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シナリオ詳細

再現性東京202X:『むぅ、あれは呪いのビデオテープじゃ……!』『ビデオテープって何ですか?』

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「むぅ、助手よ……見よこのビデオテープを!
 近頃巷で噂の呪いのビデオテープじゃ……!」
 再現性東京。その一角に住まう、ある博士は手にビデオテープを持っていた――
 彼が告げた様にただのビデオテープではない。『呪い』が宿っているのだ。

 このビデオテープを視聴すると中から夜妖が這いずり出てくるという。

 そして視聴している者を襲いビデオテープの中に閉じ込めんと引きずり込んでくるのだとか……ビデオテープの破壊を試みても不思議な力で守護されていて異様に堅牢。傷一つ付ける事すら難しいのも『呪い』である由縁の一つだ。
「ええ。じゃあ捨てればいいじゃないですか」
「しかし一度入手すると、何度捨てても手元に戻って来るらしい……
 そしてある日、目を離した隙にビデオテープが再生されるとの事じゃ。つまり――」
「呪いが発動するまで、もう遅かれ早かれと言う事ですか……
 なんでそんなもん手に入れちゃったんですか」
「いやこの前居酒屋で酔っぱらってゴミ捨て場漁ってたらなんか見つけて」
「またそうやって変なの拾ってくる。この前も野良猫拾って来たじゃないですか!
 いい加減研究室にモノを増やすの止めてください! 次は捨てますからね!」
「イヤダー! みーちゃんはもうウチの子じゃ――!!」
 みーちゃんを抱えながら駄々をこねる博士。『ごはんマダー?』と甘く鳴くみーちゃんは呑気……なのはともかくとして。とにもかくにもビデオテープをどうしたものか。噂が本当なら一刻も早く対処しなければならない……
 ――そうだ。こういう時こそカフェ・ローレットの力を頼るべきだろうか。
 呪いの品と言えど、中から出てくるモノをぶちのめせばどうにかなるかもしれない。
 早速カフェ・ローレットに連絡を取らんと助手は駆けん……として。
「あっ。ところで博士」
「んっ?」
「このビデオテープって何ですか? 新しく開発された最先端の再生機器ですか?」
「いきなり怖い話してくるのやめるのじゃ」


 ――そんなこんなで集められたイレギュラーズ達。
 依頼の目的はシンプルだ。呪いのビデオテープを再生し、中より出でる夜妖を撃破してほしい。様々な情報を集めて推測した所、これはテープの中に複数の夜妖が宿っているとの事。一般人であれば成す術もないだろうが……イレギュラーズなら話は別だ。
「うう。みーちゃんを残しては死ねぬのじゃー! 頼んだぞ、皆よ!」
「呪いのテープは深夜0時に再生される様にセットしてあります……
 皆さんは準備を万端に整えてください」
「ちょっと待って。なんでそんなわざわざ深夜スタートになる様にしてんの?」
「えっ。だってホラー映像って大体深夜に再生するものでしょう――?」
 雰囲気を重視するな雰囲気を。ツッコミたくなるが、まぁ依頼人だから良いとしよう。
 ビデオテープは再生させると中から人影がやって来る。
 ――それを迎え撃つのだ。容赦する事はない。敵は魔物、いや夜妖なのだから!
 思わぬ迎撃を受ければ夜妖は思わず退散するだろうが――しかしそこで終わってはいけない。夜妖が此方にやってくる時、ビデオの中と現世が入り混じる……つまり!
「逆に映像の中に侵入する事も可能になるという訳か」
「はい。中に辿り着いたら滅茶苦茶に暴れてやってください。
 ガソリンぶちまけて火でもつけたら最高ですね」
 やだこの若い助手さん、過激な事言ってる……
 まぁ外部からの攻撃には強い呪いのビデオも、内部からの攻撃にまで強いとは限らない。徹底的な破壊をすればビデオ事態が損傷する事もあり得るだろう――そして、幸いにしてまだ0時までは時間がありそうだ。ガソリンなりなんなり準備する暇は十分にあるだろう。
 ホラーものだったら恐れ慌てふためく所だが……
「今回は追い詰められるホラーじゃなく、アクションものと行こうか――」

GMコメント

●依頼達成条件
 呪いのビデオテープの破壊!

