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シナリオ詳細

<帰らずの森>その轟音は大地を揺らす

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●地響き、地震
 大地が揺れる。
 グラグラと、振動が全てを揺らす。
 それは地震、だろうか? 大地の怒りとも呼ばれあらゆるものを崩す地震。
 そうであれば過ぎ去るのを耐えて待つしかない。
 しかし、これはそうではない。ズシン、と。確かな足音と共に大地が揺れている。
 恐るべきことに、これは何者かが歩くことによって起きているものであるらしい。
 しかし、何者が?
 歩くだけで地響きを起こすとなると、相当に巨大なものであるはずだ。
 ……かくして、それは確かに存在していた。
 全長15mに及ぼうかという大巨人。まるで古い岩山か何かのように古びて、その上に木すら生えているストーンゴーレム。
 いや、実際岩山か何かのように動かずにいて、それが動き出したのかもしれない。
 そうした話は、覇竜の幾つかの集落にも残っている。
 動く岩山、千年巨人。ただ過ぎ去るのを待つのが良いとされていたソレは……どうやら、何かが非常に気に入らないらしい。
 それはあるいは、千年巨人の周囲を飛翔するワイバーンの群れと何か関係があるのだろうか……?

●千年巨人を鎮めよう
「地震の原因を鎮めてきてほしいんじゃよ」
 そんないきなり無茶なことを言い出すジジイは『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)。
 しかしながら説明をすっ飛ばしただけであり、実際には……やはり多少の無茶は含むが、解決できる範囲であったのだ。
「ここ数日、フリアノンから少し離れた場所で地震が起こっておるんじゃが……その原因が千年巨人と呼ばれるゴーレムでのう」
 その千年巨人、ここ数十年ほどは全く動かずにいたらしく、恐らくは覇竜で冒険している中で気付かないうちに動かない千年巨人に会った者もいるであろう、そんなモンスターであった。
 まあ、万が一覇竜でヤンチャする者がいたら千年巨人を相手にすることになっていたかもしれないが……本来はそのくらいに動かないモンスターなのだ。
 しかし、そんな千年巨人の1体が動いている。その理由はどうやら、ワイバーンであるらしいのだ。
「近頃の話は知っておろう? どうにもそれに影響されたんじゃないかと思うんじゃがな」
 そう、帰らずの森とも呼ばれるピュニシオンの森への探索。
 その影響は大きく、モンスターや亜竜が興奮したように動き出す現象も多く報告されている。
 ワイバーンたちもその例に漏れなかったようで、暴れているうちに千年巨人の機嫌を損ね、そのままやり合っているのだろう……というのが大方の予想であった。
 事実ワイバーンたちは千年巨人を攻撃し、千年巨人はワイバーンを攻撃しているようであった。
 まあ互いに相性が悪いので簡単に決着がつかないようだが……千年巨人が暴れれば地震が起こる。
 その影響で他のモンスターに影響が波及したり、他の岩山が崩れる可能性だってある。
 そうなればどうなるか、もう誰にも分からない。だからこそ、此処で止めなければならない。
「恐らくワイバーンをどうにかすれば千年巨人も鎮まるじゃろう。そうすれば万事解決じゃな」
 そう、何も千年巨人を相手取る必要はない。ワイバーンをどうにかすることでこの事件は解決する。
 まあ、問題があるとすれば千年巨人も別に味方ではないということだが……。

GMコメント

フリアノンから少し離れた岩場に行き、ワイバーンを倒しましょう。
ワイバーンを倒せば千年巨人も鎮まり岩山に擬態をするので、それで事件解決です。

●出ているモンスターなど
・ウインドワイバーン×8
風の力に特化したワイバーンです。
風の刃を放つカマイタチや、暴風のブレスを使用するようです。
ある程度のダメージを与えると興奮も収まり逃亡します。

・千年巨人×1
普段は岩山に偽装している巨大ゴーレムです。本当に千年生きてるかは個体によるみたいです。
巨大な腕でのパンチ、巨大な足でのキックの他に大地を力強く踏むことによる地震を発生させます。
馬鹿みたいにタフで馬鹿みたいに攻撃力が高いので、積極的には敵に回さない方が良いでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <帰らずの森>その轟音は大地を揺らす完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年03月27日 23時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
ユイユ・アペティート(p3p009040)
多言数窮の積雪
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
祈光のシュネー
ファニー(p3p010255)
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚

