＜被象の正義＞不毛な領域

オープニング

●＜被象の正義＞不毛な領域
　致命者とワールドイーターの出現によって、大きな騒動に巻き込まれし天義の国。
　初期の頃に紡がれた神託の言葉は、箝口令の敷かれた市民達にさえ広く広まり、口には出さずともあの件は……と話題に昇る事もしばしば。
　勿論話題に上るには理由がある……昨今の神託の言を具現化するが如く、様々な事件が天義の国に襲い掛かっているが故。
　そして天義の巨大都市の一つである『テセラ・ニバス』も、そんな真意不明の事件に巻き込まれてしまった街の一つ。
　突如空を覆い尽くした闇は、一夜の内に全てを飲み込み、街中は異言を唱える者『ゼノグロシアン』達が跋扈する街となってしまったという事。
　彼等は狂気を叫び、同時に現れし漆黒の影の獣『ワールドイーター』と共に街中を跋扈し、住民達はほぼ全てがゼノグロシアンと化す。
　更に、その狂気を具現化したかの如く、街はいつもの街とはまるで違う様子に変容。
　ラサから流れ着いたのかと言わんばかりの砂が一夜に降り注ぎ、荒廃した都市の如く砂に覆われた街区……そこにワールドイーターとゼノグロシアン。
　正しく、この世の地獄の如き光景が、テセラ・ニバスには拡がり続けていた。

●
「あ……皆様。すいあせん……緊急事態が起きており……その……お話を聞いて貰っても、宜しいでしょうか……？」
　忙しない人の流れがある天義の国の首都にて、『深緑の声』ルリア＝ルナミス（p3n000174）はおずおずとキミ達を呼び止める。
　気付き、足を止めてくれた君達へ、ありがとうございます、と何度も頭を下げてから。
「あの……もう皆様は知ってるとは思うのですが……『テセラ・ニバス』の解放作戦に、力を貸して頂きたいのです」
「『テセラ・ニバス』の街は一夜の内に豹変してしまいました……皆様に向かって頂きたい街区は、突如として大量の砂が舞い込み、砂に埋まる都市の様相を呈している様です」
「人々が寝静まっている時に起きた故、恐らく……命救われた人は居ないでしょう……全てが異言を唱える者『ゼノグロシアン』と化してしまった物と考えられます」
「生存者がいないならば……と切り捨てる事も可能でしょう。ですが、皆様のおかげで彼等を生かしたまま倒す事で、正気に戻す事が出来る……というのも分かって居ます。当然ながら、それを妨害してくる者達が居るのは間違いありませんが……どうか、彼等を救ってきて頂けないでしょうか……？」
　見上げるルリア。
　人々を助けるためならば……と頷く君達に、何度も頭を下げながら。
「ありがとうございます……ただ、先日の時も姿不明の声が聞こえたと聞きます。彼なのか、彼女なのかも解りませんが……此の件も、裏で糸を引いて居る可能性はあります。微かにでもその足跡を掴めることが出来るのならば……宜しくお願い致します」
　と、じっと皆を見つめた。

