PandoraPartyProject

シナリオ詳細

酒飲みながら書く依頼

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●まずは缶ビールを一本あけます
 べろんべろんなのであった。
 確か最初はなんかの依頼の打ち上げだとかで酒場に行き、がばがば飲みまくってちゃんぽんかましたその帰り、もう一件もう一件とハシゴするうち彼らは前後不覚の泥酔状態のまま……。
「ア゛~ンア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛~!!!!」
「邪神様ァ! 邪神様ァァァアアアアアンアアアアア゛!」
 謎の集会場へと紛れ込んでいた。
 いや、謎っていうか。
 三角頭巾を被った連中がトリップするためにか泥酔状態になり邪神めいた何かを呼び出すためのサバトを開いていたのである。
「これ、明らかにヤバイ所に紛れ込んじゃってるんじゃないの?」
 誰よりも大人っぽいわりに実はまだ飲めない年齢のゼファー (p3p007625)さんじゅうきゅうさい。
 当然ひとりだけ飲んでいないはずなのだが、周りがこんな状態なせいで軽く場酔いしていた。
 対して。
「だぁ~~~いじょぶですわ~~~~~!」
 両手にビールジョッキを持って左右交互に一気飲みするという馬鹿な大学生みたいな飲み方をするヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ (p3p001837)。
「ただのビール飲み放題祭の会場ですわ~!」
「ビール飲み放題祭の会場は三角頭巾被らないのよ」
「おい」
 キリッとした顔で仙狸厄狩 汰磨羈 (p3p002831)が立ち上がる。
 その緊迫した雰囲気に、思わずゼファーもきりりと視線を向ける。
「今誰かたぬきって言ったか?」
「言ってない」
 見れば、汰磨羈もビールを瓶でぐびぐび行っていた。もうこれが何本目かはわからない。
「ア゛~ンア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛~!!!!」
「邪神様ァ! 邪神様ァァァアアアアアンアアアアア゛!」
 とかいってる間に場の空気はピークに達しつつある。
 会場を仕切っているであろう赤い三角頭巾の男が一段高いだけの木箱の壇上へと立つ。
「皆の者! よく今日という日まで耐えてきた。我等が崇拝する邪神アルハラゴン様を召喚すべく、国の兵たちの目を盗み地下活動をこつこつと進めてきた。
 時には酒税を目的にガサ入れが入ったこともあった。時には飲み屋と間違われ団体客の相手をさせられたこともあった。
 だがもう今日で終わりだ! 我々はこの崇高なアルハラゴン様のお力のもと、この国を破壊し尽くすのだ!」
「ア゛~ンア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛~!!!!」
「邪神様ァ! 邪神様ァァァアアアアアンアアアアア゛!」

 酒飲みキャッチで邪神のサバト。
 気づけば邪神がコンニチワ。
 もう頭のさきっぽだけ魔方陣からちょっと出てきちゃってる現状で、ヴァレーリヤたちははたと何かに気がついた。
「ハッ! ここ、飲み屋ではありませんわ!」
「今そこに気付いたの?」
「「ハッ!」」
 対して周囲で発狂したように祈っていた者たちも振り返った。
「こいつら部外者だぞ!」
「今そこに気付いたの?」
 周囲の邪教徒たちは手に手に酒瓶や釘バットを持ち、目を血走らせて取り囲む。
「一体俺たちが何をしたというのだ! ピッチャーからじかにビールがぶ飲みしたり樽に頭から突っ込んだりスピリタスじゃんけんしたり野球拳してただけだというのに」
「アホな大学生か何か?」
「お前達大人が分かってくれないから俺たちは酒に逃げるしか無かった!」
「大人が大人のせいにするな」
「アルハラゴン様が復活すれば貴様等など……召喚の儀式の邪魔はさせん!」
 邪教徒たちはヒョオオオゥワッと声にしづらい声をあげて襲いかかる。
 ヴァレーリヤたちの運命や、いかに!!!!

