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シナリオ詳細

<熱砂の闇影>紅の時

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<熱砂の闇影>紅の時
 熱保つ流砂の流れの続く、砂漠の国『ラサ』。
 人々を惑わす石の事件を発端とした吸血鬼事件も決着を迎え、混乱を乗り越え国は平穏を取り戻しつつある。
 そんな平穏を取り戻したはずのラサの国……と似た世界。
 鉄帝のテセラ・二バスに存在する『アリスティーデ大聖堂』より飛んだ先には、少し前の混乱の真っ最中の景色が拡がる『神の国』。
『グゥォオオオ……!!』
 目を血走らせ、身体は人のモノとは明らかに違う『何か』。
 ただその顔には人間の表情があり、一言で表すのならば、『獣化した人』の様にも見える。
 ……そんな、本来の国にはない異変が罷り通る『神の国』
 まだ、彼らの箱庭の中にあるとは言え、悲運、悲鳴、怒号……人々のあらゆるマイナスな感情がその中に充満していては、いつかはそれが漏れ出してしまうとも限らない。
 今こそが……イレギュラーズ達の力を揮う時。
 悪意渦巻く『神の国』を構成する『聖遺物』を打ち砕かねば、その悪意は境目を越えてラサにあふれ出すかもしれないのだから。


「……皆様……『アリスティーデ大聖堂』から、深緑やラサの国に似た『神の国』が、現れたようです……」
 天義首都、人気の少ない街角の一角にある酒場にて、『深緑の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)は言葉を選びながら説明を始める。
 彼女の言う、『異言都市(リンバス・シティ)』の中に在る『アリスティーデ大聖堂』。
 己であるテセラ・二バスに似た国が出来たかと思えば、海洋や豊穣に似た『神の国』が生成されてきており、イレギュラーズ達もその事態に対処してきた。
 そして最近となり、生成される『神の国』の形が又変化しつつあるというのが、先行した仲間達より齎されており……まるで国の姿は『ラサ』や『深緑』に似た風景を形取っていた。
 そして今回ルリアが告げたのは……あの『吸血鬼事件』が起きた『ラサ』のマーケットに似た風景。
「皆様も、記憶にまだ新しいとは思うのですが……あの『紅結晶』の時に起きた事件になぞられるかの様な事態が起こっている様なのです……」
 ラサの『欲』持つ人々を虜にした紅結晶。
 多く抱えしモノは『魔物』と化し、人々を襲い、イレギュラーズ達に退治させられた。
 そして、そんな事件に似た『魔物』と化した者達がこの『神の国』に多数現れ、神の国に棲まう人々を蹂躙しているという……正しくイレギュラーズ達が居ない『if』の世界の様相。
「……私達がいなければ、この様な事態になっていたのでしょう……考えたくもありませんが……」
 目を伏すルリア……とは言え『神の国』の事態を放っておけば、それが現実世界に影響を及ぼす可能性は高い。
 故に。
「……聖遺物も、恐らく……その事件になぞらえている事でしょう。ただそれが複数あるとは思えません。恐らく……本物は一つで、他はフェイク……ただ誰が持っているかも解らないという状況です。情報が少なく申し訳ありませんが……どうか皆様、宜しくお願いします……」
 と深く頭を下げるルリア。
 そして過去の事件の再来を防ぐ為に、『神の国』を破壊しに赴くのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 『神の国』の幻影は、記憶に新しい『ラサ』と似た光景を描き出しているようです。

 ●成功条件
  『神の国』の『聖遺物』を破壊する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   今回の舞台となるのは、イメージとしては『ラサ』の『マーケット』になります。
   時間の頃は一番人通りの多い夕方頃です。
   『神の国』の人々は突如現れた『怪物』の様なモノに驚き逃げ惑っています。
   人の数が多く、雑踏が邪魔になるでしょう。
   『神の国』なので、彼らの生死は成功条件には含まれませんが……見殺しにすれば後味が悪い事にはなりそうです。
   尚『怪物』の様なモノは恐らく『遂行者』の力によって生み出されており、その遂行者の『聖遺物』により動かされています。
   それを破壊する事で、全ての『怪物』は消え去りますが、存在する限り怪物は生まれ続けるので、最終的には『聖遺物』を破壊する必要があります。

