シナリオ詳細
<廃滅の海色>滅へ導く時
オープニング
●<廃滅の海色>滅へ導く時
蒼天の海が一面に拡がる地、海洋王国。
晴れた青空は人々を活動的にする効果があるのだろうか……人々は船を漕ぎ出して交易に精を出したり、隣島の知人に会いに行く事を楽しんだり。
……そんな楽しげな光景が広がる海洋王国の……裏。
『ウグゥゥゥ……』
イレギュラーズ達が、異言都市(リンバス・シティ)のアリスティーゼ大聖堂より移動した先に拡がっていたのは、そんな平和な海洋王国の姿とは真逆の光景。
正しく数年前まで繰り広げられていた『廃滅病』が蔓延していた頃の如く、人々は苦しみの声を上げてのたうちまわり、海からは廃滅病に侵され変異してしまった『変異種』達が次々と姿を表しては、人々を貪り喰らう。
……あの『廃滅病』の時がまるで繰り返されてしまっているかの様な目の前の光景は……あの時を目の当たりにしたイレギュラーズ達の心に『来る』光景だろう。
無論、この世界は表裏一体。
この世界を放置していて仕舞えば、現実世界の海洋王国も同じ羽目になる可能性は高い。
今の内に、早急に……新たに想像されし『神の国』を討伐する為に、イレギュラーズ達は動き始めるのであった。
●
「あの……その……すいません。また、『神の国』が現れたようなのです。どうか……お力を、貸して頂けないでしょうか……?」
天義首都の一角で、声を掛ける『深緑の声』ルリア=ルナミス(p3n000174)。
彼女の言う『神の国』は、天義の巨大都市『テセラ・二バス』で最近現れ始めた、天義にあれど天義ではない、そんな世界。
……だが、足を止めたキミ達に彼女から語られた言葉は。
「ありがとうございます……皆様も既に知って居るかもしれませんが、『神の国』に、新たなる形が現れた様なのです……」
新たなる形とは何か……小首を傾げる君達。
それにルリアは。
「別で……皆様も聞いているかもしれません。この『神の国』は……海洋王国とそっくりの様なのです」
「この海洋王国に似た『神の国』は、皆様のシル海洋王国の平穏さと真逆の光景……過去の『廃滅病』が蔓延した頃の状況と似通っている様なのです」
「廃滅病に侵され……変異種へとなりはててしまった海洋生物がゴロゴロと居る様な状況で、この『神の国』は混迷を極めています。この事態を放置しておけば……何らかの影響が、現実世界にも及ぶ可能性も捨てきれません」
「恐らく、他の『神の国』と同じく、ここには何らかの『聖遺物』が眠って居る事でしょう……それを破壊すれば、『神の国』の侵略を止める事が出来るかもしれません」
「……厄介な状況である事は、重々承知しております。ですが……海洋に棲まう人々に被害が及ばぬうちに、どうにか対処してきていただきたいのです……どうか、宜しくお願い致します……」
申し訳無さそうにルリアは、深く頭を下げた。
- <廃滅の海色>滅へ導く時完了
- GM名緋月燕
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年06月11日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●過去の時思い
天義の巨大都市『テセラ・二バス』の一角に佇む『アリスティーゼ大聖堂』。
傍から見る限りにおいては、特段に何か特徴が有るという訳でもない、そんな極々普通の街角の教会。
しかし……そんな教会の中に開いたのは、『神の国』へと繋がる道程。
その道程の先へ進むと、天義から離れた『海洋』の国と瓜二つの世界が拡がっていた。
だが、現実とは大きく違う点が一つある。
それは……海洋の国を苦しめていたが、克服した筈の『廃滅病』が、この世界では流行しているという事。
「ったく……どうにも『神の国』とやらの連中は、海洋に廃滅病を復活させたいらしいな……」
「ああ……冗談じゃない! 僕の担当(シマ)で廃滅病がまた蔓延する事態なんて、そんなこと許せるもんかよ!!」
『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)が肩を竦めると、それに『苦い』カトルカール(p3p010944)が強く叫ぶ。
海洋に長く居る二人にとっては、あの時の惨事と光景に思い出したくもない病、『廃滅病』。
実際に惨状を目の当たりにはして無くとも、人の身が溶けると言う病と聞けば、精神的に来るものがあるだろう。
