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シナリオ詳細

<黄昏の園>虹の破片の杖

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●黄昏の園にて
 それは、ただ美しい珠をはめ込んだ杖に過ぎない。
 虹色に輝くそれは地面に突き刺さり、ただキラキラと輝いている。
 それだけの、何の力もない杖だ。
 いつから其処にあったのかは、誰にも分からない。
 このヘスペリデスを作る時に『冠位暴食』ベルゼー・グラトニオスが何処からか持ってきたのか、それとも亜竜が咥えて運んできて、捨てていったのか。どのみち、たいした由来は無いだろう。
 だから、この杖が最初からこうだったのかすらも分からない。その程度にはどうでもいい扱いをされていたものだった。
 『激渦竜(げっかりゅう)』ザナデスにとってもそれは同様で、ただなんとなくそこにあって、なんとなく目を向ける程度の……そのくらいの扱いの代物であった。
 しかし、そんなものでも時折目を向ける程度にはザナデスはそれを気にかけていた。
 一部の亜竜が杖の周囲をウロウロしても気にしない程度に。
 そして……万が一それを持っていこうとする者がいても、ちょっと「弾いて」やるくらいで済ましてやる程度には。

●ヘスペリデスへ
 ラドネスチタによる『選別』をうけ、イレギュラーズが辿り着いたのは『ヘスペリデス』と竜種達の呼ぶ緑豊かな場所であった。
 この場所は『冠位暴食』ベルゼー・グラトニオスが竜種と人の架け橋となるべく作り上げたらしい。
 人の営みを真似して作った遺跡は不格好。咲く花はデザストルの特有の名も知らぬ花。
 覇竜とはこのような未知だと再度突き付けるようなこの場所はされど、不器用で不可解な感情を形にしたかのようでもあった。
 いつか滅びに向かうのだというこの場所において……やるべきことは、幾つも存在する。
「『女神の欠片』……それもまたそういうもの、ということだな」
 『花護竜』テロニュクスと『魔種・白堊』がベルゼー・グラトニオスの苦しみを少しでも和らげるためにイレギュラーズに協力を要請したというモノの名前を『騎士の矜持』ベネディクト=レベンディス=マナガルムは呟く。
 勿論、何処まで信じていいものかは分からないが……女神の欠片は様々なものに形を変えているという。
 たとえばそれは亜竜の卵にであったり、あるいは竜種の鱗にくっついていたり。
 勿論そのようなもの、命懸けになることは確かだが……多少ではあるがもう少し生き残れる確率が高いものもある。
 それがヘスペリデスの草原に刺さっているという杖『虹の破片の杖』だ。
 全長は160cmほどの比較的大振りの木製杖だが、まるで竜種の腕のような形に作られており、その手のような部分には大きめの珠が据え付けられている。
 材質は不明だが虹色に輝くその珠は、まるで虹の破片をそういった形に磨いたかのように美しい。
 そしてどうやらこの杖が、女神の欠片が変じた姿であるようなのだ。
 しかしながらこの杖を気に入ったのか、亜竜「ディープランナー」の群れが杖を守っているのだという。
 だが、それはまだいい。かの『激渦竜(げっかりゅう)』ザナデスの座る岩もその近くにあるのだという。
 静寂を好むザナデスだが、それに加え杖に手を出した時にどのような反応を見せるか不明だ。
 危険だ。危険だが……これがピュニシオンの森の攻略の一助となるのであれば、やるしかないだろう……!

GMコメント

ヘスペリデスの草原に刺さった「虹の破片の杖」を持って帰りましょう。
付近には『激渦竜(げっかりゅう)』ザナデスが時折瞑想に使っていると思われる、ツルツルに磨かれた平べったい岩があります。
どのタイミングでザナデスが現れるかは不明です。もしかしたら皆さんがヘスペリデスに到着した時には、もういるかもしれません。
成功条件は「虹の破片の杖を手に入れる」ことです。無茶はやめましょう。

●出てくる敵
・ディープランナー×6
2足歩行のカメレオンみたいな姿の亜竜。とにかく足が速いです。
攻撃方法は口から水弾を放つ攻撃と、結構な威力の飛び蹴りです。

・『激渦竜(げっかりゅう)』ザナデス
竜種。将星種『レグルス』の一角。竜の中でも天帝種同様に強大な存在達です。
青い髪と目を持つ、涼しげな雰囲気を持つ亜竜種の男のような姿をとっています。実際の姿は不明です。
一定確率で泉のクリスタルの下へ飛来し、その上で静かに座っているようです。
敵対的ではないように見えますが、味方ではありません。皆さんのことは歯牙にもかけておらず、その辺を飛んでる虫くらいにしか思っていません。
どうやら静寂を好んでおり、その辺りがザナデスが皆さんに積極的に敵対するかのカギとなるでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はDです。
 多くの情報は断片的であるか、あてにならないものです。
 様々な情報を疑い、不測の事態に備えて下さい。