リプレイ

●震源地へ
 グラグラと、地面が揺れる。まるで地震と勘違いしそうになる、そんな揺れだ。
 実際に地面が揺れているのだから地震と言っても間違いではないのかもしれないが、原因は天変地異などではない。
 ウインドワイバーンにより安息を乱された、たった1体のモンスター「千年巨人」による影響なのだ。
「山に擬態して静かに暮らしていた千年巨人がワイバーンがいるせいで暴れる羽目になってしまっているのはなんとも言えないな。ワイバーンを早く追い払って、再び静かに暮らしていけるようにしよう」
「ぐらぐらゆらゆら。地震は、とってもとっても困りますね。ずっとずっとそこにいたもの……ニルももしかしたらどこかで会っていたのでしょうか? 千年巨人様が穏やかになれるように、ニルはがんばりますね」
 『優穏の聲』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)と『あたたかな声』ニル(p3p009185)も頷く。
 千年巨人。そう、岩山に偽装していたソレが起き上がり暴れていることで、地震が断続的に起こっているのだ。
 早めに落ち着いてもらわなければならないのだが……。
「千年巨人か……解析し甲斐があるわね」
 そんなことを言っているのは『狐です』長月・イナリ(p3p008096)だ。
「どんな構造で活動しているのか、どんな挙動をするのか、戦闘が終わったらじっくり観察してみましょうか。ワイバーン? ……それは多少はサンプルがあるから不要ね。まぁ、胃を引き裂いて内容物の確認くらいはしようかしらね?」
 何やら物騒なことを言ってはいるが、覇竜の生態を知る上では観察などのサンプル収集は大切だろう。
 千年巨人のその巨体はまだ遠く離れている場所からでも見えており、断続的に起こる振動が地面を揺らしていた。
「ああ、また揺れたわね。確かにこれは問題ね」
「ワイバーンのせいで、千年巨人さんが地震を……追い払って、巨人さんに鎮まってもらうね。みゃ」
 イナリに『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)は飛行しながらそう言うが、実際この程度の揺れであれば飛行するのは良い方法であると言えるだろう。
「この距離からじゃまだ対話に挑戦するにも遠いな。もう少し近づかないとな」
「私たちの行動による影響なら、私たちが責任を持たないと。伝わるかはやってみないとわかりませんけれど……」
「一応、千年巨人とはコミュニケーションはとってみるつもりっスけど、言葉って通じるんっスかね……?」
「ま、そこはひとまずトライだ」
 『Stargazer』ファニー(p3p010255)と『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)、『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)もそう言い合うが、そこはやってみなければ分からない。
 まあ、失敗したところで「なんか人間が鳴いてる」程度の反応だろうから、チャンスが増えるだけ良いとも言える。
「帰らずの森へ探索でこんなに影響が……って巨人さんデッカイな!? コラー! そんなのに手ぇ出すのやめときなー!」
 『多言数窮の積雪』ユイユ・アペティート(p3p009040)はウインドワイバーンに叫んで声をかけてみるが、この距離では聞いていて無視しているのか聞こえていないのか、その辺りも不明だ。
「まあ、後者かな……もっと近づかないと何も出来そうにないね!」
 ユイユはそう言いながら、更に近づいていく。近付けば近づくほど震源に近くなるということであり、千年巨人のその威容も明らかになっていくが……怯んでいる暇はない。
「よぉく観察を。詐欺師のオシゴトも戦闘も、まずは観察! さ!」
 そう自分に言い聞かせながら、ユイユはしっかりと千年巨人を観察する。
 事件の解決にはそれもきっと役に立つ。この場を収めるための情報は、いくらあっても足りないのだから。

