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シナリオ詳細

メスネコゲーム

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●変わったこと、変わらないこと
 寝すぎのぼんやりした頭で、エルス・ティーネ (p3p007325)はベッドの天蓋を見るともなく見ていた。ラサの御伽噺が描かれた天蓋が、いまは重苦しく感じられる。やわらかなしとねのなか、体は重いままだ。大人になった。覚醒した。で? なにが変わったのだろうか。なにも変わっていないのではないのだろうか。けっきょく、あいかわらず自分は彼のことで頭がいっぱいで、けっきょくあいかわらず自分は彼とのなにかを諦めようと自分へ言い聞かせつづけている。
 体が重い。
(朝をたべてないからかしら……)
 むりに思考をそらそうと試みたが、徒労を知る。
 いつもそうだ。彼が訪れるといつも、こんなにも頼りない心地になる。起き上がれる気がしない。彼のおとないは短い。そのぶん濃密かと聞かれても首を傾げる。昨日の夜は、ただぽつぽつと無意味な会話を交わしただけに終わった。仲間に囲まれているときのほうが、エルスも彼もよほど饒舌だ。よくしゃべるし、よく食べるし、よく飲むし。そうしてくたくたになるまで笑って笑って、それでいつもおしまい。
 遠い。
 彼は遠い。
 隣に立てたと思ったときにはその背中は小さく、近づけたと確信したときには視線をそらすはめになる。
 近い。
 彼は近い。
 あの瞳に映る自分を知っている。あの猛々しい情熱に満ちた瞳が、自嘲に歪む瞬間も知っている。この世の誰よりも彼を知っていると、胸を張って……言える、はず。
「エルス・ティーネ」
 ぽつんとつぶやいた自分の真名はばかばかしいほど短く、そっけなかった。
「ディルク・レイス・エッフェンベルグ」
 口にした名のなんと尊いことか。認めたくはなかった、これが恋だなんて。認めざるをえなかった。これが愛だなんて。
 彼とともに過ごせたら。
 太陽を知った女はため息をつく。ラサの寵姫。そう言われて久しい。
 けれどきっと、彼はそんな「おままごと」につきあってくれるほどヒマではないだろうし、結婚するだけが女の幸せではないことなどいくらでも知っている。なんなら反例を挙げて、自分と彼がそうなる未来を、論破してやってもいい。そのくらいには、彼のことを理解しているつもりだ。
 遠くて近い。
 近くて遠い。
 ため息がふりつもっていく。今日はもう予定をぜんぶキャンセルして、窓を締めてとじこもっていたい。あの射抜くほど露悪的で、焦がれるほどやさしい眼差しを思い出させる、ラサの太陽から。
 そう思いながらエルスが布団を被ったときだった。
 寝室のドアが控えめにノックされたのは。
「領主様、おともだちがいらしています」
 ああそうだった。今日はそんな日だった。エルスはしぶしぶベッドから出た。昨日の残骸が、いまだ色鮮やかなそこから抜け出し、唇を噛む。

●メスネコゲーム
「エルスさん、ご機嫌斜めですか?」
 鹿ノ子 (p3p007279)はおずおずとコーヒーカップを持ち上げ、口につけずソーサーへ戻した。
「べつに」
 とげとげしい言い方になってしまうのは、けして彼女のせいではない。わかっているのに。
(あーあ、私、やつあたりしちゃってる。最低……)
 大人になった証の銀糸を、いらいらといじくりながら、エルスは鹿ノ子の前、なにも言えずにいた。
 あなたは不機嫌まるだしのエルスに困惑し、バグラヴァをかじっていた。
 鹿ノ子がちらりと、となりのロレイン (p3p006293)を見やる。
 ロレインは深刻な顔のまま、エルスを見つめている。
「重症ね」
「なにが?」
 エルスが答えると、やっと口を利いてくれたとばかりに、ロレインは微笑んだ。
「ものやおもうとひとのとうまで」
 ロレインは開いていた文庫本をぱたりと閉じた。
「エルスさん、そろそろ前へ進まないといけないわ。私はそうおもうの」
「前、か」
 エルスは大きく息を吐いて肩を落とした。
「前ね、うん、ラサのためにこれからも尽力していくわよ」
「そういうことではなく」
 残念そうに笑ってみせたロレインは、エルスへ真剣な眼差しを投げた。
「あの方とのこと、どうするつもり?」
「ごめんなさい、いまはとても答えられない。自分でも心が重たくて、言葉にできないの」
「そう……」
 重症ね、と、ロレインは繰り返した。
 鹿ノ子は胸が痛かった。
 愛する人と結ばれる。なんというハッピーエンド、いや幸福な日々の始まりだろう。自分はそれを願ってやまない。そして、できれば親友であるエルスにも、そうであってほしいのだ。けれどエルスは思考の監獄にとらわれたまま出てこれずにいる。
 鹿ノ子は瞳を伏せた。
「エルスさん、あの、僕が言うのも、その、何言っちゃってるのって感じかもしれませんが、それでも、僕はエルスさんに幸せになって欲しいから……」
 続きが思いつかず、鹿ノ子は歯噛みをする。
(どうしよう……どうしたら……)
 いかにすればこの膠着状態を抜け出せるのか。
 この大切な友のために、できることはなんだろうか。
 鹿ノ子は自問自答し、ふっとロレインを見る。同じことを考えていたのか、ロレインもまた静かにうなずく。
「ゲームをしてみない? エルスさん」
「かまわないわよ」
 せっかく服を着替えて、この部屋でコーヒーを啜っているのだ。何の進展も話題もないまま、不機嫌オーラを振りまくのはエルスとしても本意ではない。エルスはバグラヴァをひとくちかじった、甘いはずの菓子が苦い。
「それでは、はじめるわね。『ラサは今日も暑いわね』」
「え? そ、そうね、夏も近いし」
 水を向けられたエルスは、当たり障りのない返事をした。
「『そうですね。水着とか、豊穣なら浴衣の季節ですね』」
 鹿ノ子も助け船を出すかのように言葉を添える。
 あなたは何が始まるのだろうと。言葉を差し控えた。
 しばらくエルスは、あなたたちとたわいもないおしゃべりをした。どこそこの店が安いとか。散歩にいくならあっちがいいとか。練達にいくとなんかひどい目に会いがちだよねとか。エルスのしなやかな肢体から、こわばりが抜けていく。
 いまだ。
 鹿ノ子はきらんと目を輝かせた。

