シナリオ詳細
<ラドンの罪域>a happy new battle
オープニング
●クリスタラードとバシリウス
岩の台座にどっかりと腰を下ろす、筋骨隆々の大男がいる。
上半身をさらけ出したその姿は戦士のそれで、周囲を威圧するような迫力が常にびりびりと放たれていた。
だが最も彼を特徴付けているのは、彼の周囲をゆっくりと浮遊する七色の水晶だ。
紅い翼を畳み、焼いたワイバーンの肉を喰らうその姿は堂々としたもので、彼を知る者は畏怖を込めて『クリスタラード』と呼ぶ。
「クリスタラードさま! クリスタラードさま!」
そんな場所へ、一人の少年が姿を現した。
「あ゛?」
不機嫌そうに返すクリスタラードの前に、しかし臆することなく立つのは金髪碧眼の少年……いや、少年の養子をした竜であった。
「バシリウスじゃねえか。おう、どうした。クソローレットは追い返せたかよ」
焼いたワイバーンの肉を骨ごとむしり取ると、少年へとぽいっと投げる。
少年はそれをキャッチして、嬉しそうに笑った。
「うん! ねえ聞いて、ローレットって面白いんだよ。ボクが叩いても壊れなかったんだ! パパやママよりずっと強かった!」
「ハッ。そりゃあ……」
クリスタラードは鼻で笑うと、そのあとに何か続けようとして……そして、やめた。
かわりにと、手に持っていた肉を骨から囓りとり、そして残った骨を口に放り込んでがりぼりと砕く。
「連中はヘスペリデスまで来るようだぜ。あいつらをぶちのめせたらまた褒美をやる。失敗したらテメェを食うがな」
「あはは、食うって。クリスタラードさまがそんなことするわけじゃないよ」
少年バシリウスは笑って言うと、きびすを返して走って行った。
「じゃあねクリスタラードさま! ローレットを倒してくるから!」
その後ろ姿を見つめながら、クリスタラードは喉の奥でククッと笑った。
「ぱぱ、まま!」
次にバシリウスがやってきたのは岩でできた洞窟だった。おそらくは住処だろう。
洞窟の奥には小柄なワイバーンが二体。それぞれオスとメスのようだが……どう見てもドラゴンであるバシリウスの親には見えない。血のつながりを感じない容姿であった。
「ああ、バシリウスや。おかえりなさい」
「楽しそうね、何かあったのかしら」
優しげに声をかけてくる二人のワイバーン。彼らに、バシリウスはにこにこと笑いながら肩を左右に揺らした。
「あのねあのね、またクリスタラードさまに褒められるかもしれないの。それにねそれにね、面白い人間たちに会ったよ」
「面白い人間?」
小首をかしげるワイバーン。バシリウスは『そうなの!』と少しばかり大袈裟に言ってみせる。
「ボクが叩いても壊れないんだよ! すごく頑丈で、しかもボクに殴りかかってきたんだ。そんなの初めてじゃない?」
笑うバシリウスは上機嫌そのもので、ワイバーンの夫妻は顔を見合わせた。
「それは……よかったわね?」
「うん! ボク、そのひとたちをやっつけるお仕事を貰ったんだ! だから、行ってくるね!」
手を振り、『お土産楽しみにしててね!』と言いながら洞窟を出て行くバシリウス。
その頃には、少年の姿はすっかりと竜のそれに変わっていた。
褐色のティラノサウルスレックスにも似たその姿はあまりにも暴力的で、むき出しにした牙は鋭く堅い。
「また会えるんだ、ローレット! どんな戦いができるかな!」
●ラドンの罪域
ローレットの、つまりはあなたの話しをする。
『冠位暴食』ベルゼーの正体を知ったフリアノン里長からの依頼を受け、ピシュニオンの森攻略を目指すローレット・イレギュラーズ。
彼らは同時に、かの六竜がひとつクリスタラードもまたピシュニオンの森の奥へと逃げ込んでいることを発見していた。
「けど……痕跡を辿るための装置が壊れちゃったんだ。強すぎる反応には耐えられなかったみたいでね」
「それで私に?」
トスト・クェント(p3p009132)はこれまでの経緯をタイム(p3p007854)へと話していた。
彼女の胸には『七晶石』――霊喰晶竜クリスタラードからこぼれ落ちた鱗の欠片がさがっている。
「そいつだったら壊れないんじゃね? と思ってさ。だってあの、管理亜竜がバチバチやっても壊れなかったんだろ?」
伊達 千尋(p3p007569)がニュアンス全開のジェスチャーで言うと、それをうけたアダマス・パイロンが苦笑した。
「クリスタラードの力は惹かれ合う。痕跡を辿ってクリスタラードの元へ行くには、その石があると都合が良いはずだ」
「できれば私達も一緒にいってあげたいけど……流石にね、弱い子だと死んじゃうと思うから」
鈴・呉覇のそんな補足に、タイムは複雑そうな顔をした。
「うん、わかるよ……クリスタラードがまた世に出てくれば、アルティマの被害がくり返されることになっちゃう」
