シナリオ詳細
リアン・グコレイポーの罪滅ぼし
オープニング
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「私がしようとしているのは、所謂『罪滅ぼし』なのよ」
依頼人、リアン・グコレイポーはそう切り出した。
「そのために、あなたの力が必要なの。要約してしまえば、そだれけのことなのかもしれないわね」
すっかり雪の溶けた鉄帝国の大地に、そのステーキレストランはぽつんと建っている。
店の名はバウヒュッテン。オーナーはふくよかな女性で、来店したイレギュラーズたちにサービスだといって結構なサイズのガルガ牛のステーキ肉を出してくれた。
内紛によって大荒れになったうえ未曾有の大寒波が来ていた間は流石に店を閉めていたものの、今は順調に営業をしているらしい。イレギュラーズさまさまだと、彼女はあつあつの鉄板の上でじゅうじゅうと音を立てるステーキをあなたの前に並べながら言った。
そんなオーナーと、今回の依頼人は知り合いであるらしい。同じ村の出身で、学校でも同期であったリアンという女性。彼女は店に入るなりオーナーの女性と挨拶をし、帽子を脱いでからあなたの向かいにある椅子に腰掛けた。
運ばれてくるのは濃いめのコーヒー。注文もしていないのにやってきたのは、それだけ馴染みがあるということだろう。
「ここはいい村でしょう」
最低限の挨拶をあなたとかわしたリアンは、窓から見える牧歌的な風景を横目にそう言った。
確かに、良い村だ。馬車でやってくる間も遠い山脈が晴れた空に映え、どこまでも続くのではと思えるような牧場の風景が重なっている。
ガルガ牛はこの土地特有の牛であるらしく、身が柔らかく赤身が美しいことで有名である。
といっても、有名になったのはここ最近のことなのだが。
「この辺りは昔、酷い災害があったのよ。若い人は知らないかしら……」
リアンは見たところ三十台の後半といったところで、相手によっては確かに高齢に見えるかもしれない。
だがそれを差し引いても、彼女はどこか老け込んだ印象があった。
黒いスーツに白いシャツ。胸のポケットに銀色の眼鏡をひっかけた姿は政治家や弁護士といった印象があるが、彼女が挨拶をした時に差し出した名刺には古代遺跡研究家とある。あなたが勘を働かせて名刺の肩書きに目をやったところで、リアンは『そうよ』と肯定を示す。
「この村には古代遺跡があったの。といっても、アングスラマー墓所っていう古墳なのだけれどね。私は子供の頃からその魅力に惹かれていて、大人になってその研究に没頭したわ。そしてついに、封印されていた扉を開くことができた」
リアンはそう言って、鞄から一つの小箱を取り出した。
半透明なキューブ状の小箱の中には、古い鉢が入っている。
もしあなたに魔術的知識があったなら、この箱が軽度な封印能力を持っていることがわかるだろう。そして、決して開けてはいけない箱なのだということも。
「遺跡からこの鉢が見つかったとき、村は賑わったわ。偉大な発見をしたと私も称えられた。
けれど、それも鉢の効果がわかるまで……」
目を伏せるリアン。彼女のカップは既に空になっていて、ポットをもったオーナーがコーヒーをさりげなく足してくれる。
オーナーの視線からは、『彼女を頼むよ』という意志がイレギュラーズに向けられているのがわかった。
「鉢は、穀物の成長を促すものだった。けれど一年だけ豊作をもたらし、残り数年にわたって全ての穀物を枯らしてしまうという恐ろしいものだったわ。今はこうして、高位の呪物師の作った封印箱に収めて力を抑えているけれど、いつまでもというわけにはいかない。だから、これを再びアングスラマー墓所へ封印しなくてはいけないのよ」
ロマンを求め、発見をし、成功を収めたはずが、それによって村に大きな災いをもたらしてしまった。リアンはその責任を深く負い、罪滅ぼしとしてこの依頼をローレットへ託送としていたのだった。
「アングスラマー墓所は危険な場所よ。
古墳というだけに古代の偉人を埋葬したものなのだけれど、墓を守るために大量のアンデッドが配備されているわ。
古代文字を使った仕掛けや罠も多い。軽々しい気持ちで入れば命を落とすような場所なの。
けれど、あなたたちのような人物であれば信頼して仕事を任せられると聞いているわ。
なにせ、国を救った英雄達ですものね」
リアンは箱を差し出し、あなたの目を見つめた。
「私はもう、身体のあちこちを壊してしまって遺跡に挑戦するだけの体力が残ってない。だからあなたに託すわ。どうか、私に罪を償わせて頂戴」
