シナリオ詳細
グリンキールと神秘の塔
オープニング
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淡い緑色のローブが風に靡いていた。
高い高い木の枝に立ち、手にした杖には小さい琥珀の嵌まっている。
少女にもみえる幼い顔立ち。
頭には葉と花で彩られた冠。
彼女の名はリリアネイア・グリンキール。この霊樹の巫女である。
リリアネイアの眺める風景には、ひとつの塔。
「これは私達だけの手には負えませんね。ローレットに助けを求めねば」
塔を見つめていたリリアネイアは、そう呟くと、枝からぴょんと飛び降り浮遊の魔法を唱えるのだった。
あなたが妖精馬車にゆられやってきたのは深緑は迷宮森林の内側。グリンキール霊樹の集落だった。
色々とあって外に門扉を開いた深緑の民にとってすら、ローレットは特別中の特別。国を救った英雄達の到来に子供達はもちろんのこと大人達は色めきだっている。
そんな賑やかな広場で出迎えに現れたのは淡緑のローブに花冠をした巫女、リリアネイアであった。
リリアネイアはローブすそを空いた手でつまむと、上品におじぎをする。
「ようこそローレットのイレギュラーズ様。お待ちしておりました。
わたくしはリリアネイア。この霊樹の巫女でございます。
この度はわたくしの依頼に応じていただきありがとうございました。内容を説明しますので、どうぞこちらへ」
リリアネイアに案内されて入ったのは大きな木の上に作られたドングリ型のツリーハウスであった。どういう仕組みなのか入ってみると思いのほか広く、円形のテーブルを囲む形で皆は席へと着いた。
蜂蜜から作ったという飲料が一人ずつに配られ、下座についたリリアネイアがあらためて依頼書の写しを翳す。
「今回は、皆さんに『ミラドールの塔』の攻略をお願いしました。このグリンキール霊樹と同じ力によって稼働する古代の遺跡なのです」
リリアネイアが説明するには、ミラドールの塔はつい最近まで封印されその姿すら見えていなかったという。だがつい最近イレギュラーズたちが解決したことで記憶に新しい『茨の呪い』を経たあれこれによって封印が緩み、塔が姿を現してしまったのだそうだ。
「巫女に伝わる文献によれば、古代の魔術師ミラドールによって作られたものだとされています。
ミラドールは霊樹の支配を目論んだ悪しき魔術師で、霊樹の力を奪い取るためにこの塔を作り上げたのだそうです。
事実、塔は今もグリンキール霊樹の力を地脈を通じて吸い取り続けています。微弱ではありますが、今後吸い取る力が強くなれば私達の生活を脅かすことでしょう」
グリンキール霊樹集落は霊樹のもたらす神秘の恵みによって衣食住が成り立っている。極端な話、霊樹が枯れてしまった場合彼女たちは住む家も食料も心のよりどころも全て失ってしまうことになるのだ。
「塔は特殊な結界によって上空からも侵入できないようになっていますが、私の力であれば入り口の扉を開くことができます。
塔を攻略し、最上階にあるという『装置』を破壊してほしいのです」
装置さえ破壊できれば塔が霊樹の力を吸い取ることはなくなる。霊樹の脅威ではなくなるだろう。
「森の民のため、どうかよろしくお願いします」
リリアネイアは再び深く頭を下げるのだった。
- グリンキールと神秘の塔完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別 通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年05月08日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談0日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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グリンキール霊樹の巫女、リリアネイア・グリンキールの言葉を、『シャファクの友だち』ハンナ・シャロン(p3p007137)は思い出していた。塔に近づくにつれ空に高く伸びていくかのような錯覚をおぼえながら。
「古代の魔術師が霊樹の力を奪うために作った、そうですね」
立ち止まり改めて見上げてみれば、茶褐色の外壁も相まって巨大な木のようにも見える。
ハンナは長い金髪を頭の後ろできゅっと纏め、紙紐で器用に結んでとめる。
