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シナリオ詳細

<天使の梯子>「ええっ!? ボクたちのお胸、入れ替わっちゃったの~~~!」ってなるのが正しい歴史だと主張するタイプの遂行者

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ええっ!? 出たばかりのシナリオソースで早速こういうことやってもいいの!?
「神の国、というのをご存じでしょうか――」
 と、天義国の神官は、あなた達イレギュラーズたちへそう尋ねた。
「ええと、確か、まだリンバス・シティ化されてない侵食空間……ですよね?」
 そう答えて見せるのは、トール=アシェンプテル (p3p010816)だ。
 より正確に、細かく説明するならば――。
 そもそもリンバス・シティとは、敵の攻撃によって『上書きされた場所』である。これは、『敵が主張する本来あるべき歴史』に則った、『あるべき姿』による浸食というべきか。いずれにしても、敵は現実を上書きして、侵食するという攻撃を行ってきていた。
 では、この上書きするべき『正しい歴史の空間』がどこにあるかといえば、詳しい説明はまたの機会に分けるが、いわば『敵陣営の生み出した空間』であると目されていた。この空間にて組み上げられ、ある程度の『侵食度』を達成した段階で、現実に帳を下ろして浸食を完成する、ということになっている。
 つまり、神の国とは、この『敵陣営の生み出した空間』であり、『現在建造中のリンバス・シティ』というような理解でひとまずは問題ないだろう。
 多少の誤解を恐れず端的に言ってしまえば、『異空間に存在する、敵に都合のいい場所』である。
「そうです。そして、そこに侵入するためには、聖遺物の力を用い、梯を築かなければならない。これは、敵の侵食空間の核が、聖遺物を利用していることからできることなのですが」
 さておき、と神官は、コホンと咳払い。
「今回向かってほしいのは、レフェタルの街です。ここは、外から見てもまだ浸食は進んでおりませんが、既に『神の国』の構築は進んでいるらしく、街の聖遺物が反応を示している様子で」
「そこに向かって、聖遺物の力を借りて神の国に侵入する、のですか?」
 尋ねるLily Aileen Lane (p3p002187)に、神官はうなづいた。
「はい。敵地に侵入するということになっておりますので、どうかお気をつけて……」
 その言葉に、あなたたちイレギュラーズは力強くうなづいた。危険と隣り合わせ、等といううたい文句に離れたものだ。必ず神の国に潜入し、その浸食を阻止して見せる。あなたたちはそう、硬く心に誓った――。

 そんなわけで、レフェタルの街に構築されつつあった『神の国』へとやってきたのだ――。
「普通の街ですね」
「普通なのですね」
 そう、トールとLilyはいいあった。というのも、あまりにも『普通の光景』が広がっていたのだ。
 この『普通』はある意味で常軌を逸していて、例えば神の国には『異言を話すもの』と呼ばれる、人間を模した敵が存在するのだが、それらが普通に普通の言葉を話していた。本質的には異言を話すもの、なのだが、話していないのである。
 そういったわけだから、これはある意味で『異常』であった。だが『普通』でもあった。『普通』であることが『異常』なのだ。この感覚は何とも気持ちが悪い。
 だが――。
 ついに! 異変が起こる!
「って、ちょっとまってください。なんだか胸がムズムズするのですが――」
 そう、トールが言った瞬間! なんか、ぼん、って音がして、胸が大きくなったのだ!
「ええっ!? なんですかこれ!?」
 困惑するトールに、しかしLilyもまた困惑した声を上げた!
「お、おむねが、小さくなっているのです……!」
 というか、無い。絶壁だった。
「ちょっと待って下さい!? これってもしかして!?」
「私たちの胸のサイズが!?」
『入れ替わってる~~~!?』
「そうですとも!」
 声が響いた! そこに現れたのは、白い服を着た騎士風の男で、たぶんこいつは遂行者だった。こんな奴遂行者にしちゃっていいの?
「我は遂行者、『お胸入れ替えおじさん』!」
「お胸入れ替えおじさん!?」
 トールが叫んだ。
「そう。私は常々、『お胸が入れ替わったり、サイズが変わったりして、どきどきわたわたしている男女』が好きなのだ。そして、そういう人たちが暮らす世界こそが正しい歴史だと思っておるよ」
「冠位魔種が聞いたらすごい顔で殺されそうなことを言っているのです」
 Lilyが戦慄した。
「だが! すでにお前たちは我が領域の中。この領域では遂行者とかの力は倍になるのだ! でも、皆がお胸が入れ替わってドキドキわたわたしている姿を見せつけられると、このバフははがれて普通のおじさんになるのだ!」
「そう……」
 トールがいやそうな顔をした。
「つまり、お胸が入れ替わったりサイズが変わったりして、わたわたきゃっきゃしてる一日を過ごした後、おじさんをていやーするおしごとということなのです?」
「いかにも!」
 おじさんがうなづいた。
「じゃあ、期待しているからね! 今から始めるから! はい、よーい、スタート!」
 ぱちん、とおじさんが手を叩いた。
 そういうことらしい――!

