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シナリオ詳細

ばーすと・ざ・ろっく

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 『覇竜領域デザストル』。
 凶悪な魔物や亜竜の生息地域であるこの地は非常に危険であり、危険なあまり誰も立ち入ることがなかった。
 しかし、ローレットイレギュラーズが覇竜へと至り、いくつかの事件を解決しており、その印象は少しずつ払拭されつつある。
 現に、覇竜に商機を見出し、覇竜へと向かう行商人が増えてきている。
 
 勘違いすべきでないのは、ここに生息する生物の危険度が変わったわけではないということ。
 傭兵など護衛を雇って交易所を目指そうとするも、亜竜の爪に、または魔物の毒牙によって重傷を負い、命からがらラサ方面へと逃げ帰ったという話も……。
 そんな中、比較的外敵による襲撃が少ない交易路を、イレギュラーズや『パサジールルメスの少女』リヴィエール・ルメス(p3n000038)らパサジール・ルメスが主となって開拓を進めている。
 先日は第1中継地点から先にある崖を馬車で上り下り可能な昇降機を建造し、その稼働に問題がないことも確認した。
「今は先に進むのみっすね!」
 鼻息荒く語るリヴィエール。
 交易路開拓がここまで順調に来ていることもあることに加え、亜竜種達が他地方の食べ物や日用品などにも興味を示しており、交易自体にも手ごたえを感じていることが大きい。
「この一大事業……なんとしても完遂したいです」
 ユーフォニー(p3p010323)も交易路の開通には並々ならぬ意欲を示す。
 ――これは私がもちかけたこと。
 だからこそ、彼女も強い信念をもってこの場にいるのだ。
「昇降路から先は岩場が続くっすね」
 リヴィエールやイレギュラーズが事前に調べた情報によると、この地は岩場となっている。
 ウイングヒュドラやワイアームなど、翼竜が多く生息する地帯であるようだが、生息しているのはそれだけではなさそうだ。


 昇降機を超え、イレギュラーズ一行とパサジール・ルメスの一隊が進んだ先には、情報の通りいくつもの岩が屹立する岩場へと出る。
 フリアノンには前方へと進むが、一旦岩場の左手側にある第2中継地点シャウデを目指す。
「高い岩壁に遮られて、比較的安全な場所だと聞いているっす」
 まれに翼竜等が襲ってくることもあるそうだが、それくらいなら撃退できるとのこと。
 一行は岩の隙間を縫うように歩き、進んでいく。
 足場に相当不安があるが、通れないわけではない。
 順調に進み、もうシャウデが間近に見えてきたところで、大きな障害がメンバー達を襲う。
 ゴゴゴゴ、ゴゴゴゴゴゴ……。
 岩陰から続々と現れる小柄な魔物達。
 それらは体内に火薬を含む岩石生物ガンマインの群れだ。
 群れて攻撃してくるのも厄介な相手だが、特攻して自爆してくるのが恐ろしい。
 それがシャウデへと至る可能性もある。
 折角、交流しようとやってきた自分達によって、集落が攻撃されてしまう状況となるのは避けたい。
 これだけでも面倒な事態だが、覇竜の生物は輪をかけて戦火を広げようとしてくる。
 グワアアアアアアオオオオ……。
 岩を破壊して突っ込んでくる2体の亜竜クラッグザースだ。
 全身が硬い岩で覆われたその亜竜は体内に膨大な量の熱を溜め込んでいる。
 それをビームのように放ってくるのが脅威だが、この距離ではこちらもシャウデに届くことが予想される。
「うわわっ、まずいっす!」
 リヴィエールが危惧するように、パサジール・ルメスの民もまた戦闘の余波どころか、直接被害を受ける可能性すらある。戦場となる場所から離れるよう動くのみだ。
 それに、岩場が下手に崩れれば、交易路の開拓にも影響が出そうだ。
 できるだけ悪影響を残さないよう、外敵を撃退すべく、イレギュラーズは手早く作戦を練り始めるのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 覇竜交易シナリオ続編です。併せて、ユーフォニー(p3p010323)さんのアフターアクションも兼ねております。