  • <黄昏の園>虹の破片の杖完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2023年05月16日 22時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

零・K・メルヴィル(p3p000277)
つばさ
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
ファニー(p3p010255)
炎 練倒(p3p010353)
ノットプリズン
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚
煉・朱華(p3p010458)
未来を背負う者

リプレイ

●ヘスペリデスにて
「ドラゴンってくそ強いからなぁ……極力ザナデスが居ないのが一番なんだが……まぁ絶対いるだろうし此処は色々祈っとこう」
 『恋揺れる天華』零・K・メルヴィル(p3p000277)のそんな呟きが響く。
 此処はヘスペリデスの草原へと向かう道中。名も無き草花が生えている此処で、女神の欠片を零たちは探しに来ていたのだ。
 どれだけ危険な場所かは充分に分かっているからこそ、零は事前準備をしっかりとやってきていた。
 おまじないと天気予報で天候をある程度把握しつつ事前に分かる限りの資料検索をしてきていたのだ。
 更には黄水晶の雫とオラクルで不測の事態に対抗できないか試すなど、まさに人事を尽くして天命を待つ勢いであった。
「ヘスペリデス。美しい土地、だ。住まう者たちの安寧を願う気持ちが込められていることが、わかる気がする。女神の欠片とやら……できる限り、この地を荒らさず集められれば、良いのだが」
 『愛された娘』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)もそう呟くが、ハイセンスで周囲をしっかりと警戒している。
「ザナデスの耳がどれだけ鋭いかも、わからない。出来るだけ静かに目的地まで赴こう」
「そうだな」
 『優穏の聲』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)もエクスマリアにそう頷く。出来る限り刺激しない……それは共通した方針だった。
「さて、今回はディープランナーが気に入っているという虹の破片の杖を入手することが目的なわけだが……竜が時折やってくるのだとか。しかもその竜は静寂を好み騒がしいことを嫌うらしい。立ち回りには気をつけないと相手の怒りを買ってしまいそうだな」
 そう、ゲオルグの言う通りであり……だからこそ、確認すべきことはいくつかある。
「まずは虹の破片の杖の場所と竜がやってくるであろう場所の確認だな。ちゃんと位置関係を把握しておかないとディープランナーを引きつけるにしても逆効果になってしまいそうだ」
「だな。あとは……そうだな。まずはザナデスがいるかどうかを確認しないとな」
 『紅薔薇水晶』ファニー(p3p010255)も言いながら広域俯瞰と超視力でおおまかな全体図を確認しディープランナーらしき亜竜を探す。
 そこで見つかれば良し。見つからなければファミリアーで烏を2体先行させて様子をうかがうつもりだったが……いない。
 恐らくザナデスが愛用していると思われる岩の上には誰もいない。となれば、あとは何処にいるかだが……。
(ザナデスがいようといまいと、まぁ俺様のやることは変わらない。ただ、途中からザナデスが姿を現した場合は仲間に情報共有を忘れないようにしねえとな)
「亜竜ならまだしも竜種もいるかもしれないとは中々今回も骨が折れそうな依頼であるな。まぁ、骨程度であれば、むしろラッキーであるがな。しかし、先ずは亜竜からであるな。もしかしたら竜種のザナデス殿は来ない可能性だってあるかもしれないであるしな、ガーハッハッハッ」
 『ノットプリズン』炎 練倒(p3p010353)は超視力で草原を見渡し目視によるディープランナーの確認と同時とオラクルも使ってみるが……『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)もしっかりと周囲を確認しながら現状について考えていた。
「穏便に何事もなく終わらせられるならそれに越したことはないっスから忍び足や気配遮断でどうにかなるのであれば試してみてもいいかもしれないっスね。まぁ、そうは問屋が卸さないって可能性が高そうな気はするっスけど」
 竜種相手にどこまで通用するか……と考えると難しいかもしれない、などとライオリットは思うが……やらないよりはやってみるほうがいいのは間違いない。
「ザナデスの周りであまり五月蠅くすると、怒られる気がするんっスよね。なので、できるだけディープランナーを杖から引き離すような形で相手取りたいところっスね。向こうは速度自慢って話っスけど、オレも速さにはそこそこ自信があるっス!」
「その意気よっ! 私も頑張らないと」
「お互い頑張るっス」
 ライオリットと『煉獄の剣』朱華(p3p010458)もそう頷きあう。
「分かっていたことだけれど何処に行っても竜、竜、竜……ね。ここに来て今のところ無闇矢鱈と敵対するような相手とは遭遇はしていないけれど、機嫌を損ねればどうなるかもわかったものじゃないし……それでも、琉珂達と一緒に女神の欠片を集めて、これからの未来を切り拓くって決めたんだもの。何としても虹の破片の杖を手に入れてみせるわっ!」
 そう、女神の欠片。ヘスペリデスの来る者たちの目的は大体それであるだろうが……『騎士の矜持』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)も、今回の目的である女神の欠片について考えていた。
「女神の欠片、か……不思議な代物があるものだ。だが、俺達にとっては有用な代物であることに違いは無いだろう」
 そう、女神の欠片なるものが本当に良いものかは不明だが、今は集めるしかない。
「変わらず、竜達の生息域に踏み込む以上は危険はつきものだが……油断せずいこう」
 ベネディクトのその言葉に全員が頷く。
「俺達の目的は飽く迄もヘスペリデスの草原に刺さった「虹の破片の杖」だ。周囲に居る亜竜についてはともかく、ザナデスに対しては積極的に敵対をする必要は無い。その性質もある程度は把握は出来つつある、今回もうまく切り抜ける事が出来れば良いが……」
「やるしかねえ、ってことだな」
 ファニーもベネディクトに返す。そう、どんな危険があってもやるしかない。これは、そういう仕事なのだ。

