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シナリオ詳細

<カマルへの道程>手元の秘蹟

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<カマルへの道程>手元の秘蹟
「嫌っ……こ、来ないでっ!!」
 ラサの深夜の帳を劈く様に、響きわたる女性の悲鳴。
『うるせえっ、抵抗してんじゃねえ!』
 その悲鳴に対し、荒々しい男達の声も重ねて響きわたる。
 ただ、深夜の刻故にその声に気付いたとしても、家の中から出ようとする人は殆ど居ない。
 唯でさえ先日の晶竜襲撃事件により街の人々は疲弊しており、要らぬ争乱に巻き込まれたくないと考えるのは自然な事だろう。
 ……そして、その声はラサの市街地から、人気の無い砂漠の方へ……そして。
『や……やめてっ!!』
『へへへ。さぁて、捕まえたぜぇ。てめぇらを『あそこ』に連れてけって言われてんでねぇ……大人しくしろい!』
『やぁぁっ…………う……すぅ……』
 腕の中で暴れていた彼女の鼻元に、白い砂を差し出し吸い込ませると……そのまま意識を失う彼女。
『ったくよぉ、手間取らせやがって。んじゃぁ照れていくぜぇ』
 下品に笑いしゴロツキ連中は、耳の尖った少女を小脇に抱えて、人里を離れる方角へと掛けていった。


「いつも力を貸して貰い感謝する……だが、またもになってしまうが、力を貸して欲しい……」
 少し疲れた表情ながら、皆を見渡し頭を下げるファレン。
 先日の襲撃事件からの復興間もない状況もあり、不安定なラサの国。
 当然ながら治安も悪化しつつあり……一時収まったかと思われた幻想種達の誘拐事件も、最近になって多発している状況。
 つい昨日も、幻想種の女性が行方知れずになってしまったと言われている。
 更には、気絶した幻想種の女性を連れたゴロツキ共が、月への転移陣のある『古宮カーマルーマ』にて見かけられたと言うのだ。
「恐らくだが、あのゴロツキ連中は転移陣を使い『幻想種』の者達を月へと連れ去ろうとしているのだろう……流石に月にまで連れ去られてしまえば、そう簡単に手出しはできなくなってしまうのは間違い無い……急ぎ転移陣の方に回り込み、ゴロツキ連中を迎撃してほしい」
「勿論、転移陣の先……月の方からは吸血鬼やら偽命体らも出没している状況だ。前後の両面から敵が来るのは間違い無いし、気絶為ている幻想種の娘達を奪取する必要もある。やる事は多いが、皆の力を結集して、幻想種の方達を助けてきてほしい……宜しく頼む」
 と、深く頭を下げるファレンであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 幻想種の方達も何故か月に向けて連れ去られようとしている様ですね……。

 ●成功条件
  転移陣から現れる『吸血鬼』や『偽命体(ムーンチャイルド)』、『晶獣』らを出て来なくなるまで倒すのと同時に
  ゴロツキ連中が連れ去り転移陣から幻想種達を飛ばそうとするのを止める必要があります。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  依頼の舞台となるのは『古宮カーマルーマ』です。
  ラサに昔からある古代遺跡で、『夜の祭祀』と呼ばれる儀式が行われていた場所です。
  今回のポイントは転移陣が複数あり、ゴロツキ連中は敵が出現しない転移陣を探してそこから飛ばそうとしますので、後方から来る敵陣の対処をしつつも、ゴロツキ連中を逃がさず幻想種を救出するという作戦が必要です。
  尚、ゴロツキ連中が連れ去ろうとしているタイミングでは敵が出ないかもしれませんが、時間経過と共にそこも敵が現れる転移陣になる可能性はあります。

 ●討伐目標
 ・血を糧にせし『吸血鬼』達
   月の王国にて、烙印を得た者達です。
   姿形は様々ではありますが、少なくともイレギュラーズ達を殺そうという使命を受けており、それを遂行しようとイレギュラーズ達を殺すべく動きます。
   戦闘能力は高く、知能もあります……更に彼等に噛みつかれ、血を吸われたりする事によって『烙印』が付与される可能性もありますので、注意して下さい。

 ・偽命体(ムーンチャイルド)達
   人と獣が合体したような姿形をしており、その姿は奇っ怪そのものです。
   半ば狂気に陥っており、『人』だけど『非人』なる物として行動します。
   その偽命体の中には、ちらほらと『幻想種』と思しき特徴を持った人達も居るようですが……真偽は不明です。
   尚、吸血鬼に比べれば戦闘力は高くはありませんが、かなりしぶとい様です。

