シナリオ詳細
<月だけが見ている>ルビイブラッド
オープニング
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あか。
あか。
あか。
おかあさん。
つき。
まっくら。
あか。
あか。
あか。
ぼくら。
しゅじん。
ふえ。
女王様。
●
斯くして、月の王国にて城門は開かれた。
だが時間がない。烙印は着実にイレギュラーズの身体を蝕み、博士は死の間際になら教えるのではないかなどとのたまう始末。
女王は玉座にただ座して、狂気に抗おうとするイレギュラーズを見ている。――まるで、つまらない見世物でも見ているかのように笑みすらまじえて。
ラサの市場からは紅血晶は消え去り、混沌側の憂いは去った。
今度はこの月が照らすまっさらな砂漠から、脅威を消し去る時だ。
そして其の一角に、商人「ドレッドレオ」はいた。
女王がいる城内に入るのは恐れ多いという言い訳を携えて、城の外でイレギュラーズを迎え撃つつもりだったのだが、其の隣には紅い髪を切りそろえた吸血鬼が立っている。
「エヴレオン、アンタも前線に出るのか」
「あら、何か不思議な事があるかしら。私だって、女王の為に戦おうという気位くらいはあるのよ?」
周囲をぺたり、ぺたり、と這い回るのは、皮膚を裏返したようにあちこちに紅い粘質を纏った狗竜――ルビイブラッドに酷似した存在の集団だった。
その数は7。ゆらゆらと蝋燭のように尻尾を揺らして、何かが来るのをじっと待っているものや、待ちきれないと動き回っているものなど様々。
「いや、アンタは研究者気質だったからな。てっきり城の中にいるもんだと思っただけさ」
「ふふ。そうね。貴方にとっては意外かも知れないわね。……研究に目覚めたのがほんの数か月前だ、って言ったら貴方は驚く?」
「驚くね。驚天動地だ。一体何がアンタの心に白衣を着せたんだい」
「人間が紅血晶を纏って変化したのを、興味深いと思ったの。博士の目的は私にはよく判らないけど、している事はとても面白かった」
成る程? と、ドレッドレオは顎を撫でる。
ならばどうして博士の傍にいないのか、と問うのは必然だった。
そして其れを、エヴレオンも判っていた。
「この子たちが女王に粗相をしたら、私の頸が刎ねられちゃうでしょ?」
……。
少しの静寂の後、ドレッドレオは腹を抱えて笑った。
人間をおもちゃか何かのように扱う女が、首を刎ねられる事を怯えてみせる。
其のギャップがたまらなく面白くておかしかった。
此処はアイツらにとっては敵の本陣で、アンタは敵だ。つまり俺も敵。
――アンタは俺の最後の商談相手になるかもしれねえ。
俺にとってはアンタもアイツらも同じ、“俺の命を脅かすもの”だ。
だが……まあ。
其れも其れで悪くない話かもな。
- <月だけが見ている>ルビイブラッド完了
- GM名奇古譚
- 種別通常
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2023年05月25日 22時06分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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「……そろそろ来るわね」
エヴレオンが隣で呟いた。
ああ、と俺は静かに呟きを返す。
だが、俺はもう知っている。
あいつらが俺の喉元に刃を添えているのを知っている。
『――Gotcha、ドレッドレオ』
聴こえるからだ。
あいつの、『闇之雲』武器商人(p3p001107)の声が俺の耳に入っていたからだ。
『さて、我の用件はもうお判りだね?』
「ああ、判ってる」
「? ……ドレッドレオ、誰と話しているの?」
エヴレオンに俺は静かに人差し指を立てて見せる。少し静かにしてくれ。今は“商談中”なんだ。
「死にたくなければ帰ってこい、って事だろ」
『判っているじゃないか。そう。我はキミを買いたい。対価はキミの命。これを脅しと取るか、好機と取るかはキミ次第だ』
「生きて帰ったところで、俺は首輪付きになるんだろ?」
『勿論さ。だけれどキミは商人として大成したい、違う? なら命あっての物種だ。其れに、』