●目的
 敵の殲滅。
 第2中継地点シャウデに被害を出さないこと。

●概要
 以前、建造した昇降機の先、岩場と接する集落シャウデと交易路をつなぎます。このシャウデを第2中継地点とします。
 ただ、道中の岩場には、岩の体を持つ魔物や亜竜が生息しております。
 それらが直接、あるいはそれらによる攻撃がシャウデへと向かわぬよう、かつ破壊せぬよう注意しながら戦う必要があります。

 なお、シャウデについては、『<真・覇竜侵食>亜竜を飲み込む蟻帝』、『戻らぬ弟子の影』。
 岩場については、『亜竜種少年の武者修行』を参照。
 いずれも読まずとも問題はありません。

●敵:亜竜&魔物×14体
 亜竜と魔物は別隊として行動しています。状況によっては共闘、あるいは敵対します。

〇亜竜:クラッグザース(岩亜竜)×2体
 全長6mほど。岩の体と膨らんだ腹を持つ亜竜です。
 体内に膨大な熱をため込み、熱線を発することができます。
 タックルや岩石投擲なども行い、場合によってはシャウデに至ることもあるでしょう。

〇魔物:ガンマイン×12体
 全長1~1.5m程度。体内に硝石、硫黄等を含む岩石生命体。
 体当たり、炎ブレスの他、特攻して自爆してくることも。

●NPC
◎リヴィエール・ルメス(&パサジール・ルメスの民)
 パサジール・ルメス所属。情報屋。
 第2中継地点、シャウデの民との交流用の交易品を積んだ馬車を率い、一隊(6名。リヴィエールと同世代の若い者達です)の一員として参加します。
 戦闘には参加せず、危険な状況に陥ったイレギュラーズを回収、救護してくれます。
 彼女達の馬車も攻撃対象となりますので、多少の指示だしは必要でしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • ばーすと・ざ・ろっく完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年04月20日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)
高貴な責務
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
鏡禍・A・水月(p3p008354)
夜鏡
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ファニー(p3p010255)
ユーフォニー(p3p010323)
誰かと手をつなぐための温度
紲 冥穣(p3p010472)
紲の魔女

リプレイ


 ラサから覇竜内へと延びる交易路。
 開拓は進み、その最先端は谷底から高台にまで進んでいる。
「道は悪いが、亜竜車なら多少の悪路は平気そうだな」
 現状、整備すらできていない自然の道。
 『絶海』ジョージ・キングマン(p3p007332)は亜竜車なら問題なく、メンバーと合わせて交易路整備用の材料を輸送、運搬できそうだと頷く。
「またこの交易路を繋げる活動に参加できて嬉しいです」
 今回の目的は第2中継地点となるシャウデなる集落まで伸ばすこととのことで、『君の盾』水月・鏡禍(p3p008354)は是非とも繋げたいと意欲をみせる。
 『雨宿りのこげねこメイド』クーア・M・サキュバス(p3p003529)は、今回の依頼を受けた地点では、失礼ながらも完全に未知の人外魔境という印象だったと語った。
「今や、人の積極的な往来が望まれるようにまでなったのですね。なかなか感慨深いのです」
「この交易路は必ず有益なものになるっす!」
「交易路の存在は経済を回す血管みたいなものよ。覇竜の民のためにも、ぜひとも繋いでいきたいわね」
 クーアの意見を受けてリヴィエールが力説すると、『高貴な責務』ルチア・アフラニア(p3p006865)も今後の覇竜の発展を考えて同意していた。

