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シナリオ詳細

街道のヘデロンパ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●食欲魔獣の繁殖
 幻想から鉄帝へと至る陸路の中に、フィオーシャ街道という道がある。
 風光明媚なその街道は、険しい道の中にある癒やしの場として有名で、街道を行く多くの者の憩いの場として親しまれていた。
 『パサジール・ルメス』のキャラバンの一つ、『ケルトース』も今回の物資運搬のルートにフィオーシャ街道を選択することを決めた。
 『ケルトース』は主に食材などを運搬するキャラバンである。それ故か、自身が食事を取るときもこだわりの食材を使った豪華な食事がでることが多い。
 キャラバンの者達は皆、フィオーシャ街道の景色を想像し、そこでの食事休憩を楽しみにしていた。
 ――しかし、フィオーシャ街道へと辿り着くまさに直前。その影を見つけてしまう。
「見ろ! あ、あれは――」
「ヘデロンパだ! ヘデロンパが繁殖してる!」
 ヘデロンパ。
 そのへんてこな名前の生物は、あらゆる物を食い尽くすことで有名な魔物である。その姿は獣の形をしたスライムで、姿を逐一変え、溶けながら行動する。
 ヘデロンパ一体だけならば、それほど脅威ではない。だが普段群れて行動することの少ないヘデロンパが、このときは繁殖、増殖し街道に広がっていた。
 食材の匂いに釣られ、ヘデロンパ達が一斉に動き出す。
「護衛のアンタら、頼んだぞ! ヘデロンパを全部退治してくれ!」
 『ケルトース』の長に肩を叩かれたイレギュラーズはキャラバンの前へと飛び出した。
 その脳裏には、出発前に聞かされた話が想起されているのだった――


「ヘデロンパ? なんのこっちゃ」
「食欲魔獣ヘデロンパ。スライムなんだけど、その形を獣に変えて襲ってくるはらぺこ魔獣ね」
 パサジール・ルメスのキャラバン護衛を依頼されたと聞き、『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)がイレギュラーズへと手にした情報を与えていた。
「フィオーシャ街道辺りで繁殖しているという話を聞きつけてね。たぶんそこを通るはずだから、遭遇したら戦闘になると思うわ。
 姿は獣だけれど、その本質はスライムよ。ようは噛み付いて溶解するのを基本行動にしているわけね」
 食欲魔獣と呼ばれるだけあって、とにかくなんでも溶かして飲み込んでしまうという。食いつかれれば、肌を溶かされるどころか肉ごと持って行かれてしまうだろう。
「判明している弱点は炎と氷。燃やしても良いし氷漬けにして砕いてしまってもいいわ。とにかく温度差を与えるのが基本ね」
 ただし、スライムに似つかわしくない速度で移動するヘデロンパは回避に優れている。しっかりと命中させる方法が必要だろう。
「フィオーシャ街道はゼシュテルへ向かう道の中でも、多くの人が通る街道よ。ヘデロンパみたいな暴食の魔獣を放置しておくわけにもいかないし、がんばって退治してもらいたいわね」
「それじゃ依頼がんばってね」そう言ってリリィはイレギュラーズの肩を叩いて去って行った。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 獣に姿を変えるスライムが現れました。
 暴食に飢えるスライム達を撃破しましょう。

●依頼達成条件
 ヘデロンパ十体の撃破

■失敗条件
 ヘデロンパにキャラバンの積み荷を食べられる

●情報確度
 情報確度はAです。
 想定外の事態は起こりません。

●ヘデロンパについて
 スライムの亜種で、その緑の粘性の身体を獣(肉食動物)に姿を変えて、食物という食物を食い荒らす厄介な魔獣です。
 スライムに似つかわしくない反応速度と回避力を持っており、素早いです。
 食べ物の匂いに敏感で、食べられるものを優先して襲います。人間は優先度低めですが、最終的に食べようと襲ってきます。
 戦闘力はそこそこですが、攻撃力が高い為、油断すると手痛い傷を負うことになるでしょう。
 炎と氷が弱点です。