 ●討伐目標
 ・かろうじて『人』の姿をした『怪物』達
   まるで紅結晶を持ち、人外の姿に変化したような『怪物』達です。
   彼らは既に正気を失っており、取りあえずみつけたもの全てを破壊、喰らい、殺す事だけが目標になります。
   元『人』ではありますが、その身体能力は強化されており、まるで獣の様に跳躍し、その鋭く伸びた爪で刺・突・斬を繰り出します。
   又これら攻撃にはHP吸収の効果があるようで、彼らは攻撃しつつも体力を回復します。
   尚、他の『怪物』も同様に『敵』と認識する様なので、上手く同士討ちをさせれば数を上手く減らす事が出来るかもしれません。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <熱砂の闇影>紅の時完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年07月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エマ(p3p000257)
こそどろ
ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
レイン・レイン(p3p010586)
玉響

リプレイ

●熱砂の影と
 暑い熱砂の光景がはるか先まで広がる砂漠の国『ラサ』。
 人々を惑わした『紅結晶』に連なる吸血鬼事件の決着が付き、オアシスにも人が戻り始め、平穏を取り戻しつつある。
 だが……そんな砂漠を模した世界が、アリスティーデ大聖堂から転じた先にある『神の国』として顕現し、その世界においては吸血鬼騒ぎが再び始まろうとしつつあるという。
 そんな状況を聞いたイレギュラーズ達は、急ぎ転じて『神の国』の砂漠の国へと降り立つ。
「……ふむ、確かに周りの景色はラサそのものの様だな」
 周りを見渡し、息を吐くのは『金の軌跡』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)。
 見慣れた光景……そして、過去の記憶と重なり合うかの様に、人々の悲鳴が遠くの方から木霊する。
「マリー……どうかした?」
 と、『星月を掬うひと』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)が心配する様に声を掛けると、エクスマリアは。
「……いや、大丈夫だ、問題無い」
 目を開き、こくりと頷く。
 そんな二人を横目にしながら、『灼けつく太陽』ラダ・ジグリ(p3p000271)は悲鳴のした方角へ鋭い視線を向けながら。
「しかし……ついこの前の騒動まで反映するとは……奴らも勤勉な様で」
 と言うラダに『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)も。
「勤勉、か……確かに。天義に飽き足らず、世界中に『神の国』を作っている様な連中だからな」
「全くだ。まぁ『神の国』を作り、それを広める事によって彼らにも利点があるのであろう……逆に言えば、私達がそれを一つ一つ潰しているから、彼らにとって私達は邪魔な存在だ、という事でもある」
「そういう訳だ。とはいえあそこの七罪だけ羽振りがいいのは……何故なんだろうな。殲滅はしているが、それ以上に『神の国』とやらが成功していて、力が満ちつつあるのか……逆に俺達の想定通りの焦りから、なのかもしれないな」
「そうですねぇ……彼らの操るあれ……帳って言うんでしたっけ? あれは一般人んを巻き添えにする傾向がありますしね。迷惑な話です、全く……頑張らねばいけませんね」
 エーレンの言葉に『こそどろ』エマ(p3p000257)はこくり、と頷く。
 確かにエーレンの言う通り、虚構の世界である『神の国』や、拡がる帳の中から現れる凶暴な怪物等によってアラされる現実世界と、虚実現実どちらにも最近、その影響は拡がりつつある。
 勿論イレギュラーズ達は、確認された事件に対し、一つ一つを解決して回っては居るが……与り知らぬ内に拡がった帳は知らずの内に街を消し去ってしまったのもあろう。
 ともあれ『神の国』は、アリスティーデ大聖堂から飛んだ先に幾つもの世界が拡がっており、全て解決出来て居るかと言われれば疑問が沸く。
 だが、だからといって手を止める訳には行かない訳で。
「なんにせよ、できつつある神の国は全て潰さねばなるまい。その為にもここで足を止める訳には行かないからな」
「ああ! 俺の仕事は可能な限り遠く最前線に向かい、怪物が人々に迫る前に壁となること、と……良し。それじゃあ急ぐぜ!!」
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)が仲間達に発破を掛けると共に、イレギュラーズ達は悲鳴響く『オアシス』へと赴く。
 勿論現実世界においてもオアシスは人が集まる地であり、そこにはモノを売り買いするマーケットが存在し、人々が往来する。
 そんな往来の多いマーケットで……。
『ウウゥ……!! 殺ス、殺シテヤルゥ……!!』
 『人』であっただろう怪物が、鼻息荒く声ならざる咆哮を上げて、マーケットを駆けずり巡る。
 そしてそれから逃げようと悲鳴を上げる『人』……だが、それからは人の意思という様なものは感じられず、脅威から逃げ惑い、逃げた甲斐も無く捕まり、喰われる……そんな行動を定められているかのように動かされている。
 ……正しくその光景は、昔ラサのマーケットにて、『紅結晶』を持った商人らが怪物化して人々を襲う光景を思い出させる惨状。
「本当に、ラサのマーケットで良く見た光景だな……」
 唇を噛みしめるラダに、『玉響』レイン・レイン(p3p010586)も。
「うん……この『人』達は……突然現れた、って聞いてるけど……でも、その最初の一人は、何処で、何処からそうなったんだろう……? 操作するのや、増やしているなら……その中心か……密集箇所の近くなのかな……それとも、別の場所に居る……とか……?」」
 あえて怪物を『人』と呼び、その起源を探ろうとする。
 だが、悲鳴や恐慌状態の人々を前にしては、大人しく調べている時間は無い。
 次々と喰われる人々は悲鳴を上げて絶命する……だが、幻であったかの様にその姿は消えていくのは、現実世界とは違う光景。
 勿論その断末魔の悲鳴はイレギュラーズ達の耳に色濃く刻まれて。
「……ワタシにとって、マーケットは……馴染みが深い場所。更に領地のあるラサとなれば尚更……普段はお買い物を楽しむマーケットなのに……なんてことを……! 皆を、助けないと……!」
 そんなフラーゴラの言葉にラダと『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)は。
「そうだな。無事騒ぎが納まる所まで再現出来るよう、私達が手を貸してやろう」
「ああ……先ずは避難誘導だ。ただ、逃げ惑う人達の中に遂行者が紛れているとも限らぬ。恐らく神の国を破壊したら、造られた存在の『人』達は消え去るだろうが……消えなければ遂行者だ。それをどう判別するか……だが」
 ウェールの言葉にエマは。
「そうですねぇ……でもまぁ一般人が逃げ惑う中では上手く立ち回りも出来ませんし、今の所は纏めて避難誘導するとしましょうか。現れたら、その時はその時で……ですよ、ひひひ」
 引きつり笑いのエマの言う通り、現状致命者を見つける手段は考えついてはいない……ならば先ずは救うのが先。
「そうだな……死の苦しみを、別れの苦痛を。泣いている最愛の人に何も出来ない最後を迎えるのは俺だけでいい。同じ造られた命としても、一人でも多くの命を悲しみから守る!」
 ウェールの発破の言葉に皆も覚悟が決まり、イレギュラーズ達は混乱するマーケットへ潜入していくのである。