腰から下げた銃刃(ガンエッジ)は『活火激発』。装填された魔術弾頭に点火することで刀身に焔を纏わせる魔法を起動させるという、いわば『才無き者の剣』である。
ここまで使いこなし、数多の死線をくぐり抜け、ローレットの中でも強者となったハンナを『才無き』などと表現するのはあまりに不自然だが、彼女からすれば『双子の兄』とどうしても比べてしまうのである。あの破壊的な魔術のありさまとと。
「どうしてそのようなことを考えたのでしょう」
「しらないわよっ、もう――霊樹の力を横取りするなんてずるい塔ね!」
直感的にぷんすかと怒ってみせる『ベルディグリの傍ら』ジルーシャ・グレイ(p3p002246)。
本当に激昂しているというよりは、わざと怒って見せて場の空気を和ませるのが目的らしい。声のトーンもそんな調子だ。
腕を組んだジルーシャの首元からはほのかに甘い香りがする。事前に塗っておいた香水が最もよい開き方をした頃なのだろう。霊樹から塔まで歩いて移動していたのだが、その労働が丁度良く働いたとみえる。
「さしずめ、力を何かに利用したかった……といった所であるな。少なくとも生活電力をパクるのが目的ではないはずである」
両手を腰の前であわせ、なぜか手錠を装着した『ノットプリズン』炎 練倒(p3p010353)が腕の間に伸びた鎖をじゃらじゃらと慣らしながら歩いていく。
覇竜領域の中しか知らなかった彼にとって、『外の世界』というものは未知の塊だ。なにせ、外の人間はみな囚人服をきて手錠をするものだと勝手に勘違いしたままファッションとして定着してしまったくらいの男である。
間違いは既に気付いていそうなものだが、未だに続いているのはそれが気に入っているからだろうか。
一方で、『蛟』尹 瑠藍(p3p010402)が霊樹へと振り返る。
春を過ぎ夏にいたろうという季節。霊樹には赤い果実が実り遠目からはまばらに色づいたようにも見える。
その美しさは、覇竜領域ではお目にかかれない豊かさであった。
「こんな素敵な集落の土地が台無しになるなんてね。確かに、放っておけないわ」
少なくとも彼女の暮らしていた小集落ヴァハトンにはなかった光景だ。一本の巨大な木に生活の全てを依存するという概念も、彼女にとってはひどく新鮮である。なにせ亜竜の被害をさけるべく地下で暮らすのが当たり前だったのだから、あらゆる意味で違い過ぎる。
「あなたもそうなんじゃないかしら?」
話をふられて、『記憶なき竜人』リリアム・エンドリッジ(p3p010924)は小首をかしげた。
んー? という声も出して全体的に表情は幼い。
事実彼女の精神年齢は幼く、そうでなくとも若い。記憶がなく何事にもポジティブに考えられるという性格(あるいは特性)ゆえに悩みや怒りというものが浮かびにくいのかもしれない。はなから考えるつもりがないという可能性すら、ある。
「難しいことはわかんないや。リリアネイアさんは?」
そう話をふられて、ここまで同行していたリリアネイアは目をぱちくりとした。
「いえ、わたくしはただのガイドですから。確かに思う所は沢山ありますが……それを押しつけるわけには」
ローレットに依頼ができた時点で百点満点だとでもいうような態度だが、『温かな季節』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)はそれでは納得しない。
依頼されたから、仕事と金のために来ましたというわけではないのだ。
「いえ、霊樹の皆さんの生活がかかっているんです。僕としてもお役に立ちたいですよ」
「お優しいのですね」
ストレートに褒められて、ジョシュアは少々顔を赤らめながらも頬をかく。
霊樹と森という環境で暮らすリリアネイアは、ジョシュアにとってあまり他人事ではない。森の管理というのは、なんともデリケートで気長なものなのだ。少なくとも、鉢植えの花を育てるような容易さでは挑めない。人生をかけるのは当たり前で、何世代にもわたってそれが続いていく。長命の幻想種や精霊たちの精神年齢が低く外に疎い事があるのは、そういう事情もあるのだ。
そこへくると、リリアネイアは随分社交的だ。
「同じ幻想種として気持ちはすっごくわかります!」
『深緑魔法少女』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)がぎゅっと拳を握って見せた。
春の森に馴染んだような、緑を基調としたリディアらしい服装はどこかリリアネイアに通じるものがある。
リディアは可愛らしさというか幼さというか、俗っぽく言えば魔法少女らしさが目立つが、テーマとしての造形は実はとても似ているのである。
