シナリオ詳細
帰ってきたモルバーンのぷいぷいアドベンチャー
オープニング
●モルバーン
モルバーン。それは、ぷいぷいなくワイバーン(亜竜)の一種である――。
その体はモルモットのよう。
その鳴き声はモルモットのよう。
その姿はモルモットのよう。
その思考はモルモットのよう。
背中にちょんと生えた羽がワイバーン。
なので亜竜。ゆえにモルバーン。
そんな亜竜モルバーンは、今日も人里のキャベツ畑でぷいぷい(普通に害獣)していました。亜竜種たちでは、この恐ろしい亜竜を倒すことができないのです(なんか可愛いから)。
しかし――。
「今日もモルバーンがいて仕事にならねぇな……」
と、亜竜種の男が言う。亜竜モルバーンの相手は、亜竜種たちではできない、パンドラの加護のあるイレギュラーズでもなければ、その可愛さには耐えられないのだ!
ところで、この亜竜種の里の畑は、珍しいことに地上にある。この辺りは、特に亜竜の縄張りからも避けられた、稀有な地上の大地だ。そこで、短時間とはいえ畑作業ができるため、ここにキャベツ畑を作ったわけである。このキャベツはこの里の名産であったが、モルバーンによくかじられていた。
「まぁ、いいじゃないか。あいつら、キャベツの量はそれほど食べないし、意外と。あとぷいぷいして可愛いし」
「そうだなぁ。ぷいぷいして可愛いしなぁ」
と、ほっこりしていた次の瞬間!
がしっ! と、モルバーンのうち一匹が、唐突に表れたワイバーン(こっちはちゃんとワイバーンっぽい)に捕まってしまったのである! がしっ、と強く爪で握られ、モルバーンがぷい! と鳴いた。そのまま、ワイバーンがばさぁぁあ、と飛び出すと、モルバーンの一匹がぷいぃ、と悲鳴を上げながら、連れ去られてしまう!
これには、残ったモルバーンたちも、ひゅん、とした顔になった。そしてすぐに、「どうしよう」という顔になった。
「ああ! 大変だ! モルバーンがさらわれてしまった!」
亜竜種の男がそういう。モルバーンがさらわれても、里に大したダメージはないのだが、それはそれとしてなんかかわいそうである。
「ろ、ローレットの人を呼ばな!!」
人々がどたばたと騒いでいるその間に、しかし残されたモルバーンたちも、ぷい、と決意をあらわにした。そして、7匹のモルバーンが一斉に隊列を作ると、ぷいぷいぷいぷい、と鳴きながら、ワイバーンを追って走り出したのであった――!
「えーと。モルバーン? とかいうのがさらわれたらしいのですが……」
と、亜竜種たちの里にある、ローレットの出張所。テーブルについて、けげんな顔をして言うのは、情報屋のファーリナである。彼女の言うことには、モルバーンなる、あんまり無害な亜竜がいて、そのモルバーンの一匹が、普通のワイバーンにさらわれてしまったのだという。
モルバーンたちは、決意を新たに救出に出発――大変だねこれは! そうだ、ローレットに相談だ、ということになったらしい。
「モルバーンが居なくなったとして」
あなたの隣に座っていた、イレギュラーズの仲間が尋ねる。
「何が困るんだ?」
「何も……」
ファーリナが言った。
「だって……畑のキャベツを食べる害獣ですし……そもそも亜竜ですし……可愛い意外に助けるメリットは何も……」
「なるほど……」
うなづいた。
「でも、可愛いというのは、時には何物にも優先される何かがあると思います」
仲間の一人が、うんうんとうなづいた。
「だって……可愛いのですから……!」
「そうかなぁ……?」
仲間の一人が小首をかしげた。
「いやまぁ、なんにしても、もう仕事として受理してますし、普通にローレットの仕事ですので」
と、ファーリナが言う。まぁ、そのとおりである。これはお仕事なので、あとは粛々と取り組むだけだろう。
「運よくモルバーンを助け出したら……まぁ、そのあと一緒に遊んできていいですよ……人懐っこいらしいですから」
そういうファーリナに、あなたはうなづいた。
もふもふのモルモットと遊べる機会が、そこに訪れようとしていた。
- 帰ってきたモルバーンのぷいぷいアドベンチャー完了
- GM名洗井落雲