「『そういえばディルクっちがー』」

「は?????」
 顎が落ちた、って勢いでエルスは口を開けた。とつぜんの爆弾発言。というか、ディルク様を「っち」付けとか、ありえないんですけど!? エルスが反応する前に、ロレインが動いた。
「『ディルクっち? 何言ってるの鹿ノ子さん、『高貴なる赤犬様』とお呼びなさい? ラサに生きる者なら当然だわ?』」
「はあ????」
 今度は、がばっとロレインをふりむくエルス。え、あなたそんなキャラだった? 違うじゃん違うじゃん。こう、もっとなんていうか……。
 あっけにとられているエルスの前で丁々発止のやりとりがはじまった。
「『ふー、ディルクっちのこと、何も知らない人ってこういうんですよね~。ねーエルスさん?』」
「『『高貴なる赤犬様』よ、鹿ノ子さん。明日から表通りを歩けなくしてあげましょうか?』」
「『はー、過激派こわーい、こわいですー。ほんとのディルクっちはですねー。あー、僕だけが知っているから、当然っちゃ当然なんですけどー?』」
「はああああ!?!??!?!?」
 くわんくわしてきた頭を抱え、エルスはふるえる手でやりとりへ割って入る。
「待って、待つのよ、鹿ノ子さん。あなた、豊穣に大切な方がいらっしゃったわよね?」
 鹿ノ子は優雅に微笑んだ。
「ゲームですよ、エルスさん」
「へ?」
 こんどこそエルスは顎がどっかにいったかとおもった。

