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シナリオ詳細

再現性東京202X:筋肉耐荷重偽装疑惑

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ルビ:ちきんれっぐ
「困ったわ、いきなり運行休止だなんて……これじゃ仕事に間に合わないわね」
 希望ヶ浜、早朝、バス停。そこに唐突に張り出された「従業員ストライキによる臨時運休」の張り紙は、雨の日に早めに家を出たOLを困惑させた。今日は大事な商談があるのに、走って向かっても間に合わない。どころか、乱れた髪やスーツで相手先など以ての外。これは困った、と頭を抱えた彼女の前に、颯爽と現れた影があった。
「お嬢さん、マッスル・タクシーはご所望ですか?」
「マッ……何て?」
「マ・ッ・ス・ル・Taxi……」
 そう、マッチョである。
 どう、マッチョなんだか分からないがとにかく筋骨隆々な上半身。返事にあわせて小刻みに動く筋肉となぜか一部流ちょうな英語を交えたその浅黒い肌の男に、OLは心底困惑した。タクシー呼ぶなら普通のを呼んでいる。だが自信満々にダブルバイセップスを決める姿を見ると、なるほどあの上腕二頭筋なら自分を運べるのではないか? という認識も浮かんでしまう。
「え、っと、お代? は」
「頂きませんよ。私は貴女を運べればそれでイィ……」
 恍惚とした表情に女性はちょっとだけ恐怖を覚えたが、迷っている時間もタクシーを待つ時間も惜しいと思った。この際任せてしまおうか。
 ままよ、と心中で叫んだ女性はしゃがんだ男の上腕二頭筋に腰掛けると、『行ってください!』と叫んだ。
「オゥケイ、Let’s Go!!」
 景気よく叫んだマッチョは勢いよく駆け出す。駆け出すがしかし、道半ばにしてあからさまなペースダウンが始まり、その末前のめりにブッ倒れOLを巻き込んでしまった。
 雨でグシャグシャに濡れた女性はしかし、マッチョの姿がいつの間にか消えていることに恐怖したという……。

●マッチョの威厳が暴落でヤバい
「……という不届きマッチョ事案が多発しているという状況でして」
「はあ、そうですか……それは一体どの経路で伝わった情報なのですか?」
「勿論、マッスル・ネットワークで!」
 三弦はカフェ・ローレットに現れたマッチョ達の話を一通り聞き、その異常性と依頼人たちの奇矯な(といってもTPOを弁えた)姿に頭を抱えた。以前もホワイトデーにかこつけてホワイトチョコをひじにかけて食べさせようとする不届きマッチョの告発があったが、それも彼らのネットワーク経由で発見されたはずだ。そもそも被害女性も正常な判断能力を欠いていたので、マッスル催眠の可能性が示唆されている。マッスル催眠ってなんですか?
「兎に角、下半身の鍛え方が足りないのに上半身ばかりを誇示するチキン(レッグ)野郎には然るべき処分を与えたく! ご助力頂きたいのです!」
「希望ヶ浜での事件ですし、無視はできませんね……わかりました、承ります」
 こんな馬鹿げた話は夜妖の仕業に違いあるまい。多分。きっと。
 そして出現条件を調べあげた彼女は、「雨の日・停留所やタクシープールに・時間を気にする女性がいる際」に出現することを発見、ローレット・イレギュラーズに対処をお願いしたのである。
 マッスル・ネットワークとか構築している彼等は夜妖じゃないのかって? 健全なマッチョだよ、間違いなく。

GMコメント

 ネタ元のGMからは許諾を取ったんで大丈夫です。大丈夫だってば。

●オーダー
 マッスルタクシーの撃破

●マッスルタクシー×4~8(同時行動グループ数に準拠)
 OPの通り、雨の日に先を急ぐ女性の前に唐突に表れるマッチョ(半裸)です。特徴的なのはそのチキンレッグ(下半身が極端に鍛え足りないさま)で、凄まじいギャップといえるでしょう。
 敵対者であると理解すれば、鍛え上げた上半身から激しい攻撃を仕掛けてきますが足を狙えば苦戦はしません。しゃがみ弱Kでハメられます。成功させるためなら、というかシナリオの特性上こんな連中に負けることは無いのですが、色々な倒し方があるわけで。

●戦場
 雨の希望ヶ浜です。
 大立ち回りするから合羽の方がいいと思いますが、まあそこは人それぞれ。

●描写希望
 悲鳴とか動きとかは適当にねつ造するので捻りのある動作やトドメ差すときの叫びとか考えておくといいかもしれません。また、ライトシナリオの性質上、選択肢が決まっていれば白紙として扱うことはないです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。


何故戦うことになったんだ?
わからない。俺達は夜妖と戦う運命にあるんだろうけどきっかけがほしい。

【1】依頼として誘い出した
こいつを誘い出すためなら女装でも雨のなかでも入念に準備してやるぜ……!