クリスタラードの脅威は凄まじい。
なにせ、その一匹がいるだけで七つの亜竜集落が支配され、間接統治を行う亜竜たちによって生贄を差し出し続けるという人間牧場に変えられてしまったのだから。
だが今ローレットはピシュニオンの森の探索を進めるなかでついにその出口とも言える『ラドンの罪域』へと到達しつつあった。
クリスタラードの居場所へたどり着くのも、きっともうすぐだ。
だがその前に、守護者として立ちはだかっている竜『バシリウス』を撃退しなければならない。
「バシリウスはクリスタラードから力を分け与えられている。その残滓を辿っていけばかならずバシリウスへとたどり着くはずだ。
奴を倒し、その先へと進む切符を手に入れる!」
力強く拳を握りしめるアダマスの応援を受け、千尋たちはまたもピシュニオンの森へ挑むのであった。
- <ラドンの罪域>a happy new battle完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2023年04月25日 21時35分
- 参加人数10/10人
- 相談6日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
リプレイ
●a happy new battle
「うーーーーーんと……」
七晶石を手に取り、ゆっくりと回る『この手を貴女に』タイム(p3p007854)。ここだけ見ると可愛らしいのだが、やっていることは竜の捜索だ。
「あ、こっち。こっちのほうが反応が強いみたい」
「おー、便利じゃんその石。……なんの石なんだっけ?」
『Go To HeLL!』伊達 千尋(p3p007569)がぼんやりと魂の光を宿す七晶石をのぞき込み、小首をかしげる。
「クリスタラードの鱗だね。中にあるのは『魂のゆらめき』なんだって。前にもわたしを助けてくれたんだよ」
だから大事な石、と両手で包むように持つタイム。
千尋はその時の戦いを見ていないが、てぇむちゃんがいうならそうなんだろうなと素直に頷いてみせた。
「ところで、今回の目的ってバシリウスを突破することなんだよな。げんみつには……」
『元気の盾』清水 洸汰(p3p000845)が頭にとんとんと指を当てて記憶を探る。
「撤退させればOKだったなー。ここで決着したら勿体ないって思わせるかんじか? バトルをもっと楽しませるのはオレ、得意だぜ!」
今にも遊びにいきそうな野球少年といった様子の洸汰。
『有翼の捕食者』カイト・シャルラハ(p3p000684)は頼もしいといった様子で頷いた。
「にしても……クリスタラードの部下って、あんまりクリスタラードに心酔してないよな」
カイトが思い出したように言う。記憶にあるのはアルティマのヴァイオレットウェデリアだ。あのとき戦った管理者も、その前に治めていたという管理者も、クリスタラードへはあくまで恐怖で従っていたという様子があった。
人間(亜竜種)に対する態度こそまちまちだが、クリスタラードへの積極性はさほど感じられなかった。むしろ逆。なにせあの場所が発覚した原因も攻略の糸口も、みなクリスタラードへの恐怖からくる焦りだったのだから。
「ああいう奴はすぐに新しい部下を作って同じことをくり返すはずだ。そうなる前に叩かないとな」
「だね!」
『今を写す撮影者』浮舟 帳(p3p010344)が完全同意とばかりに頷く。
クリスタラードの作り出した地獄がいかなるものであるかは、七つもの事例で既に語られている。総じてクリスタラードがエネルギーを維持するための人間牧場だ。
「あれは酷い事件だったわ。だからこそ、多くの人達の賛同も得られたわけだけど……」
『木漏れ日の優しさ』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)が密林の部族や泉の精霊と交流した思い出を蘇らせていると、『赤い頭巾の魔砲狼』Я・E・D(p3p009532)がぽつりと呟いた。
「わたしは絶対にヘスペリデスに行かなきゃいけないんだ。
だから、その前に誰が立ち塞がっても絶対に諦めないよ」
Я・E・Dの意志は、どうやらとても固いようだ。その真意を誰もが知っているというわけではないが、仮に知らなくとも予想はつくだろう。なのでオデットは「そうだね」とどこか力強い微笑みで同意してみせた。
「今回障害になるのはバシリウス。純粋に強い竜種だね。これまでの敵と比べても格段に強力だから、気をつけてね。命を落とす危険だってあるんだから」
「殺されるかもしれない、という経験は、少年を数段飛ばしで成長させて、なお余りある経験ではあります。もちろん、その過程で歪むことも少なくないのですけれど」
『喩え言葉が足らずとも』観音打 至東(p3p008495)がなにかを思い出すように目を閉じた。
