お前の顔面でスイカが割れる

オープニング

●覇竜のスイカは強い
　夏と言えばスイカだ。
　風物詩といえるほどの存在でありながら、本当に美味しい時期は驚くほど短い。
　まさに旬の果物とはなんぞやという答えのようだが、覇竜でも丁度スイカの時期なのだ。
　スイカ。一般的には赤い果肉と多数の種を持ち、シャクシャクと食べやすい果物だ。
　しかし、覇竜のスイカは一味違う。何しろ旬になると自分で食べる人を求めて飛んでいくのだ。
　そう、今丁度毎度おなじみ覇竜のザコい奴、デミワイバーンが空を飛んでいる。
　そこに現れたは浮遊するスイカの群れ。そのうちの１個が急上昇すると、ヒュンヒュンヒュンと回転を始める。
「ガアッ!?」
　スパーン、と凄まじい勢いでデミワイバーンの口にヒットするスイカ。
　物凄い勢いで口の中にねじ込まれたスイカはその衝撃で砕けるが、新鮮な果汁が吹き出てデミワイバーンの口の中を無理矢理フレッシュな味で満たしていく。
　一体何が起こったのか分からないままにデミワイバーンはフラフラと何処かへ飛んでいくが……他のスイカたちは、自分たちを食べさせることが出来そうな人たちの場所へ向けて進んでいく。
　その方向は、フリアノン。ああ、なんということか。
　今、旬の食べ物たちがフリアノンへ向かっているのだ……！

●スイカを迎え撃て
「暑くなってきたらスイカであるな」
「うむ、よく言ってくれた」
　『ノットプリズン』炎 練倒（p3p010353）に『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀（p3n000250）が重々しく頷く。
「実はな、旬のスイカが今年は豊作だったようでの？」
「いいことであるな？」
「うむ。丁度フリアノンに向かって飛んできてるんじゃが……放っておくと人の口に飛び込んで来ようとするでの。危ないんじゃよ。加減とか知らないし。スイカじゃから」
「ん？」
　何かおかしな発言があった気がするが、実は何もおかしくない。
　しかし理解は難しいので１から整理してみよう。
　まず、覇竜では今スイカが旬であり、豊作である。
　しかし、覇竜のスイカは飛んで人の口に飛び込んでくる。
　おかしい。練倒の認識では覇竜でもスイカは飛ばなかったはずなのだが。
「ああ、フライングスイカを知らんのじゃな。この時期になると飛び始めてのう。飛ばないスイカよりも余程美味いんじゃよ」
　なるほど、そういうものもあるらしい。
　フライングスイカ。別にモンスターとかではなく植物らしいのだが、旬になると自分を食べさせる人を求めて空を飛ぶスイカなのである。
　どうやってスイカを食べられる人を見極めているのかは不明だが、とにかく食べさせるために口に突撃する。
　しかし最悪なことに小玉スイカでもムリなのに大玉スイカなのである。
　そんなものが人間の口にぶつかってくるということは、当然ながら結果は顔面スイカ割りである。
　別にそんなもんで死にはしないが、顔面がスイカまみれになるのは確実である。
　折角の美味しいスイカがそんなことになってはもったいない。
　なんとか回収しなければならないだろう……！