参加者 : 8 人

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参加者一覧（8人）

リプレイ

●天と砂
　致命者とワールドイーターにより、大きな騒動に巻き込まれる事態となってしまった天義の国。
　更には突然の神託の言葉により、突如飲み込まれてしまった巨大都市『テセラ・ニバス』は異言を唱える者『ゼノグロシアン』と、漆黒の闇に包まれた『ワールドイーター』が跋扈する街へと変わり果ててしまい……その狂気がまるで漏れ伝わるかの様に、その周りの街にまで被害を広げてしまっている今日の状況。
　どうにかして、脅威の拡大を止めなければならない……その責務を胸にしたイレギュラーズ達は、名前失われし『砂に包まれた虚構都市』の街区へと足を踏み入れる。
「これは……凄いもんだな……一夜にして砂に埋もれた街……別の依頼では、水に埋もれた都市もあったが……」
「ああ……砂に覆われた街、か……」
　目の前に広がる光景に、一時言葉を選ぶのは『Stargazer』ファニー（p3p010255）と『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル（p3p008599）。
　薄暗闇に包まれている空からは、降砂している様には見えない。
　明らかに足元の砂は流れを持ち、足を取られてしまう……どうも砂中のどこかに向けて、砂が流れ込んでいるらしい。
　ただ不思議な事に、砂の流れはあれど少なくなる事は無く、どこかから砂が増えている様にも見える。
　そんな砂に埋もれた街の光景は、アーマデルにとって見覚えのある風景の様で……それに『残秋』冬越 弾正（p3p007105）が。
「……大丈夫か、アーマデル？」
「ん……大丈夫だ。この光景……俺の故郷の様でな、ちょっと思い出してしまっただけだ。ワールドイーターを始末したら戻るのだろうしな……」
　アーマデルの居う通り……更にはこの砂の下には、この事態に気付く事も無くに生き埋めになって仕舞った無辜の市民達もいることだろう。
　勿論建物の中故に砂が入り込んでおらず、命からがら助かっているかもしれないが……砂に埋もれているという事は、時間が掛かれば掛かるほどに命の危険が差し迫る状況なのは間違い無い。
「ええ……いかなる理由があれど、命を奪ってはならない……そうですね。だけどそれは平時でのこと。戦場においては違うコトワリがある事でしょうが……」
「ああ。確かに戦場は生死の駆け引きをする場でもあるな。だが今回被害にあっているのは、極々普通の生活をしていた中、何も知らずに寝て居た様な人々達が主だろうさ。どこのどいつかは知らんが……世界の上書きだか書き換えだか。飽きもせずによくチャレンジするものだ。そのたびにイレギュラーズがこうして火消しに回らねばならんしな」
　『しろがねのほむら』冬宮・寒櫻院・睦月（p3p007900）と『特異運命座標』エーレン・キリエ（p3p009844）が頷き合うと、ファニーは。
「しかしこの様にわざわざ大掛かりな事をする理由はなんなのかね……？　あの時は『遂行者』とか言うヤツがいて、姿しか確認出来なかったしな。今回もそういうやつの仕業なんだろうか……？」
　そんなファニーの言葉に『玉響』レイン・レイン（p3p010586）が。
「正体不明の声……だっけ……いつから……居たんだろう……？　先日……だから……近くに居るのかな……？」
　小首を傾げるレインに、『決別せし過去』彼者誰（p3p004449）と『闇之雲』武器商人（p3p001107）も。
「『遂行者』……ですか。最近になって聞かれる正体不明の声の事ですね。あれは向こうの幹部なのでしょうか？」
「そうだねぇ……色んな話を聞く限り、相当な実力者であるのは間違い無いだろうさ。それにそう簡単に姿を表さなかったり、危険回避なのかは分からないけれども戦闘には加わらず、逃げ果せたり……実力と用意周到さを兼ね備えているって言う感じかもねぇ……ヒヒヒ」
「ええ……確かにこれは、警戒は必要ですね。目的もまだ見えませんので、不気味な事に代わりはありません。それに……出てくるのはゼノグロシアンだけでもありませんし……」
　彼者誰が砂に埋もれた街区を眺めると、ウグゥゥゥ、と苦悶の声を上げるゼノグロシアン達と共に、街中で暴れている『ワールドイーター』達の影。
　そのワールドイーターの影自体が……芋虫が巨大化した様な姿形をしており、正直な所見ていても不快感しか生み出さない姿。
「そうだねぇ……芋虫、芋虫ねぇ……別に嫌いじゃなくてよかったよ。嫌いだったら注意を惹く役とか、ゾッとして出来なかっただろうねぇ……ヒヒヒ」
　不敵に笑う武器商人に、レインが。
「……この街にも……世界を食べるものがいるんだね……街の人……元に戻るといいけど……」
「そうだねぇ……ああ、そうだ。糸が凄く引っ付いたら、後で取るの手伝って遅れね、骸骨のコ」
「ん？　……ああ、その点は了解だぜ」
　ぽつり呟くレインに頷きつつ、武器商人の言葉にサムズアップするファニー、そして睦月。
「そうですね、蟲ごときに怯えてなるものですか。蟲もまたひとつの命。敵対存在で無ければ救いたいところですが……あいにくと、根の国は彼等をお呼びの様ですし」
　辛辣かつ、どこか覚悟を決めたかの雰囲気の睦月、そして弾正とアーマデルも。
「ああ、イーゼラー様は思慮深い。俺の元へ救いを求める手が差し伸べられたという事は、この街の人々がまだ死を迎えるべきではないという事なのだろう……手を尽くすぞ、アーマデル。俺達が彼等を救うんだ」
「ああ、往こう、弾正。助けられるものは助けたいからな……殺す為に研いだ技でも、命を掬い上げる事に使えるのなら」
　そんな仲間達の言葉に、エーレンは。
「ああ……そうだな。では、行くとしよう……救いを求めている人々を救うために、な」
　とエーレンが皆を促し、イレギュラーズ達は呻き声響きわたる砂の町へと急ぐのであった。