 ところが、そう簡単にいかぬのが覇竜という地。
「とはいえ、その。その近辺に二桁単位の自爆生物が闊歩しているというのは……」
 流石は覇竜とクーアは唸ってしまう。
 ゴゴゴゴ、ゴゴゴゴゴゴ……。
 岩陰から続々と現れる小柄な魔物ガンマインである。しかも、クーアが言うようにその数は10を超える。
「おーおー、厄介そうな敵じゃねぇか」
 体内に含む火薬を伴い、自爆特攻してくるなどと馬鹿なことを魔物でもやるんだなと、『愚者』ファニー(p3p010255)は感嘆する。
 グワアアアアアアオオオオ……。
 さらに、2体の亜竜クラッグザースが岩を破壊して突っ込んでくる。
「やはり、まだまだ覇竜領域の自然の脅威は避け得ないな」
 『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)はこれらの壮大な生態系と上手く折り合いをつけつつ、商人や亜竜種の為に交易路開拓を実現したいと改めて意気込む。
 ただ、それらの敵はこちらへと強烈な攻撃を仕掛けてくるだけでない。
 広域俯瞰していたファニーは敵の位置も把握し、相手の攻撃がファウデに及ぶ可能性がある事を察して。
「岩場にシャウデ、どっちも被害が出たら大変ね! 頑張って撃退させてもらいましょ」
 サヨナキドリの支店長であり、紲家の者でもある『紲の魔女』紲 冥穣(p3p010472)としては、見過ごせない事態だ。
「パサジール・ルメスの馬車は下がっていてほしい」
「わかったっす……!」
 ジョージが万一の場合は馬車を捨てるか、イレギュラーズを盾にしてほしいと伝えると、リヴィエールは了承して馬車を退かせる。
 そして、ジョージは自らの亜竜車と岩場を組み合わせ、陣地を構築してパサジール・ルメスの民を守る為のバリケードとする。
「なるべく危ない目にあってほしく無いわ」
 冥穣はリヴィエールらパサジール・ルメスの民を含め、仲間達の無事を思う。
 幸い、この辺りは頑丈な岩も多い事もあり、冥穣も土や岩の精霊たちの力を借りて簡易的なバリケードをつくっていた。
「……ようやくここまで繋げたのを壊させはしない。守り切るぞ!」
 周囲環境の破壊を防ぐべく、イズマが展開する保護結界内へと退避するよう『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)も願う。
「大丈夫です、絶対守りますから!」
「よろしくお願いするっす」
 丁度、シャウデ側を守る形となる為、リヴィエール達もまたそちらにある大きな岩場の陰へと回り込む。
「なにかを守りながらの戦いは得意じゃねぇんだが、足止めなら俺様の十八番だ」
「……ようやくここまで繋げたのを壊させはしない。守り切るぞ!」
 気合を入れるファニー。イズマも敵を引き付けるべく交戦態勢に入れば、ガンマインやクラッグザースも徐々に近づいてくる。
「なにはともあれ、私の火力でまとめてお掃除してやるのです!」
「さぁ始めるか」
 それらを迎え撃つべく、クーアやファニーも先手を取るべく仕掛けていくのである。