だが……何故神の国に蔓延る者達がその事態を知って居るのだろう……そんな疑念は尽きない。
さらにもう一つ……今迄天義だけで収まっていた『神の国』の事件が、この様に『神の国』の中で拡がりを見せている。
自分達の窺い知らぬところで、人知れず侵略の手が伸びているような……そんな気さえする。
「そうだねぇ……今迄折角一つ一つ、大きい事態を片付けて回ってきたって言うのに。まさか国々でこうも掘り返されるとはね。このまま彼らは全国行脚でもするつもりなのかな?」
「全くだ。天義だけに留まらず、こんな所にまで神の国が出現する様になったのか。敵の活動範囲が拡がるってのは、本当気味が悪いぜ……」
「ええ、あれだけ苦労して終わらせた悲劇だというのに、それを再び元に戻そうとするその魂胆は、流石に腹立たしいです!」
『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)と『鳥籠の画家』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)、『疾風迅狼』日車・迅(p3p007500)三人の言葉。
それにうむ、と大きく頷いた大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)と『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)。
「この武蔵は、当時はこの世界には居なかった訳だが、このような光景を正しいと嘯くのならば、それは断じて違うと粉砕せねばなるまい。今、ここに苦しむ者が居る。私にはそれで十分だ」
「ああ。俺達が召喚されなかった世界で廃滅病と闘った人々の末路……さっさとこんな世界は終わらせなきゃな」
今の所は、この『神の国』で起きている廃滅病が、現実世界に影響を与えている訳ではない。
でも、このまま事態を放置すれば……神の国の事態が現実世界との境目を越えてくる可能性は十分にあり得る訳で。
「廃滅病の復活……ホント神の国は何がしたいんだろうね。少なくとも心穏やかに、幸せに暮らすんだったら、病気せずに健康第一っていうのが一番のはずじゃん? ほら、身体が資本って言うでしょ? そういう意味でもさ、こんな事を放っておくわけにはいかないよね。変異種になって、苦しそうな人達……それを見ているとちょっと気が滅入るけど……せめて、安らかに眠らせてあげるのが一番なのかなって想うんだ」
『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)が拳を握りしめて言うと、それにウェールも。
「そうだな……変異種になりはてた海洋生物とは言って居たが……この悲鳴は、変異種か、それとも……」
耳を澄ませば聞こえてくるのは、何者かの悲鳴。
ウォォォォン、と悲しげな獣の咆哮は……正気を失った人という『何か』の断末魔の様にも聞こえてくる。
そんな滅びへと向かう者達を救えるのは、イレギュラーズ達しか居ない。
「人が溶けて腐り落ちる挙げ句に、化け物みたくなって闊歩する世紀末じみた世界が、奴さん方の理想なのかねぇ? ま、そんな国に君臨する神だなんて、間違い無くロクなモンじゃなさそうだな」
「ああ! 甲斐国だか何だか知らないが、ぶっ潰してやる! 病気なんて撲滅できた方がいいに決まってるだろうがよ!! 縁のおっちゃん、絶対に奴等をぶっ潰してやろうぜ!」
「そうだな……やってやろう」
カトルカールの言葉に縁もこくりと頷き、そしてルーキス、迅も。
「そうだね。イレギュラーズっていうのは諦めが悪いんだ。廃滅病は終わった事にすぎない。このまま歴史の海に埋もれておいて貰おうか」
「そうですね。元凶はいつか殴りますが、今はこの『神の国』を潰す為に、この大海原の何処かにあると言う『聖遺物』探しが先決です。早く見つけて、苦しむ彼らを終わらせてあげましょう」
そして縁が。
「……んじゃ、行くとするか。海の中も漆黒だ。不意を討たれない様に、常に周りには注意して行こう」
と縁の注意喚起に頷きつつ、イレギュラーズ達は獣の如き苦しみの咆哮が響きわたる漆黒の大海へと向かうのであった。
●風向かい
そして目の前に拡がる『神の国』の大海原を進むイレギュラーズ達。
薄い闇間を暗視能力を効かせながら、僅かな高度を維持して進むと……その進路の先で、ザバァァン……と波が荒れ狂うが如くうねりを上げる。
それが廃滅病に侵された変異種のものかどうかと言われれば……単なる海のうねり。