●戦闘地域
 幻想と鉄帝を繋ぐフィオーシャ街道入口になります。
 時刻は十三時。
 広々とした遮蔽物のない場所となります。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • 街道のヘデロンパ完了
  • GM名澤見夜行(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年10月16日 21時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

鳶島 津々流(p3p000141)
行く雲に、流るる水に
御堂・D・豪斗(p3p001181)
例のゴッド
ロイ・ベイロード(p3p001240)
蒼空の勇者
ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)
光の槍
ニーニア・リーカー(p3p002058)
辻ポストガール
ルミル(p3p002677)
インドア天使さん
エリーナ(p3p005250)
フェアリィフレンド
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
ミルキィマジック

リプレイ

●お菓子な罠
 トンテンカン、トンテンカン。
 釘打つ音が響く此処は、フィオーシャ街道を目前にした休憩地点。
 いよいよ景観の素晴らしいフィオーシャ街道へ入るぞといったところで、イレギュラーズは休憩を提案し、キャラバン『ケルトース』の進行をストップさせた。
 これには当然理由があり、『ケルトース』のリーダーも納得し受け入れた。
 そう、この先には暴食のスライム、ヘデロンパが繁殖している情報があるのだ。
 名前だけ聞けば面白おかしい相手だが、食材を運ぶ『ケルトース』とは相性が悪い。万全の備えをする必要があった。
「ふう、こんなものかな!」
 トンカチ片手に額の汗を拭う『絆の手紙』ニーニア・リーカー(p3p002058)は自前の荷馬車の改造を終えてご満悦だ。
 開閉式の扉が付けられて、見た目は巨大な小動物用の罠だ。
「見事な出来映えですね」
 馬車の出来映えを確認して『妖精使い』エリーナ(p3p005250)手を合わせる。エリーナがやってきたのを確認したニーニアは、早速罠の肝となる餌の準備お願いした。
「妖精達よ、どうか力を貸して下さい」
 エリーナが願えば、どこからともなくお茶会好きの妖精が現れて、次から次へとお菓子とお茶を用意する。
 これで際限なく用意させればお菓子とお茶で荷馬車が一杯になるところだが、妖精達も気まぐれで、ある程度のお茶とお菓子が用意されればそれで満足して去って行ってしまう。ヘデロンパの食事量がどの程度なのかは分からないが、十分とは言えない結果となった。
「とはいえ、罠には十分な量ではないかなあ?」
「まあお菓子に食いつくかどうかって所もわからないしな。引っかかってくれればいいが」
 十分とは言えない結果に肩を落とすエリーナを慰めるように『行く雲に、流るる水に』鳶島 津々流(p3p000141)と『蒼空の勇者』ロイ・ベイロード(p3p001240)が前向きな言葉でフォローする。
「んむ! ふぉんなにぐれいとていすてぃなスウィーツならふぉんだいないだろう!」
「ああ!? 豪斗さんなんで罠のお菓子食べてるんですか!?」
 さも当たり前のようにお茶とお菓子に手を付ける『不知火』御堂・D・豪斗(p3p001181)は自由なゴッドである。ゴッド故に遠慮はない。遠慮はないが、それ故に発見した『偽装職人』ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)にぺちぺちと叩かれ叱られた。
「あはは、劇毒まぜるまえでよかったよー。それじゃ最後の仕上げをしちゃうねっ」
 『インドア天使さん』ルミル(p3p002677)が手にした劇毒をいくつかのお菓子に垂らしていく。暴食のスライムに何処まで通用するかは疑問だが、やれる手は打っておく慎重派だ。
 ルミルはさらに、荷馬車の積み荷口の片側にロープを結んでおく。そうして抱えている猫ぐるみを馬車の底へと誘って、
「シィちゃん、手はず通りにお願いね」
 と、機械仕掛けの相棒に後を託すのだった。
「これで準備は完了だね!
 休憩時間も終わりみたいだ。いよいよだね、駆除がんばろう!」
 やる気マンマンな『見習いパティシエ』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)の言葉通りキャラバンの移動が開始される。
 イレギュラーズは、それぞれの荷物を抱えキャラバンの後へと付き添い歩き始めた。
「そういえばヘデロンパは食べられない物とかないのかい? 苦手なものとか」
「事前に調べてみたのですけれど、苦手な物とかはないみたいですね……臭いが強い物を好むようですけれど」
 津々流の疑問に、モンスター知識を持っていたエリーナが答える。
 キャラバンの運ぶ干し肉や果物の匂いは強いが、イレギュラーズの用意した荷馬車も相当に匂う。
 それはお茶の匂いであったり甘味の乗った甘いお菓子の匂いだが、強い臭いで在る事には変わりないだろう。
 囮の荷馬車が上手く機能しますようにと、内心に広がる大きな鼓動を確かにしながら一行はフィオーシャ街道へと差し掛かる。
 そして――
「見ろ! あ、あれは――」
「ヘデロンパだ! ヘデロンパが繁殖してる!」
 キャラバンの人々から声が上がった。
「ん? ……出たか」
 ロイが武器を手に取り荷馬車から降りる。
 すぐにリーダーがやってきてイレギュラーズに白羽の矢を立てた。
「護衛のアンタら、頼んだぞ! ヘデロンパを全部退治してくれ!」
「お任せ下さい!」
「ゴッドと、そしてヒーローズ&エンジェルズに任せるがよかろう! ビックシップに乗ったつもりでな!」
 そうしてイレギュラーズは暴食のスライムヘデロンパと対峙する――