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 これはリクエストシナリオなので、僕は悪くないです。

●成功条件
 お胸が入れ替わったり、サイズが変わってしまったりしてどきどきわたわたしながら一日を過ごした後、遂行者『お胸入れ替えおじさん』をぼこぼこにする。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はB(バスト)です。
 不思議な事は起きますがデジタルタトゥー以外に体に異常は残りません。

●状況
 わたしたちのおっぱいが、入れ替わっちゃってる~!?
 発見された『神の国』へと向かった皆さんは、ここで遂行者『お胸入れ替えおじさん』と遭遇します。
 どうやらこの神の国では、内部に侵入した人物は『お胸を別の人物と入れ替えらえる』あるいは『お胸のサイズが変化する』というバッドステータスを与えられてしまうのです。
 そして、お胸入れ替えおじさんは強敵。このままでは、お胸が入れ替わったままになってしまいます。
 ですが大丈夫です! お胸入れ替えおじさんの性癖は、「お胸のサイズが変わった男女が、どきどきふわふわした一日を過ごすのを眺める」こと――。
 この街で、お胸のバステを受けた後、一日過ごせばおじさんは勝手に弱体化されるのです!!
 あとは殴って終わりにしてください。
 作戦決行タイミングは昼。
 エリアは『神の国』ですが、普通の街と変わらないものとします。通行人と彼のエクストラもいるものとします。深く考えたらま負けです。

●エネミーデータ
 遂行者、お胸入れ替えおじさん
  『お胸が入れ替わったり、サイズが変わったりして、どきどきわたわたしている男女』が好きなのだ。そして、そういう人たちが暮らす世界こそが正しい歴史だと思っているタイプの変態です。
  そういう世界を目指して『神の国』で頑張っています。
  たぶん敵の親玉にバレたら無言で粛清されて死にます。
  普通に戦うと強いですが、「お胸のサイズが変わった男女が、どきどきふわふわした一日を過ごすのを眺める」ことで弱体化します。
  お察しください。

 以上となります。
 それでは、皆さんの癖をさ、ぶつけてくれよな!

  • <天使の梯子>「ええっ!? ボクたちのお胸、入れ替わっちゃったの~~~!」ってなるのが正しい歴史だと主張するタイプの遂行者完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年04月30日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
Lily Aileen Lane(p3p002187)
100点満点
※参加確定済み※
Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)
シュレーディンガーの男の娘
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
リサ・ディーラング(p3p008016)
蒸気迫撃
リースヒース(p3p009207)
黒のステイルメイト
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星
トール=アシェンプテル(p3p010816)
プリンス・プリンセス
※参加確定済み※

リプレイ

●今回のあらすじ
 『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)
 『ささやかな祈り』Lily Aileen Lane(p3p002187)
 『シュレーディンガーの男の娘』Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)
 『剣閃飛鳥』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
 『蒸気迫撃』リサ・ディーラング(p3p008016)
 『無鋒剣を掲げて』リースヒース(p3p009207)
 『開幕を告げる星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
 『女装バレは死活問題』トール=アシェンプテル(p3p010816)
 以上八名のお胸が入れ替わっておられるぞ――!