- リアン・グコレイポーの罪滅ぼし完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別 通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年05月12日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談0日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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指でぴんと空を弾く。そうすることで、テーブルの上に置かれたスティックシュガーが空中へひとりでに跳ね上がる。
『あいいろのおもい』クウハ(p3p010695)は人差し指をくるくると回し、スティックシュガーを連動して回転させている。ストローの袋を折りたたんだりナプキンをねじったりするのと同じ手持ち無沙汰の現れなのだが、彼の場合随分と特徴的だ。
「理由はともかく、古代遺跡の冒険って部分にはワクワクするな。名前は確か……アングスラマー墓所?」
「ああ。古墳っていうからには古代の墓なんだろう。アンデッドモンスターが配置されてるってことは、それなりに偉い人間の墓だったんだろうな」
『カーバンクル(元人間)』ライ・ガネット(p3p008854)がガルガ肉のステーキをナイフで切りながらそんなふうにこたえた。
地球を例に取るが、この世界のピラミッドという古代遺跡は21世紀人類いわく王族の墓であるらしい。王族は奴隷を共に埋葬することであの世でも不自由なく暮らすのだと言われ、それなりの数の骨が共に見つかるのだとも。
アングスラマー墓所にアンデッドが多いのは、それこそ埋葬時に戦奴などを共に埋葬し盗掘から守る意味合いがあったのかもしれない。
「なるほどね」
ライはいくつもの冒険の経験から、クウハは永き時を生きた経験からそれぞれ納得した。
『星読み』セス・サーム(p3p010326)は(食事をとらないのでステーキを遠慮しつつ)テーブルにそっと手を置いて瞑目した。
「未知への挑戦、その好奇心は発展に必要なものですが、此度の一件では害の方が大きかったようですね。堅実な分析や研究の重要性が分かります」
その言葉で、場の空気がちょっとだけ重くなる。
古代遺跡から見つかった鉢が穀物の生長を促したが、その代償として向こう数年穀物を枯らしたという事件だ。
依頼人リアン・グコレイポーは『罪滅ぼし』と言ってたが、意図しておこした事件だとは思えない。このステーキレストランの店主との付き合い方を見てもそうだが、村の人々はリアンをそう責めてはいないのだろう。身体を壊した今になって封印の依頼を求めてくるくらいなのだから、長くそのことは伏されていたのかもしれない。
とは、いえ。大事なことだ。依頼人の心のケアが、今回の主な理由になるのだから。
「ひひひ。それにしても恐ろしいアイテムですねえ。敵国で使う想定だったんでしょうか? いやー、火山にでも放り込みません?」
そんな軽口を述べながら鉢の入った透明な小箱を手に取る『こそどろ』エマ(p3p000257)。
ガルガ肉をがつがつ食べていた『疾風迅狼』日車・迅(p3p007500)がぎょっとした顔でエマを見たが、すぐに『冗談ですよ』を笑って手を振った。
「大丈夫ですって。封印するのが依頼なんですから、ちゃんとお仕事しないと」
「あ、はは。なんだ。びっくりしました」
渇いた笑いを浮かべる迅。その一方で、『トリック・アンド・トリート!』マリカ・ハウ(p3p009233)は背もたれによりかかって目を瞑っている。
(贖罪っていうのはね、赦しを乞っちゃいけないの。
謝罪は自己満足でしかないのよ。それだけで肩の荷が下りた気になっちゃうから。
観念してアメミットに心臓を捧げなさい。マリカちゃんもいつか後を追ってあげるから☆)
彼女が何を考えているのかは、周りに伝わってはいない。だからといって問いかけたりもしないのだが。
そのかわりに元気にステーキを堪能していた『無敵鉄板暴牛』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)が、フォークとナイフを鉄板に置いてからナプキンで口を拭いた。
「けど古代遺跡の謎を解明したい宝を発見したい気持ち、とてもよく分かるなあ。使い方って難しいね」
「ええ。冒険とロマンを直接形にしたようなものですから」
