PandoraPartyProject

シナリオ詳細

美味なるオレンジを求めて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●そのオレンジの名は
 巨大な木に、黄色いオレンジが鈴なりになっている。
 ああ、なんと美しい黄色だろうか。まるで夜の空に浮かぶ月のようだ。
 しかしそれ以前に、なんと巨大な木。そして、なんと巨大なオレンジだろうか?
 熟したように見える実も、まだ熟していないように見える実もある。
 だが、それも含め周囲に充満する香りの、なんと爽やかなことだろうか?
 清々しく、春の訪れとまだ来ない夏を呼ぶかのような、そんな香り。
 この大きさのオレンジであれば、1個でも思う存分オレンジを堪能できるだろう。
 ……まあ、それは亜竜種の話であるのだが。
 人間に美味しいものはモンスターや亜竜にとっても美味しい。
 そのオレンジの鳴っている場所は、苛烈な縄張り争いの行われる場所でもあったのだ。
 そして今年も当然、この時期の縄張り争いの勝者がいる。
 オレンジを手に入れようというのであれば、その勝者からかすめ取る必要がある。
 デザストルオレンジ。そう呼ばれるオレンジの魅惑の香りは「そうしよう」と思わせるには充分であった。

●オレンジを食べたい
「デザストルオレンジ!!!」
「にゃー!」
 『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)に【白ドラネコ】ミーフィアがそう呼応する。
 別に意味を理解しているとかではなく、ユーフォニーが叫んだので反応しただけだ。
 ともかくデザストルオレンジである。今の季節、そういうものがあるとユーフォニーは聞きつけてきたのだ。
「うむ。確かに時期じゃのう」
 『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)もそう頷くが……デザストルオレンジ。それは間違いなく覇竜の名物の1つであるのだ。
 その香りにはある種の浄化作用があり、置いているだけで場の空気を綺麗にすると言われているほどなのだが、まあ青果なのでそう長持ちするものでもなく各種の亜竜集落もそんなものに頼るほどでもない、かつそこまで強力なものでもない……とまあ「あると素敵だよね」程度のものなのだが、それほどまでに香りが素晴らしい果物なのだ。
 そして勿論、味もオレンジとしては最高級にあたる。同じオレンジ系の「紅き宝玉」とは方向性が違うが、酸味と甘みのバランスが素晴らしく、どちらかというと甘みの強い「初心者向け」の味であるという。
 どう加工しても美味しいデザストルオレンジだが、パイにしてもジュースにしても美味しいだろう。
 勿論、果実酒にしたって美味しい。その性質ゆえに、漬けてすぐに飲み頃になるという酒飲み歓喜の果物でもあるからだ。
「とはいえ、旨いものは何らかの相手の縄張りになってるもんじゃからの」
 どうやら今年の勝者は「果物好きのアトラス」であるらしく、デザストルオレンジの木の横に座ってオレンジを捥いで皮ごと食べているようだ。その速度は非常にゆったりしたものなのでオレンジが無くなるということはないが、手に入れるにあたっては何かの作戦も必要になるだろう。
 その大きさからして、たくさんもぐ必要もない。その辺りは要相談といったところだが。
「今年は香りからして当たり年みたいじゃからの。ま、頑張るとええ」

GMコメント

フリアノンから少し離れた丘の上に行って、デザストルオレンジをゲットしましょう!
果物好きのアトラスは縄張りを守っているので、ある程度逃げれば諦めて帰っていきます。
気を引いているうちに捥いで逃げていくなどの作戦も有効です。
無事に持ち帰ったらオレンジパーティーです!