●フィールド
 シナリオ開始時は、小規模な部屋から始まります。
 中央には古いブラウン管テレビと、テープを再生するための機器やらがあります……0時になると自動的にビデオテープが始まり、中から夜妖が現れる様です――!

 なので準備万端に待ち受けてボコボコにしてやってください!

 夜妖を迎撃すると画面の中に逃げていきます。
 そうすると画面の中まで追っていけますので、今度はそこで暴れまくってください。ええ、何しても構いません。内部で暴れる事により呪いのビデオテープを破壊できるのです――!

 ちなみに画面の中は薄暗い森の中になっています。古そうな井戸とかもあるかも。
 当然ですが夜妖以外の一般人とかはいませんので、被害を気にする必要はありません。

●敵戦力
・夜妖×10体
 呪いのビデオテープの内にいる夜妖達です。
 皆さんビデオテープはご存じかと思いますが……えっ知ってるよね? えっ?
 とにかくビデオテープを再生すると夜妖達がいる特殊な空間と通じるのです。
 なんかホラーものに出てきそうな外見の者達です。
 黒髪長髪の女性、髪が勝手に伸びる人形、ゾンビっぽい奴、悪霊タイプ……

 全員ボコボコにしてやりましょう!

●依頼人達
●博士
 呪いのビデオテープを酔って拾っちゃった人です。
 何の博士なのかは不明です。人間がどれだけアルコールに耐えれるか(自分で)実験してるとかしてないとか……飲んだくれ? 違うのじゃ! ていうかそれよりビデオテープ……知ってるじゃろ皆? そうじゃろ皆!?

●助手
 博士の助手である若人です。ビデオテープってなんですか?

●みーちゃん
 ちょっと前まで野良猫だった子です。懐いてて甘えてきます。『オヤツまだみー?』

●情報精度
 このシナリオの情報精度はV(ideo)です。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。ビデオテープってなんだろ?

  • 再現性東京202X:『むぅ、あれは呪いのビデオテープじゃ……!』『ビデオテープって何ですか?』完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年03月31日 22時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
華懿戸 竜祢(p3p006197)
応竜
御子神・天狐(p3p009798)
鉄帝神輿祭り2023最優秀料理人
メリーノ・アリテンシア(p3p010217)
そんな予感
琉・玲樹(p3p010481)
テア・アナスタシス(p3p010620)
特異運命座標
ルトヴィリア・シュルフツ(p3p010843)
瀉血する灼血の魔女