 ・幻想種達を拉致している『ゴロツキ連中』
   金に目が眩んだゴロツキ連中です。
   アンガラカを手にしており、それで幻想種を気絶させ拉致……という方策を取っており、今回のゴロツキ連中は一人で一人の幻想種を小脇に抱えています。
   勿論幻想種を小脇に抱えたままで戦闘は出来ませんので、戦闘になった場合は幻想種の方達を地面に転がして戦闘する……という形になります。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <カマルへの道程>手元の秘蹟完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年03月22日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方

リプレイ

●煌めき
 争乱が極まりし砂漠、ラサ。
 つい先日に発生した襲撃事件を経ても尚、多くの争乱はラサを惑わせており、幻想種達の誘拐事件すら、未だに起き続けている。
 ただ、その誘拐事件も少しだけ変化が訪れ始めていた……悪い方に。
「折角収まったかと思えば、また幻想種の拉致が流行っているんだって?」
「ええ、その様ね……」
 『氷狼の封印を求めし者』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)に、『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)が溜息一つ。
 幻想種であり、イレギュラーズであるフルールですら注意してくれ、等とファレンから言われる程。
 腕っ節に自信があろうとも、彼等が持つ白い粉を嗅がせることで気絶させられてしまえば、大した抵抗もせずに攫われてしまう事は間違いない。
 勿論、今迄に何度もそんな誘拐事件は起こっており、イレギュラーズ達が解決してきた。
 一時はかなり数を減らしたものの、何故か最近はまたその数が増えている。
 そして連れ攫われた者達は、月へと繋がる『古宮カーマルーマ』で見たという話すらある。
 当然カーマルーマに金銭的価値があるのかと言われれば無い訳で。
「うーん……どうやらこの事件、金銭目的って訳でもない様だしね。オマケにカーマルーマには転移陣もあるって話か。うーん、忙しいなぁやれやれ……」
「そうだな、本当に次から次へと……今度ハ幻想種拉致と来た訳か。のんびり茶を飲む暇も無いとは、まったく難儀な仕事だ」
「うん。まぁぼやいていても仕方ないんだけどね。頑張ろうかルナール先生?」
「そうだな……」
 肩を竦める『紅獣』ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)に微笑みかけるルーキス。
 ただ、そんな二人の言葉に対して難しい顔を浮かべ続けているフルール。
 昨今話題の『古宮カーマルーマ』の転移陣の先で出逢った吸血鬼の配下として行動している『偽命体』には、耳の尖った幻想種に『似た』顔をした者達が多く居たと言う。
 彼等彼女ら全てがラサで拉致された人達であるかは分からないのだが……ファレンからの今回の依頼を考えると、無関係という訳ではないだろう。
「……偽命体、まるで融合したような……自由意志が無いのでしたら、私が望む結末とは言えないですね、可哀想に……だからこそ、ゴロツキ達が拐っている幻想種達が同様の姿になるのでしたら、絶対に阻止してあげないと。それに、私も幻想種ですし、見過ごすわけにはいきません」
 一度瞑目した後に、ぐっと拳を握りしめるフルール。
 そんなフルールを元気付ける様に、『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)と、『ラド・バウA級闘士』サンディ・カルタ(p3p000438)が。
「そうだね。やることは確かに多いかもしれないけれど、そのためのアタシ達イレギュラーズだよね! 救助班のみんなが少しでも対応しやすくなるように全力を出していかなきゃ! てかさ、ゴロツキもゴロツキでよってたかって女の子をって、卑怯以外の何物でもないじゃん! 絶対に、あいつらの思い通りにはさせないんだからね!!」
「そうだな! かわいいお姉さんの幻想種ならなお嬉しいけど! が、その辺関係無く全員救出してやるぜっ! だって獲物の横取りは、この大怪盗の出番だからな!!」
 力強いアイリスの一方、ちょっと邪な思いが過るサンディ。
 それに苦笑しながら『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は。
「まぁ、依頼に掛ける思いは人それぞれだ。私も偽命体よりは、学者の端くれとしてこの遺跡に興味がある。じっくりと調査したいものだ。例えば『夜の祭祀』……転移陣で繋がる月に関するヒントもあるかもしれないし、そうでなくても興味深いものだからね」
 確かに月と地上を繋ぐ『転移陣』は、過去に『夜の祭祀』と呼ばれる死と再生を司るという儀式が行われた形跡のある古宮カーマルーマで発見されている。
 そして月より訪れしは、血肉を啜る『吸血鬼』と偽りの命とされる『偽命体』。
 その儀式に何か関連があるのではないか、と考えるのも当然の事であろう。
 ただ現時点においては、直接的に関連している証拠、という物は発見されていない訳で。
「月への転移陣ね……厄介になりそうな感じしかしないなぁ……」
 と『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)は、空に浮かぶ『月』を見上げてぽつり。
 あの月から大量の『月の軍勢』が地上を目指して進軍しており、仲間達も……その軍勢を抑えるのに尽力している。
 地上と、月の両方から敵を抑え、月の軍勢を押し返さなければ、ラサに未曾有の事態が起きるのは間違い無い。
 幸いなのは、再現無く敵が月から転移する、という訳では無い事。
「彼等が無限に出てくる訳では無い様ね。なら根比べってことかしら……わかりやすいわね」
「そうだね。手遅れになる前に、攫われた子を早めに救出してあげないとね……さて、咎人狩りの時間だよ」
「ええ……烙印の吸血鬼なんて、本場の力には及ばないってこと、示してあげるわよ」
 『デザート・プリンセス』エルス・ティーネ(p3p007325)とアイリスは頷き合い、そしてイレギュラーズ達は『古宮カーマルーマ』の転移陣に向けて駆けていくのであった。

