PandoraPartyProject

シナリオ詳細

止まらぬ凶弾

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●天義の表面
 黄金と白で統一された教会の修義室。
 白い円卓に腰掛けたのは、あなたを含めたイレギュラーズと――覆面を被った一人の男であった。
 その背後には同一の覆面を被った者たちがまるで人形のように整列している。
 正面の男は自らを、『異端審問官』スナーフと名乗った。
「ローレットの諸君らに依頼する。
 内容は異教徒の撲滅である。
 邪神をあがめる赤翼教団のアジトを発見している。
 ただちにこの場に向かい、神に背く全ての不正義に、神に代わり死の裁きを下すのだ。
 異教は死によって解かれ、死によって説かれる。
 神のお導きがあらんことを」
 一冊の資料をテーブルに滑らせ、一息に述べる。
 呼吸をおいたその隙間に、なぜ殺さねばならないのかと誰かが述べた。
 整列していた覆面の者たちが血走った目でその人物をにらみ、者によっては腰の剣にてをかけすらしたが、スナーフが片手を翳すことで彼らは整列姿勢へと戻った。
「詮索と介入はしてくれるな。
 諸君らは神に愛されし子らである。
 魔種を滅ぼした正義なる者たちである。
 導きのまま、裁きを下せ。
 ――以上だ」
 重く、そしてよく響く声でそう述べて、スナーフは翳した手を返した。
 整列した者たちが、まるでそうプログラムされた機械のように部屋を出て行く。
 スナーフもまた出て行くのかと思いきや、彼は椅子にこしかけたままだった。
 沈黙が、数秒ほどと続いた。

●天義の内面
「楽にしてくれ。高圧的な態度をとってすまなかった」
 スナーフは覆面をぬぎ、痛ましい顔を露わにする。一度見れば忘れぬような、傷だらけの顔であった。
 深く息をついて、スナーフは一転落ち着いた、柔らかい声で語り始める。
「依頼内容を整理しよう。
 赤翼教団とは、昨今我々が追っている犯罪組織だ。
 この『犯罪』は君たちの定義でいうそれだと受け取ってくれ。
 彼らは民間人を幾度も誘拐し、それを儀式と称して殺害している。
 彼らは秘密裏に活動し、正教会の中に紛れじわじわと信者を増やしている。このまま彼らの存在が世間に露呈すれば疑心暗鬼が広まり、町はパニックになるだろう。
 隣人同士が殺し合いを始めたり、家族が崩壊したり、偽りの疑惑で権力者が暗殺されたりと……思いつく被害は無限だ。
 よってこれを異端審問であるとして秘密裏に追い、そしてアジトを掴んだ。
 君たちに『本当に依頼する内容』は、教団幹部七名の殺害だ。
 彼らは恐らく魔種に接触し『原罪の呼び声』をうけた狂人だろう。
 彼らを元に戻すことは不可能だ。少なくともネメシスの過激な環境下ではな。
 だからこれを『最小限の破壊』であると考えて欲しい。
 逆に、赤翼教団に傾倒した他の信者たちは回復の見込みがあると考えている。
 彼らをできる限り傷付けることなく、最小限の破壊を遂行するようにしてくれ。
 遂行後のことは私が処理する。彼らは人目につかぬ施設に保護し、教団による痛ましい洗脳をゆっくりと解いていくつもりだ」
 スナーフはそこまで話すと、しまった扉を振り返った。
「扉の先で待つ彼らに任せた場合、おそらく教団に傾倒した全てを異教徒であるとして抹殺してしまうだろう。全ての民に『異教徒がなぜ悪いか』を完全に理解させることは不可能に近いからな。
 だがそれではあまりに無慈悲だ。
 赤翼教団は教会の庇護が届きづらい貧困街で発生したカルト宗教で、破滅主義を掲げている。
 貧しさや家族の死別や大きな失敗。人は人生に挫折し死を願うことがあるが、死ぬことができぬために世界の破滅を願ってしまうこともある。
 赤翼教団の幹部たちはそういった者たちを見つけては破滅の教義を説き、破滅した世界で生き残ち富と権力を欲しいままにできるという幻想に堕としている。
 彼らもまた弱者であり、本来我々が救うべき民なのだ」
 そこまで説明をしてから、スナーフは再び覆面を被って立ち上がった。
「教団幹部の抹殺以外はあくまで『お願い』だ。義憤にかられ彼らを殺してしまったとて、きっと誰も責めまいよ」

