼らを簡単に許す、という訳には行かないだろう。
 そんなオリーブと桜の言葉に一嘉は。
「まぁ……事実はどうあれど、こちらの成す事は変わらない。人々を助けること……その為にも聖遺物を見つけ、必ずや破壊する、それだけだ」
 と言うと、カインとえくれあも。
「失せ物探しは冒険者の得意分野、頑張らないとね!」
「そうですね。『よくないもの』を手放せば、みんな元に戻るんだよね? それじゃあ、ぼくもがんばらないと!!」
 彼らを救出する意気込み十分、そして……イレギュラーズ達は悲鳴の上がる国境の街へと急ぐのであった。

●天啓曲げた者
『ハハハハァ!! さぁ、逃げろやァ! まぁ、逃がさねぇけどよォ!!』
 揃った鉄鎧と大剣を手にした大男達が連れ揃い、国境沿いの、何ら特徴の無い街に足を踏み入れると共に叫ぶ。
 更にその大剣を振り落とし、干し草をバサァッと散らして汚し、更には建物にもそれをぶち当てて傷を付ける。
 攻城戦を狙うというよりは、ただ単に力尽くで全てを破壊し尽くそうといった具合の彼ら、鉄帝国軍人達。
 そしてその周りには、整った装備の軍人達に比べれば貧弱な革鎧に身を包み、鍬や鋤という農具を手にした『農民』達。
 軍人と農民が混成した軍勢は、全てが顔を引きつらせ、目から光は失われている……そして、言いようも知れない笑い声で、暴れ回る。
 そんな彼らのけたたましい声を察知したイレギュラーズ達。
「……あっちですね。急ぎましょう!」
 とヴェルーリアが仲間達を先導して、その騒ぎの音の方角へと急ぐ……そしてイレギュラーズ達が辿り着き、街の人達の間に割り込むように立ち塞がると。
『アァ? 何だてめぇらよぉ!?』
『全くだぜぇ! 俺達が折角楽しんでるんだからよォ、邪魔すんじゃねーぞ!!』
 集団心理、というのもあるのだろうか……威勢良くイレギュラーズ達を挑発する彼ら。
 そんな彼らに対し、極めて落ちついた口調でカインが。
「全く……揃いも揃って戦う力の無い人々を蹂躙しているのか?」
 彼らの行いを批判すると共に、その行いを窘める。
 更にはシャルロッテも。
「君達はこの様な事をして、自責の念を感じないのかな? 隣国とは言え、戦う力の無い者を力で蹂躙するだなんて……恥ずかしい行いだと思わないのかい?」
 と『軍人』である彼らに呼びかける。
 ……だが、そんなイレギュラーズ達の言葉に対して、一切躊躇する事はなく。
『うるせぇ! 口答えすんじゃねぇよ!! 今からここは俺達の国だ、蹂躙して何が悪いってんだよォ!』
『ああ! それともテメーは口だそうってのかぁ? 転嫁の鉄帝国軍だぜ俺達はよォ!』
 まるで自分の力に寄っているかの様に笑うと共に、巨大な大剣を、勢いのままに地面へ叩きつける大男……その一閃に、家の壁に風穴開く。
『ひぃぃ……!!』
 そんな家の中に避難していた街の一般人達が悲鳴を上げると、それにすぐえくれあが。
「大丈夫です。皆さん、こちらへ!」
 と周囲の状況を確認為た上で、避難する方向を指示すると共に、住民達の避難に動く。
『逃がすかぁ!』
 とそれに先回りをしようと駆ける農民達……だが、その足元を掠めるようにミヅハの罠が発動。
『ッ!? クソッ!』
 苛立つ農民達に対し、更に一嘉が毅然と立ち塞がると共に。
「取りあえず……お前達をこの先には通さない。行くと言うのなら、俺達を倒して行くんだな」
 と睨み据える。
『巫山戯やがってよォ! ならよぉ、殺してやらァ!!』
 完全に目を血走らせて叫び散らす農民達、そして軍人達すらも。
『そうだそうだァ! いいかァ、一人残らず殺してやれよォ!!』
 と意気揚々と大剣を振るい、攻撃を始める。
 その巨躯から繰り出される一閃は、一撃一撃が高い攻撃力を誇る。
 だがその攻撃を、同じ位の巨躯でインターセプトするオリーブ……つばぜり合いの後、攻撃を互いに反射。
 一旦間合いを取り直しつつも、オリーブは彼らに真っ直ぐな視線を向けて。
「貴方達は、聖遺物に操られているのではないですか?」
 と、最初から確信をつく質問を問い掛ける。
 無論、その問いに対して彼らは。
『ウルセェンダヨぉ!』
 全く取り付く島も無く、わめき散らし続ける。
 受け答えは出来るものの……完全に正気は失われているのは間違い無いだろう。