「ですからここは、そういうのはナシにしましょう。殺気はオミット、力比べにコミット。
健全にまっとうに、そのままでいてくれたほうが、私としても御しやす――もとい、好ましい」
「今凄いこと言いかけたような」
「復興しつつある亜竜集落がまた手を付けられては困る。バシリウスに躓いている時間はないからなぁ」
『最後のナンバー』ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)はバシリウスの無邪気な様子に目を付けていた。
竜種は生まれながらにして強いが、生きているだけあって感情も持っている。
「おっかない竜には変わりないが、やんちゃ坊主らしいのは気に入った。
人と竜も仲良くなれる、というのは夢みたいな話だが、拳を交わすことで通じる話もある。
それに、どこぞのアウラスカルトの例もあるしな」
「うん。流石に仲良くなれるとは思ってないよ。
以前だって逃げるので精一杯だったしね。
けど今回は準備ができてるから……」
『星灯る水面へ』トスト・クェント(p3p009132)は何かをいいかけて、言葉を選んで、そしてこう述べることにした。
「ちゃんと楽しめると思うんだ」
「楽しめる、ねえ」
「大事なことだよ。ひとは楽しいことをやめられない。楽しさに飢えてればなおさらね」
それが突破口なような気がするんだ。トストのその言葉に、ヤツェクは確かになと呟いて防止を目深に被ったのだった。
●ラドンの罪域
大空を舞い、嵐を纏う。その姿は騎乗用に調教されたタイニーワイバーンを比較にできないほど恐ろしく、そしてワイルドであった。
「こいつ、空でも滅茶苦茶すばやいな!」
暴風を纏い食らいついてくるワイルドワイバーンの攻撃を紙一重で回避しつつ。カイトはそのまま距離をとる軌道にはいった。
空中で翼を広げクイックターンをかけるワイルドワイバーン。カイトの後方につき、嵐を操って作り出した真空の刃を飛ばしてくるがカイトは翼を起用に操って左右に回避。身体をくるんとコンパクトに丸めて反転したかと思うと、突如広げた翼から朱色の羽根をマシンガンのように放った。
嵐の障壁によって防がれる羽根。一進一退の攻防だ。空中戦で、しかも撃ち合いにおいてカイトとここまで渡り合う敵はそういない。この領域の厳しさを知らしめるような相手だ。
が、あくまでそれは一対一での話。
「今いくわ、カイト!」
オデットが同じ高度まで飛び上がると『凍狼の子犬(オディール・イヴェール・クリスタリア)』を召喚。オデットは広げた翼をプリズムカラーに発光させると、カイトと撃ち合いになっていたワイルドワイバーンめがけて指鉄砲の構えをとった。
背後にできた幾重にもなる光の輪がぎゅうんと圧縮されるように羽根の付け根へと集まり、それはオデットの身体を通して指先から発射される。それは所謂、高圧の熱光線である。
有効射程距離わずか3m。しかしその威力は常人をかるく10回は吹き飛ばせるだけの超威力だ。さしものワイルドワイバーンも嵐の障壁をぶち破られ、撃墜されて大地へと落下していく。
額にうかんだ汗を手の甲でぬぐい、オデットはふうと息をついた。
「思ったよりも手強かったわね。けどこれで、襲ってきたワイルドワイバーンは全部かしら」
「だな。このまま目立つ空中にいれば他のやつまで集まってくるかもしれないし、地上の仲間と合流しようぜ」
同じく飛行能力のある至東やЯ・E・Dたちに呼びかけてから地上へと戻ると、早速新たな亜竜との戦闘が始まっていた。
パンツァードレイクだ。
四つ脚の獣めいた亜竜で、シルエットはオオトカゲを思わせる。しかしごつごつとした鱗と鋭い牙。そしてなにより炎のように燃える瞳は狂暴な亜竜のそれであった。
「フゥン――」
千尋は軽くチョップでもするようなジェスチャーで眼前に並ぶ三匹のパンツァードレイクを数えると、涼しい顔で手招きをして見せた。
グッと踏み込む一体目。千尋はクールに構え、そして横っ飛びに回避――しようとしてたまたまその場にあった石に躓いて転倒した。
「ぐぼは!?」
転倒したところをそのままパンツァードレイクの巨体に突き飛ばされ、回転しながら吹き飛んでいく千尋。
「千尋ー!」
洸汰が呼びかけると、千尋はむくりと起き上がってサムズアップした。
「おっけおっけ、大丈夫しんでない」
「ほんとに大丈夫かー!?」
追撃をしかけようと迫るパンツァードレイクにバットを翳し、わざと噛ませることでがっつりと進行をおさえる洸汰。
バットの両端を握って足を突っ張るその姿勢は子供っぽいが、恐ろしいパンツァードレイクが一歩も前に進めなくなっているという事実は彼の頑強さを物語っていた。
「洸汰君、後退を!」
叫ぶと同時にはるか上空から稲妻の如く走ったものがあった。