参加者 : 8 人

冒険が終了しました！　リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧（8人）

リプレイ

●スイカを手に入れろ
「夏といえばスイカじゃな！　しかも、楽しい楽しいスイカ割りとは！　ウヒョー！　誰が割るか楽しみじゃのう！　ビニールシートと棒と目隠し！　そして塩！！　そんでもって夏といえばの水着持参じゃ！　我、抜かり無し！！　ガハハ！」
　『ナチュラルボーン食いしん坊！』ニャンタル・ポルタ（p3p010190）がなんかちょっとズレたことを言っているが、スイカ割りとして想像するイメージとは完全に合致しているのが罪深い。おのれ覇竜。しかしどういうことなのか？
「全自動スイカ割りとはまたなんともいえないが覇竜領域の食材となると何もおかしくないと感じてしまうのも如何なものか。しかし、小さい子供にまでスイカが顔面にぶつかろうとしているのは流石に放置はしておけん。怪我人が出てしまったからでは遅いしここは私達が一肌脱ぐしかあるまい」
　『優穏の聲』ゲオルグ＝レオンハート（p3p001983）が言いながら立つこの場所には、空飛ぶスイカたちが向かってきている。
　意味が分からないかもしれないが、覇竜では普通の光景である。相手の顔面に向かって飛んでくる覇竜スイカを収穫しようという、そんな荒行が今日の仕事なのだ。
「コャー、今年もスイカの季節がやってきたのかしら～？　例年より早いような気もするけれども、まぁ覇竜だし旬が違うのもあるやもしれぬの。合体もしないしマンもくっついてないオーソドックスな空飛ぶスイカなのかしら。とっても美味しいらしいし、楽しみなの。がんばるのよ」
「夏といえばスイカじゃな！　なんかすっ飛んでるが。まぁ世の中そういった珍しい品種もあるのじゃろう、多分、きっと、めいびー。この程度で怯んでられるか！　一足先に今年の夏をエンジョイするのじゃ！」
　『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ（p3p008299）と『鉄帝うどん品評会2022『金賞』受賞』御子神・天狐（p3p009798）も色々と染まったことを言っているが、オーソドックスな空飛ぶスイカとは何なのか。
「口に向かって飛んでくる大玉スイカ！？　ある意味効率的な生態をしてるね。美味しく食べることを約束するので地面に軟着陸して欲しいとか交渉できたりしないかな？　ノリが話が通じたりしない？　流石になさそうかな......。余裕があれば試したい気持ちもあるよ」
「コャー……」
　『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア（p3p009512）も相当にタフなことを言っているが、これが慣れというものなのかもしれない。
「口めがけてぶつかってくるスイカ……食べて欲しいという情熱がそれほどまでに……」
　そして『相賀の弟子』ユーフォニー（p3p010323）は、何やら感動に打ち震えているらしいが覇竜に染まった度が結構高い筆頭候補である。
「よーしっ、受けて立ちましょう！　今日はカエデさんも一緒ですし、きっとあっという間にスイカ制圧です！」
「そうよ！　変なスイカなんかドカーンでバキャーンよ！」
「ドカーンでバキャーンはちょっと……！」
「え!?　ダメなの!?」
　ユーフォニーとカエデ・コウサカが緊急ミーティングを始めているが、さておいて。
「フライングスイカ……知らなかった……！　顔に当たるのは痛いけど、美味しいなら食べてみたいから頑張る……！」
「吾輩今まで覇竜で生きて来たであるがフライングスイカとは初めて聞くであるな。ウェスタ周辺では聞かぬであるからフリアノン辺りの名物であろうかと思うが飛んでくる西瓜とは中々危険であるな。しかし、この吾輩の強靭な鱗であればスイカがぶつかった位ではびくともせんであるがな、ガーハッハッハッ！」
「おおー……！」
　『初めてのネコ探し』曉・銘恵（p3p010376）が盛大にフラグを立てている『ノットプリズン』炎 練倒（p3p010353）に拍手しているが、とにかくスイカの収穫である……！