『ツクヨミ』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000668)がこくりと頷くと、リュカシスは『だよね』と笑顔で続けた。
「今回の依頼で鉢をちゃんと封印できれば、思い出は冒険とロマンだけになる。そのためにも頑張らないとね」
「そういうことです」
ツクヨミはリアンが依頼と一緒に寄越してきた手帳を開いてみた。
遺跡の研究はあれからもずっと続いていたらしく。分かる限りのエリアの情報が記載されている。
今回『封印してほしい』と依頼してきたのも、そういった構造をある程度理解しているからだ。
それでも簡単に解くことの出来ない仕掛けや、ランダムに切り替わる罠や、倒しきることの難しいアンデッドモンスターや、自動でポップし続ける敵なども書かれている。つまりは、この手帳の通りに進んだとて自分達の能力は必要になるということらしい。
「特にアンデッドたちの仕掛ける罠やギミックが気になりますね。今回はかなり頭を使う冒険になりそうです」
「頭をですか……そこは、皆さんにお任せしても?」
ナプキンで口を乱暴に拭った後で、迅が回りの顔を見た。
遠回しに『自分は戦闘に集中します』と言っているわけだが、今回はどうやら知者が揃ったらしい。エマがお任せ下さいと胸を叩く。
「忍び込んだり潜んだりは得意なんですよ。鍵開けなんて秒です。ひひ」
特徴的な引きつり笑いを浮かべ、かちゃんと鍵を開ける仕草をしてみせるエマ。
その一方で、リュカシスもはいはーいと手を上げた。
「ボクは学校で地質学を勉強してきました! あとサバイバル術も沢山!」
「私は色々。非戦能力には特化しているつもりですので」
ツクヨミは手を小さくあげてなんでもお任せをと言った。実際数え切れない数の非戦スキルを保有する彼女である。手広くなんでもこなしてくれるだろう。
彼女に出来ないことと言えば霊魂の操作くらいか。
「霊魂(おともだち)の操作なら得意だよ☆」
目を開け、パタパタ手を振ってみせるマリカ。
クウハもそれに続いて手を上げた。
「古代遺跡にどの程度霊魂が残ってるかわからないけど、俺もできる。あと魔法や魔術の知識もそれなりにはあるつもりだよ。そっちは?」
クウハが話を振ると、セスがこくりと頷いて返した。
「信仰、美術、音楽、医療、動物、商業、それに化学……広く知識はアーカイブしていますよ。それと、占い(星読み)ですね」
自分の頭をトントンと叩いてみせるセス。
「こりゃ豪華だな……かなりサボれそうだ」
ライが冗談を言いつつ腕を組む。彼は長年の勘と経験から来る遺跡の罠への嗅覚が鋭い。古代遺跡の探索となれば、彼にとって得意分野だろう。
「よし、肉を食べたら早速向かうか!」
●
ご想像いただきたい。檻。扉の全てががっぽり開いた状態で並んでいるさまを。
エマは手にしたキーピックツールのホルダーリングに指を通し、余裕そうにくるくると回している。
「いやあ、ひひひ、このくらいはね? ひひひ」
早速実力を証明してしまった優越感と、持ち前の性格、そして引きつり笑いのクセが合わさって中々癖の強いドヤりかたになったエマだが、しかし別に心底喜んでいるというわけではない。
というのも、ここまで開いた扉や宝箱、小さな檻の中には大したものは入っていなかったためである。
「浅い層は既に攻略されてますからね。こんなもんでしょう。本番はここからですよ」
エマはそう言って、リアンが未だ攻略できていないという深層への扉にキーピックを突っ込んだ。
「気をつけて進もう。こういう所は罠があって然るべきだからな」
ライはエマの開いた扉をほんの少しだけ開くと、小さい身体を利用してスッと扉の隙間から滑り込む。そしてなにやらカチャカチャと作業すると、扉をあけて顔を出した。
「やっぱりな。一定以上扉を開くと発動する罠が仕掛けてあった」
「プロがいると手早くていいですねえ」
エマがにやにやと笑いながら言うと、ライは苦笑して手招きをする。
「褒めてくれるのは嬉しいが……ま、こんなのは序の口だろ。とりあえず皆、中に入ってくれ。見てほしいものがある」
ライの言うとおり部屋に入ってみると、部屋の中には複数の古代文字。
そしてキューブ状のブロックが部屋の四隅に並んでいる。扉のようなものはなく、行き止まりに見えた。
「何か音が聞こえます。カチカチって……時計かな? 違うな、歯車みたいな……」
耳を澄ませたリュカシスがそう言うと、ライがこくりと頷いた。
「ああ、何かしら部屋に仕掛けがありそうだ。音に気付かなければここを最後の部屋だと思って引き返してるかもな」
ライの言葉に、リュカシスはうーんと唸って壁の文字を見つめた。