「僕がディルクさんへ恋する乙女になりますから、エルスさんは正妻として発言してください」

「へ?????」
 固まっているエルスの前で、ロレインも、うっそりと笑う。
「ちなみに私の『設定』は、ディルク様強火同担拒否夢女よ」
 ロレインはおだやかに胸へ手を当てた。
「はあ……」
 エルスはまだ納得いかないって顔のまま説明をこうた。ロレインが続ける。
「つまり、このお茶会のこの時間だけ、エルスさんは自分をディルクさんの正妻だと思いこんでちょうだいな。私と鹿ノ子さんたちは、恋敵という名のメスネコになりきって、あなたを挑発するわ。そしてあなたはいちばんメスネコに徹していると感じた相手を認めて、決め台詞を言うの」
「きめぜり、ふ」
「はい。それではりぴーとあふたみーです、エルスさん『このどろぼうねこ!』」
 鹿ノ子の勢いにおされて、エルスはくりかえした。
「……このどろぼうねこ……」
「もっと元気よく言ってください。はい、いきますよー、『このどろぼうねこ!』」
「こ、このどろぼうねこ……」
「いいかんじですよ。でも、まだまだもうちょっとー。大きな声でー? 『このどろぼうねこ!』」
「こ、こ、『このどろぼうねこ!』」
「「よくできました、拍手ー」」
 鹿ノ子とロレインがにっこり笑いながら拍手をする。
「ここまでで1ターンです。勝者は僕こと鹿ノ子です」
「ごめん、なにがどうなってるの!?」
 頭を抱えたまま椅子の上で右往左往するエルス。ロレインはにこにこしながら言葉を続ける。
「ルールはシンプル。エルスさんが親(GM)、私と鹿ノ子さんたちは子(PL)。私たち、子が、エルスさんへ言葉を投げかけていって、エルスさんが『このどろぼうねこ!』と言ったらそこでゲームは一旦終了。そして、『このどろぼうねこ!』と言われた人が、勝ち」
「わけがわからない!!!」
 エルスが絶叫した。鹿ノ子はかまわず人差し指を頬へ当てる。
「エルスさんはこのゲームにおいてディルクさんの正妻だから、ディルクさんへ言い寄ろうとする輩へは、もちろん言い返さなきゃいけないのですよ? 正妻として」
「え、いや、その前提が無理。ディルク様の、せ、せい、正妻……」
「ルール追加です。エルスさんはディルクさんを呼び捨てにすること。あ、愛称のほうがいいかもですね」
「はあああああああ!?!?」
「あ、いいわねそのルール。そうね、いきなり愛称と言われても困るだろうから、とりあえず『ディル』と呼んでみて」
「え? まってまってロレインさん、無理。無理だから」
「「はい、エルスさん、りぴーとあふたみー、『そういえばディルがー』」」
「あーもう! わかったわよ! ゲームね!? ゲームなのよね!? 私は正妻ヅラをすればいいのね!?『そ、そういえば、でぃ、でぃ、でぃ、でぃ! ディルっっっ! がーーー!』」
「はい、いまのがターン開始の合図です。ディルクさんへ恋する乙女である僕はこう言いますね。『えー、なんなんですー? ディルクっちのことディルとかー、ええー?』」
「私はこう言うわ。『ふたりとも信じられないわ! 明日からラサで生きていけると思わないでよね!? 私ほど高貴なる赤犬様にふさわしい女はいないのよ!』」
「え、えっと……」
 返しに困るエルスへ、ふたりがまたもにっこりわらう。
「「はい、りぴーとあふたみー『ディルは私の夫だけどなにか?』」」
「『でぃ、でぃ、ディル~~~はあ~~~わ、わたわたわった、わたしのおおおお、おっと、だけ、ど、な、な、なに、くぁ~~~!?』」
「いいわね、その調子でどんどん正妻風を吹かせて行くのよ。もうゴウゴウとね!『なによアンタ、高貴なる赤犬様のなにを知っているというのよ!?』」
「豊穣風に言うなら、ちぎっては投げちぎっては投げですよ! エルスさん!『いやですわー、ほんとにー、なに勘違いしてるんですー? ディルクっちの、みらいのおよめさまはこの僕に決まってるじゃないですかー』」
「わかったわよ、そう、そうね、私が正妻を称するメスネコならこういうわね!『ほんとにディルも罪な男よね、あなた達みたいな女をレディとして扱うんだから。まあそんなところが彼らしいんだけどね』」
「そう! その調子よエルスさん!『わかってないのはあなたのほうよ! 高貴なる赤犬様は汚れ一つ知らぬ神秘のヴェールの向こうにいて、私にだけ微笑みかけてくださるのよ!』」
「おっと、そこで髪をかきあげるその仕草、ポイント高いですよエルスさん!『あー、ほんとこれだから頭ラサな人はこわいですねー。僕なんかこの間、ディルクっちとふたりきりでお茶しましたしー?』」
「なるほど、ここで言えばいいのね!? 『このどろぼうねこ!』」
「イエーイ、鹿ノ子二連勝でーす」
「「はいよくできましたー、拍手ー」」
 ぱちぱち。ふたりが肩で息をしているエルスに向かって拍手する。

 なんだこの空間。

 なるほど、ロールプレイングゲームというやつだ。あなたは強引にはじまったゲームの詳細を理解した。
 ロール(役割)をプレイ(演じる)する。
 エルスはディルクの正妻。鹿ノ子はディルクに恋する乙女。ロレインはディルク狂信者。さて、自分は何になろう。
 重要なのは、楽しむことだ。どうにかしてエルスから「このどろぼうねこ!」をいただかねばならない。あなたは作戦を練り始めた。

GMコメント

みどりです。
本当にたいせつなシナリオをお任せいただきましてありがとうございます。
なんでもね、形から入るとか、言葉にするってのが、意外と大事だと思うんです。
ちょっとずつでいいから、今の状態から抜け出せるといいですね。荒療治になりますが!