GMコメント

【依頼内容】
・成功条件:教団幹部七名の抹殺
・オプション:幹部以外の生存

【作戦概要】
 赤翼教団の幹部のうち今回リストに入っている人間は七名。
 その七名がアジトに潜伏し集会を開いています。
 この場へ突入し、戦闘を行ないましょう。

●幹部の戦闘力
 おおよそのところまで分かっている幹部の戦闘力は以下の通り。
・クラス情報 異界接続者が2名、ダークナイトが3名、ホワイトオデットが2名
・戦闘力はPC側と拮抗する程度。準備して当たれる分PC側のほうが有利になれる。
・教団の幹部および信者がアジト外に逃走する心配はしなくてよい(スナーフがなにかしら手を打っている模様)

●信者たちの妨害
 集会に集まっている信者は傾倒の浅いライトな信者たちですが、かなりの集団心理が働いてPCたちを自分たちを不幸にする悪魔かなにかだと思い込んでいます。
 そのため、戦闘中に信者たちは様々な妨害を行なう筈です。

 これらは『PCの周囲にいる信者たちの妨害』として一括で扱われます。
 放置すればすべての効果が発生しますが、何かしらの対応をとったなら効果が減少ないしは一部消滅します。
 ちなみに完璧に消滅させる方法は『周りの信者を殺しまくる』です。
 妨害の種類と効果は以下の通り。

・幹部を庇おうとする:命中-20
・PCに掴みかかる:回避-20
・PCにしがみつく:機動力-2
・PCに攻撃する:毎ターン小ダメージ
・決死の行動:ファンブル+20

●アジトの広さ
 40~60名の信者が集まって邪神像への祈りを捧げる隠し地下ホールです。
 侵入手段は既に確保しているので、その部分のプレイングは必要ないものとします。
 ホールは広く天井も高いらしく、通常ではレンジ4までの攻撃が可能です。ただし逃げ回ったり引き打ちをしたりといった動き方は難しいでしょう。

【オマケ解説】
・スナーフ神父
 異端審問官として多くの部下を束ねる立場の人間。
 ネメシスの外に逃げた異教徒への対策をとるべく他国と交渉する役目を負うことも多い。
 そのためローレットとも深く面識があり、PL基準でいう常識人サイド。
 昨今は天義内でも必要最低限の破壊で済ませられる案件を『不正義討伐の助力』としてローレットへと依頼している。

・赤翼教団
 謎の多いカルト宗教団体。魔種が関係しているんだろうなあという漠然とした情報しかなく、その証拠に教団幹部は大体魔の狂気に犯されている。
 今回はライトな信者を集めて徐々に傾倒させていくための集会を行なっている。残酷な儀式はもっとディープな信者たちのものなので、拉致被害者等々の心配はいらない。
 余談になるが、今回殺害対象とされている幹部たちは『情報源にならない』とみられている。逆に情報源になりそうな幹部はちゃっかり捕らえて情報をしぼっているので心配はいらないらしい。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • 止まらぬ凶弾完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年10月04日 21時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
夢への一歩
マリア(p3p001199)
悪辣なる癒し手
ラデリ・マグノリア(p3p001706)
再び描き出す物語
シラス(p3p004421)
侵略者 ミドゥス(p3p004489)
宇宙の果てから
天之空・ミーナ(p3p005003)
蒼穹の戦神
ピット(p3p006439)
砂塵の中の狙撃手
ニミッツ・フォレスタル・ミッドウェー(p3p006564)
ウミウシメンタル