「本当……仕方ありません。皆さん、街の方々を守る為にも、ここは負けられません……行きます!」
 とヴェルーリアは皆に発破を掛けるように声を上げると共に、己の身を盾にして敵の陣に斬り込んでいく。
 当然帝国軍勢は、オリーブや一嘉の様に強そうな男よりも、弱そうに見えるヴェルーリアが来た事に。
『ハッハァ! 飛んで火に入る夏の虫ってなァ!』
 と意気揚々と笑いながら反撃の攻勢を取る。
 だが、確りと防御を固めたヴェルーリアには、一発で爆発する様なダメージには至る事は無い。
 とは言えどその手数は多く、確実にヴェルーリアの体力を削り取る。
 しかしそんなダメージの具合を避難させながらも観察していたえくれあが。
「フォルトゥナリアおねーさん、大丈夫? ぼくがしっかり、かいふくしてあげるね!」
 と、その体力をすぐさま回復し、前線を越えさせないようにする。
 そしてフォルトゥナリアとえくれあに続き、シャルロッテはもう一方のオリーブに対して魔性の直感から放つ号令で以て、その傷を最小限に抑えるように動く。
「こっちのバックアップはボクに任せてくれ……さぁ、始めようか」
 それにカインが頷きつつ。
「オリーブの願いもある……出来る限り倒さない様にするとしようか」
 と言うと、桜、ミヅハが。
「まぁ……そうだな。勿論危険となればそうも言ってはいられないだろうが、な」
「ああ……取りあえず厄介な軍人の方を先に片付けて行くとしようか」
 と頷き合うと、オリーブが剣撃で牽制する帝国軍人に揃い対向。
 大剣を振り回す軍人達の数は、ざっと10人程……といった具合。
 対する農民達は20人程で、数は彼らの方が多い。
 下手に対峙すれば、その勢いの前に押しきられてしまう可能性は高い……だが、イレギュラーズ達の背後には戦う力のない一般人達がいる訳で……それを守るべく。
「狩人は追い込まれてからが本領発揮……だからな!」
 とミヅハの言葉の通り、漲る気合いと共に返す刀の一閃、二閃を繰り出し、傷を負わせていく。
 更に一嘉の鋭利な乱撃が決まり、総じてダメージを負わせた所にオリーブの狙い済ました狙撃で一閃。
 その結果総じてのダメージに膝を突く軍人達……だが、だからといって諦める程柔ではない。
『クソッタレがヨォ! いいぜ、殺す。ぶっ殺してヤル!!』
 更に目を血走らせながら、大剣、鍬、鋤を振り回し続ける帝国の人々。
 勿論容易に殺す、という手段を取る事は出来る……だが、敢えてそこに神なる眩い光を光らせて、死なない様に帝国軍の農民達を地へ伏せさせていく。
 20人程いた農民達を全て臥す為には数十分の刻が掛かるものの、どうにか……死は防ぐ。
 そして残るは軍人達のみ……。
『クソがッ……!』
 苛立ち気味に舌打ちする軍人達……追い詰められつつある彼らに向けてオリーブが。
「素直に話して貰えませんか? ……貴方達を取り巻く、聖遺物は何ですか?」
 極めて冷静な、オリーブの言葉。
 一方で狂気に包まれ続け、ヒートアップしている彼らはそんな言葉を聞き届ける事は依然として無く、煩い、邪魔するな、と繰り返すがのみ。
 そんな狂いし軍人達の視線を、後方で注視していたシャルロッテ。
「……ん?」
 全ての軍人達の胸元に、ほんの僅かにまたたく徽章。
 それぞれ光り方は違う様だが、全てが呼応し合うかの様に光、瞬く。
「もしや……あれが聖遺物か? すまない、ミヅハ君。あそこを狙って見て貰えるか?」
 シャルロッテの言葉にミヅハは。
「狙うって、かなり小さいな……ま、分かった。兎に角やってみるぜ!」
 サムズアップと共に、鋭く狙い済ました一射を撃ち込むミヅハ。
 破壊された微笑が粉々に砕け散ると……まるで糸が切れたかのように、その場に突っ伏す軍人。
『っ……!』
 戸惑いの表情を浮かべる軍人達……その隙を突いてカインが更に神の光を周囲に放出。
 光に包まれ、弱っていた者達が次々と気絶する中……最後に残りし軍人の旨には、他の軍人達に比べて、強い光の明滅。
「どうやらあれが聖遺物の元の様だな……さあ、破壊するんだ」
「ああ……!」
 桜に頷く一嘉が、その懐に潜り込んで……徽章に拳一発を叩きつける。
 強い衝撃に身体も吹き飛び……そしてその微笑は粉々に砕け散ると共に、全ての鉄帝国の者達は気を失うのであった。