このシナリオでエルスさんはGMとして他の7人の挑戦者(みなさん)と戦わなくてはなりません。

それではメスネコゲームの詳細です。

●詳細
 エルスさんから決め台詞を引き出す言葉遊びゲームです。
 雑談中、エルスさんがなにかの拍子に「ディルがー」と言います。これがターン開始の合図です。
 PLは、思いつく限りの方法でエルスさんを挑発し、エルスさんから決め台詞「このどろぼうねこ!」を引き出します。
 引き出した人がそのターンの勝者です。
 これを7ターン(全員分)くりかえします。リプレイで描写されるのはハイライトシーンだけです。
 決め台詞が飛び出したら、エルスさんへ向かって拍手をしましょう。

●エネミー
GM「エルスさん」
 ラサの赤犬こと、ディルク・レイス・エッフェンベルグさんの正妻という「設定で」ふるまいます。ディルクのことは愛称で呼びましょう。絶対に「様」をつけてはいけません。つけると、そのターンは強制終了し、ノーカンになります。
 パンドラが削れるかもしれません。


PL「鹿ノ子さん」
 もちろんあなたの本命は豊穣にいるKAREPIPPIですが!
 ここはエルスさんのために一肌脱ぎましょう。あなたは赤犬ディルクへ恋する乙女という「設定で」ふるまってみてください。ただいま二連勝中。エルスさんから決め台詞「このどろぼうねこ!」をゲットしましょう。パンドラが削れるかもしれません。

PL「ロレインさん」
 あなたは熱狂的な赤犬ディルクのファンであり、夢女であり、強火の同担拒否という「設定で」ふるまってみてください。もちろんあなたはそんなこと、露ほども思っちゃいないのですが、ここはなりきって新しい扉を開いてみましょう。パンドラが削れるかもしれません。

PL「みなさん」
 おもいつくかぎりのどろぼうねこになりきってエルスさんを挑発してください。
 エルスさんから決め台詞「このどろぼうねこ!」を引き出した人がそのターンの勝者です。内容によっては、パンドラが削れるかも。

●戦場
 エルス領エルス居室・お茶会中
 ラサ名物のコーヒーがおいしいです。バグラヴァというおかしといっしょに食すると絶品です。
 テーブルはあふれんばかりの花とお菓子で彩られています。

●特殊ルール
プレイングにおいて『』で区切られた言葉が、エルスさんを挑発する言葉として扱われます。
地の文では場を盛り上げ、エルスさんを応援する、いわゆるPL発言として描写します。
マスタリング時、描写に迷うプレの場合、『』を使用したものとして扱います。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • メスネコゲーム完了
  • エルスさんどうなっちゃうんだろう。
  • GM名赤白みどり
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年07月02日 22時21分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

(サポートPC1人)参加者一覧(8人)

シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)
優しき咆哮
赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師
ロレイン(p3p006293)

※参加確定済み※
鹿ノ子(p3p007279)
琥珀のとなり
※参加確定済み※
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
※参加確定済み※
リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)
神殺し
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと
杜里 ちぐさ(p3p010035)
明日を希う猫又情報屋

サポートNPC一覧(1人)

ディルク・レイス・エッフェンベルグ(p3n000071)
赤犬

リプレイ

●ここではないどこか
「何してるんだ?」
「決まってるにゃー。KURNUGIA-P508で録画してるのにゃー」
『なぁごなぁご』ティエル(p3p004975)は、ひょいと話しかけてくる男を振り向いた。精悍な肢体、凛々しい顔立ち、赤い髪。王者の風格。ティエルはにっこり笑う。
「このドキュメンタリーフィルム、ほしいかにゃー?」

●前座
「エルスさんに意地悪するゲームなのにゃ?」
『少年猫又』杜里 ちぐさ(p3p010035)の問いに、『優しき咆哮』シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)は首を振った。ちぐさはよけい混乱したようだった。
「うーん、なんて言えばいいのかな。正妻としての心構えを作るために、あ・え・て、独占欲満載な女として振る舞ってみようって感じさ。荒療治ってやつだねぇ」
「あらりょうじ」
『うそつき』リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)は難しい言葉を何度か口の中でもぐもぐした。
「あらりょうじ、あらりょうじ、AAYOUI、えと……かんじゃのQOLをむしした、いりょうこういのことでいい?」
「そっちじゃなくて、よかれと思ってやる痛みを伴った処置や改革のほうが、文脈としては正しい」
「そうそウ。ちナ、出場者は俺こと赤羽のほうナ。大地はツッコミ、にぎやかシ、珈琲のおかわリ、お菓子の補充、メンタルケア!」
『彼岸と此岸の魔術師』赤羽・大地(p3p004151)の、いまは大地の方が顔をしかめた。
「待って。なんでPLの赤羽よりも俺が忙しいの?」
「うるせぇなァ、俺が頭フル回転させてんだかラ、お前はその分チャキチャキ働ケ」
「うわ……理不尽かよ……ほんと赤羽は嫌なイミでぶれないな」
「へっへっヘ、まぁこんなゲーム、赤羽様にまかせとけヨ。すなおでいいこな大地君はすっこんでナ」
「やかましわ」
 自分で自分の額を小突き、大地はさらっとウェイター服に着替えた。あら、とロレイン(p3p006293)が目を丸くする。
「意外ね。黒服、似合うじゃない」
「どうも」
 大地はそつなく挨拶を返す。
「形から入るって大事ですよね。大地さんも、エルスさんも」
 意味深な視線を『黒犬短刃』鹿ノ子(p3p007279)は『祝福(グリュック)』エルス・ティーネ(p3p007325)へ送った。もうこの時点でタジタジのエルスだ。
(いやそもそも、あのお方の、せ、せ、正妻……? 既に設定が無理よ!? ほんとどういうゲームなのよ、考えついたやつ出てこい!)
「ふふっ、エルスさんてば目を白黒させて。内心がモロバレだよ? はたしてGMが務まるかなあ?」
『星月を掬うひと』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)が優雅に珈琲カップへ口をつける。エルスは拳を握る。
「……そうね、『正妻になりたい』……そんな言葉は使う必要がないわね。なぜなら私は、私を応援してくれてる人たちは、実際に私がそうなることを望んでいるからッ」
 謎の気迫が空気を揺らしている。エルスはかっと目を見開いた。
「『正妻になった』なら使ってもいいッ!」
「「OK!」」
 拍手が飛ぶ。花が舞う。歓声があがる。メスネコゲーム、開始。