●虹の破片の杖
 虹の破片の杖を見つけること自体は、そう難しくはなかった。
 虹色にキラキラと輝く珠をはめ込んだ杖は、それ自体が物凄く目立つからだ。
 問題はその周辺を亜竜ディープランナーがウロウロしていることだが……ザナデスが座るであろう岩から引き離すのが基本戦法であった。
 練倒はモンスター知識からディープランナーの習性を思い出し伝えていたが、それをも活用して、事前にSSSガジェット3.0bと彗昴を発動させていたライオリットが竜鱗片と覇竜の導きをチラつかせながらディープランナーの目を引こうとする。
 ディープランナーの好戦的な性質を利用しようというわけだが、そこに更にエクスマリアがもう一手をうつ。
「頼む、ぞ精霊たち」
 精霊操作で、ディープランナー達を刺激するよう頼んでいたのだ。引き付けることでザナデスのお気に入りと思われる岩を傷つけないようにする目的もあるので、幾重にも手を打つのは基本ということなのだろう。
(最終的には敵対するかもしれないが少なくとも現在は、ザナデスと敵対するつもりではないことをしっかりと態度で示しておかねば、な)
 そう、女神の欠片を手に入れること。ザナデスと必要以上に敵対しないこと。それが今後の鍵の1つだとエクスマリアは考えていた。
(まだヘスペリデスでの探索は続くだろうから無闇に火種となってしまうような行動は避けねばな。まともに戦闘になってしまえば、私達には殆ど勝ち目がないだろう……どれくらい探索しなければいけないかわからない以上、探索の危険性を自ら上げるような真似は控えておきたいところだ)
 ファニーもディープランナーへアンガーコールを命中させ、ザナデスが来るであろう位置から引き離していく。
(基本無音で倒す事を心掛けないと……!)
 そして一気に奇襲をかける零は魔哭天焦・月閃しつつの残影百手を音が出づらさを考えた「料理で肉を裁く様に骨と骨の隙間に切り込むイメージ」で仕掛けていく。
(音を出さずに切り裂ければ上々! お仲間がダメージ負ってたら驚くだろう?ほらこっちだこっち!)
 ゲオルグの風花の福音を発動させながらも朱華の動きをしっかりと確認していた。
 朱華に何らかの危機が迫る時、朱華の盾役になるつもりなのだ。
 特にザナデスからの攻撃はどれくらいの威力があるものか分からない。
(朱華自身も危険だし、万一虹の破片の杖が壊れてしまっても困るからな。しっかり庇うようにして早めに離脱してもらえるように努めよう。ザナデスやディープランナーを倒すことが今回の目的ではないからな、無理をして作戦失敗となってしまえば目も当てられん。目的を見誤らないように気をつけなければな)
 そう、それだけはやってはいけないことだ。だから誰もが冷静に状況を見極めていく。
「悪いが、大きく騒ぎ立てる様な事はしたくはないのでな。直ぐに終わらせよう」
 ベネディクトも雷切(真)を放ち、可能な限り手早く倒せるようにしていく。
 そしてその間……朱華は仲間たちと離れ周囲の草原に溶け込むような服装に身を固めていた。
 更には闇の帳と気配消失で姿を隠しながらディープランナー達に気付かれない範囲まで接近。
(後は皆が彼らの注意を引いた後にタイミングを見て確保に……よし、今!)
 地面に刺さった虹の破片の杖に向かって朱華は一気に走り、そして掴む。その、瞬間。ゲオルグが走る。
 そう、上空から舞い降りてくる影1つ。『激渦竜』ザナデスであった。
「フン。羽虫が何をしているかと思えば。そんなものを欲しがっていたとはな」
「……!」