リプレイ

●泣いてる君に伸ばされた手は見返りを求めてる
 黒い虫が舗装された道路を横切っていく。
 放置された生ゴミの臭いとどこか遠くであがる黒い煙。
 光さす裏に影ができるように、信心深き天義の町とて暗部は存在する。
 ここはその暗部にあたる場所だった。
「一般人を誘拐して人殺しが正当化されるなんて、間違ってる。彼らなりの救済なのかもしれないですが、やっぱり間違ってます。私たちが止めないと!」
 『愛の吸血鬼』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)は強い義務感をにおわせながら道を行く。
 ふと見た窓にカーテンがかかる。
 かと思えば、別の家ではドアの鍵がロックされる音がする。
 住民たちの露骨な警戒心が何に対するものであるかは、『小さな雷光』ピット(p3p006439)もうすうす察することが出来た。
(赤翼教団って前に潜入したあの変な教団だろー? ほっとくとまたなんか気持ち悪い事しそうなんだよなー。うん、やっぱぶっ倒すに限るよな!)
 共感をしてか、『ウミウシメンタル』ニミッツ・フォレスタル・ミッドウェー(p3p006564)が小さく深く、そして重く息をついた。
「信仰って、怖いね……。でも、根は悪い、人じゃないと、信じたいな。出来れば、死んでほしく、ないけど……」
 否定も肯定もしない顔でそちらを見やる『プリティ★まじっくないと』天之空・ミーナ(p3p005003)。
(ほんっと宗教問題は面倒だから関わり合いたくねーんだがねぇ。神なんて信じてねーし。死神になった人間が言っても説得力ねーか)
「ま、仕事は仕事だ。きっちりやるさ」
 混沌は神のある世界。
 されど神がしたことといえば力の制限と抑制だけだという。
 そんな世界だからだろうか、神や宗教という言葉と欺瞞を深く結びつけてしまう風潮が、ミーナたちの間には蔓延しているようだった。
 すべての人がそうであるとは言えないが、ネメシスの人々の多くも神のなんたるかや宗教の意味を理解して暮らしてはいないだろう。電子レンジの構造を知らなくても使っていけるようなもので、完成され普及した精神衛生システムを深く理解するものは多くない。
「スナーフ神父様……天義の方にしては穏やかというかー、好感を持てる方でしたのー」
 『悪辣なる癒し手』マリア(p3p001199)が話題を変えるようにそんなことを言った。彼は電子レンジのたとえで言えば構造を知っている人間だった。
 知らぬ者は生卵を電子レンジで爆発させてしまうものだが、その理由を噛み砕いて説明できる部類の人間である。
「彼の為にも、犠牲は出来る限り最小限に抑えるよう尽力いたしましょうー」

 ネメシス正教会に偽装した赤翼教団の秘密集会場には、隠れた階段が存在する。
 見張りを黙らせた後で、『宇宙の果てから』侵略者 ミドゥス(p3p004489)は予め教わった隠し通路への扉を開いた。
「宇宙的大虐殺せえへんのかあ。楽しいのになあ。まあ郷に入っては従ったるわ。できるとこまでな!」
「まだこちらの声が届くものがいるなら、それは救おう。すがりつくモノを間違えたんだろうと、寛容に赦す者がいるなら」
 薄暗い通路に目を細める『ポイズンキラー』ラデリ・マグノリア(p3p001706)。
「声の届かぬ者には、情けもかけずに殺そう。破滅の教示は魔種に通ずる、その芽を生やす道理はない。種は噛み砕いて、実や葉は全て喰い千切ってやる」
「厄介だね。全部殺せって言われた方がずっと楽なのにさ」
 免罪符をぱたぱたと振ってみる『特異運命座標』シラス(p3p004421)。邪教の徒にとってこれほど意味の無い物体もないだろう。
「でもお偉いさんの頼みだから上手くやって信用を得たいし……」
 そういってシラスは決闘用不殺術式を自らに施した。
 通路を進み、階段を下ってゆく。