●砂の刃と
『グゥゥゥ……アァァ……』
　苦悶の呻き声……その声に悲鳴を上げる者の声は無い。
　そんな街を広く俯瞰する様に、武器商人、ファニー、レインの三人がその区画を分割し、周囲の索敵体勢を取る。
　どこにゼノグロシアンがどれだけいるか、ワールドイーターが蠢いているかの目星を付けつつ、生存者がいないかを隅々まで探して回る。
　……だが、視界に映る中ではこの街区に生存者を見つける事は出来ない……ゼノグロシアンとワールドイーターだけが這いずりまわり、呻いている光景しかない。
「……っ。やっぱりいねぇか……」
「うん……でも、まだ……諦めたら……駄目。見えづらい所に……隠れているかもしれない……から……」
「そうだな……ああ、諦めたりなんかはしねぇさ。それじゃ先ずはこっちだ。最初っから全開で行くぜ！」
　レインの言葉にニッ、と笑い、そしてファニーは敵数の多い一区画に向けて進軍開始。
　流れ、埋まる足元の砂に多少苦難しつつ、背の高い建物が砂から顔を出している部分があれば、そこを足場にしていく。
　勿論、途中にワールドイーターやゼノグロシアンの影が見える事も有るが、敵陣からは見つからなければ戦闘を回避して目的地に向けて急ぐ。
　……そして、多くのゼノグロシアンとワールドイーターが呻き這いずる場所に辿り着く。
「ここですか……かなりの数が居る様ですね」
「ああ……取りあえず今の所は声は聞こえているよな？」
「ええ。ですがワールドイーターは物ではない物も食べると聞きます。言葉を食べられる可能性も少なからずあるでしょう……出来る限りハンドサインで意思を合わせられるようにしましょう」
「了解」
　彼者誰が幾つかのハンドサインで意識合わせを行うと共に、可能なメンバーではテレパスも通じて情報網を構築。
　そして……。
「それでは……行きましょう」
「……うん」
　睦月の言葉に頷くと共に、レインは己の身を発光させる。
　眩い光に包まれながら、ゼノグロシアンとワールドイーター達の視界内に姿を表せば、当然一番目立つ訳で……。
『ウグゥゥゥ……アアアア！！』
　絶叫と共に先陣で懸けてくるのはゼノグロシアン……そしてその後方から、ワールドイーターが追従。
　這いずるワールドイーターの姿形は、自分達が小さくなって追いかけられているかのような……何か不思議な感触を抱かせる。
　とは言えその姿に怖じ気付いている訳にはいかない訳で……先陣を切るゼノグロシアン達に彼者誰とエーレンの二人が真っ正面から対峙。
『グゥ……！！』
　命をくれ、と言わんばかりに呻き、絡みついてくるゼノグロシアンは一体、二体、三体……と大量。
　その攻撃から仲間達を守る為、周囲に聖域を張り巡らせてダメージの軽減を図りながら、励ましの号令でその体力を回復。
　更にはその回復に続き、弾正は敢えてゼノグロシアン達の注目を集めるように。
「さぁ、お前達！　俺の歌でも聞いて盛り上がってみろ！」
　と激しいアップテンポの曲を奏で、歌う。
　ゼノグロシアン達がその歌声に特定の反応を返すという事は無い様だが……少なくとも注目を集めターゲットを惹きつける事には成功している模様。