「文字は文字だけど、読めないですね。なんでだろ」
「暗号だからだな」
そうすぐに答えてくれたのはクウハだった。
彼のスキルというより、長く生きてきたがゆえの直感がそうさせたのだろう。
「ヴィジュネル暗号は知ってるか? 換字式暗号のひとつなんだが……頻度解析である程度文字を読み取れる。それに……」
クウハが周囲を見回すと、部屋には霊魂の存在があることがわかった。
不思議なのは、どれも部屋の隅に立ってじっとこちらを見つめるだけということだ。
「『お友達』呼んだ方がいい?」
マリカがそう言うと、クウハは首を横に振る。
「遺跡特有のギミックだ。暗号と霊魂とキューブ。解法を知っている人間だけが奥へと入れる仕組みだな。パズルゲームみたいに頑張れば解けるってわけじゃない。おそらく儀式魔術の作法が関係してる筈なんだが……」
クウハがそこまで説明したところで、セスが『なるほど』と頷いてキューブへと近づいていった。
「鉄帝国に伝わる古い宗教的儀式に、これと似た形式のものがあります。確かこのあたりにも祭事として伝わっていたものではないでしょうか」
「お、知ってるのか?」
「作法だけは、ですがね。霊魂との疎通や操作ができると良いのですが、頼めますか?」
セスがそう言うと、クウハとマリカ、そしてリュカシスが『まかせて』と手を上げた。
儀式といってもそう難しいことではない。
一定の手順を踏むだけでよいのだ。そうすることでキューブはじんわりと光り始め、壁が左右に割れるように開いていく。
「お、進めるようになったか?」
「いえ、まだ警戒は必要でしょう。ファミリアーを出せる方は?」
セスが振り返ると、ツクヨミが小さなネズミを、リュカシスも同じようにネズミを捕りだして見せた。
二人はそっと床にネズミを放つとファミリアースキルによる五感連結を行いネズミを走らせる。
扉の先は暗闇が続いているが、壁際に灯った魔法のたいまつへ順番に火がつくのが見えた。
そうして見えたのは長い通路だ。通路の左右には、ミイラ化した死体が二段ベッドのように寝かされて配置されている。
ツクヨミがファミリアー越しにミイラたちの様子や一緒に配置されている剣などを鑑定してみたところ、それが実用にたる武器であり、かつアンデッドモンスターであることがわかった。
ツクヨミがふうと息をつく。
「迂闊に入り込まなくて正解でしたね。細い通路に集団で入れば範囲攻撃の連発によってかなりの被害をうけていたかもしれません」
「ということは……そろそろ僕の出番ですね!」
これまで謎解きを仲間に任せっきりにしていた迅である。バトルならばお任せといった所だ。
「それでは、思い切り暴れてきましょう!」
迅が通路へ飛び込むと、早速両サイドの通路からミイラが転がり出て剣を構えた。
何やら呪文のようなものを唱え爆発を起こすが、ぴょんと飛んだ迅はそれを回避。狭い通路の壁を蹴ってまた反対側を蹴ってとくり返すことで素早く天井付近まで駆け上がると、剣を構えるミイラめがけ振り落とすようなパンチを繰り出す。
一撃で相手を粉砕し、着地の反動を利用した回し蹴りをもう一体へと繰り出す。
更に通路にいくつものミイラが飛び出してくるが、ここまで倒してしまえばこっちのものだ。
「皆さん、もう出てきて大丈夫ですよ!」
迅は仲間を呼び寄せながらもダッシュ。ハルバートを構えたミイラが横一文字に斬撃を繰り出すも、タイミングよくスライディングをかけることで回避。相手の足を蹴り払うことで転倒させた。
と、その瞬間にエマが凄まじいスピードで走ってきてミイラの頭にナイフを突き立てる。
そしてメッサーという曲剣を抜いて隣のミイラを素早く斬り付けた。
盾を構えていたミイラだが、その盾がエマによって払い落とされる。瞬間、リュカシスが突っ込んできてミイラの頭を巨大なハンマーによって吹き飛ばした。
「お墓に入ってごめんなさい!」
入る前にも言った台詞だが、ここでももう一回。リュカシスは親友お手製の折りたたみ式ジェットスレッジハンマーを展開させると、その場でぐるんと振り回す。
ミイラが吹き飛ばされていき、エマは更に奥へと走り始める。
対抗して現れたのは全身を鎧で多い剣と盾を持ったミイラである。『ガアッ』とミイラが叫ぶと同時に波動が生まれエマは吹き飛ばされそう――になったが、そこはエマ。
相手の攻撃の気配を瞬時に察した彼女はぺたんと地面に横たわるように身を低くすると波動をするりと回避してしまった。
「えひひ。正面から攻めるだけでは、ね?」
しかも、エマの狙いは攻撃をさせること。より厳密に言えば『空振りさせること』であった。
ツクヨミがライフルを構え、ミイラめがけて打ちまくる。