そう、ワイルドワイバーンとの戦闘を終えた至東である。
『宙駆け』と呼ばれる術によって空を走っていた彼女は楠切訃墨村正『塵仆』『眩偃』というふたふりの刀を大鋏のごとく交差させ、それこそ稲妻のような猛スピードではるか上空からまっすぐに急降下突撃を繰り出したのである。
ズドンという爆発めいた衝撃が走り、クレーターができたかと思うとその中央には真っ二つにされたパンツァードレイクと刀を振り抜いて翼のように広げた至東がいる。
キッと振り向くと、残る一体が口を開く砲撃の準備にはいっていた。
溜めこそあるもののその威力は体験済みだ。
「ここはオレがおさえるぜ! オレは平気、だっていつも元気なシミズコータだからな!」
洸汰がバッと前にでたかと思うとパンツァードレイクの砲撃を直にキャッチ。吹き飛ばされそうになるのを、両足で踏ん張ることでこらえまくった。
と、そんな彼の横を駆け抜けるように走る千尋。
「それじゃあ皆さんご一緒に、Go To HeLL!」
通称アルバニアキラーと呼ばれるあの一撃が砲撃直後のパンツァードレイクへ直撃。
――したかと思うと、そのままもう一体めがけて突っ走り蹴り飛ばしてしまった。
「っしゃあ!」
成功と失敗の落差が凄まじく激しい千尋である。
ガッツポーズで打ち倒したパンツァードレイクを見下ろした。
その一方で、帳はガイアタートルとバチバチに戦っていた。
「【充填】は積んであるからね、バンバン使ってバンバンいこうか」
本来なら消費の激しいダーティピンポイントやフルルーンブラスターを平気で使い、ガイアタートルを叩きのめす帳。
ふわりと浮きあがった水しぶきのような魔力が急速に集まっていき、物理攻撃をほぼほぼキャンセルしてしまうガイアタートルの甲羅を魔力がいとも容易く撃ち抜いていく。
「ふう、さすがに体力がすごかったね」
あちこち怪我をしてしまったらしい帳にタイムが歩み寄る。
「じっとしてて、治療してあげるから」
かざした手が温かな光を放ち、帳の生々しい傷口へと当てられる。
光は傷を塞ぎ、タイムの取り出した布で血を拭えば元通りの素肌だ。
「この調子でやっていけば消耗せずにバシリウスに挑めそうね」
タイムはそう呟きながら、ポケットから取り出した七晶石を見る。方向はあっていそうだ。
ヤツェクがやってきて息のあるパンツァードレイクに『ベル・エレーヌ』の早撃ちで瞬時に殺すと、指で銃をくるりと回してホルスターへと戻す。
「充填持ちといっても補いきれないものはあるだろう。どれ、みせてみろ」
ヤツェクはそう言うと帳や仲間達の消耗具合を確かめ、一通り終えてから頷くとギターを取り出した。
歩きながら奏でるギターの音色は、不思議とやる気を回復させてくれる。
音楽を聴きながら、タイムはぽつりと呟いた。
「アルティマのこと、クリスタラードはきっと怒ってるでしょうね」
「だろうなあ。プライドの高そうな奴だった。反逆されるとは思ってもいないだろうし、回復手段を失ったとなれば焦りも出る。今頃かなりピリピリしてる頃だろう」
「けど……」
タイムはくすりと笑う。
「鼻を明かせてスッとしてるわ」
「それは同感だ」
最後に見せたプルネイラの表情を思い出し、ヤツェクもまた笑った。
「さて、と。この先か?」
たどり着いたのは大きな川だった。
情報によればデミドラゴシャークが住んでいる川であるらしい。
全員が飛行できるわけじゃないことを考えると、誰かが飛び込んで事前に戦闘を行う必要があるが……。
「そういうことなら任せてよ」
トストがサンショウオタウロスモードになって手を上げた。
「水中戦はむしろ得意分野だからね」
「わたしも行く」
Я・E・Dが水中行動の術を発動させ、歩み出る。トストはこくんと頷いた。
他にも何人かの水中戦闘が可能な仲間を連れ、いざ川へ。
ざぷんと思い切って飛び込むと、こちらを察知していたデミドラゴシャークが早速猛スピードで突っ込んできた。開いた口には並ぶ牙。結構な恐怖映像だがЯ・E・Dは怯まない。
どころか大量のマスケット銃をいっぺんに召喚し、水中だというのに全てまとめて発砲させた。
発砲した瞬間にパッと幻のように消えてしまうマスケット銃たち。
しかし弾丸はかわらず発射されたようでデミドラゴシャークは凄まじい面圧能力によって突っ込んでいた側から吹き飛ばされる側へとすぐに一転してしまう。
それだけではない。トストが水中に大きく円縁を描くと、そこに不思議な魔術文字が浮かび始めた。
突き出すようなフォームから発動したのは巨大サンショウオ型エネルギー体。
「一気に下流まで押し流してやる!」
水を得た魚ならぬ水を得たサンショウオである。巨大エネルギー体はデミドラゴシャークと格闘すると、その口でばくんと相手のボディを掴んでそのまま水底へと叩きつけてしまった。
