PandoraPartyProject

シナリオ詳細

お前がママになるんだよ2023・冬~豊穣に巣食う謎のオギャリスト! 豊穣観光に訪れたイレギュラーズたちを襲うのは、愛に飢えた怪物たちの悲しき涙か。果たしてママは愛を教え、愛を導き、彼らを昇華させることができるのか!? 超特別ハイレベルママキャストたちがお送りする、二時間スペシャルドラマ!!~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●これまでのあらすじ
 マールちゃんとメーアちゃんと一緒に豊穣観光をしていた、夜摩 円満 (p3p010922)をはじめとするイレギュラーズ(あなた)達!
 だがふと気が付いたら、謎の井空間に閉じ込められていた!!!!!!

「な、なんですか、これは……!?」
 まだ与太慣れしていないメーアちゃんが目を丸くする。そこは、なんかこう、こう……奇妙な空間であった!(描写の放棄)
「ふふふ……現れましたね……皆さん……!」
 そう、そこに現れたのは、井である! だが、いつもと様子が違っていた! 井なのだが、なんかこう、井っぽくない!
「あれ? 井さんじゃないね?」
 そういって小首をかしげるマールに、井っぽいのがぐにゃん、とうなづいた。
「そう。私は――例えるなら、地蔵菩薩の化身――」
「あなたのような地蔵菩薩がいてたまりますか」
 円満がいやそうな顔をした。確かに、こんな地蔵菩薩がいるとしたら、仏教界からクレームの嵐といえるだろう!
「待ってください、例えるなら、と申し上げました。
 地蔵菩薩の役割の一つをご存じですか? 賽の河原にて苦しむ子らを、救済するのです」
「なるほど、確かに……」
 円満が小首をかしげた。
「聞いたことは、ありますが……」
「私はその役割を仰せつかった存在(という設定の良い妖怪)です。姿かたちは、あなたたちの知る中で、最もバブみを求めておぎゃりそうな姿に変換されているわけです」
「ああ、だから井さんに」
 メーアが納得した。
「はい。というわけで、私はこの井空間――通称『賽の河原オンライン』にて、世に迷い出たオギャリストたちの魂を慰撫しているのです」
「賽の河原オンライン」
 円満がつぶやいた。
「業の深そうな名前ですね……?」
「はい。賽の河原オンラインという名前の通り、ここには豊穣のあらゆる場所から、突然バブみを感じてオギャりたくなった人たちが送られてくるのです。先日洗井落雲も送られてきました」
「へー、そうなんだね!」
 マールちゃんがにっこり笑った。
「でも、なんであたしたちも送られてきたの? あ、実はあたしたち、けっこーバブみを感じてオギャりたくなってた? ってやつ?」
 んー、と小首をかしげて見せるマールに、地蔵菩薩がぐるぐると回転した。
「いえ。皆さんは逆です。そのあまりにも強い『ママちから』ゆえに、この場所に召喚されたのです」
「なんか嫌な予感がしてきました」
 メーアちゃんが、はう、と肩を落とした。
「もしかして、わたしたちがママとして、皆さんをあやす……のでしょうか?」
「oh……Yes……物分かりがよくて助かります……」
 ぐるぐると地蔵菩薩が回転する。
「皆さんは、たぐいまれなるママ適性を持ったママたち……そう、そのあふれんばかりのママちからで、彼らを昇天させるのです!
 例えば彼」
「ママーーッ!!」
「三日三晩働いて、ろくに休みももらえていないおじさんです」
「おじさん」
 円満がうなづいた。
「例えばこちらの子」
「ママーーーッ!!」
「プリンを作ろうと思ったけど、雑に作ったせいでスが出まくって台無しになったのでふて寝をしているお姉さんです」
「そんな理由で……?」
 メーアが小首をかしげた。
「人は突然、ママを求めるのです。それがどのような理由であってもですよ」
 諭すように、地蔵菩薩が言う。
「ほかにも、様々なママを求める者たちが、この賽の河原オンラインをさまよっています。
 皆さんは、こう、適当に救うべき人をでっちあげて、存分にママみを炸裂させていやしてあげればよいのです」
「へー、そうなんだね……」
 ふむふむ、とマールはうなづいた。
「とにかく、ママみを感じさせてオギャらせないといけません。
 まぁ、依頼を失敗しても出られますが、それはメタ的なあれなので。頑張ってオギャらせて下さい」
「ええと。状況は理解しました」
 円満がうなづいた。
「私が力になれるなら、頑張ります。
 みなさん、頑張って、皆をオギャらせましょうね!」
 そういって、円満が仲間のイレギュラーズたちに向けて、微笑みかけた。
 みんないやそうな顔をしていた。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 ママーーーーッ!