　そして彼者誰はその間に防御重視のスタンスに切り替えて、、エーレンと双璧をなす様に立つ。
「さぁ、始めましょう。足場が不安定なところ申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします、亜竜殿！」
　と彼者誰が一匹に確実な一撃を叩きつける一方で、エーレンは。
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。テセラ・ニバスを返して貰うぞ」
　との宣告と共に、パルクールの要領で足の砂場を踏み越しながらゼノグロシアンを一閃。
　確実にダメージを叩きつける事で、まずは敵に包囲網を築かれないように敵を討伐していく。
　そう四人がゼノグロシアンの対応をしている一方、残る四人は一旦は回避行動。
　ゼノグロシアンのターゲットにならぬ様に、僅かに顔を出している建物とかを飛び越えながら後方から接近しているワールドイーターの所まで移動する。
　勿論、攻撃範囲にイレギュラーズが入れば、見た物を獲物とするべく、暴虐開始。
　その身をズシンと叩きつけたり、その口元から糸を吐き出したり、臭い息をぶちまけたり……と。
　そんな敵の動きは距離を最初取る事で回避するイレギュラーズ。
　そして、ワールドイーターの攻撃を凌いだところで、ファニーが先に立ち。
「芋虫か……ま、特筆すべき点はないな。姿形はどうあれ、敵なら倒すだけだ。さぁ、愚者の更新を始めるぜ！」
　笑みを浮かべながら、その指先から死をなぞる一刃を振るう。
　そしてその攻撃に続き、レインは発光する身のままで後方から気糸を練り上げて放ち、敵の動きを拘束する様に絡み取ると、同時にアーマデルもその移動力を制限する様に暗殺者の未練の音色で縛り上げる。
　そう二人が縛り上げたワールドイーターに、武器商人の破滅へ導く声が唆す。
　ワールドイーター全体を、ゼノグロシアン達の元へと行かせない様に対処為つつ、一匹へ集中攻撃の雨を降らせる。
　……足元は不安定ながらも、大きく動いたりしなければ足を取られる事は無い。
　勿論回避行動等で動かねばならない時はあるが、その穴を仲間同士で埋める事により、窮地に立つ事を未然に防ぐ。
　その立ち回りを行いつつも、常に周囲への注意を忘れる事無く、状況の変化を常に察知する様にしていく。
　そして、当然ながら先に倒れていくのはゼノグロシアン達。
　数の多い内は流石に手加減する暇は無いが、数が減らした所では弾正がゼノグロシアンに。
「可能ならば、目を覚ましてくれ……！　例え絶望的な状態でも、見殺しになんてさせない！」
　と悲痛な声を上げて、彼等を不殺で倒す事で一般人へと戻そうとあがく。
　全てが全てではないが……数人程度ならば、不殺で倒し、気絶させる事に至る。
　ただ、周りに居るゼノグロシアンの中に放置してしまえば、それらは死を迎えるだけなので、弾正は助けた者を肩に抱え、戦場から避難させる事で、片手で数えられる程の人々を救いながら、ワールドイーター達を倒して行く。
　……そして、その場に居る一陣を一通り倒し。
「……この辺りはこれで良いだろう。良し、次の所へ行くぞ」
　と広域俯瞰を元に、次なる場所へと転戦していくのであった。