●設定1「ディーお兄ちゃんをしたう忠犬で番犬なわんこだよ、赤犬にちなんで銀犬の二つ名を持つよ、恋人より強い家族の絆を持っていてお兄ちゃんに聞かづく輩へは『しょせん赤の他人』とマウントを取りに行くからね、エルスさんもたまたま気に入られただけの相手とみなして姉として認めないからよろしくね(早口)」
「……うん? ぼくのハイセンスにいやなよかんが」
「どうしたのリュコスさん」
「ううん、きっときのせい、だとおもいたい。だいじょうぶ、『ぼくはHP40%きってからがしょうぶ』」
「『可愛い顔して復讐型なのね』」
「『ほめたところでぼくのきもちはかわらないけど』」
「『気持ち? なんのかしら』」
「『もちろん、ディーお兄ちゃんへちかづく、エルスみたいなおんなはみとめないってこと』」
「う、うう、わかっていても、言われると胸に刺さるものがあるわね」
「ゲームだよ、エルスさん!」
「そうよね、わかってる、わかってるけど、ううう」
「エルスさん、そこでふっきるんだよ! ぼくはエルスさんのみかただからね! エルスさんがどうどうとあのひとのそばにいるところ、みてみたい!」
「ありがとう、じーんとしちゃったわ。続けるからね!『わ、わたしは、でぃ、ディ、……ディルのぉっ(↑)つ、妻(↓)、だけ、どっ?』」
「いくね!『おくさんっていうけどけっきょくはあかのたにんじゃん』」
「うわ、きっつい! この程度でくじけちゃダメよ私。『そういうあなたは、何者なのかしら?』」
「『ぼくは銀犬。きょーだいのつながりがあるぼくのほうがディルクお兄ちゃんのことわかってあげてるんだけど……あっ、たまたまおんなずきのお兄ちゃんにきにいられただけのエルスにはわからないかぁ、このかんかく』」
「リュコスさん、いいところをついてくるじゃない」
「まだいけそう? エルスさん。むりそうなら、リタイアする?」
「序盤でいきなりリタイアなんて、さすがにくやしいから耐えるわ。『へー、なら、でぃでぃでぃ、ディルは、あなたのことをどう扱うのかしら』」
「ドロー! ぼくのばん!『お兄ちゃんはねー、いつもぼくのことをえらいねってあたまをなでてくれるんだ。「俺の相棒になれるのはお前だけだ」ってねぇ……? やっぱりさいごにとなりにいるのはもっとまえからつよいきずなでむすばれたかぞくなんだよね! いっしょにいても……よわよわエルスさんじゃあ……』」
「こ……」
「こ?」
「この……」
 言いづらい。言いにくい。だってあの方の傍に居るということは……。エルスがだまりこんでしまった。若干不安になってきたリュコスは別な方向から攻めることにした。
「『あ、ぼくお兄ちゃんのねがおみたことあるよー。かわいかったなぁ』」
「こ、『このどろぼうねこ!』」
「えらい! よくいえたねエルスさん! はくしゅー!」