脱力し、ゆっくりと流され始めるデミドラゴシャーク。
トストはそれを確認すると、水面から顔を出して仲間達へと手招きした。
「もう大丈夫だよ。他の亜竜が来る前に渡っちゃおう」
飛行や水泳が得意でないものも、川を渡るのはトストたちの助けを借りれば簡単だ。
すぐに対岸までやってきて、そして……。
「反応が」
タイムが取り出した七晶石が、まるで危険を知らせるかのように強く輝いたのだった。
●バシリウスの猛攻
川を渡りたどり着いた先に、それは悠然と待ち構えていた。
「やっときたね、ローレット! 森の中で迷っちゃうかと思ったけど」
巨大なティラノサウルスレックスめいた竜、バシリウス。
バシリウスはちらりとタイムを見ると、彼女のさげていた石に興味を示した。
「石からクリスタラード様の気配を感じる。そっか、それを辿ってきたんだね。
けどそれもここまで! 僕が皆を倒して、クリスタラード様にまた褒めてもらうんだ!」
ごおう、と咆哮をあげるバシリウス。
いざ襲いかかろうとした、その時。
「ちょっとまった!」
千尋が両手を突き出すようにしてバシリウスを制止した。
できるかできないかでいえば、できない。千尋の制止を聞いてあげる義理はバシリウスにはない。強制的に聞かせるだけの実力差もない。どちらかといえば、バシリウス側にこそその権利はあるのだが……。
「よーいスタートはこっちのタイミングで決めたいんだバシリウスくんお久しぶり! 元気してた? さあ戦う気満々と言った所ですがバシリウスくん! 意気込みをどうぞ!」
「えっ?」
早口でまくし立てる千尋につい襲いかかる手をとめてしまったのである。
「皆を倒してクリスタラード様に褒めて貰うよ! 殺しちゃったらごめんね!」
「はい! ありがとうございます!
こちらとしても前回の雪辱戦と行きたい所! と、言う事で両陣営準備はよろしいで――ううお!?」
千尋が次の攻撃を回避できたのは運としか言いようがない。思い切り飛び退いたことでバシリウスによるキックをギリギリのところでかわせたのである。
「まずは俺からだ!」
カイトが翼を広げて急上昇すると、バシリウスに向けて自らを強烈にアピールした。
そんなカイトを食い殺そうと牙をむき出しに食らいつくバシリウス。
しかしそこは百戦錬磨のカイトである。身体をシャープに畳んで加速するとバシリウスの攻撃を回避。更なる攻撃がバシリウスから放たれ、カイトのいた地点を中心に立体放射状の衝撃が走った。
まわりの仲間はそれによって吹き飛ばされるも、カイトだけは衝撃を器用にやりすごしてみせた。
「うわ、すごい! これもかわせるんだね!」
「まだまだやれるぞ!」
「ううん、もうわかった! 今日は遊んでたらだめな日なんだ。また今度ね!」
バシリウスはカイトから注意をそらし、今度は帳たちへと攻撃のヘイトを自主的に移してしまった。
(二発で見切りをつけたか。賢いな……。それも生まれ持った強さなのか? ドラゴン生まれってちょっと羨ましいぜ。いや鷹の生活も悪くはないんだけどな?)
カイトは注意を引く作戦から殴り合いを意識する作戦へシフト。次なる衝撃を受け流しながら自らのスピードを槍に乗せ、バシリウスへと突撃する。
それだけではない。『鷹柱兵団』なるオリジナルのスキルによってオデットたちの能力は大きく引き上げられていた。
「ここまで強い太陽の力、喰らったことある?」
オデットはここへ来て出し惜しみナシの全力投球へ出た。羽根のまわりに展開した巨大な光の輪がまたも大量に圧縮され、自らを球状に包み込む。
そうなったオデットは一発の光の弾となってバシリウスの巨体へと突撃。
まるで巨人に殴られたかのようにバシリウスが大きくのけぞった。
「うわ!? すごい攻撃! クリスタラード様みたい!」
「まだまだ!」
オデットは自らの充填能力をプラス。包む光が激しく光量を増すと、バシリウスの顎めがけて凄まじいアッパーカットを叩き込んだ。
「わう!?」
「ま、まっすぐな感情が眩しい……! いや油断してると首がぽーんって行くかもなんですけど!」
至東はその隙をついて斬りかかった。
「ええ迷う暇はないッ、観音打三劫流新理『人為三劫剣』、一刀馳走つかまつります!」
至東のいうこの技は現状最大最級の大火力を出せる必殺技である。
――ひとひらに 三度殺して 余り無し。
抜刀した刀が三本の線を描き、バシリウスのとてつもなく堅い鱗を一発目で削り、二発目で砕き、三発目にして激しく出血させた。
ちなみにだが、『識術【獅子吼内観】』も合わせることで更なる火力を生み出すことができるが、至東は気分的に使わないことにしていた。それでも充分な火力なのである。
「竜を相手にするんだからね、こういうのも認めてくれると嬉しいかな!