リプレイ


「ん~……暇じゃのー……そうじゃ、うどんでも茹でるかの。
 くっくっく。知っておるか――? 深夜のうどんの味を。
 罪深き味よ。遥か古代、蛇は人間にうどんを勧めたという伝説もあるぐらいで」
 これが全ての始まりであった。0時にまではもう少し時間があると『鉄帝うどん品評会2022『金賞』受賞』御子神・天狐(p3p009798)は研究室の一角で堂々とうどんを茹で始める。ダメだ危険だ! 深夜のうどんなんて大罪だ――!
「ううん、天狐ちゃんおうどんおいしいわあ! はー! この温かな出汁も染み渡るわね~♪ 天ぷらも持ってきてるわよぉ。ルトちゃんも食べるぅ?」
「ありがとうございます、じゃあこのエビを……ふぅ。身も心も満足しますね……それにしてもびでおてえぷ。改めて凄いですねえ、魔術による記録とは違う、保存性もまあまあ良い記録媒体……こんなものがあるのが練達とは……もぐもぐ……」
「ふりぁのんでは、そういふのなふぁったからなぁ。すごいふぁ。
 はふはふ。もぐもぐ、おいしぃ」
 だけどもう止められない。『狙われた想い』メリーノ・アリテンシア(p3p010217)に『瀉血する灼血の魔女』ルトヴィリア・シュルフツ(p3p010843)、琉・玲樹(p3p010481)は良い香りのして来たうどんの誘惑に身を委ねるのだ――旨い~! 特にメリーノなんてお腹空いてたからいっぱい食べるのだ!
 其れと同時にルトヴィリアは視線をビデオテープ側に送ろうか――
 興味深いものだと。生まれた時代にはこんなものは無かったというのに、感服だ。あ、うどん四杯お願いします。なんなら鍋ごとでも……え? 他の人の分もあるからダメって? はい……玲樹は『ビデオテープってなんだろ?』と考えている真っ最中だが、思考がすぐにおうどんに上塗りされる。
 四角い箱に景色が映るなんて本当にびっくりだが、驚いて心臓が跳ね上がっていてはいけない。とりあえずうどんを食べて0時まで落ち着かなきゃ。
「しかし、未だにビデオテープなんかが有るとはな。しかも結構皆知ってるみたいだし。
 一体どれだけ前の……まぁ練達なら色んな世界や時代が再現されているから当然か」
「ああ久しく聞いたものだ――が。何故、よりにもよって呪いとして宿ったモノがソレなのかは理解ができないな。遡れば壁画にプレートに紙、現代であればディスクと沢山あるだろうが……まぁ結局は偶然、と言う事なのだろうかな」
 更に『侠骨の拳』亘理 義弘(p3p000398)や『応竜』華懿戸 竜祢(p3p006197)もうどんの御相伴に預かろう。くそ、こいつら全員うどん食ってやがる! 何の依頼だこれは!!? 天狐ォ!!
 ともあれビデオテープを懐かしむ者達もいるものだ。今や再生機器が残ってるかも怪しいビデオテープにわざわざ取りつくとは非効率が過ぎないか、と竜祢は思うものだが……まぁいい。なんか夜妖達もコレが良かったんだろう。
 さて部屋にうどんの匂いが充満する夜の頃合い。
 まだもう少し時間がありそうだ――が。
「ふっふっふ。こんな事もあろうかと――用意していたわよ! 往年の名作! 『か井奇! パンツが詰め込まれた部屋に住まう夜妖24時』とか『ショーシャークの空に』とか『頻尿のロボット図鑑』とか色々ね!!」
 依頼開始まで暇つぶ……効率よく時間を使う為に『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は練達のホラー映画とやらをいっぱい借りて準備してきたのだ!! おおこれは間違いなく迷作……名作の数々! ショーシャークの空にの、雨の代わりにシャークを浴びてるポスターは最高ですね! でもこれらってホラーはホラーでも違うタイプの……
「細かい事はいいのよ! さぁうどん食べてごろごろして時間まで待ちましょ!」
「お仲間さんも連れてきたのでバッチリなのです。テレビの中から遊び相手がくるの、楽しみなのです……ところで、びでおてーぷって何ですかなのです?」
 天狐、私にも一つ! とうどんを取りに行くイーリン……もとい今宵は希望ヶ浜中等部所属の『伊鈴』は映画見る気満々だ。くそぅ誰も彼もおうどんに染まりおって……!
 一方で首を傾げる『特異運命座標』テア・アナスタシス(p3p010620)。うう、ビデオテープを知らない世代がこんなに……! 依頼人の博士は隅っこで泣いていたとかいないとか。


 そんなこんなで伊鈴の持ってきたホラー映画見たり、おうどん食べたりして思い思いに過ごしていた面々。だが、やがて目的の0時が迫って来るものだ……時計の針が刻一刻と進み――そして。