 遭遇時、敵との距離は開いていたが、それも詰まってきている。
 交戦にあたって、気をつけねばならないのはパサジール・ルメスの民やシャウデへの被害。
 ルチアがファミリアーを飛ばして敵と味方の位置関係をチェック。
 精霊の力でバリケードを築いた冥穣は風の精霊も呼び出していた。
 ゴゴゴゴゴゴ……。
 グワアアアアアアオオオオ……。
 すでに、保護結界を展開していたクーアは被害が出そうな場所をできる限り把握し、結界内へと避難したリヴィエール達を気にかける。
 警戒すべき敵を仲間達が引き付けるのをクーアが待つ間に、こちらも保護結界を這っていたファニーが愚者の行進を開始する。
「今回は向こうの行進を止める側だな。通れるものなら通ってみろよ」
 ファニーが目下敵視するのは岩亜竜……クラッグザースだ。
 全長6mもの巨体でタックルを仕掛けてくれば、岩でなくとも粉砕されかねない。
 仲間がまだ近づいてないタイミングを見て、ファニーは凶運の四番星を岩亜竜達に降り注がせる。
「そこで地に伏せてな」
 いくら岩の体を持っていても、降り注ぐ凶星によって満足に身動きが取れずにいたようだ。
 それらを抑えようと、ユーフォニーも動く。
 召喚したドラネコのリーちゃんを上空へと飛ばし、俯瞰視点を得たユーフォニーは纏めて内より出でる炎を岩亜竜達へと浴びせかける。
(上手くいきましたね)
 グアアオオオオオオ!!
 体内の熱を一層高めるほど、岩亜竜は怒りを高める。
 後はこれを維持するだけ。
 ユーフォニーは頭上から戦況を把握し、岩亜竜が向く方向に細心の注意を払う。
 的が大きい相手とあって仲間も攻撃が外れることまで懸念していない。
 それを視認しつつ、ファニーも岩亜竜の足止めに努める。
 他メンバーはガンマインの排除に全力を尽くす。
「向こうから来るなら好都合だ。邪魔者を片付けて、安全確保といこう」
 仲間を巻き込むことがないと判断したジョージは数体を捉えて空間ごと切り取り、ガンマインの身体を切り刻んでいく。
 とはいえ、思った以上のその体は堅い。
 更なる攻撃をとジョージが態勢を整える間に携行品を使ったイズマが高所視点で戦況を確認し、名乗りを上げて多くのガンマインを引き付ける。
 自身が引き付ける間に、イズマは連携する仲間に討伐を託す。
 回復役として立ち回る冥穣だが、仲間の被害が少ない序盤は号令を発して皆の力を高める。
 とりわけ、冥穣は高い封殺能力を持つファニーや治癒術に長けたルチアが力を発揮できるよう立ち回る。
 そのルチアは敵を抑えるメンバーを支援できるよう前に出る。
 啓示の乙女として、聖女の心持ちで戦場に立つルチアは善戦で抑える仲間の頭上に光輪を降らせて。
 初手でその支援を受けた鏡禍は呼吸を整えて集中し、手にした手鏡から薄紫色の妖気を放ってガンマインの気を引く。
 岩石生命体だろうが、その意識ごと招き寄せる以上、鏡禍には関係ない。
 そうして仲間達が引き付けた敵をできるだけ早く掃討すべく、クーアは弾丸を掃射して多数のガンマインに纏めて浴びせかけていく。
 ゴゴゴ、ゴゴゴゴゴ……。
 イレギュラーズの攻撃に耐えるガンマインは不気味に体を振動させていた。


 数の多いガンマインは体当たりを繰り出し、炎を突き付けてくるガンマイン。
 それらに乱撃を浴びせていた鏡禍だったが。
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。
 激しく体を震わせる敵に危険を感じた鏡禍は、後方で仲間の抑える岩亜竜の存在を意識する。
 そうして、勢いよく転がってくるガンマイン。
 鏡禍はそいつの起爆に岩亜竜を巻き込んでダメージを蓄積させていく。
 同じような戦法は岩亜竜を抑えるユーフォニーもとっていて。
 戦場となる岩場への被害を考えれば無理するわけにはいかなかったが、そこは戦況をしっかり把握して立ち回るユーフォニーだ。
 岩亜竜の攻撃がガンマインへと繰り出されるよう仕向ける。
 盾役の抑えから漏れて特攻してくるガンマインが岩亜竜へと激突するよう調整し、ユーフォニーは爆発から逃れる。
 激しく爆炎を燃え上がらせて飛び散るガンマイン。
 ユーフォニーは1体だけでなく、2体目も岩亜竜に命中させて起爆させるなど、うまく誘導していた。
 これは、冥穣の働きも大きい。
 彼女が精霊に作らせたバリケードに遮られたところもあったが、それだけではなく、風の精霊に起こさせた突風で方向をずらされていたのだ。
 冥穣は満足げに頷き、仲間の支援に力を注ぐ。
 ファニーもガンマインの突撃を受ける岩亜竜を抑えつけるが、1体へと重点的に指先で撫で、一時的に力を奪う。
 流星の軌道をなぞるように。相手の死線を切り裂くように
 加えて、岩亜竜に星屑を浴びせかけ、ファニーはもう1体の攻勢も止める。
 相手の封殺はこの戦いにおける要。威力ある熱線を放たせれば、移動民族や亜竜種の集落に壊滅的な被害を及ぼしかねない。
 それ故に、ファニーは岩亜竜に満足いくよう攻撃させぬことを自らの役目と認識し、実際に遂行しようと立ち回っていた。
 他のメンバー達は個々に撃破数を増やす。
 岩亜竜の動きも横目で見ていたジョージだが、基本的にはガンマインの掃討を優先し、攻撃を続ける。
 終焉に刻み込んだガンマインが突っ込んできたところに反撃の痛恨打を撃ち込んで粉砕したジョージ。
 ただ、近場にいたガンマインが吹きかけてきた炎で全身を燃え上がらせてしまう。
 傍のジョージもすぐさま炎を振り払う為に栄光をつかみ取る一手を繰り出して敵の一部を握り潰し、活動を止めてしまう。
「こっちだ。俺が止めてやる」
 コンスタントに名乗りを上げるイズマは敵の攻撃が集落などに及ばぬよう誘導すべく、ワイバーンのリオンに騎乗していた。
 敢えてガンマインを起爆させる策をとる仲間達を目にしながらも、幻想を纏いつつ攻撃にも出る。
 仲間が巻き込まぬ位置でガンマインのみを捕捉した彼は2体を斬砕し、さらに傲慢な左で1体を破壊していた。
「何が爆発する岩ですか、こちとら放火猫なのです。自爆より上等な焔なのです」
 魔物の生態に、敵対心を抱くクーア。
 本職の沽券にかけ、クーアは宣言通りに爆撃を浴びせかける。
 1体の活動が止めたところで、彼女はなおも必殺剣による雷光を迸らせて一文字に1体を切り裂いていた。
 ガンマインは数で押し寄せる魔物ではあるが、思った以上に闘争心もあるようで、イレギュラーズへと飛び掛かってくる。
 いつ起爆するかというだけでなく、単純に個々の力も侮れぬ相手とあって、盾役メンバーも消耗が激しい。
 ルリルリィ・ルリルラ。
 聖体頌歌を響かせるルチアが多数のメンバーに活力を与える前で、鏡禍は自爆特攻する1体をそのまま岩亜竜へと受け流し、さらに乱撃を浴びせて1体を切り刻む。
 ルチアの存在を感じながら、彼はなおも敵へと攻め入る。