●自分で掘った悲劇の穴に足を滑らせて
 階段を進むユーリエ。強く手を握り、この先で行なわれていることを想像した。
(煙幕は用意できなかったな。せめて『のろし』を大量に持参していれば代わりにできたかもしれないけど……むしろ持ってこなくてよかったのかも。即効性に難があるし、仮に行動を著しく阻害できたとしたら出口側にあたる私たちにまず影響がでるし。屋内かつ地下もんね……)
 ユーリエを後ろに下げるようにして、扉の前に立つシラス。
 入り口を見張っていた信者らしき人間が怪訝そうにこちらを見ていたので、シラスは小さく首を振ってから蛍火の術を発動させた。
 爆発によって吹き飛ぶ信者と扉。
 慌てて振り返る集会中の信者たちとその幹部。
「我々の任は人殺しの大罪人である赤翼教団幹部の誅滅のみ。どうか立ち去ってください」
 シラスの発言に対抗したのは赤翼教団の幹部たちだった。
 大きな失敗や喪失によって世界の破滅や新世界でのリトライを願う人々。その中でもおぞましい鮮血の儀式を行なうほどではない信者たちの目。
「ネメシス教会の人間です! 我々を邪魔しにきたのです!」
 集団の心を既に掴んでいるのだろう。扇動された人々はスイッチを押されたかのようにシラスたちを追い出そうと試みた。
 か弱い民間人に出来ることなど何があろうか。
 まして、今のシラスを止められる者など。
「もう一度言おう、去れ!」
 シラスの放ったライトニングの魔法が信者たちを次々に薙ぎ払う。不殺の術がかかっているせいで命をとりはしないが、あまりに圧倒的な暴力に信者たちは恐怖した。
「教会の認識では諸君らはまだ被害者だ。この場を去る者には信徒として身の安全と魂の救済が約束されるぞ」
「信じるな! 奴らは皆を騙そうとしている!」
 さらなる扇動を続けようとする幹部のひとりにミーナが飛びかかった。
 文字通り天井近くまでふわりと浮遊すると、真上から魔砲を放った。
「悪いな。面倒事は嫌いなんで一気に行くぜ!」
 攻撃に晒されて扇動の手が弱まる幹部たち。
 一方で信者たちの反応は様々だった。
 真っ先に攻撃してきたシラスやミーナに恐怖して逃げ出す者が少数。お願いやめてと泣いて縋り付こうとする者が大半。幹部を守ろうと立ち塞がる者が少数。友人や家族が攻撃に晒されたためか怒り狂って攻撃を仕掛けてくる者がごく少数といった具合だ。
「死にたくなければ動くんじゃねーぞ! 手加減はできねーからな!」
 ピットはSADボマーを放り投げると、集会の中心でもある壇を爆破した。 
 破壊されて飛び散る破片。後ろに設置されていた赤い翼の像が砕け、信者たちの方へ倒れていく。
 転倒し砕ける像を横目に、信者たちの怒りがヒートアップするのを感じたミドゥスはあえてニヤリと笑った。
「事故って死んでもしらんで。ほな、誰からいくかな――っと!」
 倒れた像と壇を飛び越えて、ミドゥスは杖をもつ幹部へと殴りかかった。
 横から切りかかってくる黒い鎧の幹部。
 咄嗟に身を転じて防御。斬撃は抑えたものの衝撃そのものは殺しきれなかったようで、ミドゥスは派手に吹き飛ばされた。
 似たような鎧を纏った黒い騎士が襲いかかってくる。
「くそっ、邪魔やあいつら!」
「『半分』は任せて!」
 ユーリエは黒騎士二人をまとめて相手取ると、強化外骨格の腕で剣を二本受け止めた。
「ミドゥスさんをおねがい!」
「背中は任せてくださいませー……!」
 マリアは言われたようにミドゥスを後ろから引っ張ると、彼にハイ・ヒールの魔法を施した。
 祈るように手を翳し、後光がさすかのように広がった光の陣に意識を集中させる。
 そんなマリアやミドゥス、そしてユーリエたちに信者たちが飛びかかり、押さえ込もうと殺到した。回復や攻撃といった様々な行動が泥の中を進むかのようにままならない。
「あーもーめちゃくちゃや!」
 ミドゥスが殺さないようにと手をばたばたさせながら押しのける。その一方でマリアは周囲に呼びかけた。
「貴方達は破滅した世界で何を手に入れるおつもりなんですのー……!? 手に入るのは、生き残ったお互いとの争いのみ、そして今現在貴方達の上にいる教団の彼らに全てを奪われてしまうんですのー……! それでいいんですのー……!?」
 今信者たちを動かしているのは集団心理。義務感や義憤、もしくは一時的に与えられたかりそめの救いを奪われたことに対する拒絶であった。
 マリアたちは呼びかけることでそのカウンターを試みたのだ。
 突き進むラデリ。
「破滅の世界に生き残る幻想を抱くか、愚か者ども」
 腕や足にしがみつき、次々に飛びかかってくる信者に押し倒されるも、威嚇術を放って吹き飛ばした。
「破壊の限りを尽くした地に、名声や富など残るものか。破滅が諸君らにもたらすのは、諸君らの死と屍にまみれた焦土だけだ」
 対抗するように叫ぶ幹部。
「騙されるな、奴らは我々を不幸にするべくやってきたのだ!」
「目を覚ませ天義の民よ、魔の誘いを断ち切るのだ!」
「考え直して……」
 ニミッツはラデリに混ざってそんな風に呼びかけながら、衝撃の青で教団幹部を攻撃し始めた。
(信仰してる人に対しては、厳しいのかな。多分、聞いてくれないだろうね……)
 ニミッツは早い内に説得を諦め、飛びかかる信者たちの中でもがきながら戦いを続けた。