【2】話だけ聞いてほったらかしてたら遭遇した
いや依頼受けるとは言ってないし……何で出てくるんだよ……(見た目女性寄り推奨)

【3】何も知らないのに条件が合ったから遭遇した
雨の日、(見た目)女性、先を急ぐ、何も起きないわけがなく……


どんな風に戦う?
遭遇したからには倒さねばならない。だがこんなネタキャラ相手に真面目に……

【1】真っ当な戦い方をする
真面目にやる? アッハイ、とても正統派な殴り合いとかそういうのになります。

【2】しゃがみKハメ
相手の華奢な下半身でしゃがめるものか! しゃがんでひたすら蹴り入れてやれ!

【3】パンツレスリング
パンツ取られたら負け。(男性限定)


ニュアンス
なんかこう……どういう傾向で活躍したいか的な……分かるんだけどより詳しく……

【1】ヒーローチック
泥臭く戦って天高く拳を突き上げて勝つ。恰好を極力いじらなくなる。

【2】セクシーに
ラッキーセクシーが入ることがある。だがマッチョは興味がなさそうだ。

【3】その他
つまりはネタ枠である。

  • 再現性東京202X:筋肉耐荷重偽装疑惑完了
  • GM名ふみの
  • 種別 通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年04月12日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談0日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
ハンナ・シャロン(p3p007137)
風のテルメンディル
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
エルシア・クレンオータ(p3p008209)
自然を想う心
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
郷田 京(p3p009529)
ハイテンションガール
フィノアーシェ・M・ミラージュ(p3p010036)
彷徨いの巫
高橋 龍(p3p010970)
名誉マッチョ・ネットワーク

リプレイ

●諸事情によりネットワークは不通ですが割と関係ないかもしれない
 『名誉マッチョ・ネットワーク』高橋 龍(p3p010970)は女装を敢行した。前回で慣れてしまったとはいえ、今回もその「うわキッツ……」な女装姿が目立って目立って仕方ないし、何故か状況さえ揃えば女装の程度とかお構いなしに現れるマッチョ達を見るに正直こいつら女だ男だ関係ないんじゃないか? 疑惑が持ち上がる。でも男性の被害者がいないからそういうことだろうな。
「お嬢さ……嬢……いいや違うな、貴様何者だ!?」
「俺か? 筋肉至上主義にして名誉マッチョ・ネットワーク……それが俺だ! 覚えときな! チキンレッグ野郎は漢の風上にも置けねぇ!」
 問われれば答えるが世の情け。竜は動揺を隠せないマッチョに堂々と名乗ると、邪魔な女装を脱ぎ捨てパンツ……否、褌一枚の姿へと変貌した。ソイヤッ!
 マッチョは若干狼狽える様子を見せたが、即座に状況を理解し腰を落とすと、ゆっくりと状態を揺すり間合いを取る。竜もそれに応じるように身構えると、上体を起こしたまま間合いを詰めた。相手はチキンレッグといえど筋肉盛りだ! 組み合いは無謀……と、思われたが。
 互いが動き出すや否や、竜は思い切り体を沈めて低空タックルを敢行した。マッチョは一瞬の反応の遅れこそあれ、鍛えた上半身でタックルを潰しにかかる。
「ぐっ、ぬぅ……!!」
「ヒャッ……ハー……!」
 低空タックルは受け手の反射が速く、上から抑えられた場合は潰される場合が多い。上半身を鍛え上げたマッチョであればその圧はより重く、胴ごと地面に叩きつけられグラウンドに持ち込まれる懸念があった。だが、ちょっと待ってほしい。
 相手はチキンレッグである。潰しにかかる圧力と抗い前進する力、双方の押し合いを支えるのは足。つまり。
「そのひ弱な足じゃあ俺は止められねえぜ! ソイヤァ!」
「んなっ……」
 押す力ひとつとっても、竜が相手に劣る要素など何一つなかったのだ。相手を押し込み、勢いで足首を掴んだ彼は即座に体を投げ出すように捻った。回転を伴って横っ飛びに飛んだ両者は、マッチョを下にして地面に激突する。
「お前も褌姿にしてやるよォ!」
 気合の入ったキメ台詞とともに掲げられたパンツにより、勝敗は決したのであった。