●成功条件
 迷い出た魂たちを、片っ端からバブみを感じてオギャらせてあげる。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●状況
 マールちゃん、メーアちゃんを、豊穣観光に連れて行ってあげていた、心優しいイレギュラーズの皆さん。
 ですが、そこで謎の井空間にとらわれてしまいます。
 その井空間は、通称、賽の河原オンライン。実生活で、なんか突然疲れてママみを求めてしまった人たちの集う場所です。
 皆さんは、今こそ、そのあふれ出るママ適性を全力全開に発揮して、疲れた現代人たちをオギャらせてあげてほしいのです!!!
 ここにはいろいろなタイプの疲れた人たちがいます!
 仕事に疲れた茶零四みたいな人とか。
 仕事に疲れた黒筆墨汁みたいな人とか。
 仕事に疲れてないけど甘えたい洗井落雲みたいな人とか。
 まぁ、色々います!
 皆さんは、そういった『疲れた人たち』をでっちあげ、自らの持つママちからを発揮して、皆さんをいやしてあげればいいのです!
 素直に言ってしまえば、皆さんの考える『甘えたいシチュ』をでっちあげて、その人を甘えさせればいいのです。それで勝てます。

●同行NPC
 マールちゃん(p3n000281)とメーアちゃん(p3n000282)
  豊穣近海の海底都市『竜宮』に住んでいる女の子たちです。この度、皆さんと豊穣観光に来ていましたが、与太依頼に巻き込まれました。
  二人とも、かなりのママ力を持っています。もういっそ、二人に甘えてればいいんじゃないかな……それも許可します。皆さんも疲れてるでしょうからね!

 自称地蔵菩薩
  井みたいな恰好をしている、『いい妖怪』です。賽の河原オンラインで、オギャらせています。
  なんかフラストレーションを感じたらぶんなぐっていいです。井なので。

 以上となります。
 それでは、ママーーーーッ!!!

  • お前がママになるんだよ2023・冬~豊穣に巣食う謎のオギャリスト! 豊穣観光に訪れたイレギュラーズたちを襲うのは、愛に飢えた怪物たちの悲しき涙か。果たしてママは愛を教え、愛を導き、彼らを昇華させることができるのか!? 超特別ハイレベルママキャストたちがお送りする、二時間スペシャルドラマ!!~完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年02月28日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
風花 雪莉(p3p010449)
ドラネコ保護委員会
マリエッタ・エーレイン(p3p010534)
死血の魔女
水天宮 妙見子(p3p010644)
ともに最期まで
夜摩 円満(p3p010922)
母なるもの
※参加確定済み※
ピリア(p3p010939)
欠けない月

サポートNPC一覧(2人)

マール・ディーネー(p3n000281)
竜宮の少女
メーア・ディーネー(p3n000282)
竜宮の乙姫

リプレイ


 本日のママは――。
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)
 『まま』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
 『陽だまりに佇んで』ニル(p3p009185)
 『ドラネコ保護委員会』風花 雪莉(p3p010449)
 『未来への葬送』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)
 『母』水天宮 妙見子(p3p010644)
 『母なるもの』夜摩 円満(p3p010922)
 『欠けない月』ピリア(p3p010939)
 以上八名でお送りいたします――。

「やってやろうじゃねぇかよ!!!!」
 ぐわり、とママが叫ぶ。ママじゃなかった、ゴリョウだった。
「変なお仕事なのだわ」
 華蓮が小首をかしげる。
「そもそもタイトルからしておかしいのでして……」
 円満が言った。
「いいですか、このタイトルだけで170字ほどリプレイ文字数が埋まってしまうのです。
 読み上げると、『お前」
「いえ、それをやると無駄にリプレイ文字数が埋まってしまうので……」
 雪莉が嘆息した。
「そもそも私たちは、どうしてこのような状況に?」
「たしか、ここにさまよう魂的なものをママとなって癒してほしいと……。
 えっと。ママじゃないですよー」
 マリエッタが困惑しながら言うのへ、井、じゃなかった、地蔵菩薩がぐるぐる回転しながら言った。
「その優しい心の在り方がすでにママなのですよ」
「ママとは、心の在り方なのです?」
 ニルが小首をかしげた。
「ニルは、ママがいないから、よくわかりません。
 でも、皆さんが笑顔になれるように……
 ばぶみ? でおぎゃれる? ように、ニルはいっぱいがんばりますね!」
「なんだこの子、天使か……? 結婚して……?」
 地蔵菩薩……もう井でいいや……がぐるぐる回転する。
 ピリアがぴょん、と手をあげた。
「ピリアも、ママにいっぱいぎゅってしてもらって、かなしいときとか、つかれたときに、げんきをいっぱいもらったの!
 ピリアも、ママみたいに、みんなをぎゅってしてあげるわ!」
「なんだこの子、天使か……? 結婚して……?」
 井がぐるぐる回転した。
「欲望が駄々洩れている……」
 妙見子が肩を落としつつ言った。
「というわけで、(産んだ覚えのない)娘達のお世話を常日頃からやっている妙見子ちゃんなら、これくらい造作もありません。
 ママ適性全開! 見ていてくださいまし娘達! ママはこの依頼で頂点に立ちますからね~! MVP! とっちゃいますからね~~!」
 ぶいぶい、とやって見せる妙見子。
「それではママの皆さん、お仕事です!」
 と、井がぐるぐると回った。