●暴食スライムの食事
 緑色の不定形な身体が、見る間に数多の獣へと姿を変える。
 十体の緑の獣(スライム)が、匂いに釣られて今にも飛び出しそうな勢いでキャラバンを睨んでいた。
 イレギュラーズは早速ヘデロンパ対策に用意した物を動かす。同時にルミルはキャラバンの周囲に陣地を構築した。
「まずは荷馬車(ヘデロンパホイホイ)に食いつかせないとね!」
 何はともあれ、罠に引っかけなければ用意した意味が無い。
 ニーニアが荷馬車をキャラバンから離れた所に持って行き、ヘデロンパの注意を引く。
「あ、ヘデロンパが!」
 二匹のヘデロンパが近かったキャラバンの方へと向かおうとする。
「これでも食べて、止まってちょうだい!」
 すかさずニーニアは用意していた唐揚げとジェラートを投げつける。すぐに匂いに反応してヘデロンパが一斉に唐揚げとジェラートに殺到する。その勢いたるや、何日も食料を得られなかったハイエナの如し。
 獣の頭で食べるのかと思いきや、餌に向けて顔を叩きつけて、丸呑みにしようとする光景は凄惨な一言に尽きる。
「わわ、結構な光景だねぇ」
「あの勢いだと積み込んだお菓子とかはすぐに食べられてしまうかも……」
 例え荷馬車に満載していたとしても、状況は大きく変わらなかったかもしれない。それほどまでにヘデロンパの食事風景は驚愕で尋常ならざるといえた。
 唐揚げとジェラートを貪り食べたヘデロンパは、二手に分かれる。三匹がキャラバン本体へと向かい、残り七匹は囮の馬車へと向かった。
 囮の馬車を取り囲むヘデロンパは積み荷口を見つけては殺到する。我先にと中のお菓子を体内に取り込み、消化を開始する。
 瞬間、積み荷口が扉によって閉じられる。改造した罠が作動したのだ。それを合図にルミルの相棒シィちゃんがよじよじと荷馬車の底から現れて、ロープで扉を包んでいく。結ぶことはできないシィちゃんだが、あれだけぐるぐる巻きにすれば早々解けることはないように思えた。
「罠はうまくいってるね!
 それじゃあとはこっちに来た奴らを片付けよう!」
 誰よりも高い反応を持って先陣を切るのはミルキィだ。
 近づこうとする三匹に向け魔力を練り上げ放つ。それは大気中の水分と魔力を練り込んだ無数の巨大ジェラート。スイーツマジックと銘打たれた隕石落としが三匹を狙って叩きつけられる。
 いくつかの小さな破片がヘデロンパの体内で消化されたようにも見えるが……気のせいだろう。
 傷付いた身体を整形し、ヘデロンパ三匹がキャラバンへと近づく。これに対してイレギュラーズは全員で対応に当たっていた。
 近づけさせないようにルミル、エリーナが二匹をブロックし、残る一体を豪斗がブロックし、残りのメンバーがマークしながら武器と魔力を叩きつけていく。
「そっちが獣なら、こっちも獣です!
 ――ルルの獣は熱いですよ!」
 ルルリアが二丁の魔銃から魔力を放てば、炎の獣が生み出される。一声鳴きヘデロンパへと駆ける炎獣が緑の獣を燃やし焦がす。
「逃げるなら、キャラバンとは逆に言って貰おうかなあ。そら――!」
 熱を嫌がり素早く間合いを取ろうとするヘデロンパに、津々流が青き衝撃波を放つ。衝撃によって飛ばされたヘデロンパの身体が不定形に歪む。
 目の前にご馳走があるのに、邪魔者に阻まれることにヘデロンパは苛立ちを覚える。餌にありつくために、まずは目の前の人間を退かすことが先決だと、一時的にそのターゲットをイレギュラーズへと向ける。
 力強く狂暴な叩きつけがイレギュラーズを襲う。