●デザストルオレンジ
全長1mくらいのでっかいオレンジ。香りが凄い。
甘みと酸味のバランス的には、甘みが強め。皮は比較的薄めで剥きやすいです。
天然種なので種もありますが少な目。
ゲットするには巨木に登ったり飛んだりする必要があるでしょう。
ずっしり実が詰まってるので相応に重いです。

●出てくる敵
・果物好きのアトラス
全長3mくらいの髭面の大男モンスター。
その辺から引っこ抜いてきた巨木を槍に加工しています。
得意なのは槍での突き刺し攻撃です。
デザストルオレンジの木からそんなに離れたがらないので、しつこく追いかけては来ません。
そう、つまり倒す必要はありません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 美味なるオレンジを求めて完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年04月19日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
橋場・ステラ(p3p008617)
夜を裂く星
ロウラン・アトゥイ・イコロ(p3p009153)
綾辻・愛奈(p3p010320)
綺羅星の守護者
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
炎 練倒(p3p010353)
ノットプリズン
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚

リプレイ

●オレンジを手に入れろ
「素晴らしい香りと最高級の味を持つデザストルオレンジ……そんなものがあると聞いてしまったら食べたくなってしまうのは仕方がないというもの。一つ一つが大きいらしいからそこまで大量に持ち帰らなくてもいいらしいのでアトラスの分もちゃんと残せそうだな。縄張り争いで勝利しているのにデザストルオレンジは全部貰っていきますというのは流石にちょっと心苦しいしな」
 アトラスのことを思う『優穏の聲』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)に『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)も「そうだね」と頷く。とはいえ、諦めるわけにはいかない。
 デザストルオレンジを手に入れるのが今回の仕事なのだから。
「夜の空に浮かぶ月のように、大きい大きいおいしいオレンジ……! オレンジをのんびり食べてるアトラスにはちょっとごめんねって思うけど僕等の分のオレンジを採らせてもらうね!」
「素晴らしい香りと最高級の味を持つデザストルオレンジ……そんなものがあると聞いてしまったら食べたくなってしまうのは仕方がないというもの」
 『優穏の聲』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)も遠くに見えるデザストルオレンジを見ながらそう呟く。
「一つ一つが大きいらしいからそこまで大量に持ち帰らなくてもいいらしいのでアトラスの分もちゃんと残せそうだな。縄張り争いで勝利しているのにデザストルオレンジは全部貰っていきますというのは流石にちょっと心苦しいしな」
「うん、その通りだね」
 ヨゾラもそれには完全に同意であったし、仲間たちも同じだ。それさえ共有できていれば、あとはテンションを上げていくだけだ。
「ふむふむ、覇竜産のオレンジですか……え、1メートル位のサイズ? 大きすぎません???」
 『夜を裂く星』橋場・ステラ(p3p008617)に『ノットプリズン』炎 練倒(p3p010353)も「うむ」と頷く。
「デザストルオレンジであるか。食べたことはないであるが美味しいという話は聞いたことはあるであるな」
「美味しいというのなら、この機会に食べておきたいですね」
「相賀殿も当たり年と言っている事であるし楽しみであるな」
「しかし当然ながら障害はある、と。では正面から叩k、あ、倒さない方向ですね?」
「オレンジの樹からあまり離れようとしないって話なら、ぱっと接近して収穫、即座に離脱すれば何とかなりそうな気もするっスね」
 『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)もそう頷くが、実際タイミングさえうまくかみ合えば然程難しい問題でもないように思えた。