●ヒトガタ
『来るなぁ……来るなぁ……!』
 響きわたる悲鳴、そして絶境。
 そんな『神の国』の人々の近くに降り立つと同時に、即座に声を上げるのはウェール。
「皆さん、聞こえますか! 俺達が皆さんを守ります! 怪物は視界に入ったモノを見境無く攻撃しているようです! 視界に入らないように注意してください! 焦らず迅速に! 余裕がある方は、子供やお年寄り、怪我人の避難のお手伝いを御願いします!!」
 と、その口調は冷静に、しかしながら人々を率いるためにハッキリとした声で指示を与える。
 勿論突然の言葉に、人々はそれを上手く聞き届けれない様で……混乱が直ぐに治まる様な具合ではない。
 ただ、だからと言ってすぐに別の行動へシフトはしない……ウェールに併せてラダ、エマ、レインも声駆けする方向をそれぞれ別にとりながら。
「突然の事に訳が解らなくなっていると思います、ですが、大丈夫です。皆さんの事は、絶対に助け出してみせます」
「そうだ! 怪物共は我々の仲間が相手するから、君達を追いかけてくることはない! だから落ちついて逃げるんだ!」
「……うん。こっちの方へ……みんな、大丈夫だから」
 三者三様な形で人々へ呼びかけ、かの『ヒトガタ』な怪物じゃら離れる方向へと避難を進める。
 一方で。
「エーレン……んじゃ宜しく頼むぜ!」
「ああ」
 ゴリョウはエーレンにサムズアップし、己が身を細く変化。
 そしてエーレンが彼を抱えると共に、そのまま一般人達の間を素早く駆け抜け、怪物の目前へと到達。
「今だっ」
 と、エーレンの言葉を契機に身を戻すと共に、装備をどこから共無く取り出し装着。
「これで良し! 助かったぜエーレン! さぁ、お次は俺の仕事だな!!」
 そんなゴリョウの言葉に対し。
『ウゥ……何ダァ、テメェハァ……!』
 苛立ち、猜疑心……様々な感情がこもった声を上げる怪物に向けてゴリョウはがっはっは、と小馬鹿にするように大声で笑い。
「さぁ来な哀れな獣共! この豚さんを恐れねぇってんならなぁ!」
 ガキンガキンと籠手と盾を打ち鳴らしつつ、目前の怪物連中の耳目を一手に惹きつける。
『目障リナ奴メ……ナラバ殺ス!』
 上手く怒りの矛先はゴリョウへと仕向けられ、周りの人々から彼にシフト。
 獣じみた体勢から接近し、その鋭く鋭利に伸びた爪でゴリョウの身を斬り裂く。
 勿論身を覆う鎧はあるが、鋭い切先は無傷とは行かず、結構深い痛手を負わせてくる。
 だが……アドレナリンをフルに沸き立たせているゴリョウは決してその場から動かず、更には敵陣を後方にも行かせぬ、確固たる岩として立ち塞がり、その間に逃げ遅れている人々をその場から避難させる。
 勿論、ゴリョウ一人で全てに対処出来るという訳ではなく、少し離れた位置に現れた怪物には、怒りの興亜Kは及ばない。
 でも、その抜け漏れを埋める様にフラーゴラとエーレンは。
「左の方……こっちで対応する……ね」
「ああ、解った」
 と互いを補い合う様にしながら市民の間を飛んだり、跳ねたりしながら掻き分けていき、そして敵の間に立ち塞がると。
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ! 少しは喰らい甲斐のあるのを狙う気概はないのか、ん?」
「皆! 私の後ろに……!」
 身を盾にしながら人々を非難させて、防戦の構えで敵を足止めし続ける。
 ……そんなイレギュラーズ達の動きに対して知能を振るわない怪物達は目の色を変えて反撃の狼煙を上げ続ける。
 その攻撃を受けても、決して通さず、むしろ。
「大丈夫、ワタシがいる……」