 ブロックをしていた面々は手痛い反撃を受け傷を負うが、倒れるまでには至らない。治癒の術式をもって傷を癒やし、再度ヘデロンパへと向かっていった。
「空腹で苛ついているのか?
 単細胞なスライムかと思えば、そんな感情も持つんだな」
 ロイが魔力を高め、手に焔を宿すと、ヘデロンパに向け解き放つ。焼かれるヘデロンパが列を為したと見れば、細身のレイピアを横薙ぎに振るう。
 極限の集中より放たれる紫電の一閃がその不定形な獣の頭を叩き落とす。ヘデロンパは痛みに打ち震えながら、新たな頭を作りだそうと蠢いた。
「そっちに行っちゃダメだよ――!」
 ルミルの必死のブロックにヘデロンパの動きが止まる。そのタイミングを好機と見計らってエリーナが魔力を高めた。
「力を貸してください――スティーリア!」
 エリーナの呼びかけに応じて姿を見せる氷の妖精『スティーリア』。魔力が巡り戦場に無数の氷柱が降り注ぎ、ヘデロンパの身体を穿ち凍結させていく。
 身体が氷付き、思うように変身できなくなったヘデロンパが、恨みがましい視線を向ける。
「チャンスにはアタックであろう!!」
 そんな視線などお構いなしの我らが豪斗(ゴッド)が、その神の威光を放つ。なんだかよくわからないがゴッドがソウルでフィールした結果、ヘデロンパの生命力が崖っぷちに追いやられていた。
 いざ、止めを――豪斗が大仰に構え、疑似神性を下ろした片腕を振り抜こうとした瞬間――
「ちゃんと、止めさしてくださいね!」
 シュババっと駆けてきたルルリアが異能の炎で死にかけのヘデロンパを燃やし尽くした。ついでと言わんばかりにルルリアは囮の馬車にも炎を放ち、罠ごと燃やす算段だ。
「ううむ、まさにラストフィニッシュなところだったのであるが」
 豪斗は振り上げた手の落としどころを見失い、わずかな思案の後、とりあえず並び立つ残りのヘデロンパを薙ぎ払うのだった。
 イレギュラーズが善戦し、キャラバンを襲うヘデロンパ三匹を倒しきる頃、罠にかかったヘデロンパ達は、食事を終え、燃えさかる荷馬車からの脱出を試みていた。
 それは食事と大差ない。燃えさかる木だろうが、金属だろうが、大理石であろうが全てを飲み込むのだ。
「あ――! 荷馬車が!」
 そしてついに、七匹のヘデロンパを抱えた荷馬車の木々は破壊され、未だ満腹をしらないヘデロンパ達が野に放たれた。
「すぐに来るぞ!」
「数が多いですけど……なんとか防ぎます!」
 出来るだけヘデロンパが広がらないように、そしてキャラバンに近づかないように、イレギュラーズがヘデロンパを取り囲む。
 だが当然ながら全員でブロックをするわけにも行かなかった。攻撃手を用意しなければ、ヘデロンパ達はいずれブロックを突破しキャラバンの積み荷へと食らいつくだろう。
 状況を確認しながら、役割を分担する必要があった。
 だが、ここで不運にもミルキィがヘデロンパの抵抗の餌食となる。
 油断があったか、或いは準備が足りていなかったか。直撃を受けたミルキィは、抵抗する間もなしに地に倒れ込み、ヘデロンパの暴食の餌食となる。
 慌てて避難させるも、傷は深い。意識も戻らないことから戦闘の継続は難しそうだった。
 これによって形勢はかなり不利になる。
 同数の敵をブロックしながら殲滅するというのは、現実的とは言えないだろう。
 唯一幸運だったのは、一度食事を行ったヘデロンパ達の動きが緩慢だったことだろう。鋭く素早い動きはそこになく、惰性で食事を続けるような雰囲気があった。もしかしたら事前に撒いていた劇毒の影響もあったかもしれない。
「とにかく一匹ずつ倒していこう!」