●本編
「はぁ……、なんでこういう事に縁があるのかしらね私」
 アルテミアは冷静である――なんでかといえば、このメンバーで一番お胸がでかいからであり、これはお胸がでかいからこその余裕であった。お胸がでかいからには、「きゃあ~、いつもよりおむねがおっきくなって服が~~~!」みたいなハプニングが起こらないのである。マジで? 起こらないの? なんで?
「起こらないわよ……」
 そういうアルテミアのお胸は、変わらない。いや、厳密にいえば変わっている。ルシアのものと入れ替わっているわけで、小さくなっているのだ。だが、それだけだ。小さくなっているため、服が破れちゃう~~~みたいなハプニングは怒らないし、むしろ肩の荷もおりた(物理的に)ので気軽にもなっていよう。は? ゆるさないが?
「そうなのでして! ゆるさないのでして!」
 と、ルシアちゃんが言う。
「こんなバランスの悪い格好で一日過ごす、なんて無理でして!!!」
「……私、バランスわるいんだ……」
 アルテミアさんがしゅんとした。ううん、アルテミアさんのバランスはいいよ。最高だよ。
「きっしょ」
 アルテミアさんがいやそうな顔で地の文を眺める。
「ルシアにとっては死活問題でして! うまくずどーんができない……銃が構えられないのでして! お胸が! 邪魔で!
 冷静に考えると、このお胸で剣を振るっているアルテミアさんが凄いなぁ、とか思ったりするわけでして」
 ルシアが感心したように言う。確かに実際達人である。
「ぐぎぎ、確かに、アタシもリースヒースと入れ替わっている……!」
 ミルヴィがお胸のあたりをさすりながら言う。リースヒースといえば、冷静さを務めているが内心は冷静ではない。
「胸、か。性別について特に考えたことはなかったが……。
 無いものがあるのは気になる」
 冷静さを装っているが、そのはだけたお胸をマントで隠しているわけで、無論冷静ではない。ギフトの力を使えば隠せるわけだが、そこに頭が回らないので、確実にあせっているわけである。普段冷静な人が恥ずかしい事態であせってるの凄いかわいい……かわいくない……?
「邪念を感じる……いや」
 こほん、とリースヒースが咳払い。
「ミルヴィ……大丈夫か。私のマントにくるまって……くるまったら私が脱げる……由々しき事態……だがミルヴィが大変だ……なのでマントを……渡したら私が大変だ……ということはやはりマントを……いや……いや……?」
 リースヒースが冷静にパニックになっている。かわいいね。
「な、なるほど、これは大事っす!」
 と、周りの惨状を見たうえでリサが言う。
「これで私もおっきくげふんげふんちっとはましなかんじに……!」
 と、期待に胸を膨らませつつ(比喩表現)するが、しかし胸は膨らんではいない(物理)ようであった。
「んん? あれ? あんま変わってないというか、ちょいと小さく……?」
 思わず小首をかしげるリサ。さて、そんな隣では、
「諸君、私はおっぱいが好きだ、でっぱいが好きだ、ちっぱいが好きだ、けもっぱいが好きだ、雄っぱいが好きだ。(長いので省略)
 よろしい、ならばお胸交換だ。
 さぁ、これで私も念願の豊かなバストが……豊かな……あれ? 交換されてない?」
 と、テンション高く演説をぶち上げつつ、すぐに小首をかしげて見せるAliceの姿があった。
「あれ? あれ~? ……えっと、シールはない。だから、交換はされてる……」
「あ、シール」
 と、リサが声を上げた。その胸には、確かに特徴的なシールがある。
「なるほど、交換先はリサさんか~」
「なるほど、交換先はAliceさんっすね~」
 リサとAliceが、視線を合わせてから、ぴっ、と指さしあった。
『わたしたちのおっぱいが、入れ替わっちゃってる~!?』
 異口同音、声を上げる。楽しそうである。
「で、とりあえず、胸が入れ替わっちゃって大変そうな人たちのお胸をガードしないと! 手で! ぐえっへっへ!」
「それはやばいっす! リバ倫(リバージョン倫理)に引っかかるっす! いや、引っかかるのかな……これくらい行けそうな気がしなくもない……?」
 リサも静かに混乱していた。とはいえ、現状「お、お胸のサイズがおかしくてこぼれちゃいそう~~~~」みたいな人はリースヒースさんしかおらず、リースヒースさんはマントで体を隠しつつ静かにパニックになっていてかわいいので大丈夫だろう。残念Aliceさん。
「おぉー……小さくなっている…と言うより、ぺたんこだね」
 そんなわけだから、Lilyさんも全然平気である。Lilyの交換先はトールくゃんであるので、おっぱいはない。
「気になる点があるのです……。
 元々のトールさんのサイズ(服の上から見た)と、入れ替わった後の絶壁になっていることに、大きさの違和感を感じるのです!
 つまりこれは……」
 Lilyが疑問の声を上げた刹那、トールが雄たけびのように声を上げた。
「うおおおおおおPADかあ! PADしてるのバレちゃったかぁ!! うおおおおお! PAD! PAD!」
「どうしたのトールさん! 突然PADと連呼しだして!」
 さすがのアルテミアも不思議気な様子を見せる。トールくゃんは女装バレすると大変なことになってしまうのだ!
「あ! いえ! すみません! 冷静さを欠いていました。PADがばれてしまってねあはははは!」
「そ、そう……」
 アルテミアがドン引きした様子で答える。耐えるしかない。死ぬよりましなはずである。パンドラ削っておきますね。
「で、えーと。この状態で一日を過ごすわけでして?」
 ルシアが言う。そう、この状態で一日を過ごすと、なんか遂行者が死ぬのだ!
「無理でして……無理でしてー……」
 うるる、とルシアが泣いた。お胸がおっきくなってこんなに悲しんでいる子、僕は初めて見たかもしれない。かわいい。
「だ、だが、やらざるを得ないわけだ」
 リースヒースがコホン、と咳払い。お胸が大きいと大変だなぁ、と今の段階で身に染みているようだった。
「じゃあ、まずは服と下着を買わないとね!」
 Aliceがそういうのへ、トールくんちゃんが声を上げた。
「何言ってんの!?」
「いや、何を驚いてるんっす?」
 リサが小首をかしげた。
「この状況で外出歩く方がいろいろとまずいっすよ。それにほら、同性同士なんだから恥ずかしがることないっすよ」
「そ! そうですね! 同性でしたね! わーっはっはは!」
「トールさん大丈夫でして?」
 テンパるトールに、ルシアが胡乱げな視線を向ける。
「確かに、PADがばれたのは恥ずかしいかもでして。でもその、あんまり気にしすぎると余計墓穴を掘ることになるのですよ?」
「そ、そうだね! うん!」
 トールの目が泳いでいる。言うまでもないが、このメンツにおいて男であることが確定しているのはトールだけであるし、男とバレるとトールは色々と大変なことになるのだ!
「確かに買い物と……あ、せっかくだから温泉はいらない? この街、いい温泉があるんだよね。たぶん神の国にもあると思う!」
 と、ミルヴィが言うので、
「温泉!? 何言ってんの!?」
 トールがくんちゃんが声を上げる!
「いや、何おどろいてるの?」
 Aliceが声を上げた。
「この状況で外出歩く方がいろいろとまずいでしょ? それにほら、同性同士なんだから恥ずかしがることないよ」
「そ! そうですね! 同性でしたね! わーっはっはは!」
「トール、大丈夫か?」
 テンパるトールに、リースヒースが胡乱げな視線を向ける。
「確かに、PADがばれたのは恥ずかしいかもしれない。だが、その、あんまり気にしすぎると余計墓穴を掘ることになるぞ?」
「そ、そうだね! うん!」
 トールの目が泳いでいる。言うまでもないが、このメンツにおいて男であることが確定しているのはトールだけであるし、男とバレるとトールは色々と大変なことになるのだ!
「ええと、その。ひとまず、ブティックに行くのですよ」
 Lilyがそういう。
「もうリプレイ文字数を3500文字は使っているので。このままだと収拾がつかなくなるのです……。
 あ、お金とかは、遂行者(おじさん)がだしてくれるのですよね?」
「あ、はい、もちろんです」
 遂行者(おじさん)が頷いたので、Lilyもにっこりと笑った。
「では、行くのです~♪」
 そういうことになった。