GMコメント

 このしなりおは、酒飲んで頭どうにかなってる筆者と、きっと今酒飲んで頭どうにかなってるであろうあなたによって紡がれるどうにかなっちゃうシナリオですぅ。(誤タイプしたけど可愛いのでこのままにするですぅ)

●シチュエーション
 皆さんは飲み会の流れで邪教のサバトに紛れ込みました。なんでかはしらんよ。紛れ込んだんだよ。
 邪教徒たちは皆さんが部外者だということに今更気付いたらしく、抹殺すべく襲いかかってきます。
 彼らは儀式の最中もスピリタスじゃんけんするような馬鹿共なのでべろんべろんに泥酔しています。
 そしてあなたもべろんべろんに泥酔しているかあるいは場酔いしています。
 そうさ、はじまるのさ! 馬鹿共による馬鹿共だけの馬鹿バトルがな!(筆者含む)

●邪教と邪神
 なんか邪神アルハラゴン様の召喚儀式をしているらしい集団。全員べろんべろん。
 邪神はいまアホ毛が一本だけ魔方陣から出ているので、放っておくとこのまま召喚されてしまいます。どんな邪神かはしらないけど、多分虹色のビームとか吐くと思います。
 世界を破壊するとか邪教のひと言ってるけど、夜の酒場でこういうこと言い出すひとがいたらキミ信じる? 私ぁ信じないね。

●適当プレイングのススメ
 今から私はビールをもう一缶開けるから、キミもビールをカシュってしてからプレイングを書こう。出来ればごくごくやってから丁度良く酔いが回ってきてから書こうか。
 プレイングと相談を通して互いに酒飲んでるんだからこれ実質リモート飲み会だね。

  • 酒飲みながら書く依頼完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年06月13日 22時10分
  • 参加人数6/6人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
※参加確定済み※
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
※参加確定済み※
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
※参加確定済み※
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera

リプレイ

●これ実質リモート飲み会だね
「私、すっかり勘違いしていましたわ……」
 『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)がシリアスを極めた顔で前髪をかき上げた。
 そのオトナでせくしーで知的な振る舞いに、『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)が『う゛ぁりゅーしゃ』とおもわず鳴き声をあげる。
「ひょっとしてもしかしなくても、ここはそういうコンセプトの飲み屋さん!」
「う゛ぁりゅーしゃ!?」
「つまり、どんなに飲んで暴れても料金の範囲内!奪った金額次第では黒字になると、そういうシステムですのね!!」
「う゛ぁりゅーしゃ!」
 突っ込みを入れようとしたマリア。しかし考えてみてほしい、こちとらビール一缶開けたあとやねんぞ。考える力なんぞあるかい。
「はぁん??? 何がサバトだ!!! 私はトラだぞ!!!」
 がおーと吠えると、マリアはビール瓶を両手に構えて振り上げた。
「ねこだ! ねこだ刃向かう気だぞ!」
「とらぱんち!」
 マリアのビール瓶が邪教徒の頭でパキャーンした。
「ヴァリューシャ! 今から飲み放題だよ! お代は邪教徒達の命だ!」
「命ので購えですわー!」
 続いてヴァレーリヤのビール瓶が邪教徒の頭でパキャーン。
「今何軒目だっけ? まぁいいや。えーと……焼酎を割る湯が……」
 『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)が麦焼酎をそそいだコップを手に振り返る。
 『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)がドラム感風呂に入っていた。