「……ハ、ハッハッハッハッハ!」
俺は思わず膝を打って笑ってしまった。
アンタのあまりに傲慢な物言いの所為だぜ、武器商人。
『全国に支店を置く我(サヨナキドリ)より、キミの欲望を満たせる場所ってある?』
思わず笑っちまったじゃねえか。
そうだ、そんなところは何処にもなかった。
俺は未知の河岸を求めてこの月の王国に来たわけだが、結局此処では商売なんてなりたたなかった。
あるのは烙印という脅しによる上下関係だけ。隣に立つエヴレオンが俺に烙印を施さないのは、単に戦力として数えていないから、其れだけだ。
「ないね、ない。……俺は所詮小鳥にすぎなかったンだよ、なあ、マスター。守ってくれる翼を嫌がって、雷雨の中に飛び出して――そんなちっぽけな小鳥に過ぎなかったって訳だ」
俺は立ち上がる。
「だが、――小鳥が何処までやれるのか、見てみてくれよ。大烏さんよ。俺は此処までうまくやってきただろ?」
『……。成る程?』
「まあ、そういうこった。厄介な“コ”を持ったものだと溜息吐いてくれ」
●
「どうだ?」
広域俯瞰にハイテレパス。わざわざ喋らずとも念話で喋れるのにドレッドレオが口で返事をしたのは、“最後の奉公”のつもりだったのか。
彼の言葉を武器商人は噛み締めると、此方を見る『紅薔薇水晶』ファニー(p3p010255)に笑ってみせた。
「ドレッドレオは殺さないように動いてもらって構わないかい」
其の一言で、『殿』一条 夢心地(p3p008344)らは全てを察する。なるほどのう、と夢心地は烙印が齎す感情を抑えるように扇で己を仰ぎながら呟いた。
「そなたも、あのドレッドレオとかいうのも――商人というものは皆そういうものなのかの? 一筋縄でいかぬ者が多過ぎぬか?」
「其れを言われると心に痛い。――行こうか。向こうさんが待ってる」
「デッドオアアライブの交渉だなんて、流石武器商人だわ。ええ。取り敢えず、吹っ飛ばせば良いんでしょ」
勿論、敵と味方は分けるわよ?
悪戯っぽく『木漏れ日の優しさ』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)は言った。
●
「きゃ~~! ドレッドレオちゃん、こんにちは~~!」
別にファンではないのだけれど、生来のテンションで二人の前に現れて最初に声を上げたのは『洋服屋』ファニアス(p3p009405)だった。自由が大好き、楽しい事はもっと好き。
よう、と片手をあげるドレッドレオ。彼は変わらず、エヴレオンの隣に並んでいる。
『黒き流星』ルナ・ファ・ディール(p3p009526)は注意深くエヴレオンを見る。研究者然とした彼女ではあるが、吸血鬼だ。何をしてくるかなど判ったものではない。
其れに、と『点睛穿貫』囲 飛呂(p3p010030)はドレッドレオを見る。周りの反応を見るに交渉は成功らしいが、この男はどうにも信用ならないというのが第一印象だ。「約束守りま~す」とか言いながらひらりと吸血鬼側に戻りかねない。
「――何ともまあ」
『瀉血する灼血の魔女』ルトヴィリア・シュルフツ(p3p010843)が並ぶルビイブラッドたちを見て言う。
「偽命体もそろそろ見慣れましたが。いい加減この烙印騒動には飽きてるんですよねえ」
「其れは貴方がたが抵抗するからよ。素直に女王の膝元に下れば、烙印なんて気にならなくなるわ」
「よく言う。……魔女の友人に手を出したんです、首を刎ねて早贄にするでは済ませませんよ」
「良いわね。其れくらい戦意の高い個体の方が、この子たちの実験には丁度良い。精々食らい付いて頂戴。……ドレッドレオ」
「へいへい」
エヴレオンとドレッドレオが同時に獣笛を鳴らす。動き出したルビイブラッド。其の尻尾をしならせて、ケモノのような四肢で一同へと肉薄する。
ファニーは彼らにリーディングをかける。人語が解せる個体がいるかどうかを試すためだ。――だが、返って来るのは空っぽばかり。先程鳴った獣笛の音ばかりがわんわんと響いて、人の理性らしきものは残されていない。
「――成る程」
最早救えぬ。
溜息を吐いて、今度は、とファニーはドレッドレオにハイテレパスを飛ばす。