●買い物と温泉と
「うーん、自分の方は衣装とか気にしないっすけど……」
 と、リサが言う。さて、ブティックである。ブティックといえば、服とか下着とか水着とかが売っているところだぞ!
「個人的にAliceさんはフリフリな感じのが多いっすから、たまにはこういったスタイリッシュな感じの物とかも同っすか?
 個人的にはスーツ姿とか聖職者風なコートとか。似合うんじゃないかって思うっすよ」
「えー、そうかなー? 逆に? リサちゃんもフリフリのとか着てみたらよくない?」
「いやいや。いやいやいやいや」
「えー、きっと似合うよー。ゴスロリとか、地雷系とか? 洗井落雲も見たいって言ってたしー」
 見たいしー。
「いやいや。いやいやいやいや」
 まぁ、ここはリサさんがフリフリなのを着て、Aliceさんがスタイリッシュスーツを着れば解決ですね。よろしくお願いします。
 二人がいい感じにいちゃついている中、リースヒースもミルヴィと一緒に、下着とか服とかを探していた。ちなみに、リースヒースは高級そうな白のふわふわレースをかって、まずは着てみた。お胸の危機は去った。さておき、リースヒースさんそういうのにあこがれがあるんですか? 可愛いですね。
「悪寒がするが」
 リースヒースがミルヴィと一緒に嫌そうな顔をする。
「さておき、私はアレを着てみたい。
 『胸元とスリットのえぐい赤いロングドレス』っっ!!」
 もちろんご用意してございます……。
「ひどいのでして……ひどいのでして……」
 よよよ、と涙して見せるルシア。何とか着てみた衣装は、OL風スーツ姿である。胸のでかいOLか……いいよね……なんでも着るって言ったものね……。
「好きに服も選べないし、上手くずどーんも出来ないのです。
 それにどう動いてもゆっさゆっさと重く揺れて……。
 動きづらいし肩も痛くなってきたのですよ……!」
「ああ、うん……確かに、はたから見てたら、私の胸ってこんな感じなのねぇ、ってなったわ」
 アルテミアが苦笑する。
「確かに、胸がないのって方が軽いけれど。でも、下着とかでちゃんと補正してあげれば、結構動けるものよ?
 ルシアさんも……そうねぇ、ちょっとこういう、大人っぽい下着とかつけてみたらどうかしら?」
「ぴゃ! は、恥ずかしいのでして!」
「あら、恥ずかしがることないわよ。今は私の胸なんだから……あ、私がつけてるのと同じやつ、つけてみましょうか?」
「え、えっと、その、でしてーー!」
 あら~☆
「ブラジャーってどういうの買えばいいんだろう……」
 と、トールくんちゃんは悩んでいる。なぜならトールくんちゃんの乳は偽乳だったので、トップとアンダーとかそういうのがわからないぞ! 洗井落雲もよくわかってない。
「ふむふむ……解りました、色々教えるのです」
 Lilyがそういってにっこり笑った。トップとアンダーとかよくわからない。バストにはAとかBとかCとかがあるんじゃないのか。わからない。洗井落雲は雰囲気でバストを語っている。
「でも、今日は私のお胸なのですから。ひとまず、私が普段使っているサイズのものをつけましょう」
「うう、助かるよ……これ、試着してきますね……」
 そういって、トールは試着室に入った。服を脱いだ。お胸がある。
「お胸があるよ!!!」
 がーん、と衝撃を受けるトール! そうだよ、お胸があるんだよ。
「ちょ、ちょっと触ってみようかな……?
 ……ひんっ!
 何だこれ……ぷにぷにむにむにで凄く柔らかい……」
 そう、トールくゃんはうら若き男子である。目の前にお胸があるのに触らずにはいられないのだ。まって、これってかなりエッチなシチュエーションじゃない? 具体的に言うと、
「具体的に言わないでくださいよ!」
 虚空に向かって吠えた。トールの手が、自分のお胸から離れる。理性が打ち勝った。本能に任せていたらずっと触っていたかもしれなかった。
 なんとか下着を着終えて、トールが試着室から顔をのぞかせる。そんな様子を見て、何か合点がいった様子で、Lilyがこそこそと耳打ちをした。
「トールさんって、もしかして……男性、です?」
「うえぇっ! 私がお、男っ!? ちちちちちっ違いますよぅ!? あはは、何言ってるんですかリリーさんってば!」
 めっちゃ動揺するトールの様子に、何か確信を得たような表情の、Lilyであった……。