(状況は分かる。やるべき事も分かる。だが意味が分からねえ……)
「お嬢さん、お急ぎですか? 随分と鍛え込んでいる様子ですが……」
 『スクワットの教科書』亘理 義弘(p3p000398) は、目の前に現れたマッチョを死んだ魚の目で見ながら理解が追い付かなかった。彼をお嬢さん呼ばわりするだけあって(?)、マッチョの上半身の筋肉はすさまじいものがある。上半身は。上半身、だけは。
「お前がマッチョってやつか。ツラ貸してもらうぜ」
「なっ、貴様まさか男か?! なぜこんなことを」
「どうでもいいじゃねえかそんな話は」
 義弘は戸惑うマッチョの首根を掴んで引きずり倒すと、立ち上がる間も与えず殴りつけた。……固い。なるほど、上半身の練度は簡単には潰せそうにない。
 義弘の拳でさえこれなのだから、真っ当に戦えばどれほど苦戦するかは目に見えていた。だからこそ燃えるというのは、確かにあるのだろうが。
「貴様の力は理解した。正面切って戦う危険性もだ。だが、だからといって無視するわけにはいかん!」
「度胸だけは一丁前じゃねえか」
 立ち上がったマッチョに義弘の八岐大蛇が叩き込まれる。足の踏ん張りが弱いので尻もちをつくが、跳ね起きるスピードはかなり速い。八岐大蛇を受けながら義弘に掴み掛かったマッチョはしかし、次の瞬間に宙に浮いていた。
 悲鳴。
 哀れな男のそれは一瞬のあとにうめき声に代わり、それから追撃にくる義弘の迫力に再び悲鳴が上がる。
 なまじ鍛えているだけに終わりが遠い。
 なまじ下半身が弱いだけに、立ち上がるまでの恐怖が長い。
 結果として、その夜妖は義弘に延々ぶちのめされる地獄が確定したのであった。
 結果論とはいえ、男に狙いをつけた末路がこれである。

●じゃあ女性ならいいかっていうと碌なケースがいねえ
「お嬢GYAAAAAAAAAAAAAAAA」
「ああ、燃え上がるのはあっさりとしてるのに苦しみ方は生き汚い……やはり本物は素敵なのですね……!」
 目の前で燃え上がるマッチョを眺め、恍惚とした顔をしているのは『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)。彼女はアレな男ソレな相手と引っかかったり失恋したりを繰り返した末に一人の筋肉とお付き合いを始めた。えっ婚約? そ、そっか。頑張ってね。
 とりあえずそんなノリで婚約したはいいもののマッチョはそこまで好みではないらしい。じゃあ何に惚れたんだろう。人間性とか? 寧ろ多分優しくされたから惚れたんだろうなって感じする。
 でも好きな相手はすべてを受け容れたいエルシアは、マッチョへの愛を深めるために丁度カフェ・ローレットで聞きつけたこの依頼に参加したというわけだ。
 なぜって? 哀れに燃え上がる筋肉達磨の姿を見ることで、夜妖の筋肉は所詮ロクデナシの無力な肉塊であり婚約者の筋肉は本物の、燃えることのない力の象徴であると理解できると信じたのだ。
 実際、現れるや否や足元から炸裂した火線によって足回りを一瞬で炭化させられたマッチョは哀れ上半身を残しながらの罵詈雑言を吐き出すが、声に力がない。そもそも腹部に火が回って腹式呼吸どころの話ではない。
「あの人の筋肉に比べれば、すぐに燃え尽きた足回りで姑息に逃げ回ろうとしたこの筋肉は貧弱そのもの、マッチョの片隅にも置けません! 上半身だけになった姿なんてとても見苦しくって素敵です! できることなら、そのまま恨みつらみを撒き散らしながら灰になってくれるととても助かります!」
「AAAAARGHHHHHHHHHH」
「これくらいでは燃え尽きないであろうあの人を思うと……! もっと燃えてください! もっと!!」
 これが夜妖じゃなかったらマジで事案だよ。