●スイカを食べよう
「これで砕けず止まってくれるかなぁ…えいっ！」
　神気閃光を放つ銘恵だが、正解である。しかしフライングスイカを倒すということは浮遊する力を失うということであり、スイカがボトッと落ちるのを慌てて受け止める。
「飛んできたー！　痛ーい！」
　無防備になってきたところに飛んできたフライングスイカがゴッと銘恵にぶつかり割れる。中々にエグい痛さではある。
「顔面に飛んでくるスイカを受け止めないと……と、とりあえずこんにゃく持ってきたの！　こんにゃく！　これで顔面をガードすればきっとスイカもふにゃっと受け止められ……痛ぁー！」
　再びゴッとぶつかってくるフライングスイカは中々に容赦がない。
「しゃおみーの袖はね、生き物以外は何でも入る……って戦闘中だと入れられない気がする！　練達から持ってきたビニール袋に入れれば……！」
　パタパタと動く銘恵に視線を向けながら練倒は「むう」と唸る。
　練倒の役目は壁役として他のメンバーになるべくフライングスイカが向かわない様にすることだ。
　名乗り口上、更にはマジのラインとしての「迂回禁止！」の効果で引き付けていたが、単純に数が多すぎる。
　とはいえ……やるべきことは変わらない。
「ガーハッハッハッ！　例え空を飛ぼうが西瓜は西瓜。吾輩の角が前を向いていれば串刺しにして飾りにしてやるウバー！」
　それはそれとして練倒の顔面にもゴンッとフライングスイカが衝突する。もう狙われやすくなった分遠慮もない感じである。
　そしてそんな中……ユーフォニーはフォルトゥナリア、カエデと共に下準備をしていたところだった。
「流石に顔面スイカ割りはそのまま食べる必要が出てくるから保存に難が出てくるし、何より地面に落ちる果肉が勿体無いからあまりしたくない。結構な勢いで飛んでくるだろうから、飛んでるうちに倒して飛び込みを自然に避けられたとしても、草原とはいえ地面なので当たって割れてしまう可能性もあると思う。さっきの銘恵みたいに受け止めても顔面が無謀になるしね！」
　そう、アレは痛そうだ。だからこそしっかりと準備して自分たちが立つ地面を耕して柔らかくしたいと考えていたのだ。
「実際に見て固いところは把握できたし、このまま耕していく形でいこうか。ふかふかにしてスイカがボフって落ちてくる形が理想かな！」
　メカ子ロリババアにも手伝わせていたが、メカ子ロリババアは自分たちを食えないと分かっているのかフライングスイカたちが無視しているのは自然の神秘と言えよう。
「よし、出来たね痛ぁい!?」
　隙をつくようにゴシャンとぶつかってきたフライングスイカにフォルトゥナリアは思わずそんな悲鳴をあげるが、負けてはいられない。
　神気閃光を基本とし、突撃を貰ったとしても安心して地面に受け流す体制も整っている。
　落ちたスイカはロバちゃん（メカ子ロリババア）に適宜回収してもらうこともできる。
　更には馬車も持参しているので、大量のスイカを持ち帰る準備も万全であった。
（多く見積もっても一人3玉食べられれば良いところだと思うし。その為にも顔面スイカ割りする機会は少なくしたいよね、この面が広いおでこで頭突きするように当たって受け流せば……！　それでも割れたらしょうがないよね）
　なんかメカ子ロリババアたちがフォルトゥナリアのおでこを見ていた気がするが、気のせいだろう。たぶん。
　ちなみにユーフォニーも勇気を灯す色からの未来を願う色で対抗していたが……今日のユーフォニーには是非やりたいことがあった。
「……でもカエデさん、やっぱりアレやりたいですよね……！」
「そうね！　ところでアレってなんだったかしら！」
　頭からさっきのミーティングの内容が揮発したっぽいカエデがそう声をあげるが、まあ問題はない。
「相賀さんから借りてきた酒精で手を消毒し……手刀でスイカをかち割ります！　手数を活かしてシュパパパッと……！　そしてここでカエデさんと私の合わせ技！　カエデさん技名をどうぞっ」
「超絶スペシャル最終奥義カエデちゃんアタック！」
「スイカが粉々にっ!?」
「えっ!?　ダメなんだっけ!?」
「うー、でも大丈夫です！」
「そうよね！」
　仕方ないのでユーフォニーと楓はこっそりつまみ食いなどをしていた。
「ん〜、とっても甘くて美味し……ぐはっ！！　ほ、本当に容赦ないですねスイカさん……？　つまみ食いしたバチかもです。全部捕獲するまで試食はお預けですね。どうしましたカエデさん？」
「……アンタ、ぐはっとかいうタイプなんだと思って……」