 近づいてくると感じる香りは、とても爽やかで。ロウラン・アトゥイ・イコロ(p3p009153)もやる気が上がってくるのを感じていた。
「ほほぅデザストルオレンジ……香りよし味よしの一品ですか……。しかも大きい……これは手に入れ甲斐がありますね」
 見えてくるのは巨人型のモンスター……アトラスだ。もいだデザストルオレンジをゆったりとモグモグ食べているその姿は、此処が自分の縄張りだという余裕を感じさせる姿だった。
「でもこんなにゆっくり食べてますし、アトラス……巨人さんなら話せばわかりそうな気もしますが」
 ロウランの望む通りになるかは分からない。相手は少なくとも、この縄張りを得るための争いを勝ち抜いたモンスターではあるのだ。しかしそうだとして、最低限の荒事でどうにかできるのであれば、それがいいのは間違いない。
「わぁい、デザストルオレンジ……! 相賀さんの昔話を聞いた時から楽しみだったんです! 今年は当たり年なんてラッキーですね♪」
「さあドラちゃん。おやつ取りに行きましょうね。今度はおっきなオレンジですよ…私もちょっと漬けて果実酒にして持って帰りたいですね。あ、味見もしたいです。ふふ……やはりグルメは生きる活力です……!」
 『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)や『航空猟兵』綾辻・愛奈(p3p010320)はこんな状況には慣れたもので、気合も入りまくりである。
「リーちゃん召喚、愛奈さんの傍にいてね」
 準備はすでに整っている。あとは作戦通りに動くだけだ。
「既に縄張り争いが終わり勝者であるアトラスだけになった所で交渉する、実にスマートでインテリジェンスの高い作戦であるな。吾輩達が頂くだけであれば果実が大きいデザストルオレンジならそこまで数も沢山は必要ではないであろう。しかし吾輩のインテリジェンスを持ってしてより安全に収穫出来るようにするである」
 練倒はインテリジェンスな顔でそう宣言する。
「吾輩のインテリジェンスに刻まれたモンスター知識から彼のアトラスはとても果物が好きであると分かったである。なのでデザストルオレンジとは別の果物を用意する事で交換若しくは譲渡し食べている間に他のメンバーに収穫してもらうである。携行品として用意したこの妖精たちの青林檎は覇竜領域にはお目にかかれない一品であるためきっとアトラスの気を引ける事間違いないであるな、ガーハッハッハ」
「実は私もアトラスさんにスペシャルアイテムを用意して来たんです♪」
「おお、ユーフォニー殿も!」
「覇竜イチゴ、覇竜チョコがけ覇竜イチゴ、覇竜餅を使った覇竜イチゴ大福! 食べ物で釣ろう作戦です!」
「よし、じゃあ手土産も良さそうだね。あとは保護結界をかけておくよ。オレンジは少し貰うけど、オレンジの木を傷つけるつもりはないからね」
 ヨゾラも言いながら保護結界をかけていく。かけなくてもいいのかもしれないが、こういった細やかな気遣いが今後に繋がるのだ。
「アートラースさーんっ! これ! 食べませんかー!!」
「美味いであるぞー!」
 そうしてユーフォニーと練倒が動き出せば、アトラスはそちらに気をひかれて視線を向け始める。その瞬間、確かに木から注意が離れていて……愛奈やステラにライオリット、ゲオルグたち回収運搬班が飛び出す。ステラの用意した装甲蒸気車両『グラードⅢ』やメカ子ロリババアもある為、運搬に問題はない。
「持てるなら一度で複数個獲りたい所ですが、サイズ的に無理そうですし1個づつ手早く、ですね……そういえば、収穫数って1人に1個づつ分位でしょうか。獲りすぎも少なすぎも良くはないですし」
 ステラは収穫しながらそう呟くが、そんなことは気にしなくていい程度には実っている。途中で落とさない程度が理想だろうか?
「どうやら僕たちの出番は最後かな」
「そうですね。でも……」
「うん。アトラスが木から離れたがらないのは、離れすぎてると他の亜竜に縄張りを……木とオレンジごととられるからだろうね。だから、僕等を追うのを諦めてくれるならその後はそっとしておける。つまり……」
「最後はスピード、ですか」
 そうヨゾラとロウランは微笑みあう。そして実際、アトラスを振り払いフリアノンへの帰還に成功したのである……!