 気づけば、戦場となる岩場に動くガンマインはいなくなっており、残っているのは巨躯の岩亜竜2体。
 幾度もガンマインの自爆特攻を受け、メンバーの抑えで傷も増えていたはずだが、それでも倒れぬのはさすが亜竜。
 身体の岩をつかんで投げつける敵の攻撃で多少よろけるユーフォニーだが、すぐさま仲間へと纏めて安寧を与えようと海青の凪で気持ちを落ち着ける。
 さらに号令を上げる冥穣は仲間達の戦略に舌を巻きつつも、合間に岩亜竜を狙撃して仲間を援護する。
 冥穣の放った一撃に身を竦ませた岩亜竜の体を、ファニーがさらに撫でる。
 堅いはずの岩の身体だが、その跡に沿って亀裂が走る。
 グガアアアアアアオオオオオ……。
 熱を放出しながら崩れ落ちる岩亜竜。
 ファニーはそれを認めながらも、もう1体を封殺すべくそいつへと向き直る。
「抑えは続けるぜ。それこそが俺様の真”骨”頂だからな。骨だけに」
 苛立ちげに身を震わせる岩亜竜はその巨体をイレギュラーズへとぶつけようとするが、メンバー達がそうはさせない。
 終焉を刻み込んだジョージがそいつの体内に籠る熱を血と共に流し、鏡禍が自らの高い防御技術を攻撃へと転じて叩き込み、岩亜竜を早期撃破しようを試みる。
 グアアアオオオ、オオオオオオオ……!!
 不意に力を取り戻す岩亜竜はここぞと体内の熱を高め、それを口内へと集中させる。
 それを空中のイズマが地上に打たせまいと煽れば、岩亜竜もそのままイズマ目掛けて強烈な熱線を放出する。
 空へと斜めに放たれた一撃は刹那空をも照らすが、それも一時のこと。
 返す一撃で、イズマが鋼の細剣を一閃させる。
 見た目はとても岩を貫くようには見えない剣だが、彼の技量は武器を問わない。
 もっとも、手にする細剣も持ち主の技量を高める魔導武器だ。
 思わぬ一撃に、岩亜竜にも焦りが見え始める。
 再び、ファニーに技を封じられた岩亜竜は高まらぬ体内の熱と、全身の傷もあってか口をパクパクさせるのみ。
 相手の攻勢が緩んだことで、ルチアが禍の凶き爪でその全身を薙ぎ払えば、熱気を含んだ大量の血が流れ出したことで岩亜竜も弱々しい声を上げて。
 力を振り絞って地面を踏みしめる岩亜竜に、飛び込んだクーアが持前の火力を一気に叩き込むと、タフネスを見せつけた敵の抵抗もここまで。
 アアアァ、オオオオオ……。
 ついに目から光をなくした岩亜竜は地響きを立てながら岩場へと崩れ落ちる。
 ここまで、討伐数をカウントし、14体全ての討伐を見届けたユーフォニーは、周囲に散った魔物や亜竜達に対して両手を合わせて。
「……殺めてごめんなさい」
 彼らだって、好んで命を散らしたかったはずもない。
 戦いが終わった近づいてきたリヴィエールをはじめ、メンバー達は全力で生き抜こうとした生物達に祈りを捧げるのだった。