●本当の救いは悲劇と同じ姿をしていた
 泥の沼に沈むようだった。
 信者たちは狂乱し、いよいよ暴徒と化し始めた。
 意味の分からないことをわめきながら殴りつけたり、武器を奪い取ろうと掴みかかったり、泣きながらやめてとすがりついたり。ついには幹部を庇ったり武器をとって攻撃してきたりという信者まで現われ始めた。
 シラスが多くの信者を積極的に行動不能にしてくれたおかげで数は減ったが、激化した信者を黙らせる手段をあまり用意していなかった。気合いの勝負である。
「地位であれ名誉であれ宝物であれー……それは他人がいなければ手に入らない物ですのー……! 得たい物を自ら壊してどうするのですのー……!?」
 必死に呼びかけながらハイ・ヒールで味方を回復するマリア。
 彼女たちの狙いは教団幹部の中で回復を得意とするであろうホワイトオデットたちだ。相手も同じような考えに至ったようで、マリアを最優先の標的とした。
 こちらとの違いは、異界接続者たちも含めて回復能力が高いことだ。攻め方は無限にあるが、イレギュラーズたちは回復手を減らして追い詰めていく方法を選んだようだ。
 一方イレギュラーズ側の強みは頭数の多さだが、信者たちがそれを埋める材料として存在していた。最悪行動そのものを失敗させる要因となるが、黙らせたり逆にこちらの味方につけたりできれば大いなる有利を得ることができるだろう。シラスのようにいっそ全員行動不能にしてしまうのも手である。彼は殺す心配がない分かなり行動に自由が効いた。
 ラデリがハイ・ヒールで自分を回復しながら血を吐いた。
 同じく回復を施して粘ろうとするホワイトオデットの幹部へロベリアの花を放つラデリ。
 幹部を庇おうとする信者やラデリに掴みかかってくる信者がひどく邪魔だったが、それを無理矢理振り払う形でホワイトオデットにトドメをさしていく。
「俺はその呼び声を決して許さない」
 直後、身の丈2メートルほどの真っ赤な巨人が現われた。召喚された怪物だろう。ラデリの首が掴まれつり上げられていく。
「オラァ! 大宇宙キック!」
 ミドゥスのドロップキックが巨人を突き抜け異界接続者に突き刺さる。
 ダークナイトの剣が振り上がるが、ニミッツが保護するようにライトヒールの魔術を行使した。
「この人たち、必死だ……」
「はよ終わらせた方が被害も減るやろ。お互いにな」
 数の減り方は一進一退。
 教団幹部とイレギュラーズはそれぞれの頭数を減らしながらめりめりと削りあっていった。
 ピットが部屋を走りながらレールガンを撃ち続ける。
 途中で足にしがみついてきた信者に転倒。真っ赤な巨人に殴りつけられるも歯を食いしばってガード。
「こんにゃろー! 気持ち悪い儀式とかやってるくせしやがって!」
 壁に頭をぶつけつつも、ピットは相手の異界接続者を撃ち続けた。
「いいか、私らを邪魔するんじゃねぇぞ!」
 ナッシングネスや魔力撃で相手を追い詰めていくミーナ。しがみついたり押し倒そうとする信者を風纏いの刻印による浮遊で逃れようとしたが、ミーナがよく持っていた優秀な飛行能力ほどのパワーが得られずに引きずり下ろされてしまう。仕方ないのでミーナは信者たちを蹴りつけて無理に振り払った。
 ユーリエが掴みかかる信者に呼びかける。
「私の家族はあいつらに殺されたの! ここで止めないと皆だけじゃなくてその家族や友達も手遅れになっちゃうから! だから……!」
 飛びかかってくるダークナイト。
 ユーリエは対抗して外骨格で殴りつけるが、相手の頭部を破壊するのとユーリエの胸を剣が貫くのは同時だった。
 よろめき、膝を突くユーリエ。
 信者たちは場の惨状に混乱する者が大半になっていた。
 イレギュラーズたちは酷い怪我を負ったが、一方で教団幹部たちは最後の一人になるまで殺されている。
 負ったダメージは教団側の方が大きい……というより、絶大であった。