 さぁ、温泉だ!(強引な場面転換)
 温泉には、総勢八名のお胸……じゃなくて、イレギュラーズたちがいる。大丈夫。皆同性なので、同性だから、入っても大丈夫です。
(同性じゃないんだけどな……!)
 トールが顔を真っ赤にして湯船につかっている。顔をが真っ赤なのは、温泉の熱さのせいではないだろう。
(ふふ、股間タックで作り込んでる可能性もあってよ?)
 Aliceが得意げにそう胸中で独り言ちる。なるほど、そういうのもあるのか。というわけで、温泉に入っても大丈夫である。
「しかし、なんか妙な感じの人もいるっすね。お胸の違和感っすか?」
 リサが堂々とすべてをさらけ出しながら言った。しゃらくせぇ、どうせ同姓だけだ。
「ふむ……いや、冷静に考えたら私も性別不明なんだよな……」
 リースヒースがそういった。リースヒースの体は、うまいこと湯気とか謎の光で隠れています。
「でも、なんだかんだ言って楽しかったね?」
 ミルヴィがそういうのへ、アルテミアがうなづいた。
「そうね……肩がこらなかったし。
 普段は着ないような服が着られたのも楽しかったわ」
「ルシアはたいへんでしてー」
 ぶくぶくと、ルシアが湯船に口をつけて息を吐いた。
「というか、トールさんはなんでそんなラップタオルみたいにタオルまいて温泉はいってるのでして?
 ルシアはラップタオルもまけないので前から隠しているわけでして!
 ずるいのでして!」
 じたばたとルシアが暴れだす。温泉がバシャバシャと波だった。
「わ、ちょっと、あぶないっすよ!」
 リサが苦笑する。
「あ、これはハプニングの予感!」
 Aliceが笑った。同時!
「あ、あぶない!」
 リースヒースが声を上げた。ルシアの暴れる手が、トールのタオルをつかんでいた!
 そのまま、引っ張る!
 あらわになる、体!
 お胸!
 そして下の方――!