何発もの弾がミイラの鎧の上を弾け、火花を散らせた。
「案外堅いですね。この遺跡のボス、とでもいったところでしょうか」
素早くリロードを行いながら仲間に視線を送ってくるツクヨミ。仮面越しのそれを受け、クウハとマリカが走り出す。
「もう一発撃たせる。そしたら――」
「大丈夫、まかせて☆」
突進する二人に再び波動を放つミイラ。しかしそれはもう見た攻撃。クウハは対処法を完璧に構築していた。
「『ルーンシールド』!」
手をかざしたクウハの目の前に不可視の結界が出現し、ミイラの放つ波動をまるごと彼の前でかき消してしまう。
そんなクウハの後ろにかばわれる形になったマリカは、早速『Dooms sundae』の術式を発動させた。というのも、マリカが直接相手に触り力を流し込むというものだ。
ミイラの内側から召喚された『お友達』が食い破って胸から腕を出す。
「!?」
突然のことによろめくミイラに、セスは距離を詰めにかかる。
攻撃可能距離まで走り込んだところで、空中にスッと手を翳した。
星図のような模様が空中に描き出され、いくつもの図形が並び、踊り、更なる何かを描き出していく。
完成したそれは、破壊の力をもってミイラへと叩きつけられた。
反撃にと剣を投擲してくるミイラ。セスの腕を切りつけたそれは壁にぶつかって地面へと転がる。
「おい、大丈夫か!?」
ライが心配して駆け寄るも、セスは腕を押さえ頷くのみ。
「問題ありません。敵もこの通り……」
見れば、ミイラは崩れ既に戦闘能力を失っているようだ。
ライはホッと息をつき、額の宝石から治癒の光を放ってセスの治療を始めるのだった。
通路の先へと進めば、台座がひとつ。
ライはリアンが残した手帳を開くと、その台座を調べ始めた。
「なるほど、ここにこうして……」
透明な小箱の封印を解くと、中身の鉢を台座へと置く。
すると半球状のフィールドが生まれ、鉢を包むように展開した。
「これでよし、と。今回もなかなか楽しい冒険だったな」
ライは振り返り、仲間達にサムズアップをしてみせるのだった。
●
遺跡を出ると、時刻は夕暮れ。
牧場の仕事を終えた人々が帰路につくのが見える。
それは日常の風景だ。イレギュラーズたちが守った、かけがえのない日常の。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――mission complete
GMコメント
※こちらはライトシナリオです。短いプレイングと選択肢のみで進むアドリブいっぱいのライトな冒険をお楽しみください。
●シチュエーション
あなたは依頼人から仮封印した古代アーティファクト『愚者の鉢』を預けられました。
これをアングスラマー墓所というダンジョンの奥深くに持っていき封印することが、あなたに預けられた依頼内容なのです。
墓所にはアンデッドモンスターや古代文字による仕掛けや罠が待ち構えているらしく、ローレット・イレギュラーズの力の見せ所となるでしょう。
●一口プレイング
プレイングにはあなたの得意分野や興味、依頼の他にやってみたいことを書いてみて下さい。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
探索スタイル
あなたはどんなスタイルで塔を攻略するでしょうか。
戦闘はどのみち行われますが、使うべき非戦スキルやスタイルの傾向を選択します。
【1】戦闘メイン
率先してバトルを行いモンスターを倒していきます。
非戦スキルも索敵やアクロバティックな戦闘のために用いるでしょう。
【2】謎解きメイン
古代語の仕掛けを解き明かしていきます。
未知への知識や探索能力、突然の閃きや広い見聞など色々なものが役に立つでしょう。
戦闘スタイル
ダンジョンの中には恐ろしいモンスターが沢山出現します。
当然バトルは避けられないでしょう。
ここではあなたのバトルスタイルを選択してください。
【1】アタッカー
率先して攻撃スキルをどかどかと撃ち込みます。
威力やBSなど形は様々ですが、あなたは頼れるチームのアタッカーとなるでしょう。
相手にバフをかけたりするのもアタッカーに含まれます。
【2】ディフェンダー
別名タンク。優れた防御ステータスを用いて敵の攻撃を引き受けます。かばったり引きつけたりは場合によりますが、あなたがいることで仲間のダメージ量は大きく減ることでしょう。
味方や自分を治癒することで戦線を支える役目もここに含まれます。
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