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年02月28日 23時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●ぷいぷい行列
「いえ、あの、建前上アレは助けていいやつなのです?」
至極当然の疑問の声を上げるのは、『雨宿りのこげねこメイド』クーア・M・サキュバス(p3p003529)である。モルバーンはワイバーンである。割と人類の敵であるのだが、それはそれとして、混沌オモシロ生物なのでOKです。
「いいのですか……」
あきれたようにクーアが言う。
「と、いいますか。前はモルヴァーンではありませんでしたか? 表記ゆれが発生している気がするのですが。
ほら、この報告書……どう見ても、モルヴァーンって」
「ぷい?」
と、モルバーンが小首をかしげた。
ぷい? と、洗井落雲が小首をかしげた。
「こいつら……」
しゃー、と猫の本能が出そうな感じになったクーアを、しかし『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が制した。
「まぁ、よいではないか。かわいいし。
表記ゆれ……というか、こう、発音を文字に起こす際に、媒体によっていろいろ変わったりもするだろう? かわいいし。
だからほら、問題ないのじゃァないかな? かわいいし」
もう背中に乗ってもふもふすることしか考えていない汰磨羈である。
「ねこの本能をどこに置き忘れてきたのですか!?」
「ん? ねことしてのプライド?
今回もおやすみだなぁ……」
にゃふぅ、とあくびなどをして見せる汰磨羈。
「うう、味方がいない……!」
クーアが地団駄を踏んだ。
「ま、まぁ。ドラネコさんという前例もありますし、いいのではないでしょうか……ね?」
そういう『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)。その腕の中には、どらねこさんが抱かれていて、くりくりとした瞳でクーアを見つめている。
「あと……ほら、かわいいですし……!」
ちょっとだけ顔を赤らめていうユーフォニー。モルバーンがぷい、って鳴いた。カワイイ。
「いや、助けるのですけれども。
ねことしての建前が大ピンチですが助けるのですけれども。
決して遊びに来たという訳でないことは最大限留意しつつ助けるのですけれども」
肩を落とすクーア。こういう時は力を抜くのが最善である。
「けれど、本当にかわいいのです」
にぱー、と笑う『陽だまりに佇んで』ニル(p3p009185)ぷいぷいと並んでいるモルバーンたちに興味津々の様子である。
「ふかふかで、ぷいぷいで、とってもふしぎなのです。
はやく一緒に遊びたいです……!」
「そうね! リチェもお友達と遊びたいわよね?」
そういうのは『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)だ。キルシェの友達であるリチェは、ジャイアントモルモット。キルシェの愛馬ならぬ、愛モルである。
「ふふ。本当に、リチェがたくさんいるみたい。ねね、鳴き声も一緒なのね。ふふふ」
とっても嬉しそうに、キルシェが言う。顔を合わせて、ぷいぷいと鳴きあうハムスターたち。『優穏の聲』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)は、はぁ、と嬉しそうなため息をついた。
「最高か……?」
「まぁ、ひとまずそれはいいのだけれど」
『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)が苦笑しつつ、言葉を続ける。
「なんでモルバーンを連れ去ったのかな? やっぱり餌として狙われたのかな?」
「アァ!?」
怖い声をゲオルグが出した。
「”餌”だと……!? この可愛い生き物を……!?」
「いや、ほら、かなーって!? オイラが食べるわけじゃないんだからさ!?」
慌てるアクセルに、ゲオルグはコホン、咳払い。
「失礼、取り乱した……このような可愛い生き物を餌にするなど、許せなくてな……」