●企みの種は
 ……そして。
『……う……ん……?』
 倒してから小一時間程が経過し……気絶していた鉄帝国民達が、一人、また一人……と目を覚ます。
 勿論、イレギュラーズ達が周囲を囲み、逃げる事が万が一にも無い様に万全の注意を払った状態で。
 ……そして。
『……? あれ、俺達は……何を……?』
 きょとんとしている彼らの表情。
 先程までのように、人々を嬉々として殺していた人とはまるで別人の如く……表情も穏やか。
 そんな彼らに桜が。
「どうやら目を覚ました様だな……起き抜けですまないが、話を聞かせて貰いたいのだが」
『……話……?』
「君達は、鉄帝国から武器を手に、ここ、幻想の国境沿いの街を襲撃しに来た。それは覚えているか?」
 桜の問いに、ぶんぶんと首を震う彼ら……更にカインも。
「覚えてないのか? 何も?」
『ああ……目が冷めたらここにいた……んだ。本当だ、信じてくれ……』
 虚ろな表情の彼ら。
 更に話を聞いていくものの……彼らが嘘を吐いている様には感じられない。
 勿論それが巧妙な致命者の作戦かもしれない……と言われれば、その可能性は十分あり得るだろう。
 だが、幾ら問い掛けても暴れていた間の記憶は、まるで靄に包まれているかの如く朧気であり……はっきりとしないと訴える。
 そして……。
「……分かりました。嘘はついていない様に感じますし……恐らくあの聖遺物に意識を乗っ取られ、操られていたのでしょう」
「そうか……だが聖遺物を手にした瞬間の記憶をも消し去っていたとはな……意外に致命者は、頭の回る奴等なのかもしれないな」
 ヴェルーリアの言葉に肩を竦めるミヅハ。
「まぁ……仕方ないでしょう。取りあえず、街には甚大な被害もありません。ただ責任は取って貰いましょうか……ええ、力仕事です。壊した街を治すまでは、帰らせませんよ」
 オリーブの言葉尻は柔らかいものの……揺らぐことの無い威圧感がある。
 記憶は無いながらも……目の前の光景に理解した軍人達は……こくりと頷く。
 そして彼らと共に破壊された所を修復しつつ……イレギュラーズ達は、他に怪しいものがないか、目を皿の様にして注意深く探索し続けるのであった。

成否

成功

MVP

シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)
ロクデナシ車椅子探偵

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂きまして、ありがとうございました……!
致命者の聖遺物に躍らされた彼らの罪は消える事はありませんが……でも、皆様のおかげで最小限に抑えられたと思います、ありがとうございます。

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