 シラスはそんな風景を見回してから、小さく肩をすくめた。
 場はひどく静かだった。
 信者たちは倒れるか逃げるか耳を塞いでうずくまるかしている。残る信者もシラス個人に対する抵抗がほぼ無意味だと分かったのか、これ以上手を出してはこなかった。
 仲間たちの多くは撤退し、スナーフとその部下に保護されている頃だろう。
 逃げ出した信者たちもなにかしらの形でキャッチされているはずだ。
 それよりも、部屋のあちこちに転がる教団幹部の死体が目に付いた。
「どうする? まだやりたいか?」
 頭から血を流し、剣を杖のようにして立つダークナイト。
 教団幹部は残すところ彼一人だけだ。
「新世界のために死ね、邪教徒!」
「おい」
 剣を構えて突撃してくるダークナイトを、シラスは魔力を込めたハイキックで蹴り倒した。
「怒る相手が違えよ」
 ダークナイトが動かなくなったのを確認すると、シラスはフードを被りなおし、崩れた像に背を向けた。
「あーあ、厄介な仕事だったぜ」

 この一件で赤翼教団の地下集会場は封鎖され、新たな勧誘活動やそのスタッフたちが検挙された。
 保護された信者たちは植え付けられた終末思想を解くべく長い療養と精神治療が施されることとなる。そしてやがてはここと遠く離れた町へと移り住むのだろう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete
 ――good end

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