●宮叛
『……ウゥゥ……』
 苦悶の呻き声が響く、古宮カーマルーマの中。
 イレギュラーズ達が辿り着いた転移陣の薔薇の紋様は度々光り輝き、そこから偽命体達が次々と生まれ出ずる。
 一匹、二匹……と現れ始めた頃に辿り着く事が出来れば、速攻集中砲火を行う事で殲滅し、安全を確保。
 ただ、そこにゴロツキ連中が来る気配が無ければ次の転移陣へと転戦。
 一つ目の転移陣から少し移動し、二つ目の転移陣、更には三つ目の転移陣……と移動を繰り返して行く。
 ……すると、偽命体やこの古宮の中に棲まう者達の呻き声の中に、僅かに聞こえる『常人』の声。
『ヘヘヘ……良い具合に眠ってやがるぜ。さぁてと……こいつらを連れてけば、俺達もがっぽり儲けられるってな訳だ』
『ああ。だから絶対に見つかる訳にはいかねぇ……眠って居る内に、しっかりと連れ去らねぇとなぁ』
『違ぇねぇ。まぁ奴らがあいつらに手こずっている間に、空いてるトコロから……行くぜぇ!』
 心根まで腐りった、幻想種を攫うゴロツキ共達の声。
 彼等は使用されていない転移陣を選び、そこから月に幻想種を連れ去ろうとしている。
 故に偽命体達やらが現れない、一見して安全だと思える転移陣を見つけ出さねばならない。
「そういう訳ね……やる事は人攫いで大胆不敵だけど、自分達は傷つきたくない……ってそんな感じなのかしらね?」
「ああ、そうだな……取りあえず誘き寄せる様に動くとしよう」
 フルールに頷くサンディ……そしてイレギュラーズ達は目星を付けた、偽命体らの出没する気配がない転移陣の近くで待ち伏せ。
 そこで暫らく待って居ると……。
『ヘヘ……ここはどうやら安全地帯の様だなぁ……?』
『その様だぜ。んじゃぁ邪魔が来る前に急いで行こうぜぇ!!』
 彼だだって死にたくはない……ただ金の為なら、少しの危険を侵さねばならない。
 そんな中途半端な覚悟と共に、彼等は転移陣へと接近する。
 ……だが、ちょうどその瞬間。
 転移陣が鈍く輝き、そこから偽命体が一匹、先鋒かつ転移先の確認の為の如く、姿を表す。
『何っ……!?』
 突然の出現に、立ち止まろうとするゴロツキ連中……その肩には、気絶している幻想種の少女が抱えられている訳で……彼等が幻想種達を攫うゴロツキ達であるのは間違い無い。
 そして割り込むように横から割り込むイレギュラーズ達。
 チャリオットで飛び込んで来たルーキスは、驚いているゴロツキ達の一人の肩からすっ、と気絶した幻想種を奪い去る。
『なっ……おい、ふざけんじゃねえ!!』
 と怒り叫ぶゴロツキに対し、チャリオットをドリフトさせて対峙する様にするルーキスと、更にはフルールが。
「キミ達は本当に懲りないねぇ……まだ拉致し足りないのかい?」
「そうですよ、ゴロツキさん達? ほら、私も幻想種ですよ、連れていかなくて良いんですか?」
 くすくすと笑うフルールの言葉は、彼等を挑発するが如く……そしてサンディも。
「お前達を一人も逃したりしないぜ! 救うぜ、幻想種!」
 意気揚々と構えながら、その素早さで別のゴロツキの肩から気絶する幻想種の少女を救出し、その娘もルナールのチャリオットの中に退避させる。
 勿論幻想種の彼女達は気絶為ている為、抵抗等はする事は無い。
 ……そうサンディ、フルール、ルーキスの三人がゴロツキ連中と、囚われの幻想種達を救出している一方で、ゼフィラ、ルナール、エルス、アイリス、咲良の五人は転移陣の方へ対峙。
 一匹から二匹、四匹、八匹……と、次々と転移陣から出没する偽命体の数は増えていく。
 そんな偽命体達の真っ正面にエルスが。
「此処は私が前に出るわ。救出隊はこの隙に救出出来そうな方々を……早く!」
 と合図し、三人が救出だけに集中出来るように構える。
 そしてエルスの傍らにルナールが。