 にっ、と振り返りながら元気付けるフラーゴラ。
 そして、その隙を上手く利用して……確実にマーケットの人々をその場から避難を進める。
 ……少し離れた所に避難民が辿り着いたところで、ウェールは避難してきた人々に。
「皆さん。怪物が突然現れた事に心当たりがある方、持ち物に見知らぬモノが紛れ込んでいる方はいますか? もしあるならば、すぐに取り出して捨ててください! それが変な力を与え、あの怪物達のようになる可能性があります!」
 と声を掛ける。
 ただ声を掛けるだけはない。
 その言葉に対する皆の反応を見定めて、他の人々と違う反応をするモノがいないか、を注意深く観察する。
 ……だが、この場に居る人々はというと、首を振る程で、特段変な動きをするものは見受けられない。
「解りました。ご協力感謝します……後は、心細いかもしれませんが、ここで待って居てください。あいつらは、必ず俺達が倒します!」
 更にその一言を加え、それでも特段他と違う反応をするモノが居ない事を確認し……避難誘導していたイレギュラーズ達も踵を返し、戦う仲間達の方へと急ぐ。
 そして。
「待たせたな……避難民の中には怪しいモノは居なさそうだ。となれば……こいつらを撃破し、聖遺物を壊さねばなるまい」
「そうか……解った。んじゃあ一気に攻勢に転じるとしようかねぇ、がははっ!」
 今迄耐えに耐えていたゴリョウらは、奮い立たせる声を上げて……一斉に攻勢へ転じる。
「んじゃあな、泥沼の殴り合いにご招待だ! ただし殴り合うのはテメェらだけどなぁ!!」
 とゴリョウは雄叫びを叩きつけ、敵の身を吹き飛ばしつつ魅了の効果を一気に付与。
『ウグゥゥ……オ前、殺スゥゥ……!!』
 その効果は絶大な様で、低い声で唸る怪物達は、敵味方の見境もなく、兎に角近場で見つけたモノを『敵』と認識して殴り合いを始める。
 そんなゴリョウの作戦にエマは。
「おお、怪物同士をぶつけて同士討ちですか……確かにそれを狙うのもありですねぇ、えひひ。付き合い続けてたら息切れしますしね」
「ん……解った……」
 エマの言葉にフラーゴラは頷くと、彼女もまた誘惑の魔力を充満させて、敵へ振りまく。
 二人の魅了効果の範囲をずらす事で、敵の同士討ちを進めて手数を減らし、相手しなければならない敵の数は大幅に減少。
 又、当然の事ながら殴り合いで勝ったモノは、他者よりも強いと言う事になる。
 つまりそれは……この怪物事件の親玉である可能性は更に高くなる訳でもあり……残る敵を更に魅了し、数を更に減らす。
 そして、敵同士のバトルロワイヤルが終わり、残り後一匹となると、当然彼の身は傷だらけ。
『殺スゥゥ……コロスコロスコロス!!』
 並々ならぬ殺意を抱いた怪物……その胸元に、鈍く煌めく『宝石』の様なものが見える。
「やっぱり……ね……」
 レインの言葉に、皆、静かに頷く。
 あれが、恐らく『怪物』達を狂わせた『聖遺物』なのは間違い無いだろう。
「先ずは……倒す。倒したら……あれを破壊しよう……」
「うん……解った」
 レインに頷くフラーゴラ……そしてイレギュラーズ達は一斉に彼への間合いを詰めて包囲。
『クソォ……!』
 舌打ちするが、それにラダは。
「……怪物化。身体の結晶化、か……後遺症の残る身としては、やはりいい気分はしないな」
 と冷静に吐き捨てながら、その懐に潜り込み、殺人剣を避ける間もなく叩きつける。
 喰らい、吹き飛ばされ、地面へと叩きつけられると、そこにウェールの狙い済ました雷鳴の一閃。
 その一撃は、彼の心臓を鋭く撃ち抜き……その身、その場に臥すのであった。