『ぁあ……ァアアアアア……!』

 テレビに映像が灯る――誰が操作していなくても、だ。
 井戸が映っている。情報通り、そこから画面へと夜妖が迫って来ている――!
「博士、これは一体……!」
「むぅ! これは……知らん! こわいよぉ!」
 故にとりあえず言いたかった玲樹は博士へと疑問を投げかけるものだった。そうだね、怖いね! と言う訳なので――
「怖いのは速攻排除せねばな――そもそも食事中に襲来とは実に無粋な輩どもだ」
「ホラーかと思ったかえ? 残念ながら今宵のジャンルはコメディじゃ!!
 くらえ、新ジャンル『UDON』!! 全米が泣いたってヤツなのじゃ――!」
 速攻で攻撃ぶちこんでいく竜祢に天狐!! 出てくるまで律儀に待ってやる必要などないとばかりに片っ端から切り刻んでやる――! 天狐はビデオカメラを起動した上で、記念記録しながらその手には……
 そう。先程作っておいたうどんを強火で煮て準備完了していたモノが――握られていた! えっ? これをな? こう振りかぶっての?
「こうしてこうじゃ――!!」
『ギィィィィ――!!?』
 出てきたオバケの口へ激熱うどんをぶち込んでやる。
 オラオラどうしたんじゃホラーしに来たのなら、意地を見せんかい。のぅ!! もののついで。周囲におうどんの幸福加護をも振りまいておこうか……ふっ。これがあれば、夜妖達への備えなど万全よ……!
「まさかあっち側もいきなりうどんの洗礼を受けるとは思って無かったろうな……ま、人を呪わば穴二つ、ってな。呪い仕掛けようとしてきたのはそっちが先だ――うどんぐらい、呪い返しだと思って納得しな」
 次いで義弘は夜妖への攻撃の際、無駄な損害がブラウン管テレビやビデオデッキに及ばぬ様に連中を引き剥がしてやるものだ。彼の膂力に掛かればホラー特化の夜妖など抵抗出来ようか――! 更に。
「ポマード! ポマード、ポマード、ポマァアアド! べっこう飴!!
 ……なんで効かないのよ!? え、違う。別の怪異? じゃあえーっと」
 ――スカーレットな部屋は好き?
 続け様に伊鈴は満面の微笑みを顔に張り付けながら泥の槍をぶち込んでやった。
 ぎゃー! うどんの次は泥――!? 熱いやら汚いやらで飛び跳ねるように暴れる夜妖……を、逃さずに腹パン追撃。オラ、オラ。末尾に名前を加えてやるわよ。
 容赦のない攻撃が続く。このイレギュラーズ達ガチである!
「うどんと併せてこちらもいかがでしょうか、さぁさご遠慮なく」
「えと、えと。いらっしゃいなのです? え。押し込んだ方がいいなのですか? それじゃこう、えいえい!」
『ピギイイイイー!!』
 更にはルトヴィリアもうどんを一端置いて――直火を浴びせてやろうか。”てれび”とやらから出てきた夜妖にはきっとこれが効きます。じっくりコトコト夜妖~うどんを添えて~
 良い感じに茹で上げたらテアは押し返さんと槍で夜妖を押し込もう。
 さすれば甲高い声を挙げて思わず逃げ出さん――とするが。
「まぁ待て、お前たちはホラー映画の顔と呼ばれているらしいな?」
 竜祢が逃さない。壁に押し付けて耳で囁く様に――呟くソレは。
「だがこの通り私は怖がっていない。つまり、お前はもっと怖くなれるわけだ。『怖さ』の本領はもっと別にあるのだろう? くくっ、さぁもっと私に見せてくれ! 顔としての『誇り』を! 輝きを! 呪詛か? 人間離れの容姿か? 行動か? なんらかのポルターガイストか? 何でも構わないさ、お前の全身全霊を私に見せてみろ! 私を怖らがせてみろ!」
『キ、キエエエエエエ!!!』
 彼らの本気を求める心。然らば夜妖は力の限りを振り絞る――
 生じるのは部屋への異変! 物が勝手に動き、竜祢の横っ面に直撃しようか。さすれば。
「……ふむ、いい物を見せてもらった。
 成程、これが幽霊の力か――十分評価するに値しよう。では死ね」
 滅ぼす。今度は断末魔すらあげさせずに、あぁ刹那なる時の中で!
「ふふん! またお化けちゃんと遊べるわぁ! 今度は何して遊んでもらおうかしらぁ!
 いーっぱい考えてたのよ! お化けちゃんと遊べるこの日の為に!!」
 お化けちゃん『と』遊ぶのか。それともお化けちゃん『で』遊ぶのか……
 更に目を輝かせるメリーノが赴くものだ。テレビから出てくる連中をポコポコもぐら叩きしてる間も、彼女はおうどんと持ち込んだ天ぷら楽しんでた。でももぐら叩き終わったっぽいなら……うんうん今度は運動の時間ねぇ!
 テレビの中なんて初めて行くわあ――だから。
「絶対かっこいいからこれにしようと思った」
 わぁ! これゴーストバ……げふんげふん! ファントムバスターの格好だ!
 背中にバックパックの様な大きなモノを背負って、いざやメリーノは往く。
 さぁ遊びましょうね――お化けちゃん達ィ!