「取りあえず、あの転移陣を破壊出来れば最良だが……それには偽命体達を殲滅しなければならんか」
 それに、ゼフィラが。
「ああ、そうだね……取りあえず最初から全力で仕掛けないとな。私がサポートする、みんな、安心して奴らを倒すんだ!」
 と頷き、咲良は。
「そうだね! よっしゃ! かかってこーい!! 『正義の味方』として相手してあげるからさ!!」
 と躊躇無く、偽命体を火焔の拳で殴り掛かり、ワンパンチで撃退。
 そして咲良の攻撃を契機にして、アイリスの10の光球の展開と、エルスの覚悟を決めた斬撃を繰り出す。
 三人の攻撃にて、偽命体の数を一刻も早く減らす作戦。
 勿論、偽命体達の反撃はあるが、それはルナールが壁役へと転じ、敵の攻撃を一手に引き受ける様に立ち回る。
 偽命体達を倒す一方で、ゴロツキからは気絶した幻想種達を掠め取り、チャリオットに逃がしていく。
 そう戦況を進めていく中……転移陣から、突如強大な力が伝搬。
「っ……? これは……」
 一番前に立つルナールが唇を噛みしめ、その転移陣を凝視していると……今迄の偽命体の様に、キメラの様な姿ではない、完全な『人型』が出現。
 そして彼は、転移陣の上から周りを見渡して。
『……此奴等の気配が休息に減少していたから来てみたが……ほう。そういう事か』
 と、不敵に微笑む。
 その瘴気からして、彼が『吸血鬼』であるのは間違い無い。
「吸血鬼、ね……貴方、そこから高みの見物をしようって訳かしら?」
 とエルスが言い放つと、彼は。
『……そうだな。別に我は、無差別に殺戮をする訳では無い。この国が我等の支配下に堕ちれば良いだけだからな』
 どこか理性的な立ち振る舞いの吸血鬼だが、その内実に秘めているのは凶悪な願望。
 そしてその瘴気に怯え、その場で行動が獲れなくなるゴロツキ連中。
 ……そんな無抵抗のゴロツキ連中を容赦無く、次々と掠め倒し、全ての幻想種達をチャリオットに乗せると共に、ルーキスは安全確保の為にその場から退避。
 残るは偽命体と『吸血鬼』のみ……フルールとサンディの二人も偽命体側に加勢し、倒すペースを加速させていく。
 勿論偽命体の後方から吸血鬼は。
『刃向かうという訳ならば……殺すまでの事だ』
 と、強力な力を孕んだ遠距離攻撃で、偽命体達を含めた形で攻撃。
 一撃自体がかなり重いものであり、偽命体達は耐える暇もない状態だが……イレギュラーズ達にもかなりのダメージが及ぶ事になる。
 だが、ゼフィラは仲間達を確実に回復し戦線を維持。
 そしてアイリスは月への転移陣をターゲットに収め、転移陣を破壊しようと攻撃を行う。
 しかし普通に攻撃するだけで破壊されるようなものではない……ただ、吸血鬼が居る故か、更なる偽命体が現れる事は無い。
「取りあえず偽命体は打ち止めみたいだね! なら、あの吸血鬼を倒せば、一先ずは平和になる筈。だから……絶対に負けたりしないよっ!!」
 強い気合いと共に、咲良は減った偽命体達を横からパスし、吸血鬼の下へと飛びつく。
『っ……ならば!』
 一瞥し、睨み据える吸血鬼。
 流れる様な動きでその攻撃を躱し、その首筋に噛みつかんと身を翻す。
 ……だが、それを見越していたサンディが、一陣の風を纏い駆け抜け体当たり。
 体勢を崩される吸血鬼へ、アイリスの殲滅光が頭上に懸かると……その光は、吸血鬼を焦がしていく。
 更にルナールが矜持の剣撃で斬り刻み、その身に幾重もの傷が刻まれる。
 そして、エルスは。
「吸血鬼になって何がそんなにいい事やら。所詮眷属たる偽物なんて、純潔程の力も見いだせずに苦しいだけの獣と変わらないわ!」
 辛辣に非難し、その言霊と共に放たれる赤き一閃。
 辛辣なその一撃は、その身を全て焦がしていった。