人って脆弱だからね! 技術を持って全力で挑む! こういうのは嫌いかな?」
そこへ追撃を仕掛けたのは帳だった。
ダーティピンポイントからのCode Red。BSを付与できたところでフルルーンブラスターを叩き込む最強のコンボである。
特に格上相手の戦いにおける『ダーティピンポイント』は突破口を開くという点で実に優秀なスキル選びだった。
バシリウスはぷるぷると首を振って気を取り直すと、そんな帳たちめがけて突っ込んだ。
「それじゃあこっちの番だよ!」
身体をぐるんと回転させ繰り出された尾が、周囲の木々や岩、もとい『地形そのもの』を粉砕してしまった。
防御しきれずに吹き飛ばされるイレギュラーズたち。
が、吹き飛ばされながらもЯ・E・Dはくるりと回転し反撃姿勢へとシフト。
「うーん、バシリウス君は戦いが楽しくって、でも遊び相手がこれまで居なかった感じなのかなぁ?
良いよ、遊ぼうか。けど、時間が無いから今回は何人か気絶したら終わりね。
少し先になるけど、わたし達がベルゼーさんと会った後なら、言ってくれればまた遊んであげられるよ」
Я・E・Dは本気を引き出し、『ハンターさんのマスケット銃』を発動させた。
噴出した黒いオーラがマスケット銃の幻影を投射する。当然ひとつだけではない。大量のマスケット銃が火を噴くのだ。それは不死のはずの幻想種オオカミをも殺した弾丸のレプリカ。
「いっくよー」
「そのタイミング、もらった」
ヤツェクはЯ・E・Dがバシリウスの防御をブレイクする瞬間を狙い澄ましたようにホルスターから光リボルバー線銃『ベル・エレーヌ』を抜いた。
素早く数発発砲すると、宙返りをはさんで平たくなった地面に着地。
砂の降る中構えたギターで子供を盛り上げるようなヒロイックなミュージックを演奏し始めた。
「わっ、すごいすごい! こんなこともできるんだ! イレギュラーズって面白いんだね!」
目をきらきらとさせるバシリウス。
ヤツェクの演奏にも興奮気味だ。
そこへ更なる攻撃。
「今度はやらせねーぞ!」
洸汰はニッと笑うとバットを構え、バシリウスの砲撃とすら言えるような攻撃を防御。その後ろに防御の薄い仲間達をかばった。
「オレはコータ! ……なあ、ライバル。オレ達にとっておき、見せてくれよ。絶対返してやるからさ!」
「――!?」
バシリウスがあれだけ豪快に吹き飛ばしていたにもかかわらず、洸汰はその防御力とタフネスで攻撃を受け止め、しかも仲間を二人もかばって見せたのである。
「やっぱりおもしろいや……」
バシリウスはスゥ――と息を吸い込むと、金髪碧眼の少年の姿へと変化した。
「子供!?」
「けど竜種だ、気をつけろ」
「まって、来るよ!」
バシリウスは地面を蹴ると猛烈なスピードで突っ込んできた。
そのスピードをまんまのせたパンチが繰り出され、タイムは何重にも展開した魔術障壁と交差した腕でそれを防御しにかかる。
「つう……っ!」
先ほど洸汰に放った攻撃が地形ごと吹き飛ばすことを目的とした範囲攻撃なら、今バシリウスが放ったパンチは特定の単体を撲殺するための鋭く研ぎ澄まされた攻撃だった。
タイムのガチガチにかためた防御スペックがなければそのまま吹き飛ばされていたに違いない。いや、この鋭さからして上半身だけ無くなっていたかも。
「へえ……これも止めるんだ」
バシリウスがにやりと笑った。怖気の走るような、暴力的な笑みだった。
次の瞬間もう一度拳を振りかぶり――。
壊滅的な打撃だった。
こちらのアタッカーが殆ど潰され、かばうために走り回った洸汰たちは疲弊しきり、回復もすぐに追いつかなくなっていく。
トストはバシリウスが笑いながら放つパンチラッシュをサンショウオ型魔術障壁でギリギリ耐えているが、ごりごりと減らされる体力は相手のバトルセンスを感じさせる。
(だめだ、防御を無視した攻撃を織り交ぜながら連打してくる。付与効果もすぐに剥がされるし……このままだと全滅する!)