●オレンジパーティーだ!
「さあ、無事に戻れましたし実食です! そのまま食べたりジュースにしたり、後はお酒をお土産にしたいので是非! ちなみにですが香りが良いなら、食べるだけでなくて香水とか作れたら良いと思うのですが難しいものでしょうか」
「香水かの? まあ、出来ると思うがのう。試作はしてみるから、今度取りに来るとええ」
「是非!」
 ステラと『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)がそんな相談をしていたが、実食の時間である。
 こうして持ち帰ってみるとデザストルオレンジは本当に大きく、そして爽やかな香りをしている。
 その大きな皮も確かに使い道があるのだろう。ゲオルグも早速何をするか思いついたようだった。
「さて、待望のオレンジパーティーというわけだ。ふわふわ羊のジークと連れてきたドラネコ達にもちゃんとデザストルオレンジを食べさせてあげたいからな」
 そうしてジークやドラネコたちは早速ゲオルグの近くに待機したりスリスリしたりするが、ゲオルグは強い心で調理に臨む。
「そしてスイーツもいいが、新鮮なオレンジときたら、やはり酒も楽しみたくなるというもの。少し漬け込むだけで簡単に飲み頃になるらしいのですぐに楽しめるというわけだ」
 そう、それがデザストルオレンジの特徴だ。獲れたてでそう出来るのは、まさに素晴らしいとしか言いようがない。
「更に、オレンジそのものを絞った新鮮なジュースをカクテルにして飲むのもいいだろう。ミモザにスクリュードライバー、ファジーネーブル。デザストルオレンジで作るとどんな味になるのだろうな」
 どれも未体験の味わいになるかもしれない。酒を楽しく飲める年頃のゲオルグとしては期待したいところだ。
「そして、果肉だけではなくその皮でオレンジピールを作ろう。そのまま食べても美味しいだろうし、チョコでコーティングすれば手軽に摘めるスイーツになるのだ」
「ニャッ」
 ジークの上に乗ったドラネコが「素晴らしい」とでも言うかのように鳴くが、さておいて。
「更に、食べる以外にも活用法はある。皮をお湯につけて汚れなどをとった後、広げて天日干しにしておくのだ。こうして乾燥させたものはとある世界では漢方薬の一種として重宝されているのだとか。今年のデザストルオレンジは当たり年という事だからきっと良いものが出来るだろう」
「うんうん。じゃあ僕はオレンジジュースやオレンジパイを作ろう。ゼラチンか寒天溶かしてオレンジジュース入れてオレンジも入れて固めれば、オレンジゼリーもできるかも。皮が薄いならマーマレードジャムも作れるのかな? 果実酒も呑むー! あっ僕呑めるからね」
「ニャー!」
 ヨゾラの連れてきたドラネコたちが「自分も呑めるからね」とでも言うかのようだが、まあ本当に吞めるらしい。
「それにしても、とっても大きいオレンジ……本当に、夜の空に浮かぶ月みたいだね。木もとても大きかった……さすが覇竜……!」
 言いながらヨゾラはデザストルオレンジを撫でるが、確かにこれは縄張り争いが発生するだけの価値はありそうだ。
 そんなデザストルオレンジの上にドラネコが乗り始めると、可愛さも倍だ。
「可愛いなぁドラネコ……普通の猫だと柑橘類好まない子もいるけどドラネコは大丈夫そうだね、可愛いなぁ」
「ニャー」
 そう、いつの間にかドラネコも寄ってきているが……そのうちの一匹にロウランも声をかけてみる。
「オレンジパーティー。ドラネコさんも来ますか?」
「ニャッ」
 勿論参加するらしい。その辺りは流石ドラネコである。
「では……焼きミカンの要領で焼いて見ましょうか。皮は紅茶に入れるもよし、細かく千切って乾燥させれば長持ちする薬味になりそうですね? 流石にこの大きさのオレンジの皮汁で悪戯は想像したくないですけど!」
 ひどいことになりそうだ。プルッと震えるロウランの横を走って愛奈は相賀のところへ行く。
「先ずは本懐の……果実酒を漬け込んで。黒鉄さんにいい漬け方を教えて頂きましょうか」
「なあに、簡単じゃよ。こいつはそう難しい素材でもないからの」
 そんな風に相賀に教わりながら漬ければ……なるほど、確かに外のオレンジよりも楽そうだと愛奈は思う。
「後はドラちゃん用にカットしたものを準備して……ああマーマレードにもしましょう。お家に帰っても暫くはオレンジ祭りですね。他にもお手伝いが必要な方が居れば、是非。ゴチックメヱドの本懐、お見せしましょう。料理でもお茶でもお任せください。何なら片付けまで。ええ、今日の私は皆さまの一日メイドです」