 ヘデロンパの行く道を塞ぎながらニーニアが声を上げる。イレギュラーズは頷いて、残るヘデロンパの殲滅戦に移った。
 手順は変わらない、できるだけブロック、マークをして行く手を塞ぎ、キャラバンの積み荷へと至る過程を遅延させる。そこに持てうる火力を集中し、確実に倒して行くのみだ。
 突破された際になにか遅滞できるアイデアがあれば良かったが、あるのは戦闘開始前にルミルが構築した陣地のバリケードだけだ。七匹のヘデロンパを防ぐには少々頼りないと言えだろう。
「これ以上のムーヴはゴッドが許さぬ故、デスを覚悟してウォークするがよかろう!」
 この不利な状況で圧倒的な活躍を見せたのは豪斗だろう。
 名乗りを上げヘデロンパ達の注意を引くと、一身にそのヘイトを受け持った。一時的とはいえ、この行動によって火力を集中する事ができたのだ。
「豪斗さんに注意が向いている今なら――!」
 ルルリアが魔力の銃弾を放ち炎獣を産みだすと、豪斗を狙うヘデロンパを燃やしていく。続けて異能なる炎も生み出してこの暴食の魔獣を焼き払う。
「近づいてる今なら、弱点を狙うという手もあるかねえ
 十分効いてくれるといいんだけど……」
 津々流が腕を振れば、鮮やか火花が舞い踊る。まるで生き物のように舞う火花がヘデロンパへと零れ火種となって燃えさかった。
 ニーニアも力の限り攻撃を加えていく。
「皆を巻き込まないように気をつけて……これなら!」
 仲間を巻き込まないように細心の注意を払いながら、ヘデロンパの群れに魔力を集中する。至近より膨れあがる魔力の塊が、轟音を立てて爆発する。爆煙より退避すればそこにあるのは火炎に包まれるヘデロンパの群れだ。
「いいぞ、効いてる。
 魔物とはいえ、やはり、このタイプは獣と変わらんな」
 冷静に敵の塊を見据えるロイが、紫電を走らせる。一閃の煌めきがヘデロンパの擬態する獣の肉体を切り落としていく。
 このイレギュラーズの攻勢で、ヘデロンパは残る数を七匹から三匹へと減らしていた。
 しかしその代償も大きく、一身に攻撃を受けていた豪斗が大の字に倒れるとヘデロンパの行く手を各人が遮るしかなくなった。
 結果、パンドラへ縋ることを願ったもの以外は、皆そのヘデロンパのスライムらしからぬ強打を受け膝を折ることになった。
 残されたルミル、エリーナ、ルルリア、ニーニアの四人はバリケードを使いながら、ヘデロンパ三匹の侵入を防ぐ。
「これ以上は本当にだめだよー!」
 侵入を防ぐブロックでヘデロンパの行く手を遮るルミル。そしてルミルの後ろには火力を集中しようと武器を構えた三人が見える。
「これで、終わってください!」
 氷の妖精スティーリアを召喚し幾度目かになる氷柱を降らせるエリーナ。氷結に身体を蝕まれるヘデロンパを、ルルリアとニーニアがすかさず攻撃する。爆轟と舞い上がる火の粉。ヘデロンパの弱点を狙った連係攻撃が見事に決まった。
 爆煙の中から一匹のヘデロンパがぬるりと現れる。
 その形はもはや獣の体をなしていない。ずるりずるりと身体を引きずるスライムが、荷馬車へと迫ろうとして――
「止めはしっかりと、だよね」
 最後まで敵をブロックし続けたルミルが、止めに揺蕩う焔を振りまいた。
 恨みがましく蠢くヘデロンパ。
 その身体が炎に包まれ――消し炭になるまでそう時間はかからなかった。
「……終わったぁ」
 最後の一体が倒れたのを確認すると四人はへたり込む。
 平和な街道で繁殖したヘデロンパを倒したイレギュラーズは疲労した顔を隠すことなく空を仰ぐのだった――