 走馬灯というわけではないが。人間は本格的な危機に瀕したとき、世界がゆっくりと動いているように見えるという(諸説あり)。
 この時。
 トールは間違いなく、ゆっくりと動く世界の中にいた。
 あらわになる。
 下半身が。
 下半身。
 ばれたらやばいものが。
「僕の輝剣♂が!」
 叫んだ。
 いや、叫んだのだろうか。訳が分からない。だが、なんか叫んだ気はしていた。
 死ぬ。
 社会的に。
 いや、物理的にか?
 なんか死ぬ。
 死ぬのだ。
 このまま。
 僕の輝剣♂(プレイングにそう書いてあったのをコピペした)をさらして――!
 だが、その時は訪れなかった。
 目の前に、Lilyの姿があった。
 Lilyが、その体をいっぱいに使って、トールを隠していた――!
「リリーさん……!」
「みていません」
 Lilyが言った。
「みていませんから、だいじょうぶです……!」
 そう、言った。
 ぎゅっと目をつむり。
 トールの方を見ないようにと。
 自分の体をさらけ出して――。
 Lilyで隠したのだ!
「リリーさん……!」
 トールが声を上げた。友情があった。絆があった。優しさがあった。
「いま、なのです」
「はい……!」
 トールは走った。タオルをひっつかんで、脱衣所へ。今のうちに、すべてを隠してしまえば、それでよいはずだった。
 おじさんがいた。
「おじさん、感動しちゃったよ」
 おじさんが言った。
「そうやって、自分の体を隠してまで、友達の秘密を守る……いいよね。すごくいい。
 おじさん、そういうのが見たくてこの仕事やってるんだよね。友情っていうか、絆っていうか。
 いやぁ、よかったなぁ。どうだ、絆が深まったろう」
 おじさんがにこやかに笑ったので。
 トールもにこやかに笑った。
「全部あんたのせいじゃないですかッ!!!」
 ぶん殴って黙らせました。
 おわり。

 追記
 着替えた後、おじさんの息の根がまだあったので、改めて全員でぼこぼこにしました。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 どうだお胸に対する理解が深まったろう

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