●千年巨人を鎮めよう
「オレたちは敵じゃないっスよー!」
 ライオリットは疎通系のスキルによる会話は他の仲間に任せて、単純に聞こえていないという可能性も加味してスピーカーボムで話しかけてみていた。
「オレ達は敵ではないこと、協力してワイバーンを倒す旨を伝えられれば十分っス。ま、それでなくともやりようはあるっス」
 近くに寄ってみると、千年巨人が本当に巨大であることがよく分かる。何しろ岩山に偽装しているのだ、その大きさは尋常ではない。千年巨人だと気付かずに登っていた……なんて話に事欠かない相手だが、それもよく分かるというものだ。
 もっとも、本当に千年生きているかは個体によるらしいが、目の前の千年巨人は本当にそれだけ生きていそうな巨体だ。
 そんな千年巨人にウインドワイバーンが襲撃をかけている姿は、やはり普通とは思えない。
 千年巨人の拳を回避し飛ぶウインドワイバーンの興奮は収まる気配を見せていない。
「巨人さん。平和を乱してごめんなさい……! 必ず何とかしますから、どうか安心してください! ワイバーンさんも興奮させてごめんなさい。住処や命が脅かされていたり、困っていることがあるなら教えてください、力になります。だから落ち着いてください……!」
「俺様たちはおまえに協力する! ワイバーンはなんとかするから、怒りを鎮めてくれ!」
 ユーフォニーが動物疎通で呼びかけ、ファニーが精霊疎通で呼びかける。そして更にニルが無機疎通で呼びかけていく。
「ニルたちはあなたを助けに来ました! ニルたちは敵じゃないですよ」
 その幾つもの呼びかけに千年巨人が僅かに光る眼を向けるが、すぐに視線をウインドワイバーンへと戻す。
 どれに反応したのかは分からないが「何か言っている」と感じたのは確かだろう。となれば、この呼びかけには確かな意味がある……!
「今からワイバーンを追い払いますね。千年巨人様のこと、ニルたちは傷つけないのです」
 一緒にワイバーンを追い払えるといいのですけど、とニルは呟くが……そこまでの信頼関係を築くのは今は無理だろう。
「よし。千年巨人は私達の事を味方とは認識していないだろうが敵とも思っていないだろう」
 こちらから敵対するような事はしないようにしよう、とゲオルグは頷く。
 まずは攻撃に巻き込まないようにワイバーンを千年巨人から引き離すべく動かなければならない。諸共攻撃すれば千年巨人まで敵に回してしまうのは間違いないからだ。
「さあ、いくわよ!」
 フェイク・ザ・パンドラを発動させていたイナリはウインドワイバーンへ向けて飛行し晩秋風を発動させていく。
「うう、あんなパンチやキック喰らったら、一発で落ちそう……」
 リトルワイバーンに乗って飛行していたユイユもルーン・Tを発動させながらCode Redをウインドワイバーンへとぶつけていく。
 接敵までに充分に飛行戦闘出来て目立たない場所をユイユはずっと探していたし、引き離し先の戦場として皆に共有している。
 とはいえ、遠く離れることはできない。彼我の距離を離す程度のことしかできはしないし、千年巨人が追ってくる可能性もある。
 あらゆる可能性を配慮してこそだとユイユは常に考えながら動いていく。
「覇竜はまだ分かんないこと多いもんね。他の竜に見つかっても困るし」
「ま、そういうことだな。その為にもまずはワイバーンを千年巨人から引き離さないとな」
 千年巨人とワイバーンの距離がまだ近いからこそ、ファニーは指先の一番星で1体ずつ攻撃していく。
 指先で流星の軌道をなぞるように。相手の死線を切り裂くように。
 そう、ウインドワイバーンだけを倒さなければならないのだ。
 だからこそニルはライオリットと連携してケイオスタイドを、ライオリットは炎と氷の平仄が合わない息吹である逆理を放つ。
「たまにはドラゴニアっぽくブレスを吐いてみるっ……熱冷たいっス!!」
「え!? 大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫っス!」
 そんな2人とは別方向から、ドラネコのリーちゃんを召喚し上空へ向かわせ俯瞰視点確保したユーフォニーは、感覚世界使用で五感共有していた。
 そしてユーフォニー自身も飛行し、2つの視点から一番多くワイバーンを巻き込める位置を見極めようとしていたのだ。
 そうして発動させるのは陶酔万華鏡だ。ウインドワイバーンたちを上手く引き寄せようとするユーフォニーの目論見は見事に成功して。
 このままウインドワイバーン達を引きつけながら、2視点で周囲被害が少なく済む方向を選び千年巨人から距離を取っていくのがユーフォニーの今回の役目だ。
 だが、ユーフォニーはそれだけでは終わらせない。
 エネミースキャン……対象の能力、或いは強弱をある程度大雑把に感知するそのスキルで、弱いと思われる個体から効率よく立ち回れるよう8体のウインドワイバーンの強弱を大雑把であっても仲間へ共有していた。