 夜妖は想定外の反撃に堪らずテレビの中に逃げ込んだ。
 なんだあの人間共は――我々が怖くないのか――?
 だが、ふぅ。テレビの中にまで逃げ込んでしまえば流石に……

「すごい! 本当に中に入れちゃったよ。いえーい!
 博士とみゃーちゃん、助手さん見てるー?」
「いぇーいいぇ~~い! 録画映ってるー?
 今からホラーな世界を……パリピにしちゃいま――す!!
 ミュージック、スタァートォ! 面舵いっぱーい!」

 ぎゃああああ玲樹と天狐が躊躇なく追って来たあああああ!!
 ていうかイレギュラーズが次々と襲来している! 怖がる所か、画面の外に向かってピースしてるレベルだ! さ ぁ 覚 悟 し ろ 。変わらずうどんアタックを仕掛けてくる天狐に、夜妖はもう戦々恐々だ! 感動して走り回る玲樹は、さて――眼前に見つけたは井戸である。おお、何が出てくるかと思っていれば噂の髪の長い女性が……!
『アァ……アアアアア!』
「……え、違う。違うよ。俺が見たのは井戸からサメが出て来るポスターだったのに……っ! 違うよ、やり直して! ほら早く! 井戸に戻って、サメ連れてきて!! サメ以内なら着ぐるみでもOKににするから早く――!!」
『アァアアア!!?』
 でも違った。玲樹の期待するソレではなかったのだ――!
 ぷんぷん! 頬を膨らませて起こる玲樹は暴れ回る。
「困った……この井戸から出てくる映画、私知らないのよね。解説頼める?」
「ああ……俺の世界のと同じヤツなら、呪いのビデオでな。一言で言うと映像見た奴を七日後に呪い殺すって話でな。どう足掻いても逃げ切れねぇ怖さが売りの映画なんだよ――」
「え、すごいホラーじゃないの! 見てみたいんだけどそれ! うーん、アレかしら? 時々聞いた事ある『ジャパニーズホラー』ってヤツ? いいわねぇ、科学と超常現象の融合、まさしく練達ならではのロマンと文化だわ!」
 次いで伊鈴と義弘が語らいながら夜妖をぶちのめす。片手間ついでにぶちのめす。
 え、なんで怯えないのかって? そんなん言われても、普段から数多のトラップや霊魂と意思を疎通させる術を使ってるのに今更幽霊来ても……義弘にしてもうどんぶちまけられてる幽霊なんて、最早怖がるとか以前に困惑の感情しか浮かばない。
「……しかしあれだな、俺が向こうにいた時代でも割りと昔から見るような奴等ばかりだな。多分これは……こちらに来てしまった連中のイメージから生まれてんだろうな。それなら理屈として納得もいくもんだ」
「おぉ、おぉ……沢山の種類が。こんなにもより取り見取りいるものなのですね……!」
 とりあえず夜妖共を義弘はぶん殴り続けようか。そうしていればルトヴィリアは目を輝かせるものだ――人の記憶とかに潜り込んだことは何回かあるが、機械の中の空間とは中々奇妙。
 おお、上半身だけなのに足音がするお化け。
 おお、なんだかすごく白い子供。
 おお、髪が長くてよたよた歩くじゃぽねーぜほらぁな……?
「――さぁちゃんずいぶんやさぐれたわねえ」
 と、その時だ。髪が長い個体に対し声を掛けたのは――メリーノ。
 にっこりと微笑んでいる。まるで知り合いを見るかのように……
「だめよぉ他の人に迷惑かけちゃ。悪い子はみんな懲らしめちゃうんだから!」
「待ってメリーノさん、それ多分別人というか異聞的なあれ! あ、あ、あー!」
 バキュームスイッチ、ON!
 ルトヴィリアが止める暇もなくメリーノは吸い込む――ふふふ某マシュマロの如く~!
「あっねえ! 伊鈴ちゃん! あそこに、あれよ! 全身にオキョウ? 文字書いてる人みつけたわぁ! あれは吸っていいもの? それとも叩いて良いもの? ダメ?」
「愚問ね――こういう時はアレよアレ。呪文唱えながら行くのよ。
 そう、定番台詞! 『くたばれ、化け物!』ってね!!」
 ダメだ伊鈴もメリーノを止めるつもりはない! うわあああ!! 次々と打ち破られていく夜妖達。うどんぶっかけられたり吸われたり物理的に殴られたり大変だ!
「一緒に遊びましょうなのです! 鬼ごっこなのですか? 楽しみなのです!!」
『ヒイイイイイ!!』
「待て待てーなのです!」
 更にテアもお仲間さんを抱えて鬼ごっこ、いやかくれんぼ実行中!
 邪魔な障害物――木々をどんどん破壊しながら探していくのだ――
 えっ。遊び相手が巻き込まれたらどうするかですの?
「ちゃんと解釈はするので大丈夫なのです。任せるのです」
 こわっ! 怖いよぉ、このテア怖いよぉ!!
「真っ白い坊やもいるわあ! すっごい美白……羨ましいわぁ……
 えーい! みんな吸っちゃえばいいのよぉ!
 悪い子はないないしちゃいましょうねぇ!」
「ここにいる怪異の誇りを見れずに終わるというのは残念だが仕方ない。
 人に害を成すのであれば見過ごせないしな……
 このような人の未来を奪うような呪物は早急に壊すとしよう」
 メリーノの動きに次いで竜祢も参戦。夜妖共を切り刻んでいこうか。
 もうダメだ。既に気概からして圧倒されている夜妖達に抗える道理はない。
 ――その上で。
「しかしまぁ陰気な森じゃのう! ちょっと灯りが足りないと思うんじゃが?」
「奇遇だな――俺もそう思っていた所だ。と言う訳で用意したのがコイツだ」
 夜妖共をボコボコにしていた天狐の言に、義弘はあるものを見せた。
 ――灯油だ。
 え、これ何に使うかって? もう決まってるでしょ――? 枯れ葉の近くにぶちまけて。