「と、とにかく！　手刀で割り過ぎると持ち帰りや保存が大変なので、ここからはキャッチで行きますよ！　スイカさんの「美味しく食べて欲しい」という願い、その愛……しっかり受け止めますからねっ」
　さておき、ニャンタルも頑張っている。
「……なんか……思ってたのと違うのう……」
　そんなことを呟いてはいたが、すぐに気持ちを切り替えていく。
「いやいや！　気圧されては居らぬぞ！？　決して！決して！！　スイカが来てもこの「うちゅうやばい」「すごい」で叩っ切ればええんじゃ！　ソイヤーーーー！！！！」
　ソイヤー、と顔面にぶつかってきたフライングスイカにニャンタルは「？」という顔になる。うちゅうニャンタルである。
「な、なんか物理法則無視しとらんかったか？！　あと！　これいつまで続くんじゃ？！」
　フライングスイカを必要数確保できるまでである。
「じゃが！　割ったスイカはその場で食べてOKとの事！　こんだけあれば色々食べられるのう。そのまま食べても良し！　スイカジュースにしても良し！　皮も勿体ないのう……火を通せば大概イけると思うんじゃがどうじゃろか？　やった事は無いが我は食べてみたいぞい！　今は其れだけが我のモチベーションじゃ！　出なければ心が死ぬ！　首も、死ぬ！！！！　ぐーあー！」
　ニャンタルは知らない。天狐が全員にハッピィ・トゥーンをかけていたことなど。しかし自分にもかけているのでなんかこう、芸人気質である。あるが……「耐久力を高める付与じゃよ？　他意は無いぞ？　ほんとだよ？　ギャグキャラ付与？　何それ知らん、わし嘘つかない」とか言ってたので悪いきつねである。メッ！
「戦法はガン受け！当然！　せっかく夏が挨拶してくるのじゃから無下には出来んじゃろう！　そして『うどん砲』でスイカを纏めて怒り付与！　カモンベイベー！　かかってこいやー！　ついでに『ルーンシールド』を自身に付与、物理耐性を得るぞ！　望み通り全て顔面で受け止めてくれるわ！！！！！　保護結界も展開じゃ！　ぐはー⁉　バ、馬鹿なこのスイカ、神秘攻撃を……まさか夏の魅力は神秘ということ……!?」
　なんか夏の魅力について再確認する天狐だが、問題はない。
「果汁を撒き散らし夏を全身に纏おうとも気にしない。フッ、むしろスイカ滴る良い乙女というやつではないか？　なんかテンション上がってきたのう！　Chu！🍉まみれでゴメン☆」
「まだまだ余裕がありそうなの」
　言いながら胡桃もフライングスイカの相手をしていた。
「何はともあれスイカ割り大会開幕なの。このまま、いっぱい飛んでくるスイカを迎撃するのよ。なにやら、毒とか火炎とかは使わぬ方がいいという話をまことしやかに聞いたのでメインで使ってたわたしは置いてきたの」
　なんと、真面目な方の狐は戦法もガチだ。真面目なじゃない方の狐？　生き方がガチかな……。
「シムーンケイジとか便利な範囲攻撃もあったのだけれど、砂でジャリジャリしそうなので却下。故に、戦術としては正面から真っ向勝負なの。ゴールデンケツバットを持ってきたので飛んでくるスイカが顔面にぶつかる前に叩き落すのよたたーたたーたーたー　たーたたーたたーたーたー」
　おっと、真面目な狐なんていなかった。打法も堂に入っている。
「今日のわたしはフライングスイカをホームランすべくやってきたバッターくるみなの。毛皮が果汁まみれにならぬようにがんばるのよコャ～～～！？」
　デッドスイカ。胡桃、一塁進出である。そんな状況で、ゲオルグもどっしりと構えてスイカの確保に挑んでいた。
「なるべくならばスイカは無事な状態で確保したい。そして、スイカは私達の顔面を執拗に狙って飛んでくるという。この習性を利用すればスイカを無駄にすることなく確保出来るのではなかろうか」
　そう考えたゲオルグは馬車にクッションを詰めて置いて衝撃から守れるようにして、その入り口に顔が来るように立っていた。
　すでに黄金残響で自己強化を済ませている。後は雪月花で向かってくるスイカをギリギリで回避しながら一刀両断するだけだ。
　そう、由緒正しいストロングスイカ割りスタイルというわけだ。
「こうすれば切られたスイカが馬車の中に突っ込み、クッションで受け止められて無惨に砕けることなく確保出来るという寸法だな」
　とはいえ、数がすごい多いらしいから少しくらいは斬るのが間に合わないものも当然ある。