●設定2「僕のロールは『赤犬パパ』の純真かわいい子猫なのにゃ。もちろん僕のパパは杜里さんだけど、エルスさんを勇気づけるためにがんばるにゃ! 嘘はよくないけど、嘘も情報のうちってショウさんが言ってたにゃ! それじゃスタートぉ!(元気よく)」
「さっきからずっと聞き役なのに、開始の合図がまったくないのにゃ」
「ごめんなさい、やっぱり、その、ディ、ディルクさm……」
「それ以上はやりなおしにゃ! ちゃんと愛称で呼ぶにゃ!」
「う、がんばる」
「応援するにゃ」
「『この前、ディ、ル、がねっ』」
「ちゃんと開始の合図言えたのにゃ! もうえらいのにゃ、百点! それじゃ寝ずに考えた僕とっておきのセリフを披露するにゃ。『僕は知ってるにゃ! 赤犬パパはラサの顔だし、イメージ重要だから色んな女の人に声をかけるのが『お仕事』なのにゃ』」
「うぐっ! クリティカルヒットォ! ……お仕事、ふふふ、そうね、もしかしたら……そんな、ことも、なきにしも……」
「そこで揺れちゃダメにゃ。これはゲームにゃ。GMが揺らいでどうするにゃ!」
「ありがとう、リュコスさんもちぐささんも、もちろん他のみなさんも、私のためにゲームをやってくれてるのよね。女エルス、受けて立つわ!『仲間へ兄貴風を吹かせるのも、……でぃるのぉ、『お仕事』じゃないかしら?』」
「いい返しにゃ。百点追加にゃ。続き行くにゃ!『そんなことないにゃ! 赤犬パパ、最近『お仕事』疲れてるみたいだけど、僕と一緒だと元気出るって言ってくれるのにゃ!』」
「言われたいセリフっ!」
「エルスさん、いい女である必要はないにゃ。ずっと僕の手番!『この前、赤犬パパに練達の遊園地に連れて行ってって言ったらね……って、これは赤犬パパとのヒミツなのにゃ! 聞かなかったことにしてにゃ!』」
「くううっ!」
 エルスは思う。秘密を持つ男はすてきだ。だが、そんな秘密は、できれば持ってほしくない。ああこれも嫉妬だろうか執着だろうか、束縛、だろうか。自由を愛する彼が、最も嫌う……。しょんぼりしていくエルスに、ちぐさが声をかける。
「僕はディルク様にはエルスさんがお似合いって思うのにゃ。だから手加減はしないにゃ。だって一国の頭と恋仲になるってそういうことだと思うからにゃ。いくにゃ!『赤犬パパはエルスママと『お仕事』で一緒にいるより僕と一緒にがいいって言ってくれるのにゃ! 赤犬パパを癒せるのは僕だけなのにゃ♡ 僕、赤犬パパになでなでしてもらうの、大好きなのにゃ♡』」
「『このっ、どろぼうねこ!』」
「元気のいいどろぼうねこだったのにゃ! 拍手ー!!」

●設定3「昔。ディルクの気まぐれで助けられたことがある女の子。自己評価が低く、自分がディー様の隣に立つなんて……と終始遠慮した様子を崩さないが、もしかしたらそんな夢みたいな話があるのかも、という気持ちをついうっかり口にしてしまう。腹黒? まっさかぁ。で、いくよ!(ワンブレス)」
「場が温まってきたね、エルス姉さん」
「シキさんも加わるの?」
「あはは、私はエルス姉さんに会いに来ただけなんだけどね。でも姉さんのためになるというなら、一枚噛もうかな」
「おてやわらかに……ううん、及び腰はだめよね。来なさい!」
「では」
 軽く咳払いをしたシキは、おどおどと、しかしどこか夢見るような表情になった。
「『私はディー様に会いに来たので……皆様とお喋り? しに来たのではないので……あ、皆様がお話しされているようでしたら、私は全然ひとりでお会いしに行きますけれど……』」
「すう、はあ、深呼吸して、手に『ディルク命』って書いて、飲んで。行くわっ!『抜け駆けのつもりかしら? でぃいいっ、ディルの隣へ立とうっていうの?』」
「『私なんかがディー様の隣になんて滅相もないです! なにより素敵なエルス様がいらっしゃるんですもの。私なんて見向きもされないですよね……だからあの日のことはきっと気まぐれだったんです。そう、ですからお気になさらないで?』」
「これは強い引き! リールを回す手に力がこもるわ! 『どういうことかしら、詳細を語ってくださる?』」
「『そんな、私の口からは……エルス様を相手に言えるわけがないです』」
「『わ、私、……でぃるのぉ、こと、何でも知っていたいの』」
 お? シキは感づいた。エルスのセリフにすこしずつ、感情がこもり始めていることに。だからダメ押しした。
「『私と彼が運命の糸でつながれているって……信じることだけは、してもいいですか?』」
 エルスは考えた。これから先、シキのように振る舞う人はいくらでも出てくるだろう。落ち込んでいく自分を止められない。ならば。叫ぶしかない。テンションを上げて、自分を鼓舞するのだ。
「『このどろぼうねこ!』」
「はい! 大きな声! エルス姉さんがんばったねぇ、拍手!」