「お嬢さん……タクシーなどご入用では……?」
「私を運ぶ? 足に筋肉つけてから出直してきて!」
「Oh...」
 『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)はマッチョを見て、「そういえばこんな奴いるって聞いたな」と思い出した。だが全く驚かないどころかハエを払いのけるように手を振るあたりマジで興味がないのがわかる。
「こうなったら意地でも目的地まで運んで差し上げる!」
「要らないってば!」
 FIGHT!
 やけに野太い合図に合わせ、フォルトゥナリアはマッチョの視界から消えた。否、しゃがんだのだ。体を前に投げ出すとかは出来るがスクワットが出来ないマッチョ、足に響く鈍痛に呻く。
「しゃがんでキック! 下段のガードと踏み込みが甘いよ!」
「痛ッ――」
 しゃがみ弱Kのハメ技じみた蹴りを受け、相手はほぼ棒立ちのままに苦鳴をあげる。腰を据えて耐えようとするが、そもそも不釣り合いの上半身を支えるので手一杯の足腰に自由度など余り存在しない。フォルトゥナリアは堅実なので、激しい蹴りなど使わない。着実に削りに徹する。そしてその成果はすぐに。
「そして……とどめ!」
「うおっ眩しっ!?」
 下を見つつ必死に耐え、反撃のタイミングを伺っていた時に光を浴び、マッチョ悶絶。そこから打ち上げるような動きで破邪の鉄槌を叩き込むさまは、待ち、いや誘い蹴りみたいな鋭さがあった。
 YOU WIN!!
「パーフェクト……」
 そんなつぶやきが彼女から漏れるのも無理もない。

「いかんな……雨が強くなってきた、急いで帰らねば……む?」
 『彷徨いの巫』フィノアーシェ・M・ミラージュ(p3p010036)はカジュアルな服装に身を纏い、先を急いでいた。春らしい服装にまとめたその姿にか、急ぐ気配につられてか。彼女の前に、半裸のマッチョがダブルバイセップスの姿勢で現れた。乗れとでもいわんばかりに。
「お嬢さん――」
「君は夜妖だな? 夜妖だ、そうに違いない。そんなバランスの悪いマッチョが夜妖以外であるものか!」
「えっ、あっはい」
 フィノアーシェは噂を知らない。だがこいつは仕留めねばと心に決めた。鋭く体を沈め(スカートが濡れそうになったが回避し)その鍛え足りない足を蹴り込む。体を捻り、足を振るうごとにチラチラと見える生足が明らかに青少年のなんかに良くないのだが、マッチョには関係ない。
 なんなれば上半身も健全な育成によろしくない揺れ方をしているがマッチョには(略)。
「足腰が貧弱すぎる! 鍛え方があまりに足りん!」
 足腰が弱く、彼女の蹴りで這う這うの体になったマッチョは思わず撤退を選ぶが、踏み出した足はしゃがみKの乱舞でボロボロだ。逃げられるわけがない。
「砕け散れ――!」
「ヒィー!! おかーさっ」
 果たして、夜妖にいるかもわからない母への命乞いを終えるより早く、フィノアーシェの蹴りはマッチョの首を刈り取った。これが夜妖じゃなかったらマジで事案だよ(2回目)。