「卑怯な手かも、ごめんなさい。でも仲間が逃げれば釣られて逃げる子がいるかもです……戦闘を長引かせず、ワイバーン側含め全被害を最小限にしたいから。大好きなこの地のみなさんを大切にできるように頑張るんです」
 そんなユーフォニーの決意が行動にも影響を与えたのだろうか、ウインドワイバーンたちと千年巨人の間に、確かな距離が出来る。
「よし、では私も攻撃を開始しよう!」
 作戦の第一段階の成功を見届けたゲオルグの黄金残響からのジャミル・タクティールが放たれる。
 ゲオルグは行動で敵意がない事を示していきたいと考えていた。
 千年巨人に攻撃をしているウインドワイバーンを優先的に狙ったり千年巨人への攻撃を代わりに受けたり……やり方はいろいろあるだろうが「敵ではない」を行動で示すのは、正しい行動であるだろう。
 その中でもオルド・クロニクルによる保護結界を使って周囲の植物などが被害を受けないようにするのは、ささやかながらもゲオルグと祝音の配慮がこもったものだ。
「折角追い払っても、場所がボロボロになってしまっては意味がないからな」
「千年巨人さんは大地や自然を傷つけたいわけじゃないから少しでも地震の影響も防げる……といいな」
 その成果もあるのだろう、ゲオルグたちに千年巨人は1度も攻撃してきてはいない。
「この調子でいくわよ! 油断せずにね!」
 イナリの晩秋風が発動し、ユイユもようやく訪れたチャンスに楽しそうな声をあげる。
「へへ! やっと使えるね、針槐! 邪道とBSに塗れた呪いっぽいのを喰らえ〜! そしたらどっか行っちゃいなー!」
 そうしてユイユが取り出したのは針槐……金属の針を射出させるタイプの銃だ。
「巨人さんに、これ以上悪さしないで……!」
 千年巨人に攻撃が当たらないようにしながら祝音の放つ糸切傀儡がウインドワイバーンに命中し、祝音は千年巨人へと視線を向ける。
「怒ってるよね、ごめんね……ワイバーン達は何とかするから、もう少し待ってて……!」
「タイトルコール! さぁここからが見せ場だぜ!」
 そう、まさにここからが見せ場だとファニーはできるだけ多くのワイバーンを巻き込んで降りしきる二番星を発動させていく。
 勿論、千年巨人には当たらないように星を降らす場所はしっかり見極めてだ。
「おまえたちも好きで暴れているわけじゃないんだろうが、二次被害は御免なんでな。たっぷりお灸を据えてやるから、とっとと住処へ帰るんだな!」
 そうして、全てのウインドワイバーンたちが逃げていく。これまでの興奮が嘘のように逃げていくその姿からは、一切の戦闘意志を感じさせない。
「ふー……なんとかなったっスね」
「そうだね」
 ライオリットに、地上に降りた祝音もそう頷く。もう飛ぶ理由はない。
 千年巨人もウインドワイバーンたちが去ったことを確認すると、その身を屈めて岩山そのものの形へと変形していく。
 そう、擬態……とはいうが、その形は岩山そのものであった。
 まるで昔からそこにあるかのように在る岩山は、そうと言われなければ気付きもしないだろう。
(岩山になって、在り続ける……それが千年巨人さんなんだね)
 祝音がそんな真理に辿り着いている横で、イナリもオーバークロックモードを発動させながらアナザーアナライズを千年巨人へとかけていたが……どうやら、相当に長生きな個体であることが分かっていた。そして、千年巨人はオンリーワンではない……何処にでもいる可能性のあるモンスターであることも、だ。
「恐ろしい事実ね……」
「ひとまずこの辺りには地震の影響で出来た危険な場所もなさそうだね。相賀さんに報告だー!」
 イナリはユイユの明るい声に「まあ、そうね」と頷く。アレはひとまず敵ではない。その事実だけでも良いだろう。
 しかし、ニルには思うこともあった。
「ワイバーンがこうやって攻撃してきているのは、最近の状況のせい、なら……またこういうことが起こってしまうのでしょうか……」
「ピュニシオンの森への探索で、ワイバーン等が荒ぶる……」
(やっぱり、竜種が何かしら影響してるのかな)
 祝音もニルにそう呟きながら、ふるふると首を横に振って怖い考えを振り払う。
「千年巨人さん、このままのんびりできるといいな」
「ええ、そうですね」
 ユーフォニーも頷くが、それはまさに全員の気持ちであっただろう。
 わざわざ千年巨人を呼び起こしたくなどはない。薄氷のような平和であったとしても、それは尊いものなのだから。

成否

成功

MVP

祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
祈光のシュネー

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!

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