「でも、そうなのかもしれないね……?」
『玉響』レイン・レイン(p3p010586)が小首をかしげた。
「……相手は、ちゃんとした亜竜……ちゃんとしたって意味が分からないけど、とにかく、狂暴な亜竜だから……。
自分たち以外はエサ、って思っていてもおかしくないよね……?」
「ふむぅ? このぷいぷいが失われるなど、人類にとっての損失だぞ?」
汰磨羈の言葉に、クーアが眉をひそめた。
「まぁ、この子たち、区分としては害獣なのですけど……」
「でも、可愛いですから」
ほんわかしながら、ユーフォニーがほほ笑む。
「可愛いは正義だ……」
ゲオルグもうんうんとうなづいた。
「えっと。とにかく、モルバーンたちと一緒に、ラプターワイバーンの巣まで行かないといけないんだよね?」
アクセルが言う。
「ユーフォニー、モルバーンと一応意思疎通してみて。で、巣まで案内してもらおうか」
「そうですね」
ユーフォニーがうなづいた。
「一緒に、ぷいぷいとあるけるのですね」
ニルが嬉しそうに笑った。キルシェも、にこにことしている。
「ふふ。これが遠足とかだったら、とっても良かったのだけれど」
レインもこくりとうなづく。
「きっと、早く仕事を終えれば……遊ぶ時間もあると思うよ……。
それじゃあ、行こう? 皆……」
その言葉に、モルバーンたちもぷいぷいとうなづいた――。
●VSラプターワイバーン
そんなわけで、ぷいぷい一行がぷいぷいすすむ。ここはワイバーンの住まう渓谷だ。
「弱みを見せたら一斉に襲い掛かってくるだろうな……」
ゲオルグが言う。ここは危険地帯――であることは間違いない。そこを。
「ぷいぷいぷいぷいぷい」
「えへへ、かわいいですね」
「うーん、この子はお芋さんの色をしてるのね。お名前、ぽてちゃん、ってどうかしら?」
ニルとキルシェが、にこにこと笑いながらぷいぷい達と歩いている。
「ふふ、リーちゃんも早く遊びたいですよね~?」
ユーフォニーに抱かれているどらねこさんが、にゃー、と鳴いた。
「うう、やはりモルバーンには雰囲気を破壊されてしまうのです……」
クーアが肩を落とす。とはいえ、いつまでもこのような雰囲気でいられるわけではもちろんない。
――――ッ!
突如として、声が響いた。それは、咆哮! 猛禽の咆哮だ!
「警戒して……」
レインが声を上げた。
「きっと、ワイバーンだよ……」
レインの言葉通り――現れたのは、獰猛なワイバーン達だ! その数は6――そして、そのうちの一匹の足に、
「あっ! 黒っぽいモルバーンが!」
汰磨羈が叫ぶ。その足には、黒っぽいモルバーンがつかまれていて、「ぷいー」って鳴いていた。残るモルバーンたちも、「ぷいいー」って鳴いて怯えている。
「……かわいそう」
レインが言った。確かに、おびえて切っているその姿はあまりにもかわいそうである……。
「ぷいぷい!」
と、黒モルバーンが身をよじった。不意を突いたそれが、ワイバーンの爪から逃れることに成功する! そのままぽん、と転がって、ぷいぷい言いながら坂道を転がってくる。
「あ、危ない!」
ゲオルグがそう声上げた刹那、残る七匹のぷいぷいが、ぷいぷい! と鳴きながら、壁を作り上げた! 転がってきたくろぷいぷいが、そのままもふっ、とぷい壁にぶつかる。
「おお、賢いな……!?」
アクセルが思わず声を上げた。意外と賢いモルバーン。そのままぷい、と分裂すると、八匹で並んで、ぷい、ってやった。
「可愛いな……」
ゲオルグが感激した様子でそういう。さておき。
「さて、もるもるが助けられたならこちらのものだ!」
汰磨羈が叫ぶ。
「あとは、村に帰ってもるもるするだけだ! さぁ、御主たちがいかに協力と言えど、我らのもるもるしたい欲には勝てぬと思え!」
「とはいえ――確かに、強力なワイバーンのようです」
クーアが言った。その爪はあまりにも鋭く、吐き出す吐息は灼熱のそれだ。油断して勝てる相手ではあるまい――!
一触即発――だが、その時! モルバーンたちが隊列をくんだ!
「もるばーん様?」
ニルが小首をかしげる。その言葉に、うなづくように、モルバーンはぷい、と鳴いた。そして、ぷいぷい、ぷいぷい、と踊りだす!