●幻の先
「……ふぅ、取りあえずは大丈夫そうだね」
 と、アイリスは息を吐き、皆を見渡す。
 転移陣を脱出し、古宮カーマルーマの入口にまで退避したイレギュラーズ。
 そしてそこに、救出した幻想種達を載せたチャリオットと共に戻ってくるルーキス。
「取りあえず此処まで来れば安全かな?」
「ああ、大丈夫だ……幻想種の皆は無事……の様だな」
 ルナールの言葉にウィンクで応えるルーキス、そしてゼフィラがチャリオットの中へ乗り込んで、救った幻想種の人々の状況を確認。
 怪我を負っていればその治療を施し、怯えている人がいれば『自分達が助けに来た、もう安心してほしい』と、幻想種のフルールと、元気いっぱいな桜の二人が安心させるように声を掛け、安心させる。
 安全を確保した幻想種の人々に声を掛けるのを終わる頃には、かなりの時間が経過。
「それじゃルーキスさん、チャリオットはちょっと借りていくね? 幻想種の人達を送り届けてくるから、ね♪」
「ああ、うん。事故らないように気をつけてね」
 アイリスと咲良の二人が、ルーキスのチャリオットを駆って、ラサに向けて移動開始。
 それを見送り、姿が見えなくなると……戦闘での身体的な疲れに加えて精神的にも疲れがどっと出て来た様で。
「いやはや、疲れた疲れた。そろそろのんびり息抜きしたいねぇ……」
「そうだな。たまには休みが欲しいものだが……とは言え仕事はつきない、という事か……」
 ルーキスとルナールの言葉に、エルスは。
「そうね。ルナールさんの言う通りだわ。でも、全部が全部を馬鹿正直に戦うとなると、かなり消耗が激しいわ……やり方をどうにかしていかないと……」
 彼女の言う通り、このまま敵の軍勢の勢いが続け場ではジリ貧にもなりかねない。
 それにゼフィラが。
「うんうん。そうだね、となれば転移陣の調査をするとしようか? 結構疲弊しているから、出来うる範囲にはなるけど、さ」
「ええ。転移陣……手っ取り早く壊せればいいのに。壊せば敵も出て来ないし、幻想種も救えるのだから……ね」
「そうだね。さてさて、お待ちかねの調査だ。ふふっ、胸が高鳴るね」
 頷くエルスに、微笑むゼフィラ。
 そしてイレギュラーズ達は、イレギュラーズ達は再度古宮カーマルーマに潜入。
 敵之気配に特に注意しながら……月より転移してこない転移陣を探索。
 鈍く輝く転移陣を魔法や武器で攻撃を行い、破壊を試みる。
 ……だが、そう簡単には壊れずに、鈍く輝き続ける転移陣。
「中々……壊すのは難しいみたい、ね」
「その様だ。ならば紋様を記しておくとしよう……此を似せれば、別のやり方が出来るかもしれないしな」
 ゼフィラは紋様を紙に書き写し……更なる敵が現れるよりも前に、急ぎその場を後にするのであった。

成否

成功

MVP

ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼

状態異常

なし

あとがき

依頼へのご参加、ありがとうございました!
幻想種のヒト達を救出した上での吸血鬼退治と中々に忙しい依頼だったと思います。
ただ幻想種をチャリオットで運ばれては、流石にゴロツキ連中も手出し出来なかったですね……。

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