空は漆黒の闇に包まれ、所々からは雷鳴も響きわたっており、普通に船に乗っていれば、その波に多少苦戦はしたかもしれない。
だが、水上と水中の両面から進む事で、その被害は最小限に抑えて進む事が可能。
そして荒れ狂う海の上を、ルリアより聖遺物と聞いた『空の灯りに輝く真鍮製のブイ』を捜索。
「しかし……広大な海だな……」
「うむ。しかしその様な海でこそ、我の本領発揮する時! さぁ、ソナーの索敵能力を全開にするぞ!」
ベルナルドの言葉に対し、武蔵は威風堂々と周囲の具合を索敵開始。
彼女の索敵能力により、その近隣で何塊ものの敵の群れの様な物を感知する事が出来る。
「うむ……ソナーに感あり! 十二時の咆哮より接近中!」
感知した敵の方角を仲間達に通達し、その方向を監視していると……ザパァン、と水飛沫を上げて居る、巨大な『何か』の姿を発見。
百メートルほどの距離まで到達したところで……再度ザパァンと波飛沫を上げて、海中から出て来た触腕が見える。
ただ……その蛸の触腕は溶け始めているかの如く。
当然ながら、海水から出てきただでその身自体は溶けていないなんて可能性も十分あるのだが……少なくともその巨体は、いつもの海で見かけるような物でもない。
「取りあえず回避出来そうなら、一旦回避するとしようか?」
「そうだね。下手に闘って体力を消耗させたく無いしね」
迅の言葉に頷き、ルーキスが方向を指示すると共に、前方で苦しみに悶えながら進んできている『廃滅病』の蛸を回避。
彼らはまだ、イレギュラーズに気付いていなかった様で……イレギュラーズ達に何かする事も無く、更に道を進む。
……その後も、幾度となく海上を進んで行けば、うねる波間に廃滅病に侵された者達が姿を表すが、武蔵のお陰もあり、ある程度事前に察知する事が出来る事で、戦闘を次々と回避して進んで行く。
ただ……だからといって簡単に聖遺物を見つけるような事は出来ず、更に捜索を継続していくイレギュラーズ。
時間が経過したとしても、夜が開けるような事も無く薄暗闇は続いて行く。
「何て言うか……まるで夜を失ってしまったかの様だな……」
ウェールが息を吐き、肩を竦める。
……そして広大な神の国を飛び回り、数時間経過した時。
「……ん?」
縁が地平線の先ギリギリ辺りのところに、何かが浮かんでいるのを発見。
ただ、続けて武蔵から。
「……む。同じ辺りの所に、多くの感あり。彼らが……護っているのか?」
と敵対反応を口にする。
確かに武蔵の言う通り、その浮かぶ『何か』の近くで波飛沫が次々と立っているのははっきりと分かる。
「うーん……目標の聖遺物であるのは間違い無さそうだねぇ。でも、それを破壊するにはあそこに入って行かなきゃならない、って事か」
「そうだな……ならば仕方ない。仕留めるぞ」
ウェールの言葉に息を吐き……じっと睨み据える縁。
そして……イレギュラーズ達は一気にその浮遊物の方へと接近。
距離を詰めれば海の上に浮かんでいたのが……かなり古そうな『真鍮製のブイ』であるのを確認。
ただその周りには廃滅病に侵され、苦しみの声を上げて海面を叩いたり、波飛沫を上げて暴れ回る変異種達の群れ。
「かなり苦しそうだな……」
彼らの鳴き声は、イレギュラーズ達の心をジリジリと蝕む言葉の刃。
勿論、彼らは本心から救いを求めているという事ではない様だが……。
そんな彼らがイレギュラーズを発見すると、威嚇の咆哮を上げると共に海中から姿を表して……海上を飛ぶ者に対してはイカスミを吐きつけたり、タコ脚を巻き付け、海中の者に向けてはその身から雷鳴をとどろかせて、痺れさせる。
特に誰かをターゲットにする事は無く、兎に角近づいて来た者を無差別に、徹底的に攻撃しようとする姿勢。
そんな彼らに向けて、ベルナルドは強い口調で。
「お前達、攻撃の手を止めてくれ。協力してくれるなら、俺達はアンタらを楽にしてやれるかもしれないんだ!」
と訴えかける。
……しかしイレギュラーズ達の言葉に対し、何らかの目立った反応を返すような事は無い変異種達。
触腕を叩きつけて波飛沫を上げ続ける彼らに対し、更に咲良と縁、カトルカールも加わり。
「アタシたちは、あなたたちが苦しんでる姿は見たくないの。こんな形でしか協力できてなくて、本当にごめんね」
「そうだな……お前さん達の苦しみ……廃滅に侵される感覚、よく分かるぜ。何せ、俺も死ぬ程味わったからな? だが……今のお前さん方には信じられねぇかもしれんが……長い夜も、いつか明けるように、そいつがなくなる世界は、必ず来る……見たいと思わねぇかい?」