 とはいえ、皆気遣い屋が揃っているのでたっぷり手伝うだろう。その辺は助け、助けられといったところだ。
「ああほらドラちゃん。お家に帰ってからゆっくり……は嫌ですか。私と一緒にこっそり、つまみぐいしましょうか」
「ニャー」
 そんな中、練倒は早速齧ってみていた。
「先ずはどう加工するのが良いか確認する為にそのまま頂くである」
 そうして剥いて切ったデザストルオレンジを齧れば……果汁がジュワッと練倒の中に溢れ出す。
「んん!!! 圧倒的な甘みの中に存在する酸味がアクセントとなりハーモニーを奏でただ甘いだけの単純な味で出せない深みのある味わいが! つまり上手い! こう美味しいと雑に混ぜるだけでも十分美味しいであるがどうするか迷うであるな。とは言え吾輩そこまで料理が得意というわけではないのであるので簡単であるがオレンジピールを作るである。薄くわたも少ないので処理も楽であるな」
 オレンジピールはどれだけあってもいい。何しろ単体で美味しいだけではなく、パウンドケーキに入れたって美味しいのだ。
「細かく刻んだ皮を一度茹でこぼしその後別に準備した砂糖を入れた沸騰した水に皮を入れて煮詰めるである。汁気がなくなるまで煮詰めたら取り出し乾かせば完成である。流石はデザストルオレンジ、皮も身と比べれば酸味が強いであるが美味いであるな。今回だけで終わりは勿体無いであるから実の幾らかを長期保存出来るように多めに砂糖を入れてジャムにするである」
 そしてライオリットも、デザストルオレンジに触れながら小さく微笑む。
「最近、果物パーティをやることが多いっスから、なんかいろいろと慣れてきた気もするっスね」
「ふふふ、そうですね♪」
 ユーフォニーもそうライオリットに頷くが、この季節は果物がどうしても美味しいので仕方がない。
「オレンジだとチョコとか組み合わせるといいらしいっスけど、割と甘さが強いって話っスから、チョコの甘みは抑えた方が良いかもしれないっスね。イチゴ同様、ケーキとかにしてもいいっスね。せっかくなら皮も砂糖漬けやマーマレードにしてもいいと思うっスけど……そっちはもうやってるっスね」
 しかしまあ、オレンジの効能はそれだけではない。
「どうしてもスイーツになりがちっスけど……食べられない分は、油汚れの掃除にも使えばいいっスからね」
 そう、そんな生活の知恵も重要だ。とはいえ……どうしても「食」に傾くのは人の性だろうか?
 ユーフォニーと13匹のドラネコたちも、デザストルオレンジをたっぷりと楽しんでいた。
「まずは生でそのまま。爽やかで甘くて、これはアトラスさんが譲りたくないのもわかります……! 大丈夫、ミーちゃんたちのもはいっ、どうぞ♪」
「ニャッ」
「次はオレンジジュースに。やっぱり搾りたてが一番ですね。果肉のつぶつぶ感も贅沢……!」
 そう、文字通りの搾りたてオレンジだ。美味しくないはずがない。
「相賀さん、オレンジの果実酒仕込みましょう! サングリアもしたいです。他にもおすすめのものがあればぜひ……! あっでもその前に、都合よく去年のオレンジを使ったお酒があったりしないかなあ……なんて。愛奈さんが楽しみにしてて……!」
「ほっほっほ。嬢ちゃんはいつも慌ただしいのう」
 言いながらも相賀はサッと瓶を取り出す。それは確かに去年漬けたもののようで。
「ふふ、ミーちゃんたちも呑む? 程々にだよ? それと……フリアノンのみなさんにも採ってきたオレンジや作ったジュース、スイーツを配りましょう。ピュニシオンのことで覇竜は今ピリピリしてますから、こういう依頼を相賀さんがしてくれているうちはまだ大丈夫としても……心配だから美味しいもので心がほぐれたらな、って」
 そんなユーフォニーの言葉に反対する者などいなくて。
「そういえば……少ないけど種、あるんだよね。植えたらオレンジの木が生えたりするのかな? あ、でも木が育つまで何十年もかかりそう……黒鉄さんに聞いてみて植えていい所があれば植えようかな?」
「数か月じゃな」
「え?」
「数か月じゃよ」
「……あの大きさが?」
「うむ」
 頷く相賀にヨゾラが「うわー……」と嫌なところで覇竜らしさを体感していたが……そんな、慌ただしくも美味しい、爽やかな一日は過ぎていくのだった。

成否

成功

MVP

炎 練倒(p3p010353)
ノットプリズン

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!

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