バシリウスにとって今は『とっても楽しいプレイタイム』だ。やめてといってやめてくれるとは思えない。誰も死なない平和なルールで遊ぼうと提案しても、それを飲んでくれるかは微妙だ。
なにしろ相手の目的(もといクリスタラードからの命令)はこちらを倒すこと。
逆にこちらの目的はバシリウスを撤退させることだ。この二つは決定的にかち合ってしまう。なのでもし全滅を免れるとするなら、『倒す』の定義を少なくともバシリウスの中だけでも曲げる必要があるのだ。
「いいのかい? バシリウス。このままやればおれはきっと死ぬだろう。もし生きて返してくれれば、また戦って(あそんで)あげられるよ」
「だめだよ! 倒せって言われたもん!」
バシリウスの強烈な前蹴りによって吹き飛ばされるトスト。岩に激突し、その岩すら粉砕した。
「どうかな。もう『倒されてる』んだけどな」
「えっ?」
トストが両手をあげ、降参のポーズをとってみせる。
その隙にタイムが他の仲間の様態を素早く観察した。
殆どの仲間は戦闘不能状態だ。帳に至っては意識を失っている。
「今回でおしまいにするのは勿体ないと思わない? これでもわたしたち、クリスタラードを練達から撤退させたことだってあるのよ」
七晶石を翳して『次にやればあなたにだって負けないわ』と胸を張ってみせる。虚勢も混じっているが、どうやらクリスタラードという言葉がバシリウスにはささったらしい。
うーんと考えるそぶりをし始めた。
良いタイミングだ。畳みかけてもいいし、この機に対話に持ち込んでもいい。聞きたいことがあるなら聞いておける最後のチャンスかもしれない。
オデットがそう察して手を上げた。
「ねえ、クリスタラードのこと怖くないの? すごい暴君ってイメージだけど」
「クリスタラードさまが?」
あはは、とバシリウスは笑った。
「確かに怖いひとだけど、いいひとだよ! だってパパとママのおうちを守ってくれてるもん! 僕にお仕事も暮れるし、うまくやったらご褒美もくれるんだ! 今日もイレギュラーズを『倒した』からご褒美をもらえるはず!」
「へえ……バシリウスから見るとそんなやつなのか」
カイトは意外そうに首をかしげた。アルティマの管理者たちからは常に恐怖の対象としてみられていたし、カイトもそういう目でしかみたことがなかったからだ。
が、同時にバシリウスに対して『危うい』とも思う。
クリスタラードに対して『ご褒美をくれる』『守ってくれる』という表面的な印象ばかりを語っているからだ。内心を行動によって隠している人間がよくもたらすイメージである。
もし彼が利用されているだけだとしたら……。
そこまで考えたところで、洸汰が『なあなあ!』と声をあげた。
「今度はこっちから提案があるんだ。すっげー楽しいことだぜ! 聞いてもらえないか!?」
「楽しいこと!?」
くいついた。
すぐに洸汰はバトンを千尋へとわたした。
前へと歩み出る千尋。
「俺たちはここで一敗! じゃあ次の勝負に参りましょう! コレでどうだ!?」
千尋が取り出したのは簡単なボードゲームだった。白と黒で挟んで裏返す単純な知力ゲーム。バシリウスはそれを見て首をかしげる。
「バトルじゃないの?」
「頭のバトルさ。他にも色々あるぜ。じゃんけんしたりカードで勝負したりな」
「え? そういうルールだったんですか!? よっしゃ!! 次は負けませんヨ!」
至東が話にまるごと乗っかってファイティングポーズをとってみせる。
なにせ本当に『殴り合い』が始まってしまったら死ぬ。全て投げ出して全力で逃走しなければならなくなるし、それでも逃げ切れるかは微妙なのだ。実際、前回の調査の際には必死に逃げまくってそれでも負傷者を出したくらいだ。
今の段階から同じだけの負傷をくらうと『生きて帰る』ことが難しくなる。
「うん、一緒に遊んであげる」
ベルゼーさんと会った後ならだけどねとЯ・E・Dが小声で付け足しつつ言うと、トストもそれに追従した。
ヤツェクに至っては気分が楽しくゆったりするような音楽を演奏しバシリウスの気持ちを解きほぐしにかかっていた。
「そういうことだ。拳を交わすだけが遊びじゃない。もしかして知らなかったのか? 滅茶苦茶に刺激的だぞ」
「そうなんだあ……」
バシリウスはうーんうーんと考えたのち、両手をぱちんと合わせた。
「わかった! じゃあ今日は帰っていいよ。僕はクリスタラード様に皆を『倒した』って報告しに行かなきゃだし、今度それで遊ぼうね!」
「ああ、そうしてくれると助か――いや、そうだね。今度は別のゲームで遊ぼう」
トストはにっこりと笑い、そして負傷し動けない仲間達に肩を貸す形で撤退を始めるのだった。
●もう一度
守護者であるバシリウスのはたらきか、それとも既に一度倒しているからか。
一同はなんとか仲間達のいる安全地帯まで撤退することができた。当然、道中に潜む亜竜たちの危険にひやひやとさせられたし、オデットの『凍狼の子犬』による偵察を行ったりトストのエネミーサーチを常時はりつづけたりと緊張の絶えない撤退作戦となったが、なんとか誰も死ぬことなく逃げおおせたのである。
「ふう……一時はどうなるかと思ったよ」
トストは人間形態になるとすとんとその場に腰を下ろした。
出迎えた呉覇たちがそのボロボロな様子に慌てて治療班を呼びつけ、アダマスやリュート、プルネイラたちも何があったのかと声をかけてくる。