「そうだよ! 縁のおっちゃんの言う通り、それを解決する為に僕達イレギュラーズが命張ってるんだ! あんた達含めて、これ以上誰も苦しまなくていい様にな!」
「そう……だから、せめて、少しでも良いから、あなたたちの声を、想いを、教えてくれないかな……?」
「あんた達を苦しめている廃滅病、それはそこにある『聖遺物』を壊せば消える。苦しめられて居るこの世界が消えるんだ。死は救済……なんてのは心苦しいが……でもよ、俺達は特異運命座標、奇跡を起こす存在だ! お前達をそれで救ってみせる!!」
ベルナルド、カトルカール、縁、咲良の四人から投げかけられる、心よりの説得の言葉。
……しかしながら、変異種達が落ちつく様子すら無い……むしろ、段々と威嚇的に、活発になっている様な気さえする。
そんな敵の攻撃を交わしつつ、その隙をついてルーキスが。
「まあ、聞いてくれないのなら仕方ないねぇ……下手に手を抜いて、余計苦しめるのは美学に反するし、最初から全力でいかして貰うよ。悪く思わないでね」
僅かに笑うと共に、手を掲げる。
その指先に鈍く煌めく銀色の紋様。
それがぐにゃりと歪むと共に奔流となりて変異種達を巻き込んでいく。
巻き込まれた変異種達は、苦悶の叫び声を上げて力の奔流に呑まれていく。
勿論その一撃で死に至る程柔ではない……むしろ攻撃を受け、更に怒りの声を上げて、イレギュラーズ達を海に沈めるべく暴れ回る。
「死んでたまるか! 病気だろうが怪我だろうが死ぬのは怖い、当たり前だろう!!」
とカトルカールはそう自分に言い聞かせるが如く声を上げて、三段の穿ちで的確に撃ち抜く。
更に次刻、咲良は尖端を切り拓き。
「仕方ないよね……なら、こっちも容赦しない。これ以上苦しまさせない為にも、早々に決着を付けるよ!」
強く自分に言い聞かせるようにしながら、咲良が瞬時に近づき至近距離で渾身の一発を叩き込む。
同時に迅も別の変異種へ接近し、触腕が水上に出て来たところを強く蹴り上げる。
流石に全身は無理だが、その身が軽く浮き上がると、そこに逆転の確実な一閃を叩き降ろして、水飛沫の中に沈めていく。
そして二人の攻撃に続いてベルナルドは己の身を光に包ませながら。
「届け、届けよ! 心の奥底まで。痛いよな、苦しいよな? こんな理不尽、俺は絶対見過ごせねえ!」
と呪鎖で敵を縛り付けて、そこへ縁、ウェールが呪いの歌声と銀の雨で集中砲火し、その体力を加速度的に削り、最後の止めに武蔵とカトルカールの一撃必殺を叩きつけていく。
そんなイレギュラーズ達の連携の前に、一匹ずつ、確実に数を減らして行く変異種。
……半数程まで減った頃には、確実に彼らの背後にふよふよと浮かぶブイが、イレギュラーズ達の発光に鈍く輝いているのを確認出来て。
「間違い無い。あれが『聖遺物』だろうね」
「そうですか……ならば、あの破壊を急ぎましょう!」
ルーキスの言葉に頷く迅。
とは言え変異種の群れは未だに立ち塞がっており、中々近づく事は出来ない。
いや……。
『……っ』
そのブイの近くに、ぼんやりと浮かぶ『人型』の影
影の背中には『翼』の様な物。
「影の天使発見……! 優先するよ!」」
素早く反応した咲良が、変異種をパスする様に進む。
加えて後方からはルーキスが。
「キミ達が眠って居るところをたたき起こしたのは、そこの天使共だよー? キミ達をたたき起こした馬鹿を殴るから、道を開けてほしいな!」
と言いつつ、妨害する変異種達を攻撃。
上手く連携し、後方の影の天使へ接近し……渾身の一閃を叩き込み、悪即断。
……影の天使はその一匹だけしか現れず、他の影の天使は姿を表す事は無い。
「一匹だけじゃ無いと思うんだがな……仕方ねえ。残りを倒すぜ」
そう縁の言葉に皆頷き、そしてイレギュラーズ達は……聖遺物の周りに蔓延る、戦意を失わない変異種達を全て討ち倒していくのであった。
●鈍輝
「……どうにか終わったか」
肩を竦め、息を吐くウェール。
とは言え安心する暇は無い……聖遺物は壊れて居らず、未だに遠くの方からは変異種達の咆哮が絶えず響きわたっている。
「取りあえず、さっさと聖遺物を壊して、安心して眠れる海を取り戻さないとね?」
とルーキスは言うと共に、海の上に浮かぶブイの下へと向かう。
……浮かぶブイ自体は何か変な形をしているという訳でも無く、ただ単に海上に浮かぶがのみ。
特殊な力を持っている様な気もしないのだが……殆ど光のない薄暗闇の中で、光源にかかわらず鈍く輝く所だけが、特異点の様にも想う。