●フィオーシャ街道へ
 カタンコトンと揺れる荷馬車の中。
 傷ついたイレギュラーズは、その傷を癒やしながら荷馬車に揺られていた。
 今回の戦い、各々反省することが多かったかもしれない。その事を思案し、イレギュラーズの口数は少なかった。
 たかがスライム、されどスライム。この世界で生きていくのは中々に大変なのです。
 そんなちょっぴり反省モードのイレギュラーズを見て、『ケルトース』のリーダーが近寄ってくる。そして、出し抜けに笑った。
「はっはっはっ、結構危なかったな!
 油断でもしていたか? それとも作戦が上手くいかなかったか? まあ特殊な魔獣だしな、こういうこともあるだろう」
 豪快に笑うリーダーがギリギリの戦いとなったイレギュラーズの肩を叩く。
「まあ積み荷は無事だったんだ、アンタ達の働きは見事だったさ」
 そう言って、積み荷口の布を開く。穏やかな昼下がりの風が入り込み、荷馬車の中が明るくなった。
「ほれ、見てみな。
 これが、フィオーシャ街道の名物の花畑だ」
 顔を覗かせて見れば、一面に咲く秋の花々。風に揺られ花びらが空に舞う。
 イレギュラーズは一目で納得する。この街道を選ぶ、その理由を。
「旅は疲れることが盛りだくさんさ。
 こうやって目と身体を保養してやるのが、長旅の秘訣なのさ」
 そう言ってリーダーは口角をつり上げた。
 風光明媚なその街道は、傷付き疲労したイレギュラーズを向かい入れ、それを労る。
 いつまでも続いていきそうなその景色を見ながら、今しばらくは荷馬車に揺られよう。
 キャラバンは続いてく。
 今日は東に、明日は西に。
 目的地を目指して、長い旅は続いていく――

成否

成功

MVP

ニーニア・リーカー(p3p002058)
辻ポストガール

状態異常

ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098) [重傷]
ミルキィマジック

あとがき

澤見夜行です。

危なかったですね!
お菓子の荷馬車というアイデアはとても良かったと思います。
ギフトだけに頼ったこともあり量は十分ではなかったですが、がっつりヘデロンパの心を掴んでいました。
結果として罠にかかったヘデロンパを攻撃する時間が稼げず、危なげな勝利となりましたが、依頼成功には変わりありません。喜びましょう!

MVPは悩みましたがやはりお菓子の荷馬車を考えついたニーニアさんへ贈ります。
皆のプレイングの核になってましたし、相談もがんばっていたので。

同じく作戦の肝だったエリーナさんには称号を贈らせてもらいました。

依頼お疲れ様でした!

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