「な、なんだ、この踊りは……!」
ゲオルグが、思わず声を上げた。
「体が軽い……力が湧き上がってくる……!
このような感覚は初めてだ。
もう、何も恐れるものなどない……!
だって……ふわもこで可愛いモルバーンが、私を一生懸命ぷいぷいと応援してくれているのだから!」
「あっ、これ応援なんですね」
クーアが思わずそういう。そう、これは応援! モルバーンがぷいぷい踊ることで、亜竜的な魔力を紡ぎ、そして友に能力向上を与えるという、力!
「ふふ……楽しそう……。
渓谷、っていう所も始めてきたから……もるばーんさんとのお散歩だったら、ほんとによかったのになぁ……」
レインが少しだけ口元をほころばせた。
「ありがとうございます、もるばーん様」
ぺこり、とニルが頭を下げた。ぷい、とちょっと得意げにモルが鳴いた。
「じゃあ、ルシェたちも頑張らなきゃ!」
キルシェが、桜の花のブレスレットを触った。お守りだ。
「ああ! こうやって応援されたんじゃ、オイラもやる気が出てくるってもんだ!」
アクセルがうなづく。
「行こう、皆! あのワイバーン達をやっつけるんだ!」
アクセルの言葉に、仲間たちはうなづく! かくしてぷいぷいと鳴き声の響き渡る中、激戦が始まろうとしていた――!
もるもるの応援があるとはいえ、相手は強力な亜竜。しかも六匹だ。激戦は避けられない。だが――。
「私たちは! 絶対に! 負けん!」
汰磨羈が叫んだ! そうだ! 後ろには、守るべきモルたちがいる!
「私は――! 私は! 今、人生で最も! 良いコンディションの中戦っている――!」
そう叫ぶゲオルグ! そう! モルに応援されながら戦う――それがどれだけ、我らに力をくれるだろうか!?
モルバーンを体をはって守る! 痛みなんかはもう感じない! それはそれとして、パンドラは削らせてもらうが、それも必要経費というか。
「この程度の痛み、試練にもならない!」
そう! 終わったらもふもふできるのである!
「ああ、もう! これはどういうカテゴリの依頼なのですか!?」
クーアが困惑しつつ、強烈な雷光をうちはなった。それが、ワイバーンの翼を焼く!
「動きが鈍りました! 今なのです!」
「わかりました! 食物連鎖とか弱肉強食とかありますけど……可愛い子をいじめるのはだめなんです!」
ユーフォニーが、その瞳で世界を貫く。顕現せよ、ここは私だけの世界――。
「悪い子は、いりません!」
ぱりん、とガラスが割れるような音ともに、ユーフォニーの世界が断裂する。同時に、ワイバーンはその体に強烈な傷をつけられ、たまらず悲鳴とともに後退!
「逃げる子は、追わなくてもいいと思う……」
レインが言った。
「今回は、モルを助けるのが一番だから……」
「そうなのです。追い払うだけでも、いいと思うのです」
ニルがうなづく。
「うん! その、モルたちの前で、ひどい光景は見せたくないものね。
みんな、もう少しだから、頑張って!」
キルシェの描いた星が、流れ星となってワイバーンの額を打ち据える。ぎゅあ、と悲鳴を上げて、たまらずワイバーンが撤退していった。
「よーし! こいつで、とどめだ!」
アクセルが、その翼をはためかせた。同時に、裁きの光は悪を打ち据える刃となって、ワイバーン達を切り裂いた! 神聖なる慈悲の一撃は、ワイバーン達の体力こそ奪ったが、命までは奪わない。たまらずワイバーン達が逃げ出すのへ、アクセルは「ふふん」と胸を張って見せた。
「どんなもんだい、ってね。モルたちは大丈夫かい?」
「ああ。みんな無事だ」
ゲオルグが嬉しそうにうなづいた。ぷいぷい! と、モルバーンたちも得意げに鳴いて見せた。
「もるばーん様、ありがとうございました。とっても、とっても、力になったのです」
ニルが笑ってみせるのへ、もるもぷいぷいと鳴く。
「とはいえ、のんびりもしていられませんよ?」
クーアがそういうのへ、汰磨羈がうなづいた。
「うむ……ここはまだまだ危険だからな。速やかに帰還するべきだろう。早くもふりたいし!」
若干欲望が駄々洩れだがさておき、危険なのは事実だ。
「それじゃあ、リチェ、村までモルちゃんたちを連れて帰るのよ!