「霊樹の暮らしって閉鎖的なんです。外の人が助けに来てくれるって、不安もあるけどすっごく心強いことなんですよ」
「それが、なんとローレットの方ですものね」
リリアネイアがにっこりと笑う。
対するリディアが照れたように笑うと、先頭を歩いていたハンナが足を止めた。
「到着しましたよ。入り口というのは……これですよね」
木々の生い茂る中で、石造りの大きな扉が見える。扉以外の所をノックしてみると、かすかに反発する力を感じることが出来た。
「確かに、魔術によって結界が張られてるみたいですね」
「解除できなさそう?」
『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)が色々と調べてから、自分には無理だと察して仲間に呼びかけてくる。
ジルーシャが結界に手をかざしてうーんと唸る。
「そうねぇ……精霊の力とも違うし、それこそ霊樹の結界と同じものじゃないかしら」
「なるほどな」
サイズはあらためて結界に手をかざしてみた。
(魔術師の塔か……いい知恵があるといいが。塔の効果的に糧になるか怪しいが……どんな知恵も無駄にならないはず)
そんな一方で、リリアネイアが前へ出た。
「同じ力であれば、多少はやりようがあるものです。皆さん、ここはお任せを」
リリアネイアが琥珀のはまった杖を高く掲げ、僅かな光を琥珀に宿すとそれを扉へと近づけた。
ぽわっと暖かな光が扉を覆ったかと思うと、扉が外向きにズズズと開き始める。
「ここからは危険な領域です。皆さん、どうかよろしくお願いしますね」
●
「それじゃあ、いっくよー!」
大きな斧を振りかざし、勢いを付けるべく長い尾を振るリリアム。
眼前へと迫っているのは上半身だけの獅子とでもいうべき邪霊の怪物、シャドウムクターである。ありもしない後ろ足で空を蹴り、邪悪なオーラを纏った前爪でリリアムを押さえつけにかかるが、それよりも早くリリアムの斧が振り回された。
リリアムのパワフルなスイングはシャドウムクターの攻撃を抑え込むには充分だ。
直撃をうけたシャドウムクターが派手に吹き飛び、石の柱へと激突しばしゅんと音をたてて消えていく。
その後に現れたのは枯れ木の邪霊であった。例えるなら等身大の藁人形を更に縦に引き延ばしたような不気味な外観と、全体から立ち上る腐敗のオーラ。
「エントウッド・レイスですね……腐敗のオーラで身体を守るタイプのモンスターです。ここは任せてください」
ハンナはガンエッジのトリガーをひくと刀身に炎を纏わせ、相手のオーラが纏った長い手を前転によって回避するとすれ違いざまに剣で斬り付けた。
エントウッド・レイスを炎が包み込み、腐敗のオーラを燃やしていく。
「素のままでは攻撃が通りませんが、こうすれば――」
くるんとまだ振り込んでいない片手側のガンエッジを抜き、トリガーオン。逆手に握ってエントウッド・レイスへと突き立てる。
全身を覆った炎のグオオと悲鳴のような声をあげたところで、瑠藍が流れるような速度と動きで急接近をかけた。
まるで小川を流れる一枚の葉のごとく冷静な表情で不気味な怪物へとの距離を詰めると、直刀によってさくんと相手の胴体を突き刺し、もう一本の直刀を手に中で回し刀身をなぞるように振り込む。傍目から見ればナイフとフォークで肉を切り裂くような動作に、あるいは巨大な鋏で断ち切るかのような動作に見えたろう。それをまるで当たり前のようにこなすと、瑠藍は美しい金魚のような尻尾をふわりと揺らし停止した。
「ほう、流麗な動きであるな! 覇竜一の知識人にして高いインテリジェンスを誇るこの吾輩も負けては――おっと!」
練倒は危険を察知し大きく飛び退く。
草木を枯らす醜い邪霊たちがあちこちから沸いて出て練倒めがけて生命力を吸い取る魔力玉を投擲してきたのである。
が、そんな邪霊たちめがけて練倒はスウッと息を大きく吸い込む。
「竜の咆哮を聞くがいいである!」
グオオ! と聞く者の耳がさけるのではと思えるほどの大きく迫力に満ちた咆哮をあげる練倒。それを聞いてしまった邪霊たちは狂って石の柱や地面に激突。なかには同士討ちのように互いに激突するものまで現れた。
無論、本当に竜が咆哮したわけではない。竜種の咆哮を再現すべく自らの魔力を声にのせ相手に叩きつけるというドラゴンロアの一種だ。普通やろうとしてもできないことのはずだが、ダイナミックかつエキサイティングに竜種の技を解釈する彼ならではのざっくりとした再現力がこれを可能としていた、のかもしれない!