内容は簡単だ。「お前のルビイブラッドは逃がすのか、引き入れるのか、殺してしまっても構わないのか」。
……戦況を見詰めているエヴレオンの隣で、ファニーを見たドレッドレオが、唇に指を当てた。
『内緒だ』
……成る程。何か考えがあるらしい。
ファニーは溜息を吐くと、他のルビイブラッドと巻き込んでも知らないぞと吐き捨てて、ハイテレパスを切った。
そうしてルビイブラッドが遠距離にいるうちに、と星を降らす。
思いは実らない。願いは叶わない。祈りは届かない。凶運の四番星は無常にルビイブラッドたちに降り注ぎ、其の体力を削っていく。
「みんな沈めてあげるわ! なあに? 可愛い妖精の悪戯じゃない!」
オデットが穢れた泥の一撃を其処に重ねて叩き込む。
尻尾を振るって苦しむルビイブラッド、其の中には未だ差異は見られない。全く、ドレッドレオは何を考えているんだか。
武器商人は静かにルビイブラッドたちを見据える。ああ、其の瞳に魅入られてはいけないのに。其の声に耳を傾けてはいけないのに。
「おいで」
其の姿に魅せられてはいけないのに。体が勝手に其方へ傾いていく。甘く罪が呼んでいる。ルビイブラッドたちはそちらへ殺到し、あるものは爪で、あるものは尻尾で武器商人に牙を剥いた。
「……あのニンゲン? は護りに特化しているみたいね。あれが貴方と因縁のある?」
「そうさ。俺の元マスターだ」
エヴレオンがドレッドレオに問う。
それにしても変なのもいるけど。と、エヴレオンが目を向けたのは――夢心地だった。
「ぬうッ……!! 烙印とやらの進行が予想以上に進んでおるようじゃ……が……! 殿的存在である麿にとってはよいハンデよ!」
武器商人の元に集ったルビイブラッドに向けて、夢心地は手でハートの形を作る。
これぞ麿の殿的マインド! 迸れ、夢心地ビーム!!
――!!!
なんか胡乱なビームだが、その実力は折り紙付きだ。喰らったルビイブラッドたちは苦しみ、のたうちまわる。
ルビイブラッドの尻尾がしなり、武器商人の腕へと傷をつける。
「商人ちゃん!」
「これくらいならまだ」
ファニアスはうん、と仲間を信じて頷き。
魔弾で武器商人を狙うルビイブラッドを撃ち抜いた。
「――思ったより撃たれ弱いわね」
「その分攻撃力に振り分けたんじゃなかったのか」
「いいえ。勿論防御力も相応に上げたつもりだけど、……仮想敵が弱すぎたのかしら」
「そりゃァ悪かったなァ!!」
砂煙を上げて、一気にエヴレオンへと飛び掛かる影がある。
ルナだ。凄まじい速さでエヴレオンに接敵すると、飛び上がり、挑発めいて一発を掠めさせる。
「……!! こんな近くまで! 試験体たちは何をしていたの!」
「ああ、悪いな。俺が守備に穴をあけた」
「……。何ですって?」
ドレッドレオが立ち上がり、ゆっくりとルナとエヴレオンから離れていく。
エヴレオンは其れを追いたいが、ルナの機動力は其れを決して許さない。
「俺は商人だ。命は惜しい」
「……ッ! 貴様……裏切るか!」
「裏切るも何も。俺達はまだ信頼を交わしてもいなかっただろ、エヴレオン。アンタが良い女だったから、良い空気を吸わせて貰った。其れだけだ」
ドレッドレオはひゅうい、と獣笛を吹く。
すると武器商人のところへ集っていたルビイブラッドが一体、ドレッドレオを振り返り……ルナに負けず劣らずの速さでドレッドレオへと戻って来る。
音を置き去りにする一撃が、エヴレオンを叩く。
「か、は……ッ!!」
其の血液は薔薇の花弁となって散り、エヴレオンが仰け反る。
「この……研究の邪魔を……ッ!!」
「あ? 研究? てめぇの都合なんかしるかよ。……だが、そうだな。てめぇにとっちゃ、今の俺はとびきりのサンプルなんじゃねぇか? 見ろよ、俺の刻印を。あんたに消せるっていうんだったら、アンタの下半身を引き千切ってでもやってもらうンだがなァ!」
たん、と軽い音がして。
エヴレオンの肩を貫く銃弾が一発あった。
ルナの陰に隠れていて見えなかった。エヴレオンの怒りと研究心に揺れる瞳が確認したのは、飛呂だった。
「……そう……裏切るのね、ドレッドレオ……」
「だから言ったろ。俺とアンタは信頼すら結んでない。アンタだってそうだろ?」
「……。ふ、ふ……そうね……」
――ぶわっ!