「行列の出来る料理店に行く時間が出来たんです、今度こそは、絶対に……!」
 『シャファクの友だち』ハンナ・シャロン(p3p007137)は先を急いでいた。ランチ、しかも行列の店。ここで遅れたり粗相を働こうものならたちまち行列が牙を剥くだろう。だから迷惑にならない程度に走っ
「お嬢様、お運びいたしましょうか?」
 ……っていたところで現れるマッチョ。明らかにおちょくっているようにしか見えない。
「運ぶと言われましてもそんな大腿筋で走れるわけがありません! さては偽物ですね!!」
「むぅ、偽物呼ばわりとはまこと遺憾! 増上慢! その思い上がりを断ち切ってくれるわ!」
 さっきまで運ぼうとしていた相手に突如豹変して敵対的姿勢を露わにするマッチョとか怖すぎるのだが、手を差し伸べたら偽物扱いを受ける不快感を思えばそりゃあ、まあ。
 とは、いえ。
 怒りに身を任せて向かっていったマッチョはハンナの一喝で吹き飛ばされ、着地に失敗して足を捻る。生まれたての小鹿のように立ち上がろうとしたその顔に腹にそして股間に、邪道の剣を模した三連撃が叩き込まれた。股間を抑えてうずくまり、上半身の圧で立ち上がれなくなったマッチョの顔目掛けてトドメの一撃が振るわれる……!
「ま、まだ時間に余裕はありますね! すみませんが偽物に手を焼いてる暇はありません! 失礼します!」
 頭を下げて駆け出したハンナの背後では、徐々に消えていくマッチョの姿があったという……。

 『ハイテンションガール』郷田 京(p3p009529)は走っていた。何にせかされるというわけでもないが、それが身に沁みついているから走っている……そんな感じだ。だがそんな彼女の前に現れたマッチョは、彼女が急いでいると理解し声をかけてきたのだ。
「お嬢さん、ちょっ――」
「変態!」
 然るに、京にとってはただの変態。彼女じゃなくても変態だが、反射的に放たれたローは足首から下を粉砕骨折させ、二発目はあろうことか大腿骨を粉砕。地面に悶絶し、溶けるように消えていった。いきなり半裸で言い寄られ、しかも一瞬で消える奇怪さ、不快感は察するに余りある。
「いけないなお嬢さん。急ぐのなら私が」
「変態!!」
「そう話を無碍にするものでは」
「変態!」 
 次々と現れるマッチョは、しかし数発の蹴りで再起不能になり顔面キックで消えていく。彼等は勘違いをしている。急いでいるなら助けを借りるというのは勘違い、思い上がりの産物だ。急ぐからこそ疾走(はし)る。自らへの信頼あってこその走りなのである。それを邪魔してなおかつ自分よりも弱い相手に頼るだなんて有り得ない。
(半裸で話しかけてきたから思わず蹴り倒しちゃったけど、なんだったのかしら、この変態ども……?)
 話しかけただけで蹴り倒される彼らの不幸も不幸なのだが、いきなり半裸男性に近寄られた京の不幸も一考の余地がある気はする。
「まあ、いっか! 消えちゃったから問題ないよね!」
 そして一瞬のうちに施行を切り替える柔軟さもまた、京なりの良いところなのだと思う。

「いっけなーい! 遅刻遅刻!」
 少女の名前は『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)。希望ヶ浜学園のいち学生だ。新学期も始まり、今年もまた期待と不安に胸を膨らませ(物理)、しかし早速の遅刻の気配に慌てていた。
 上下左右に揺れる胸のサイズは明らかに常人のそれではないが、まあ彼女なら有り得る。
「お嬢さん、急いでるようだね……乗っていくかい?」
「あっ! なんだか知らないけど明らかに人の営みからかけ離れた頭弱そうな造形! 夜妖だね、そうに違いない!」
「言うじゃないか……」
 焦る気配と雨の音に誘われ現れたマッチョは、すかさずモカに近づいてくる。が、あからさまな造形の相手にまともに取り合う余裕は今の彼女にはなかった。ド直球の罵倒に苛立つ姿を見て、滑りこむように膝を曲げ蹴りを放つ。当然だが上下運動で胸が揺れる。水面蹴りの左右運動でも揺れる。そしてしゃがむのと立ち上がろうとする際にはためくスカート。世が世であれば規制対象だ。
「まともに相手するのも面倒だし。急いでるし。このまま蹴り倒しても問題ないよね?」
「冗談を! この程度で(ガッ)倒されるような(ガッ)鍛え方(ガッ)ギャアアアアア……」
 マッチョは強がりを口にしたが、モカの執拗な蹴りの前に無事でいられるわけがない。何度目かの蹴りを受けたマッチョは、哀れ近くの橋桁から真っすぐ落下! 着水頸椎骨折死!
 斯くして希望ヶ浜に現れた不届きマッチョは全滅の憂き目にあったわけである。成敗!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 いっけなーい! 地獄地獄!

 まんべんなく地獄!

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