ふふ。モルモットはね……前を歩く子の後を追う習性があるの!」
キルシェがそういうのへ、ユーフォニーがうなづいた。
「ああ、だから、ここに来るまでも、皆は一列になっていたんですね……?」
「じゃあ……早く帰ろう?」
レインの言葉に、皆はうなづいた。モルバーンたちも、ぷい、と鳴くと、リチェの後に一列でぷいぷいついていったのであった――。
●ぷいぷいぷい
道中、特別な危険もなく、一行は集落へと帰還できた。集落の亜竜種たちは、戻ってきたイレギュラーズたちをねぎらい、ついでにぷいぷい言ってるもるばーんたちの無事をたいそう喜んでいた。
「皆さん、お疲れでしょう。広場に場所を用意しておりますので、存分にお休みください――」
そう、住民たちに声をかけられた一行は、そのままモルバーンたちとともに、広場で休息をとることとなる――。
「ふわぁ……もっふるもふもふぅー……☆」
と、そういうのはモルバーンの背でごろごろしている汰磨羈である。ちなみに汰磨羈、もう帰還の時点でこの態勢だった。帰り道はずっと、こうやってもっふるもっふるしていた。至福の時である。まさに、戦いという疲労からの即解放。即昇華――!
「ほんと……たまらないなぁ、この子たちは……一生モフモフしていたい……。
そう、これだよこれ。正に究極至高の癒しがここにある。
嗚呼、この素晴らしさを全イレギュラーズに知って欲しい。そして守ろう、モルバーン。
よーし、おやつあげちゃうぞぉー☆」
「本当に、猫のプライドはどこへ行ってしまったのです……?」
クーアが胡乱そうにそういうのへ、汰磨羈はたれ切った猫みたいになりながら、こういった。
「おやすみだぁ~☆」
はぁ、と嘆息しつつ、クーアが目の前にいたモルバーンに、じっ、と視線を送る。
「ですからその、私はねこであなた方は鼠……あれ鼠で合ってます?
……とにかく私はねこなのですが。
相変わらず調子が狂う奴なのです」
ぷいぷい、と調子をねぎらうように、もるが鳴く。ふふ、とわずかに、クーアは笑ってみせた。
「まぁ、いいです。今回は、おやつも用意してありますから。食べるといいですよ。なんだかんだ、あなたたちもお疲れでしょうから。ね?」
「あぁ……」
一方、ゲオルグはもふもふに包まれていた。もふもふ羊のジーク。そしてねこたん。さらにモルバーン。もふもふともふもふの共演。それは、もふもふパラダイスである――!
「あぁ……」
もう、ゲオルグは多くを語らない。多くを語れない。
ただ、ただ――このもふもふの海に、身を沈めるだけである――。
「ぎゅー、です」
ニルは、モルバーンにぎゅ、と抱き着いて見せた。ふかふかふわふわの毛皮が、ニルに暖かくて柔らかい感触を返してくれる。猫のココアも、モルバーンの背中に乗って、心地よさげにあくびをしている。
「ふふ。あったかくて、とっても……ほんわりした気持ちになります。
もるばーん様は、なにが「おいしい」なのですか?