「…………」
「…………」
 見つめ合うこと数秒。
 モカは手に……あの、なんていったっけ、お水汲むときに使うまるっこいあのすくうやつ、あれ、あれをつかって汰磨羈の胸の谷間あたりにたまったお湯をすくい上げるとコップに注いだ。
「なるほど狸のダシをとった湯というわけか」
「ネェコォダァガァ!?」
 ざぱあとドラム缶風呂から立ち上がる汰磨羈。たぬパーカーとヒモビキニという、路上にいたら十中八九職質を受ける格好の汰磨羈。彼女はストロングなんちゃらっていう缶をかしゅっとやるとグビグビ飲み始めた。
「はいストロングNEKOぉ! 嫌なこと全部わーすれた!」
 そう言いながら風呂から長ネギを引っ張り出すと、邪教徒のほっぺたをあつい長ネギでひっぱたいた。
「オォン? 私の酒が飲めないのか? オォン?」
「グワァなんだこの狸すごいからんでくる! 大学生のコンパにいたら誘ったこと公開するタイプの美女!」
「ヌェコォドァゴァ!?」
 オラァといいながらショウガとニンニクを両サイドからぐりぐりねじこむ汰磨羈。サークルを物理的にクラッシュするたいぷのサークラである。
「美女の出汁で飲む焼酎は美味い……」
 モカはもう完全に自分の世界に入っていた。
 隣でお手紙を書いている『猛き者の意志』ゼファー(p3p007625)も無視である。
「前略、何処かの誰か。ハタチも目前の夜、私は酔っ払いどもに付き合って良く分かんないことになってます」
 実はね、いまこのリプレイを書いてるこの瞬間にゼファーさんはなんと二十歳。そう二十歳なんですね。なんてタイミングで二十歳になってんだこのひと。けどギリギリ十九歳の時系列ってことにしておきますね。
「此処って4件目? 5件目? なんか知らないけど皆ベロベロで心配だからついて来たら此の展開ってワケ」
 アメリカのホームドラマもといシットコムドラマでしか見ないような軽快な肩の竦めかたをしてみせるゼファー。ほんとに二十歳前なのかな。
「ま、場の空気に流されちゃった私にも反省すべき点は大いにあると思――絶許たぬきち!」
 後半、ゼファーが使いそうで使わない略語を叫びながら汰磨羈へ長ネギを投擲した。
 はうわといってもんどりうって倒れる汰磨羈。
「ええい、どいつもこいつもへべれけじゃないの。虹の橋が何本も架かる前にケリをつけないと大変なことになるわよ」
 なるわよ! と言いながら振り返った相手は『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)だった。
「ぷはー! もういまから鍋つついて楽しむ所だったのに、ほら一緒に飲みましょうよ!」
 邪教徒の肩に手を回したレイリーは完全にできあがっていた。
「あぁ、もうみんな暴れだして!」
「今?」
「うるさい、ゆっくりウオッカ飲ませなさいよ!」
「よりによって?」
「もうわかったわ!」
 レイリーは何が分かったのか、突然古風なコンパクトを開いた。虹色のキラキラが吹き上がったかと思うとレイリーの衣装がファーっと消えて全裸のシルエットになったかと重うと虹がまとわりついてキラキラのアイドル衣装に変身する。
「はん、邪神なんてくだらない! 私の歌をきけー!」
 いきなり冷静になってあれなんだけど、レイリーさんがアイドルキャラで売り出し始めたのって厳密にいつからなんだろう。少なくとも口調が変わる後からよね。昔は腕からがしょがしょ鋏出してじゃんけんする隠し芸とか言ってた気が……あっこれ違う記憶だ。
「コールよろしく! 甘い夢一杯見せてあげる!」
 あげる! とかいいながらビール瓶を逆さにして邪教徒の頭からぶっかけるレイリー。馬鹿な大学生でもここまでやらないよ。やらないよね? 優勝した野球選手くらいでしか見たことないし。
「死線釘付け、掛け声OK、そして、観客から大歓声!」
 多分誤字だと思うけどそのまま書いておきますね、だって……。
「って、何こうげきしてくんのよ! 鉄帝でも有数アイドルのゲリラライブよ! もっと喜びなさいよ!」
 て言いながらビールジョッキ押しつけてくるし。