「今である!」
「そろそろアタシも働かなくっちゃね」
ジルーシャはポーチから可愛らしい小瓶を一つ取り出すと、きゅっとそのキャップを外した。
『《香術》バシリスクの睥睨』
昏く重いその香りが、虚空より蛇の王を呼び寄せる。邪霊たちが狂っている間に召喚された蛇の王たる『何か』が、それこそ蛇が狩りを行うかのごとく素早く邪霊たちを喰らい、飲み込んで行く。
ギリギリで免れた邪霊も浴びせられた石化の視線をうけて固まり、練倒の囚人キック(通称)でバラバラに崩れ去ったのだった。
「はい、おしまい」
きゅっとキャップを閉じてウィンクするジルーシャ。
すると、それまで罠の警戒をしていたジョシュアがハッと何かに気付いたようすで声をあげた。
「皆さん止まってください!」
塔を進む間に見つけた柱だらけの通路。しかしそこには古代の魔術師が仕掛けた罠があちこちに存在していた。
例えば柱の錯覚によってぐるぐると同じところを何度も周り続ける罠であったり、柱の間にしかけた魔法のワイヤーをトリガーに炎をあげさせたりといったものだ。
精霊種ならではの直感か、それとも長年の経験か。
「罠に気付いたのですね?」
リリアネイアの問いかけにジョシュアは頷き、そして慎重に地面に手を近づけた。
「大丈夫です。解除できますよ」
「ジョシュアさんがいてよかった」
ほっとした様子で解除の様子を眺めるリリアネイア。
その一方で、サイズは柱の仕掛けを解き始めていた。
「柱に幻術がかかってるな。進行を妨げるには丁度良い術だ。ちょっと待っててくれ、なんとかできるかもしれない」
サイズが暫く柱やその周辺の仕掛けを調べた後、幻術を解いて進めるようにしてくれた。
「このあたりはモンスターにとっても危険なエリアだ。幻術を解いた以上、逆に安全地帯として使えるはずだよ。リディア、頼めるか?」
サイズは運ぶのを手伝っていたキャンプセットを降ろし、リディアの方を振り返る。
「はい、休憩ですね! 早速腕をふるっちゃいます!」
にっこり笑ってリディアが用意したのはなんとワッフルメーカーであった。
「ダンジョン内でワッフルとは」
「あら可愛い」
ジルーシャのいうように、ワッフルメーカーには可愛らしい模様が入っている。
リディアはキャンプセットに魔法で火をつけると、早速人数分の大きなワッフルを焼き始めた。
その間に用意していたクリームやフルーツを手際よく準備していく。
できあがったのはフルーツとクリームのたっぷりのった焼きたてワッフルである。とろりと溶けるクリームが食欲をそそるものだ。
さっきまで武器をぶんぶん振り回していたのに、気分がえらくほっこりする。
リリアネイアにも振る舞ったが、一口食べた途端に目をぱっと見開いた。
「美味しいです! 霊樹の中では食べたことがなくて……」
「えへへ、気に入って貰ってよかったです!」
皆でにっこりと笑い合い、そんな調子で最上階を目指すのだった。
●
最後の扉をリリアネイアの魔法によって開く。
ズズズと音を立てて、両開きの巨大な扉が解放されていく。
その先にあったのは、塔のサイズ感がわからなくなるくらい広大なドーム状の空間だった。
「これは……特殊空間でしょうか」
「そんな雰囲気だな」
回りを見まわすサイズ。仲間達と手分けして『装置』を探そうと試みたが……その必要は、どうやらなかったようだ。
凄まじく大きな音と共に、目の前の『装置』が立ち上がったのである。
両足を地面につけ、長い腕を振り上げ胸から生体ミサイルを露出させるそれは、長い無数のケーブルによって地面と繋がっているようだった。
「おお、これは分かりやすい」
「つまり、倒せば解決ってことだね!」
練倒と練倒が身構える。
早速といった様子で練倒が足を踏ん張り、ドラゴンロアによるファイアブレスを唱えた。
特殊な魔術によって口から放射される炎が巨大ゴーレムへと直撃。
軽くのけぞる様子を見せたところで、リリアムがパワフルな突進からの大斧による一撃を叩き込む。
「よし、いいぞ!」
サイズは『道具術』によって攻撃を開始。回り込んだジルーシャは適度に距離をとりながら『《香術》追葬のロックローズ』を発動させた。
「気をつけて、こういうのは反撃が怖いのよ」
蝶の形をした可愛らしい小瓶を取り出すと、キャップをゆるめてからゴーレムめがけて投擲する。割れた瓶から広がったのは、嗅いだ者の思考を奪う甘く深みのある香りであった。
ゴーレムにもやっぱり影響するようで、ゴーレムがくらりとよろめいたかと思うと全身から真っ赤な炎を上げ始めた。
対抗するように胸から露出された生体ミサイルが発射される。ぱっとみどんぐりのようなミサイルだが大きさは人の頭ほど。奇妙な軌道を描いて部屋のあちこちへ飛んだかとおもうと次々に爆発した。