 声をあげないようにしながら、朱華は周囲を見回す。ディープランナーを間に挟めば盾になるが……少し距離があるし、どの程度効果があるものか。
「持っていけ。此処で無駄に雑音をたてないでいたことは評価してやる」
 言いながらザナデスは岩に座るが……ザナデスを恐れディープランナーの生き残りが何処かへと走り去っていく。
(ディープランナー倒し終えた後にザナデスが来たら即座に隠れたい所だったが……来ちまったなあ)
 零は思わずそんなことを考えてしまうが、今更だ。
(ザナデスも、元よりマリアたちには別段興味もない、筈。己に牙を向けぬ相手を、わざわざ踏み潰しにくることもない……と、いいのだが)
 エクスマリアもそう考えながらも、もしザナデスがこちらに攻撃の意思を向けてきた場合は、回避に徹し敵対する気はないことをアピールしてみようと考えていた。
(こちらも重大な目的あってのこととはいえ、竜種達の住処を荒らすのは本意ではないし、魔種とは違い、必ずしも倒さなければいけない相手では、ない。まあ、竜種にそんなことを言って聞いてくれるかは分からん、が)
「貴方はベルゼー達に力を貸す様な事はしないのか」
 僅かでも会話が出来た。その事実を縁に、ベネディクトはそうザナデスに問いかけてみる。
(静寂を好む性質だ、俺達にその力を振るっても不思議ではない……そして、何れは今よりも大きな戦いがこの周辺で起きる。その時、彼が俺達の味方になってくれれば、という思いは僅かだがある。が、争いを持ち込んでいるのも彼らからすれば俺達だ……難しいな、マルクや他の頭が回る者達なら或いは方法も思いつくのかも知れんが……)
 そんなことを考えながらの問いに、ザナデスはふうと溜息をつく。
「俺には関係ない。虫共、貴様等にも興味はない。何をしているか、考えているか……全て興味がない」
「吾輩たちは、テロニュクス殿の依頼で女神の欠片と思われる物を集めているのである」
「このまま状況が進めば、静寂なんてものはここら一帯からなくなっちゃうと思うんっスよね。ただ静観しているだけじゃ、きっと今みたいな平穏も静寂も得られないままになってしまうっスけど、本当にそれでいいんスかね? オレはここに来たばっかりっスけど……この自然豊かなヘスペリデスが荒れ果てるような状況は、あんまり見たくないっスね」
「興味がないと言ったぞ。花護竜が何を考えていようと俺には興味がない。さっさとその杖を持って帰れ。でなければ軽く弾いてやることになるぞ」
 テロニュクスの名前を出したからこそ返答らしきものを貰えたのかもしれない、と練倒とライオリットは思いながらも後退る。
 ベネディクトの質問に答えてくれたのは、ザナデスの好む静寂への配慮をしたせいだろうか?
(潮時だな。引くぜ)
 ファニーがハイテレパスでそう合図し、全員が静かに離れていく。
 そんなファニーたちを気にすることもなく、ザナデスはその場で瞑想を始めるが……返答の内容を吟味しながら、ベネディクトは思う。
「あの様子だと積極的に敵というわけではなさそうだが……」
「相互理解ってやつは難しそうだな」
 零もそう溜息をつく。確かにその通りだろう。しかし……朱華の手の中に虹の破片の杖はある。
 この戦果があれば、成功と呼ぶには何の支障もないだろう……!

成否

成功

MVP

ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

状態異常

なし

あとがき

女神の欠片「虹の破片の杖」を手に入れました!

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