●闇の裏に
　そしてイレギュラーズ達は、街を次々と転戦していき……十数カ所を戦い抜く。
　流石にかなりの疲弊具合ではあるが、街を救うためには疲れている暇も無い。
　そして……十数戦の後、倒し切り息を一度吐いた、その瞬間。
『……ククク……』
　呻き声と、咆哮とは全く異質なる声が聞こえる。
　ただ、その声は耳からではなく、直接脳内に話しかけて居るかのような……そんな異質な声色。
「……誰ですか……！」
　と、周りを見渡す睦月……だが、姿はない。
　すぐに広域を俯瞰する者達で、その声の主が居ないのかを探し始めるが……ゼノグロシアンとワールドイーター、更には倒した遺骸以外……ぱっと見では動いている影はない。
　一応の為に、ファニーはファミリアーの鴉と小夜啼鳥を合わせて周囲確認の為に飛ばすのだが……その視界にも収まる事は無い。
　しかしその声は、まるでイレギュラーズ達が見えているかの様に。
『見渡しても、無駄無駄ぁ……！　いやぁ、キミ達、強いねぇ……？　僕の手札を次々とひねり潰してくれちゃってさぁ……？』
「……やはり、『遂行者』か」
『んー……そうか。もうキミ達には分かっちゃったかぁ。そうさ、遂行者。致命者よりも……すっごい力を持ってるつよーい人、ってな訳サ』
　どこか楽しそうな、脳内に響く『遂行者』の声。
　その声にファニーとエーレンが。
「ふん……お前からは俺達が見えているが、俺達からは見えない、そういう事か。姿を隠して、高みの見物って訳か？」
「それとも姿を魅せられないってことは……現れればすぐに倒されると思ってのことか？」
　二人は敢えて蔑むような言葉を投げかける……だが遂行者は脳内でケタケタと笑いながら。
『なぁーに言ってるのかなぁ？　これは強者の『作戦』だ・よ♪　ま、僕が手を下すまでもないってなことさ。所詮は『イレギュラーズ』……だしねぇ。だって、こんなこと出来ないじゃないのかな？』
　次の瞬間、近くにあった、砂に半ば埋もれた建物が、ドーン、という音と共に粉々に砕け散る。
　当然建物が破壊されれば、建物に阻まれていた砂中が建物の中に流入する訳で……足場の砂が大きく動き、イレギュラーズ達の足元を崩す。
「っ……！」
　咄嗟に仲間達の手を取り、砂に飲まれぬ様に回避行動を取る。
　そしてその砂に飲まれていくのは、周りに居たゼノグロシアンとワールドイーター達……。
『まぁ、所詮ゼノグロシアン達も、ワールドイーターも捨て駒さ。悪いことは言わないさ……この街は僕達のものだ。これ以上邪魔する様なら、どうなっても知らないよぉ？』
　口調は滑稽ながらも、どこか……背筋が凍る様な感覚を覚えるイレギュラーズ。
　言葉を通じて、『遂行者』の強大な力を垣間見て、本能的に危険さを感じたのだろう。
　その動揺を御首にも出さない様にしながら、睦月は。
「……『遂行者』さん。絶対にボク達は、この街の開放を諦めたりしません……だから、無駄です！」
『そうかぁそうかぁ……まぁいいさぁ。この街はまだまだ開放されていない所も一杯あるし、時間が掛かれば掛かるほど、一般人が死に絶えるって訳。精々足掻いてみるがいいさぁ』
　睦月の言葉に余裕のままに……皆感じていた気配が、一気に喪失。
　……それと共に、足元で流れていた砂の流れが止まると共に……まるで幻覚だったかの様に、しっかりとした足場に変わる。
「あれ……？　砂が……無い……砂が……消えた……？」
　レインの言う通り、周りを見渡せば今迄の光景ががらりと変わり、天義のごく一般的な街並みが広がっており、呻き声も静寂に包まれる。
「……まだまだ姿を魅せる程ではないってことか」
　息を吐くファニー……それに武器商人も。
「そういう訳か……ふむ……」
　顎に手を当て、思慮を巡らす武器商人。
　暫し後、彼者誰が。
「……何か分かりましたか、深き知慮殿」
　と問い掛けると、武器商人は。
「まぁ、まだ何となく……だけどねぇ。取りあえず、街はいつもの光景に戻った様だし、生きている人が居ないか探すとしようか。そっちの方が鮮血だしねぇ」
　と、幻想から現実に戻りし街中の生き残りを探しに走り回るのであった。

成否

成功

ＭＶＰ

状態異常

なし

あとがき

ご参加、ありがとうございました！
姿を表さない今回の致命者は、どこか人を小馬鹿にしている感じでイラッとしたらすいません……。
ただその実力の一旦を発揮した限りは、その決戦時においては厳しい戦いになる事でしょう。
彼等が余裕なくなるまで追い詰めた上で、彼を確実に仕留めて頂けるよう宜しくお願いします！