「これを喰らい続けるのはマズいぞ!」
サイズがそう叫ぶや否や、リディアが魔法の杖を高く掲げた。
「皆さん、私の回りに!」
爆煙によって視界が悪く、そして炎によって仲間が火傷を追う中、リディアが掲げた杖から放たれたフィールドがパッと綺麗に晴れていく。
火傷をおったジョシュアも、その炎がすっかりと無くなった。
「よし、これなら――」
ジョシュアはゴーレムをキッと見やると『スペクルム・ナルケー』の術を発動させた。
水仙に由来する美しき毒粉である。矢尻に毒を塗って放ったそれはゴーレムへと突き刺さり、その毒を機械の身体であろうとも侵食していく。
「今です!」
ハンナが鋭く叫び、瑠藍がそれに呼応して走り出す。
二人が両手に握った片手剣が水と炎のオーラに包まれ、左右から同時に斬りかかった二人によって巨大なクロスアタックが叩き込まれる。
炎をあげる双剣と、水を描く双剣。それぞれが描いた四つの交差がゴーレムへ刻み込まれ、ゴーレムはついに爆発を起こして派手にぶっ倒れたのだった。
●
塔が崩れ、沈んでいく。
まるで最初から何もなかったかのように、その場には広い沼だけが残された。
「皆さん、ありがとうございました……」
沼地を前に振り返るリリアネイア。
イレギュラーズたちに微笑むと、彼女は深く頭をさげたのだった。
グリンキールの集落に、もう塔の危険が及ぶことはないだろう。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――mission complete
GMコメント
※こちらはライトシナリオです。短いプレイングと選択肢のみで進むアドリブいっぱいのライトな冒険をお楽しみください。
あなたはグリンキール霊樹の巫女リリアネイアからの依頼を受け、古代の封印から目覚めたというダンジョン『ミラドールの塔』を攻略します。
塔の中は未知の仕掛けや敵でいっぱいですが、きっとあなたであれば困難を突破しリリアネイアからの依頼を成し遂げることが出来るでしょう。
●選択肢とプレイング
ダンジョンには古代の仕掛けがいくつも存在し、様々な敵も現れるでしょう。
プレイングではあなたの得意分野や、どんな部分で頑張ってみたいかを書いてみてください。
●探索中のガイド
塔では霊樹の巫女リリアネイアがあなたのガイドとして随伴します。
彼女は多少の戦闘能力があり、また霊樹の巫女として同じ力で動いている塔の仕掛けを動かす鍵にもなるでしょう。
しかし彼女を守って戦うのも、彼女に変わって謎を解くのもあなたの役割となるはずです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
攻略スタイル
この塔には様々なモンスターが蔓延り、罠や仕掛けがいっぱいです。
あなたはどんなスタイルで塔を攻略するでしょうか。
戦闘はどのみち行われますが、使うべき非戦スキルやスタイルの傾向を選択します。
【1】戦闘メイン
率先してバトルを行いモンスターを倒していきます。
非戦スキルも索敵やアクロバティックな戦闘のために用いるでしょう。
【2】謎解きメイン
古代語の仕掛けを解き明かしていきます。
未知への知識や探索能力、突然の閃きや広い見聞など色々なものが役に立つでしょう。
【3】罠解除メイン
あちこちに危険な罠が仕掛けられています。
それを解くのはあなたの役目です。効率的に罠を探し、そして解除していきましょう。罠解除スキルが大いに役立つ場面です。
【4】お料理メイン
塔の攻略は長く続くもの。
途中でおなかが空いては攻略できるものもできなくなってしまうでしょう。
そんなときはあなたの料理技術が役立ちます。美味しい料理を食べれば、仲間はそのモチベーションを大きく引き上げてくれるでしょう。
戦闘スタイル
ダンジョンの中には恐ろしいモンスターが沢山出現します。
当然バトルは避けられないでしょう。
ここではあなたのバトルスタイルを選択してください。
【1】アタッカー
率先して攻撃スキルをどかどかと撃ち込みます。
威力やBSなど形は様々ですが、あなたは頼れるチームのアタッカーとなるでしょう。
【2】ヒーラー
仲間は戦えば戦うほど傷付くもの。そんな仲間を治癒するのがあなたの役目です。
手持ちの治癒スキルを駆使して戦闘中の仲間を治療したり、時にはカウンターヒールでスタイリッシュにダメージを打ち消します。
【3】ディフェンダー
別名タンク。優れた防御ステータスを用いて敵の攻撃を引き受けます。かばったり引きつけたりは場合によりますが、あなたがいることで仲間のダメージ量は大きく減ることでしょう。
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