 岩石をベースとする敵を撃退したイレギュラーズ一行だが、その体はメンバーにとって有益と感じられたらしい。
 例えば、イズマはそれらの岩石を使って陣地構築し、バリケードとしたり、馬車等をカモフラージュする装備を作成する。
 バリケードとしては十分だが、機動力や運搬能力に難が出る為、後者は急場での利用など制限が出そうだ。
 ジョージは破裂することなく倒したガンマインの身体を回収する。
「上手く火薬の材料にできれば、交易路の開拓や武器としても流用できそうだな」
 危険な生物だが、生きる資源と捉えればこれすら交易材料になりうるとジョージは考える。
 ――益があれば、人も増える。
 そうなれば、キャラバンを組んで安全性を高めても、利益が出るようになるはずだとジョージは展望を示す。
「管理は難しそうっすが、需要はありそうっすね」
 リヴィエールもそれに同意し、前向きな利用法を探っていたようだ。
 同じタイミング、ルチアはファミリア―を飛ばし、安全なルートをチェックして念写によってマッピングする。
 合わせて、鏡禍が上空からの視点と合わせて広域を見通し、敵が隠れていたり、発見しづらかったりしそうなポイントをチェックし、書き入れていく。
 これから何度も使う地図となるはず。安全性に配慮した地図があってもいいと鏡禍は思っていたのだ。
 ルチアも、交通路の安全はもとより、正確性の高い地形図は行商人に求められるところだろうと確信する。
 そうして、完成した地図を2人はリヴィエールへと提供する。
「本当に助かるっす」
 仲間達を手当てしていたリヴィエールが喜ぶのを見た鏡禍、ルチアはというと。
「……二人、まさか夫婦の共同作業……なんて」
 えへへと微笑む鏡禍に、ルチアは少しだけ怒ったような、呆れたような表情で。
「共同作業って……まだ夫婦ではないでしょ、お馬鹿」
「いや、冗談ですからね!」
 リヴィエールはそんな2人のやり取りを微笑ましげに見つめていた。

 イレギュラーズ一行はそのままシャウデに到着。
 集落民も2度イレギュラーズに救われた過去があり、好意的に迎え入れてくれる。
 冥穣は被害がシャウデに及んでいないか確認する。
 皆の立ち回りもあり、シャウデの外壁への被害は軽度で済んだ為、冥穣が精霊に依頼するメンテナンスも軽度で済んだ。
 自分達に交換を抱く集落民へとお近づきの品として、冥穣はジュエリー・イースター・ロール……ロールケーキをプレゼントする。
「商人ギルド・サヨナキドリもよろしくねえ」
 交流する際、彼は宣伝も忘れない。
「残念ながら、宇航さんはフリアノンにいるようですね」
 以前、依頼を共に解決した拳法家と会えなかったのは残念だったが、ユーフォニーは仲間の作った地図と合わせ、フリアノンに至るまでの道程と合わせ、出現頻度の高い亜竜や魔物を調査し、メモを取っていた。
 フリアノンまではもう少し。
 メンバー達はここまでの交易路の整備も考慮しつつ、先への道の整備を視野に入れた準備を進めるのだった。

成否

成功

MVP

ファニー(p3p010255)

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開中です。
 MVPはそれぞれの活躍もあって悩みましたが、強力な岩亜竜の力を削ぐことに注力したあなたへ。
 今回はご参加、ありがとうございました。

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