エヴレオンの体が赤い霧になって霧散する。ルナは咄嗟に霧に向けて爪を振るうが、霧が傷付く様子はない。霧は意思を持って移動すると、ドレッドレオの傍に居たルビイブラッドに“纏わりついた”。
「……な」
『ごめんなさいね、ドレッドレオ』
ルビイブラッドが――“エヴレオン”が牙をむいた。
『私も貴方を信用してなんていなかったのよ』
鋭い真紅の宝石めいた爪が振るわれる。
其の爪は深々とドレッドレオの肉体を引き裂き……倒れゆく男にはもう一瞥もくれず、獣型のエヴレオンはルナと飛呂を睥睨した。
『吸血鬼としての私はとても弱い。だから代わりに戦ってくれる存在を探していた。ええ、ええ! とても簡単な話! こうしていれば、最初からニンゲンごときの力を借りる事も必要なかった!』
●
斬る。
――斬る。斬る。斬る。
斬る、斬って、斬った。
「殿」
そうして夢心地は存分に血を浴びて、漸く武器商人の声を聴く。
「もうだいぶん数が減ったよ」
「……であるか」
「だが、あちらの戦場がおかしい」
――ドレッドレオちゃん!
ファニアスの声がする。どうやら傷付いたドレッドレオの治療をしているようだ。
おびただしい血が、白い砂を汚し、しかし直ぐに白に吸われていく。
「あれは……む? 吸血鬼めはいずこへ行った」
「どうやらルビイブラッドを乗っ取ったようだ。殿、まだやれるね?」
「無論である。わくわく吸血鬼ランドはいい加減もう閉園じゃ、スタッフにはまとめて帰って貰わねばならぬ」
武器商人と夢心地は小走りで向かう。
明らかに意思を持ち、素早い動きでイレギュラーズたちを翻弄する獣――其れこそがエヴレオンの望んだ“ルビイブラッド”であった。
●
『ハ、ハ! ハハハハハ!』
赤い宝石の爪が、ルナの身を裂く。
蠍のような尾が、炎を飛呂へ向けて射出する。
『楽しい、楽しい、素晴らしいわ!! これが結晶の獣!! 戦力外だと、体が弱いと追いやられた私の、成功作よ!!』
「クソ、こいつ突然テンションあがりやがって……!!」
「ルナ、危ない!!」
エヴレオンが呼んだのか。其れともドレッドレオの血の香りが呼んだのか、残りのルビイブラッドが集まってきていた。
ルナへと襲い掛かる其の凶刃を見たのはオデット。しかしまるで影のようなものがざあ、と駆け抜けたかと思うと、ルビイブラッドの眼前で人の形を成し――其れは武器商人であった。
「やあ、またせたねえ。殿のお世話をしていた」
「すまぬの、お世話をされておった」
同時に雷霆のような一撃が意思なきルビイブラッドの尾を両断する。夢心地の刀の一撃であった。
「あと少し……みんな、頑張ろう!」
オデットも前に出る。小さな奇跡を使うまで、というリミットを己に設けて、一気に攻勢に出る。両手を翳した天に輝くのは小さな太陽。尾を切られたルビイブラッドへ其れを叩き付ければ、びくり、と其の気味悪い肉体が痙攣した後、ぐったりと動かなくなって、赤い塵となっていった。
『ああ!! 私の……子どもたち!!』
「何が子どもたちですか。白々しい――」
怒りに任せたエヴレオンの爪が、武器商人を傷付ける。
其の陰からルトヴィリアが短剣を突きだす。突き刺さった傷口からしゅるり、と刃が、花が生まれて、エヴレオンは痛みにのた打ち回る。
更にファニーが追い打ちをかける。指先が死をなぞり、一番星が落ちて。エヴレオンは着実に体力を削られていく。
『どうして……どうして! 宮殿へ足を踏み入れる……其れほどの栄誉はないのに! お前達は其れを踏み躙る!』
「悪ィな、そンなもンには興味ねぇんだ」
ルナの姿は変化していた。