やっぱり、キャベツ、なのですか?」
ぷい、とモルバーンが鳴いた。
「そうだね。やっぱり畑のキャベツを狙っているらしいし、好きなんじゃないかな?」
アクセルがそういいながら、キャベツを数枚、ちぎちって口元に持って行ってあげた。さくさくさく、とモルバーンがおいしそうにキャベツをかじった。
「ははっ、やっぱりだ」
「はい。とっても幸せそうで。ああ、これは、とっても、「おいしい」なのですね」
ニルとアクセルが、楽しそうに笑うのへ、モルバーンは不思議そうに、ぷい? と鳴いた。
「リチェも、ぽてちゃんも、がんばって!」
キルシェがそう声を上げる。リチェと、ぽてちゃんが、ぽてぽてぽて、と走り回っていた。
「リチェも、お友達ができたみたいでとっても楽しそう。ふふ、ルシェも!」
たたたっ、と駆けて行って、リチェとぽてちゃんの体に抱き着く。二匹のモルモット……いや、モルモットとモルバーンが、うれしそうにプイプイ鳴くので、キルシェもとっても幸せな気分になっていた。
「今日は応援ありがとうございました」
ユーフォニーが、モルバーンに向けて、そう声をかけた。
「おかげで、とっても戦いやすかったです……指示も聞いてくれて、うれしかったですよ」
そういってほほ笑むのへ、ぷい、とモルバーンが鳴く。
「うちのドラネコさんとも、仲良くしてあげてくださいね」
ユーフォニーの胸の内に抱かれていたドラネコが、にゃあ、と鳴いて、挨拶をするようだった。
「人参とか……ほうれん草とかも……食べるの?」
そういって、レインはモルバーンの口元に、ニンジンを近づけてみた。ぷい、と嬉しそうに鳴いて、さくさくとニンジンをかじっている。
「いがいと、口は小さい……んだね」
観察するようにそういうレインに、モルバーンは不思議そうに、ぷい、と鳴いた。それから、体を擦り付けて、もっとご飯を、と催促するように、ぷい、と鳴いた。
「……ふふ。いいよ。お疲れ様だからね。
一生懸命生きようとしてるの、伝わってくるよ……」
とはいえ、人くらいの大きさは、少し怖いけれど。
それでも、かわいらしさはあって、レインはまた、ニンジンを上げるのだった――。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
ご参加ありがとうございました。
今日も、モルバーンたちは、どこかでぷいぷい鳴いているのです――。
GMコメント
お世話になっております。ぷいぷい洗井落雲です。
ぷいぷい。
●成功条件
モルバーンを助け出してぷいぷいする。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●状況
モルバーン、さらわれる――!
モルバーンとは、見た目も生態も性格もモルモットみたいな、ワイバーンです。大きさは、人間くらいあります。ふかふかでもふもふです。
そんなモルバーンが畑の野菜をかじっていたところ、突如現れたワイバーンが、モルバーンをさらってしまいました!
これは一大事、と残されたモルバーンたちも、仲間を助けるべく旅立ってしまいます――!
という所で皆さんの出番です! 悪のワイバーンを倒し! モルバーンを助け! いい感じにモフモフして帰還しましょうj!
作戦結構タイミングは昼。あたりはワイバーンの住む渓谷となっています。割と危険なので、倒したらすぐにモルバーンと帰還してください。遊ぶなら村の畑でね?
●エネミーデータ
ラプターワイバーン ×6
鋭い牙、鋭い爪、強力な火炎のブレスを吐き出す、標準的ながら強力なワイバーンです。
前述したお降り、牙や爪は名工の剣のごとく鋭く、火炎のブレスは魔術師のそれのごとく豪列です。
攻撃には出血系列や痺れ系列、火炎系列などが付与されているほか、体力もなかなかタフな存在です。
ですが! 皆さんには! モルバーンという仲間がいます!
モルバーンが戦闘に参加している限り、なんかぷいぷいという応援と癒し効果により、パラメータが上がって、ワイバーンをばちこんできます!
このバフはモルバーンがやられてしまうとしょんぼりして消えてしまうので、モルバーンを守りながら戦う感じになります。
モルバーン×8
捕まったのも含めて、八体のモルバーンがいます。
なんか皆さんを、ぷいぷいなきながら応援してくれます。するとどうでしょう。なんかやる気がわいて、パラメータにバフがかかります。
戦闘能力はほとんどないため、守りながら戦うことになると思います。モルバーンを傷つけるなんて許せない。
戦いが終わったら、村で思う存分遊んでください。ぷいぷい
以上となります。
それでは、皆様のぷいぷいをお待ちしております!
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