●設定4「いきなり同担拒否夢女にされた私の気持ちも考えてくれる? 喫茶店で珈琲飲もうかと思ってたら抹茶を出された気分よ。濃いやつね。ええ、いいものだっていうのはわかるけれど。TPOってものがね。とはいえ飲まないのは女がすたるわ。夢女の恐怖、とくと味わいなさい?(ニタァ)」
「勝ちにいくわ」
「やる気ね、ロレインさん?」
「だってエルスさんはもっと欲を見せてもいいと思うの。このゲームで妄想集でも聞いて少しは正直になりなさいな。始めるわ『そうそう、ディルはこの前仕事帰りにご飯に連れて行ってくれてね?』」
「『あら、ディ……ディル、の、女好きには困ったものね』、ふう、まずは気にしてないふりで切り抜けてみるわ」
「いい調子ね。悪くない感じよ。愛称呼びも板についてきたじゃないの。続けるわ。『未成年連れ出したりして、お酒飲めないわよ? って言ったら「いいんだよ、深酒しても素面のお前がいりゃあ面倒見てくれるじゃん?」って』」
「『ふぅん? それで? っ、ディルっのそばにいたら、まあそういうこともあるかもって感じね』」
「エルスのそのやさしさ、とりあえず受け入れて聞く態勢なのはすばらしいところだけど、このゲームでは裏目に出るわね。攻撃されっぱなしですもの。『隠れ家的な近くの宿の位置とか聞いてる内にボトル空けちゃってるし、お店出る頃には千鳥足だったから肩貸して宿まで、ちょっと重かったけど、鍛えられた男の胸板を感じられたわ?』」
 ロレインは気持ち上から目線でエルスを眺めた。優越感を全面に押し出している。エルスはひっしに言葉を探しているが、それを待ってやるほどロレインは手抜きではない。
「『酔ってる殿方の息遣いって、低くて、ちょっと荒々しくて、胸が高鳴ってしまうわね。部屋に着いたら限界だったのか倒れ込まれちゃったから、成り行きで膝枕して……一国の長の無防備な寝顔鑑賞は素敵な時間だったわよ?』」
「『このどろぼうねこっ!』」
「うーん感情の入ったいいどろぼうねこだったわ、拍手!」

●設定5「これはゲームで浮気なんかじゃないですほんとです、信じてくださいそもそも付き合ってすらいないですが(豊穣に向かって)! さて、設定ですが、ディルクさんへ稽古をつけてもらうという建前でつきまとう系恋する乙女です。よろしくおねがいします(ぺこり)」
「では、僕の番ですね」
「強敵ね。かかってきなさいというべきシーンかしら」
「エルスさんのためなら一肌脱ぎますとも。エルスさんはですね、『願望』があるんですよ。だから『諦念』が生まれるのではないですか?」
 エルスの顔が曇る。そうなのかしら、と。
「人の気持ちというものは、覗き見する第三者のほうがよく知っていたりするものですよ。豊穣では岡目八目と言います」
「そう……難しい言葉ね、だけど、心へ留めておくわ」
「始めましょう。『そういえば僕って、ディルクっちの魔剣『黒犬』のレプリカを使ってたことがあるんですよねー』」
「『そ、そう、良かったじゃないの。でぃる、ぅぅぅ、も、周りにいる方々も、人を見る目があるものね』」
「『そうなんですよ。レプリカを女だてらに使いこなしているものだから、『赤犬の群れ』のひとたちに将来を見込まれて”黒犬短刃”なんて呼ばれてたりして!』」
「実際にそうだから何も言えないわ……」
「弱気は禁物ですよ。エルスさん。ここがふんばりどころです」
「そうね、がんばるわ。続けてちょうだい」
「ではお言葉に甘えて。『なんていうか”懐刃”って感じの響きだと思いません? 信頼されてるっていうかー、ちょっと下がったところで控えている大和撫子でありながら夫の背中を守る良妻になれると思うんですよねー僕って!』」
「『そう、ッ、ディル、は、……女性なら誰にでもあんな感じよ?』」
「反撃に来ましたね。いい兆候です。まずは自意識をそっちの方向へ持っていきましょう。大丈夫、ディルクさんなら受け止めてくださいますよ。『そんなことないですよ。思い出のショットだってあるんですから』」
「『ディルとの思い出なら、私も負けてないわ』」
「『即席の?』」
「『そんなわけないじゃない、このどろぼうねこ!』」
「拍手ー! よくできましたエルスさん! その調子で行きましょう!」