●狂乱の末
「さて、と……それではちょっと身を改めさせてもらおうか」
 死を迎え、横たわりし怪物の、先程まで鈍く輝いていた胸元を探るラダ。
 ……其の身にめり込むようにして輝いていたそれは、正しく『紅結晶』の様な水晶体。
 ただ一つ違うのは、その水晶体には本当に小さく、翼の様な紋様が刻まれていて。
「……やっぱり、な」
「うん……どうする? 壊す……?」
「そうだね……取りあえず壊さないと、次の怪物がまた現れるとも限らない……先ずは破壊……しよう」
 ラダとフラーゴラの言葉に、レインは壊す事を提案。
 足元にその石……いや、聖遺物を置くと共に、勢いづけて足で踏み抜き、粉々に破壊する。
 今迄鈍く輝いていた紅色の光も失われて……次の瞬間、地面が揺れるかの様な感覚を全員が覚える。
 ……そして次の瞬間、遠くに避難していた人々の姿はまるで幻かの様にふわりと消え去り……オアシスにはイレギュラーズしか居ない状況。
「聖遺物を破壊した事で、この『神の国』の存在が不安定になっている……とかか?」
「そうだな……閉じ込められる前に、一先ず戻ろう」
 ゴリョウとエーレンの言葉に皆も頷き、そしてイレギュラーズ達は急ぎ『神の国』を脱出。
 アリスティーデ大聖堂に戻ると共に……息を吐き、ひとまずは安堵の息を吐く。
 そして。
「取りあえず、神の国一つは破壊完了、というわけだ……そういえば、月の王国には、天義から来た吸血鬼がいたよな。戻って来てないとは思うが……どうしているやら……」
 空を仰ぎ見るラダ……勿論その行く末を知って居る訳ではない。
 ただ、今迄の状況からすれば、何かしら関係しているとしても、全く不思議ではない。
「うん……何はともあれ……一段落、だね……みんな、お疲れ様……」
 とレインが皆を労うと、ゴリョウも。
「そうだな! 取りあえずお疲れ様ってことでよ、俺自慢の料理で打ち上げだ! ほら、一杯食べてくれよ!!」
 と置いておいたお手製の料理を振る舞うのであった。

成否

成功

MVP

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂きましてありがとうございましたー。
本当、『神の国』を作り出す彼らの動きは不気味、かつこれから先どうなるかも中々予想がつきにくい所ですね……。

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