そんなブイを手にすると共に……高い力を注ぎ込み、木っ端微塵に破壊するルーキス。
破壊から程なくして……遠くから響いていた苦悶の咆哮は突如として収まる……だが、次に拡がるのは、一切の静寂。
「……取りあえずは大丈夫そうだね。でも、あまりまごまごしてると閉じ込められちゃうかもしれないから、急いで戻るとしよう」
と咲良の言葉に頷き、そしてイレギュラーズ達は急ぎ帰路へ。
神の国から、アリスティーゼ大聖堂に戻り……先ずは一息。
「それにしても天義だけに留まらず、か……厄介な仕事を増やしてくれるねぇ連中もさ」
と肩を竦めるルーキスに、武蔵もこくりと頷き。
「全くだ。武蔵は闘う艦(フネ)であるが故、沈める事でしか鎮める事は出来ぬ。しかし神の国とは何なのか、私には分からぬ。だが、例え世界が偽りであろうと、その苦しみは本物だろうと武蔵は断言しよう。この神の国とやらを作り出した者達が、こちらこそが本来だと言うのなら……その責は、かならずや受けさせてくれよう」
拳を握りしめる武蔵に迅も。
「そうですね。影の天使の行いは留まる事を知りません。ならば僕達は一つ一つ、確実にその事件を解決するまでです。決して……彼らを赦しません……!」
と強い口調を紡ぐ。
……ともあれ、一つの聖遺物を破壊した事は確かで。
「ま、少しずつやるしかないな……」
と肩を竦めるウェールに皆も頷き、そしてイレギュラーズ達も一旦、大聖堂を後にするのであった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
依頼ご参加頂きまして、ありがとうございました!
天義だけに留まらず、海洋までに侵食し始めた影の軍勢は、かなり不気味な存在ではありますね。
これからどう事態が進んでいくかもまだまだ分からない所ではありますが、どうぞ宜しくお願い致します……!
GMコメント
皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
天義の国から飛んだ先にある『海洋』の『廃滅病ありし世界』に似た世界……影の軍勢は、何を狙っているのでしょう……。
●成功条件
海洋王国、『静寂の蒼』地方に似た『神の国』の世界で、聖遺物を探し破壊する事です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●周りの状況
舞台となるのは『海洋王国』の『静寂の蒼』に似た世界になります。
船や飛行、水中行動などで海の上でも行動は出来るので、その点はご安心ください。
ただ、現実世界とは違い、海の中から突然『廃滅病』に侵された『変異種』に似た生物たちが突如として襲い掛かってきます。
彼等が何処から出てくるかは分かりませんし……何故か夜が明けることが無い『神の国』ですので、視界不良の中その対処を行い闘う事になります。
又、彼等は『聖遺物』を破壊しなければ、尽きる事無く出現し続けます。
広大な海の何処かに浮かぶ、『空の灯りに鈍く輝く』真鍮製のブイが今回の聖遺物となります。
それを効率的に探すよう作戦を考える必要があるでしょう。
●討伐目標
・廃滅病に侵された変異種達
過去、海洋において流行しました『廃滅病』に侵された怪物達です。
元は人……だった様で、辛うじて人語を喋る事が出来ます。
ただ、身を蝕む強烈な痛みに四六時中侵されている為、救いを求める様な悲しげな声を上げ続けるしか出来ない様です。
戦闘能力も、変化してしまった海洋生物に似通った力を使います。
イカ状なのは墨を吐いて視界を完全に奪ったり、タコ状なのは相手の身をグルグルに拘束した上で、そこに電撃を流してきたり、と。
ただ、彼等の苦しみを理解し、救いのある言葉を投げかければ、拘束する力を緩めたりする可能性があります。
・影に翼を纏いし人型の『影の天使』達
変異種達を影から動かしている輩達です。
基本的には姿を表しません……ですが、変異種達が危険になれば、援護射撃程度の事はしてくるかもしれません。
また、聖遺物を破壊しようとした場合は、どこからともなく彼等が出現し妨害しようとしますので、破壊作戦を執る場合は、こちらの敵にもご注意下さい。
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
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