帳はひとまず彼らへの事情説明を行ってくれているようで、その間にトストたちは次の計画について話し合うことになった。
「トランプとかボドゲとか持ってきたんだけど……今回は使えなかったね」
「大丈夫。話し合いは出来たんだから、次があるって」
そうポジティブに言うのはボロッボロの千尋である。
「勝敗にかかわらず別の勝負を提案するって作戦だったじゃん? けどあれは『一戦目』で俺たちが負けてたし、バシリウスの受けた命令と矛盾するから通らなかった分けだけど、この後だったらイケると思うんだよね」
「『この後』?」
タイムはきょとんと目を丸くして、そして思わず『ああ』と声を出してしまった。
「もうバシリウスは命令を遂行した後だから、今度こそお話し合いに持ち込めるってことだね!」
「そゆこと」
「バシリウス相手にバトルじゃラチがあかねーからな。けど仲良くなることならできると思うぜ」
『仲良くなる』ことにかけては自信ニキの洸汰。身体は傷だらけだが希望でいっぱいという顔で言う。
カイトはなるほどなと腕組みをした。
「俺たちはクリスタラードの所までたどり着きたい。あの場所を通して貰うための勝負内容をこちらから提案して挑めるってことか。それは収穫だなあ」
「どんな勝負だったらいいのかしら。こっちが一方的に有利な勝負じゃだめだろうし、まずバシリウスが乗ってこないとダメよね」
オデットがそう言うと、ヤツェクが楽器を撫でながら頷いた。
「そうだなあ。こっちの条件は相手を楽しませること……かもな。実際、勝ち負けはそれほど重要じゃあない。なにせ相手は力尽くでおれたちを追い出せるんだ。『ルール』に従う義理がないんだよ」
「だから、自主的に乗りたくなるルールを作る……ってとこだね」
Я・E・Dは『ベルゼーに会ってからのつもりだったけど』と肩をすくめた。必要なら、手段を選んではいられまい。
「話は纏まりましたネ」
至東はパチンと手を合わせ、笑顔を浮かべる。
「次のミッションは、バシリウスを楽しませること!」
成否
失敗
MVP
状態異常
あとがき
バシリウスとの戦闘に敗れ、撤退することになりました。
しかしその一方でバシリウスの興味を引くことが出来たため、再開した際には対話を求めることも可能になるかもしれません。
GMコメント
・成功条件:バシリウスの撃退
バシリウスに遭遇し、それを撃退することが成功条件です。必ずしも倒す(殺す)必要はなく、相手を撤退させられるならその方法は問われていません。
・オプション:バシリウスと対話を行う
●シナリオ前半
バシリウスのもとまでたどり着くにあたって、無数の亜竜との戦いが予想されます。
調査の際に発見、または観察した亜竜の情報があるので効率的にさばきながら先を急ぎましょう。
APの温存や適度な休憩など、バシリウス戦への備えをちゃんととっておくようにしましょう。
・パンツァードレイク
炎のブレスを吐くことの出来る四足獣型の亜竜です。
パンツァーというだけあってブレスの砲撃は威力が高く物遠貫の範囲を持ちます。
ただし狙いを付けるまでに予備動作があり、その間に倒すなりカバーにはいるなりといった対処が可能です。
・ガイアタートル
巨大な岩石を思わせ、ワニガメのような凶悪な外見をしています。
防御がひたすらに堅く、物理攻撃を無効化する特性を持っているようです。
ですが甲羅の内側はやわらかく神秘系の攻撃は防御しきれないようなので、倒すならまずソレとなるでしょう。
・ワイルドワイバーン
飛行能力に優れたワイバーン系亜竜で、嵐を纏って飛行します。
風を刃のように飛ばす能力ももち、まるで海鳥が魚を捕まえるかのように地上の対象を攻撃します。
ただし地上の対象にのみ狩りの能力が特化しており、対抗して飛行することができれば有利な戦いができるでしょう。
もしこちらに飛行戦闘ができる仲間がいない場合、一か八か突っ込んできたところを殴り倒すというワイルドな戦法も有効です。
・デミドラゴシャーク
堅い鱗と鋭い牙を持った水棲の亜竜です。
通り道にある大きな川に生息しており、数は少ないものの泳ぎの苦手な者にとっては非常に厄介な敵となるでしょう。
ですが泳ぎが得意な仲間がいるなら、特殊抵抗力の低さという弱点もあるため水中戦に持ち込んで素早く撃破してしまうことが可能です。
●シナリオ後半
バシリウスとの直接対決になります。
少年形態とドラゴン形態の両方をとることができるバシリウスは推定でも将星種『レグルス』並の強さがあり、パンチ一発で地面を爆破するかのようなパワフルな攻撃が可能です。
また体幹も強くこちらの攻撃によって揺らぐ様子が全く見られませんでした。
メンタルは子供のように幼く純粋であるため、ヘイトをぶつけるような挑発は効果が薄い一方、戦いそのものに楽しみを見いだしている様子がうかがえます。もし攻撃を引きつけるなどする場合は、怒りを買うやり方よりも戦いを楽しませるやり方のほうが効果的でしょう。
成功条件にも示しましたが、バシリウスはクリスタラードへ至る道の守護者であり、いわゆる門番です。彼を退けることができればクリスタラードへの道が開けるといっても過言ではありません。
そういった意味で、倒す(または殺す)必要自体はないようです。そも、この強さの個体を殺すことはかなり難しいのですが……。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
Tweet