「なんだい? ヴァリューシャの酒が飲めないって言うのかい? はぁん??? 私の歌がひどいだって??? 言うじゃあないか! 混沌の歌って踊れる軍人とは私のことだ! めちゃくちゃにしてやる!」
 それでは聞いて下さい。To Love Each Other。
 あの感動的な歌詞をバキバキに外しながらビール瓶で邪教徒の頭を殴るマリアがいた。
「殴られて倒れる方が悪いんだよ! 私は悪くない! うおおおおお!!!!」
 殴る方の手も痛いんだからねみたいなテンションで叫ぶと、マリアは腕をぐるぐる回しながらビール瓶を放ちまくった。目もぐるぐるしていたし、身体も若干ふらふらしていた。
「お酒と金目のものを持って来なさい!! 今日から私が、貴方達のアルハラゴン様になって差し上げますわ〜〜〜!!!」
 かと思えばヴァレーリヤが空っぽにした酒樽を掲げ、邪教徒めがけてフンヌしていた。
 ア゛ア゛ア゛ーっていいながら頭からタルを叩きつけられて身体に装着しちゃってる状態の三角頭巾邪教徒を想像できる? そう、今そんな感じ。
「ほらー、お酒が足りませんわよ! おつまみも!
 こんなつもりじゃなかったから、そんなに持ってない?客商売でしょう、甘えているのではございませんわ!!」
 邪教徒を未だにお店の人だと思ってるヴァレーリヤは襲いかかる邪教徒たちを千切ってはなげ千切ってはなげ。
 そんな様子を……
「あぁ……泥酔してるヴァリューシャもかわいいなぁ……!」
 マリアはいつもの様子でほこほこ眺めていた。
「……おつまみありましたわね。スラム街の文福茶釜みたいなやつが」
「ああ……」
 スッとヴァレーリヤとマリアが目を向けると汰磨羈がドラム感風呂からぷかあっと頭を出していた。
 ハッと何かに気付くマリア。
「狸鍋? わかったよ! ヴァリューシャ! なぜかニラも持ってるし入れちゃおう!しょうゆベースのつゆがいいかな!?」
「ネコダガー!?」
 葱やらニラやらを放り込まれ暴れる汰磨羈。猫鍋ならいいわけではない。
 そうこうしているとレイリーがギターをゴルフクラブみたいに持ってステージ(?)へ上がり邪教徒をぶっ飛ばしていた。
「はん、私のライブを邪魔する者は吹っ飛ばす! 本邦初公開これが「偶像★無双」ドゥンケル★ドラッヘよ!」
「ヒューヒュー! レイリーちゃん……じゃなくてヴァイス☆ドラッヘのライブキター!」
 それを見ながらサイリウム棒をくるくる回すモカ。
「はいっ! 次はモカ・ビアンキーニの宴会芸いきまーす! 『ユリーカ』」
 バストサイズを縮め、スッて包丁を持ちだして目をらんらんとさせるモカ。
「なのDeath」
 絶妙にいいそうで言ってない台詞である。
 一通り一発芸を楽しんだ後は、モカはジャケットを脱ぎ捨て頭上でまわしながら踊り始めた。
「杖を片手にホームラン! 私の復讐果たして見せる! さぁ、どこからでもかかってらっしゃい。さいごにたってうたっておどるのはわらしよ!」
 最終的にろれつも回らなくなってきたレイリーもダンスに加わり、ステージ上はどんどんおかしなことになっていった。
 なにが一番おかしいって、今がちゃんとエネミーとの戦闘中だということである。
「おのれ奴ら好き放題やりおって!」
「自分達がサバトに紛れ込んだ部外者だということを忘れているようだな」
「この現場を見た者には死あるのみ」
「アルハラゴン様の裁きをあたえてくれよう!」
 今更設定を思い出したみたいに邪教徒たちは叫ぶと、魔方陣を囲んでンアアアーと祈り始めた。
 そんな魔方陣を……。
「せい」
 デッキブラシでザッと消し始めるゼファー。
「こら貴様! 魔方陣を消すな!」
「そっちこそ書き足すんじゃないわよ酔っ払いども!」
「貴様も酔っ払いであろうが!」
「飲んでないのよ私だけは!」
 邪教徒から飛んでくる酒瓶や野球ボールをバニースーツのゼファーがデッキブラシでリズミカルに打ち返すゲーム画面をご想像いただきたい。
 なぜバニーかって。見たいからだよ。
 そうこうしていると、ドラム感に入ったままぴょんぴょんジャンプしてやってきた汰磨羈が魔方陣の真ん中を覗き込んでいた。
「それはそうと、そこのアホ毛はなんだ? ゆらゆら動くその有様、実にねこ心を擽る!」
 升に入った米酒をがぶがぶやりながら暫く見つめていたが、焦れてきたのか猫ビーム(猫ビーム?)を放って魔方陣の真ん中へと躍り出た。
「ハァン、生意気なアホ毛め! その魔法陣、この汰磨羈様が頂いてやろう! ヒーハー! 邪教ナイトフィーバァー☆」
 ドラム感のなかでバシャバシャ踊る汰磨羈。いつの間にか味噌煮込みと化していた汰磨羈はスッと足を出して組み始める。
 風呂上がりの美女が足を組む光景なのになんだろうこのかに道楽感。