　だが、顔面にぶつかってくるのを大人しく待っているわけではない。ゲオルグはこちらから一点を狙い済ませてのヘッドバットでなるべく綺麗に割……砕けていた。天狐が仲間を見る目で見ていた。
　そうしてスイカをゲットしてフリアノンに帰れば、スイカパーティーの始まりである。
　ゲオルグは早速ギフトでふわふわ羊のジークを呼び出して、くろくてはねのはえたかわいくてむがいなねこたんも一緒に楽しんでいた。
「まずは純粋にスイカの味を楽しませてもらおう。切ったスイカにそのままかぶりついて食べるのは夏の風物詩のようなものだ。スイカは切ったものをそのままかぶりつくのが美味いのはわかっているのだが、やはり少しは手を加えてみたくなるというもの……そうだな、そろそろ梅雨の時期でジメジメと蒸し暑い日もあるのでスイカのシャーベットとか作ってみたいな。どこでも簡易キッチンを活用して、ひんやり冷たいスイーツを作るのだ！」
　そう、そんな拘り屋なゲオルグではあるが、胡桃だって負けてはいない。
「毎年のようにスイカモンスターに遭遇しているわたしなの。スイカを使ったレシピの数も増えていたのでした。焼きスイカとか。今回は数が多いので、普通に塩振ってスイカをいただいたら味変を試してみるのもよさそうなの。それでも余ったらわたしもドレイク・チャリオッツに乗せて持って帰ろうかしら」
　そう、そういうのもアリだろう。
「やはり西瓜と言えばシンプルに軽く塩を掛けてから、そのまま頂くのが一番であろう。甘さが控えめな西瓜にしょっぱい塩を掛けることで味の対比効果により甘さが引き立つであるな。そして豪快に噛りついた果肉に混ざる種をこれまた豪快に飛ばすのもまた、一種の風流であるな」
「ジューシーで美味しいね！！」
　練倒やフォルトゥナリアなどは普通にカットしてシャクシャク食べていたし、天狐はニャンタルと共にスイカジュース造りを始めている。
「わしが美味しいスイカジュースを作ってやろうではないか！　『太陽の手』の効果で光り輝くスイカジュースはきっと映えるぞい！」
「うぅ〜む。我、食べるのは好きじゃが作るのは人並みよりちと出来ないくらいなんじゃよなぁ……好きじゃが。調味料、我は塩しか持ってきておらんしの。八割料理上手な者にお願いしたい所じゃという訳でこうじゃ！　皆、コップは持ったか？　次々行くぞー！」
　コップの高い位置から素手でスイカギューってしてもう片方の手で同じ位置から塩をぱらり……とするニャンタルだが、なんだろう。プロ感とワイルドがブレンドされた感じだ。
「ほれ！出来上がりじゃ！」
　と、そんなことをしながらも毒消し草も探していた。
「BSに掛かっとるスイカの調理方法としては、毒消しがいいかと思っとったんじゃが……薬としては持って来とらんのじゃよなぁ……その辺の草原に毒消し草とか無いじゃろか？　草ソムリエとしての力が今試される時！　折角じゃから、皮の青い所もきんぴらに出来るかのう　白い所も火を通したり漬物にしたら食べられるんじゃなかろうか？　塩最強！　万能選手じゃな！」
　ちなみにそんなスイカたちだが、ユーフォニーの手によって事前に冷やされてもいた。
「そのままでもとても美味しかったんですけど、やっぱり冷たいのが一番かなって。冷えたスイカに好みで塩をかけて食べるんです、塩味で引き立った甘みと、たっぷりの水分が暑い日に沁みますよね……！　それと、スイカを丸々一個くり抜いて作るスイカゼリー。一度やってみたかったんです♪　果肉を潰して漉して、レモン汁少しとゼラチンを混ぜたらスイカの皮の器に入れるんです。出来上がりが楽しみですね！」
　銘恵も、そんなユーフォニーに頷きながらもスイカを食べていた。。
「後で皮を使うから果肉と皮を切り分けて……しゃりって食べよう。しゃりしゃりスイカ、おいしいね。お塩をかけるともっとおいしくなるんだっけ……？　砕けすぎたスイカは種を取り除いてジュースにしようソーダを注いだらしゅわしゅわするかな、しゅわしゅわおいしい」
　そう、砕けたスイカもしっかり使う。大事なことだ。
「スイカの皮も持って帰ろう。外側の緑色で固い部分は食べにくいけどそれ以外の部分は食べられるんだって。漬物とか煮物とかを試してみたいな」
　スイカの可能性は無限大だ。まさに夏の風物詩。
「夏はスイカがおいしいね。スイカの色んな食べ方、楽しい」
　だから結局は、銘恵の言う通りなのだろう。
　夏はスイカが美味しい。つまりは、そういうことなのだ。

成否

成功

ＭＶＰ

状態異常

なし

あとがき

スイカ美味しいですよね。選ぶの難しいですけども。