●設定7「ラサへやってきた行商の父を持つ娘でダンスが上手くてディルクに褒められたことがある、ちょっと褒められただけでのぼせあがっちゃったあざと女、無意識のこってこてぶりっ子でいくから、覚悟してね?(サムズアップ)」
「ワタシの本命はアトさんよ? そこは間違えないでね?」
「もちろんよフラーゴラさん、これはゲームだからね」
「あら」
 フラーゴラがにんまり笑う。
「そこそこ心の整理がついてきた感じかな」
「うっ、改めて言われると、言葉にしづらいものがあるわね」
「ふふふふ? ワタシだってラサに領地があるし、負けてらんないから。ドロー、ゲーム!」
「さあ来なさいっ!」
「『戦いのことはよくわかんないけどディーくんって熱心だよね。強いし、かっこいいし』」
「『そうね、わ、わわわ私の、ディル、だから、当然よね』」
 まだちょっといいにくそうにしているエルス。だがだんだん口がなめらかになっている。手応えを感じたフラーゴラは次の手をくりだした。
「『この間も赤犬の群れの装備を一新したいってうちの武器をじっくり眺めてたんだあ……! 鋭い視線にワタシやられちゃったあ。ラサの暑さのせいだけじゃないよねっ! ディーくんの視線、熱いから』」
「『ちょっと頭がゆだってるみたいね、水風呂を紹介しましょうか』」
「『思うんだけど、血縁とか土地の繋がりとか長く付き合ってればいいってもんじゃないよねっ。運命ってそういうものでしょう?』」
「『運命ってんなら、その小馬鹿にしてる血縁とか地縁とかいうものに似合う働きをしたら?』」
 すばらしい。フラーゴラはニヤニヤが止まらなかった。あのエルスが、すらすらと言い返している。
「『この間なんかね、ディーくんとお茶した時に……あっあっ、この話ナイショだった!(人差し指を立てて)しーっ(口で言う)……ナイショね(ウインク)!』」
「『(ひくっ)ひ、人の口に戸は立てられないわよ? あなた、ディルとまともにお付き合いできると思ってるの?』」
「『ワタシって顔はそんなに悪くないし……ディーくんとワタシってきっとお似合いだと思うんだよね。……やだやだエルスさんこわあい……そんなにムキになることないのにい。あ、もしかして図星?』」
「『ふざけないでよ、このどろぼうねこ!』」
「勝利! 勝利だよー! はい、拍手ー! よく言えましたエルスさん!」

●字数の関係でいきなり奥の手をだすゼ
 大地は、いや、赤羽が席へ座った。エルスの正面になる席だ。おさえきれない笑みは愉快犯としての愉悦と、いたずらっこの気分。
「まあ今回俺がこの卓に混ざったのっテ、長命な者が実に青い事で心乱される面を合法的に間近で拝めるからなんだけどナ?」
「おっ、最低か???」
「えっ、最低ね???」
「何言ってんダ。オトメをオトナにするお手伝いだゾ。慈善事業だゾ? 始めるカ」
 赤羽は足を組むと、顎へ手のひらを当て、エルスを値踏みするかのように見回した。
「『ふぅン、これがDノ、ねェ。蝶よ花ヨ、って感じのお嬢さん方だガ、まさか害虫だったりハ……おっト、この先は言わぬが花カ?』」
「『あなた、ディルの何様なの? 私は……』
「『知ってるカ。アイツ、寝てる時はマジで無防備デ、ふわふわデ、クッソかわいいんだよなァ〜。ラサの赤犬が子犬の頃に戻ったみたいだヨ』」
「『あらそう。ディル、余所見ばかりするから。……私くらいは余裕を持っておかないとね?』」
 赤羽が急にテーブルの上へ乗り出し、エルスの手を取った。
「『俺との約束、守りきったか、よくやったエルス・ティーネ』」
「なっ!!!!!」
「ふふン。誰かさんの声真似ならまかせロ。『ちゃんと姉妹喧嘩できてよかったな?』」
「ちょ、反則!!!」
「まだまだセリフのレパートリーはあるゾ、Dじゃ絶対言わない口説き文句だって言えちゃうからナ、俺ハ」

「誰が誰の声真似でなにをするって?」

 場が一気に凍りついた。
 靴先で床を叩きながら、その人、ディルク・レイス・エッフェンベルグが立っていた。
「今なんて言ったんだ、赤羽・大地」
「は、はハ、はははハ」
「あはははははははは」
 赤羽と大地は笑いながらフリーズしている。


「うわああああああん! 忘れてくださいディルク様ー!」
「さーどうしようかな? なあ、デザート・プリンセス?」
「ただのゲームなんです、ごめんなさいディルク様ぁ!」
 ディルク相手に何度も言い訳して、それでも内心、エルスは。
(いつかは、あなたのことを『様』抜きで呼んでみたい。その意味を私は知っている。ディルク様、ディルク、ディルク……だめ、まだ、すこし、でも……)
 心に抱いたは、光。

成否

成功

MVP

エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)

状態異常

なし

あとがき

おつかれさまでしたー!

ちょっとは、メンタルセットができたかな?
MVPはすっごいがんばったね! あなたです!

またのご利用をお待ちしています。

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