「見よ、邪教徒共。これが練達名物――たまき汁だ! 〆は、中華麺を入れてラーメンにするのがオススメだ。酒飲んだ後といえばラーメンだからな!!」
 などと意味不明なことを述べながら魔方陣の真ん中でドヤァっとしていると……。
「フゥハハハハハ! よくも我が教徒たちを虐げてくれたな。我が名はアルハ――」
 魔方陣からぽこんとアルハラゴン(多分邪神かなにか)が頭を出した。
「ふん!」
 ゼファーが巨大な鋏でアルハラゴンのアホ毛をちょんぎった。
「ああああああああああ!?」
 折角なのでここからはスタイリッシュな戦闘シーンをお届けすることでこれが実は戦闘シナリオであったことの証拠作りをしたい。
「さぁいくわよアルハラゴン!」
 レイリーは腕のアームドコンテナをがしゃこんがしゃこんやると、ビールサーバーを背負ってあの野球場でしか見ないようなビールびゅーって出すやつを装備した。
「まずは酒をくらいなさい! あとでたまき汁にまぜて食ってやるわ!」
「ぬああああああ!?」
 頭をやっと出した邪神アルハラゴンの口にビールを放出するレイリー。よくしらないけど神滅のレイ=レメナーってこういうスキルだと思う。『渾身のビールを一番に絞り、創造した御神酒のサケで一撃します。』て書いてあるし。
 あとスタイリッシュな戦闘シーンと言ったがあれは嘘だ。
「邪神? アルハラゴン? うるせぇ、こっちには凶悪アルハラ邪司祭様がいるんだよぉ! くらえ!」
 そこへモカの華麗なるハイキックが炸裂した。
 腰の捻りを上手にいれた格ゲーが出たらまず必殺技に入るんだろうなっていう蹴りである。
 折角なので超必殺技も入れとこうってんでモカの連続キックが邪神へとドカドカ入る。
「ウワーアルハラゴン様ー!」
 それを見て錯乱したのは邪教徒たちである。だって世界を破壊するとか言ってたのにビールと蹴りでやられかけてるんだもの。
「これ以上アルハラゴン様に手出しするでない!」
「ぶっころすぞこのやろー!」
 ベロンベロンに酔っ払った邪教徒たちも棍棒を手に参戦するが、対抗したのはゼファーである。
 それまで後ろにおいといた槍をスッと取り出すと、それをブンブン振り回し最後に邪教徒の一人に突きつけた。
「……ここで本気の武器はナシだと思う」
 片眉をあげ、小首をかしげるゼファー。いきなり言うけど、ハリウッド女優みたいな動きが本当に似合うよねこのアダルト19歳。
 そこからはもう流れるように殴る蹴る棒で叩くのコンボで邪教徒たちをボコボコにすると、最後にアルハラゴンめがけて棍棒をぶん投げた。
「あんたもいい加減ひっこみなさい!」
「アアッ!?」
 こつーんと棍棒がぶつかったひょうしに身体がかしげるアルハラゴン。
 汰磨羈はここぞとばかりに腰の刀に手をやり、スッと抜いてアルハラゴンへと突きつける。
「この世に呼ばれたことを後悔するんだな」
 よく見たら刀じゃなくてビール瓶だったが、そんなことは気にせずに繰り出す厄狩闘流秘奥『真義三絶』の二。さあテレビの前の皆も一緒に叫ぼう、絶照・勦牙無極!
 真性怪異『若宮』の封印を得て開眼した、破災の一撃だって言ってるけど多分ビール瓶で相手の頭をかちわる技じゃないのは確かだ。
「オラァ!」
 けどきっちりアルハラゴンの頭にビール瓶叩きつけてかち割ってるのでこれは実質、絶照・勦牙無極ですね。絶照・勦牙無極て言いたいだけな気もしてきたけど。
 最後にヴァレーリヤにニコニコお酌していたマリアがハッと気付いてアルハラゴンへと向き直る。
「ああ! 見てヴァリューシャ、アルハラゴンが出てきちゃってるじゃないか!」
「んなあ? もう邪教サービスはいりませんわ! 次のお店行きますわよ!」
 ヴァレーリヤはそう叫ぶやいなやビールの大瓶を握り振りかざした。
 それを一緒に握るマリア。
 二人の力で叩きつけた瓶は紅蓮の炎と雷をまといてそのあれ、あれだよ、ヴァーってなるやつ。そうそれ。
 劇場版ヴァレマリで見れる必殺技を叩き込んだかと思うと、アルハラゴンはグワーといいながら魔方陣の下へと沈んでいった。
「フハハハハ我を倒したところで第二第三の」
「せいっ」
 ゼファーの棍棒アタックが追加でもう一本。アルハラゴンはハァンとかいいながら消滅した。
「今日、一つ大切なことを学んだわ」
 前髪をハンサムにかきあげ、ゼファーは呟く。
「私、飲める様になっても絶対アンタ達とは飲まないわ」
 二十歳、おめでとう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 次の店いきましょ、次の店!

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