 派手に燃えるがいいや――!!

 キャンプファイヤー・スタートッ!
 内側から焼かれる。ビデオテープが、損壊する――!!
『ノォォォォオ!!』
 夜妖達の断末魔。同時にイレギュラーズ達は脱出する。
 あぁ人々を呪うはずだったホラーの産物達よ……
「今度はサメが出てきてよね! 井戸からサメが、こう、ドーン!! って出る奴! 来週見に行く予定のを前倒しで体験できるはずだったのに、期待を裏切った罪は――大きいからね!」
 そんな彼らには、最後の最後に玲樹のクレーム入った。そんなー!!


 ――と言う訳で最後は完全に燃やし尽くしてテープは破損。
 無事、依頼は達成できたのである――!
「安心して成仏するがよい――
 さ。博士達から依頼料も受け取った事じゃし、皆で駅そば食うかのー」
「わあ、俺も駅ソバ食べたい! 運動したからまだまだお腹に入るよ!
 うんうん丁度いい時間だよね!!」
 天狐に玲樹が一応手を合わせて成仏を祈れば……さてしかし腹が空いてきたものだ。先程はうどんを食べた事だし、今度は趣向を変えてそばでも食べに行こうかと――
「ふー……すっきりしたわぁ。深夜に暴れるとおなかすくのよね。
 駅そばなら、そうね。たしか美味しいお店があるって聞いた事あるわ」
 然らば伊鈴……いや呪い除けはもういいか。イーリンは呟くものだ。
 オススメのお店を。そこは。

「キサラリ駅っていうんだけど――」

 …………んっ?
「二次会はキサラリ駅? いいわね、聞いた事ない駅だけど! おそば食べましょ!」
「全部終わったら解散かと思ったが、なんだ、蕎麦を食いにいくのか? なら俺も付き合おうかね。キサラリ駅ってのはこっから近いのか?」
「キサラリ駅? ふむ、私も同行しよう。美味な駅そばである事を期待しているよ」
 メリーノに義弘、竜祢も同意するものだ、が。ちょ、ちょっと待って。
 なんか聞いた事がある駅名だぞ。その駅ってちょっと……ヤバくない?
「司書さん、ご飯食べに行くのですか? ワタシもご一緒しますなのです……あ、キサラリ駅知ってますなのです、異界を渡る電車が止まる駅なのです! たしかどっかの駅から行けるって……ん、違うなのですか?」
「ははは。そんな心霊現象ある筈がないじゃない――
 だいじょうぶよいきましょいきましょ」
 付いていくテア。ちょっと待って大丈夫? 今語ってるイーリン、本当にイーリン?
 そしてルトヴィリアは見た。なんぞや、人気のない不思議な駅を――
「……一応帰り道を覚えておくようにはしておきますか」
 ――その後、一同は美味しい駅そばを食べて帰ったという。
 だがどこからどう動いて、どう帰ったかは――記憶が定かではないとか。

成否

成功

MVP

御子神・天狐(p3p009798)
鉄帝神輿祭り2023最優秀料理人

状態異常

なし

あとがき

 依頼お疲れさまでしたイレギュラーズ! あれ、これうどん依頼だっけ……???
 キサラリ駅でも楽しかったですね! たのしかったですね!! ありがとうございました!!

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