其れは烙印によるもの。黒き体毛が首元までを覆い、隠れた瞳は真っ赤に染まり。
「俺がやるべきは、ふざけた吸血鬼連中を全員ぶっ殺す。それだけなんだよ」
音亡き一撃。
其れはエヴレオン――獣の首をべきり、とへし折り……数秒遅れて、雷鳴のような凄まじい音が響いた。
……さしもの吸血鬼も、首を折られてはもう生きてはいられない。獣の血が混じったからか、其れとも其の辺りを女王に“煙たがられた”のか――エヴレオンは生きたい、と足掻くように四肢を僅かに藻掻かせて、……しかし、ゆっくりと息絶えた。
其処にいるのは最早美しかった女吸血鬼ではない。ただ一匹の、死した獣であった。
●
「……」
武器商人は、静かにドレッドレオを見下ろしていた。
ファニアスが泣きそうな顔で武器商人を見上げる。
「……奴には相応しい最期だろ。こいつ、俺によりによって“遅い”なんてぬかしやがったからな」
「……」
「死ん、じゃったの? 本当に?」
なんとかならないの、とオデットが周囲を飛び回る。フィニアスは俯いて、肩を震わせ。
「……」
飛呂が静かに得物を仕舞う。
ルトヴィリアもまた静かに、彼を見下ろしている。
夢心地は血の気配を感じたくない、と離れた場所で己を仰いでいた。其れはきっと、殿的存在としての矜持だろう。
誰もが悼むように黙り込んでいた、其の時。
「……げほっ!!」
死んだと思っていた男が、咳を一つした。
「げほっ、ごほっ……あ、あ゛ー……」
「えっ!? え、な、何で!?」
慌てたのはファニアスだ。
確かにもうどうしようもない重傷なのに!
「……簡単に死んでたまるかよ、……俺にはまだ、夢があるんだぜ……」
飛び散った血で濡れた顔を歪ませながら、ドレッドレオは言った。
いつかサヨナキドリのラサ支部を任せられたいのだと。
「……はは!」
其れはまた、大きく出たねえ。
武器商人は笑った。そうしていう。でもキミは、最初は首輪付きからの始まりだからね? と。
商人たるもの、生きぎたない方が誇らしい。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした。
遅刻して申し訳ありませんでした。
必要とされたいと足掻いた女と、
必要とされるにはどうすればいいかを心得ていた男の話でした。
ご参加ありがとうございました。
GMコメント
こんにちは、奇古譚です。
さあ、ついに月の王国での最終決戦です。
これは女王の居城の外、其の隅っこでのお話。
●目標
ルビイブラッドを駆逐し、吸血鬼“エヴレオン”を撃滅せよ
●立地
ルビイブラッド「たち」のために選ばれた、城周辺の広い砂漠地帯です。
天気は晴れ、満月が皓々と砂漠を照らしています。
夜はまだ明けません。明ける事はないのかも。
●エネミー
吸血鬼「エヴレオン」x1
商人「ドレッドレオ」x1
ルビイブラッド“たち”x7
エヴレオンは吸血鬼らしく、毒霧や蝙蝠に変化して敵を迎撃します。
ドレッドレオは持っている獣笛で、ルビイブラッドを1体使役します。
どのルビイブラッドがドレッドレオの支配下にあるかは、ぱっと見では判りません。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●
此処まで読んで下さりありがとうございました。
アドリブが多くなる傾向にあります。
NGの方は明記して頂ければ、プレイング通りに描写致します。
では、いってらっしゃい。
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