●ママ。そしてママ。
 ママとは何か――そう問われたときに、円満はこう答えた。
「私としては「ママ」とは「優しい宿り木な様な癒しの存在」だと思っております」
 と――。
 プロフェッショナル。ママとしての仕事の流儀というべきか。そう語る円満の瞳は慈愛に満ちていた。
 ああ、今日もここに、仕事に疲れた一人の男がいる。苛烈な飢え。それは食欲ではなく、ただ愛情への飢えである。
 愛を与えられたのは、いつごろまでだっただろうか。無償の愛、そのようなものを得るのは難しい。この歳となっては。もはや夢物語にも近いだろう。
 だが――ママはここにいる――!
「大丈夫ですよ、貴方が頑張ってるのは私がよく知っております。ですから今日ぐらいは私に存分に甘えても良いのです」
 ママはそういった。優しく、会社員の男を抱きしめる。その背を抱くように。その顔を抱くように。心音は、人を落ち着かせる音色を奏でるという。なればママの心音とは、つまり無償の愛ではないか――?
「ママ……!」
 男は思わずつぶやいた。ああ、それは無償の愛の音であった。遠き日の思い出が、脳裏を駆ける。暖かな母の腕に抱かれていた、遠い記憶。いや、それは今ここに、現実となって己が身を温めてくれるのだ――!
「フフ……いい子です。さあ、力を抜いて……今は何も考えず身を委ねて」
 ママの胸は豊満であった。まるで子供のころに戻ったように、男はその身をゆだねる。
「マールさん、メーアさん。好かったらお手伝いいただけませんか?
 そうですね、竜宮に伝わる子守唄など、ありましたら」
「んー、じゃあ、昔聴いた奴をうたおっか」
「そうですね。わたしも、子供のころに、お母様に……」
 柔らかく微笑む、マールとメーア。そして円満は、優しく、優しく、子守唄を歌い始めた。
 それは潮騒のささやき。波間のゆりかご。会社員の男が静かに、静かに――ママの愛に包まれていく。
「このまま、眠ってもいいのですよ。ゆっくり、ゆっくり、おやすみなさい?」
 ママがそういった。そう、もう眠っていいのだ。このまま、眠ろう。朝まで。リプレイまだ残ってるけど。安らかに。緩やかに。
 終わり。






 あぶねぇ! 終わるところだった! とまぁ、一人目のママはこのような感じである。一人目のママの時点でかなり威力が高いのはご理解いただけただろう。こんなママが、あと七人も!?
 と、とんとん、とんとん、と音が聞こえてくる。ああ、懐かしい。これは、包丁の音だ。
「この現代において、時間に追われる全ての者は食事も碌に取れなかったり、手軽な携行食、外食で済ませたりとままならねぇ人生を送ってる。
 俺ぁそういう故郷の、実家の、母の味ってやつを忘れちまった奴らに対し、料理という面から盛大に甘やかしてやろうと思う。

 疲れ切った者たちはふと気付くだろう。

 野菜を刻む包丁の音――。
 味噌汁の香り――。
 湯気の温かさ――。
 膳が置かれたテーブル――。

 五感全てに訴えかける郷愁の想いと共に差し出される。
 ご飯と味噌汁、そして卵焼きの膳。

 これを見て、食べれば誰もが思わずこう呟くことだろう。
 カーチャン……と」
 ママへの意気込みを熱く語る、職人。ゴリョウ・クートンである。果たして、我々は今、カーチャンの目の前にいた。見慣れた顔は、テレビに出てくるような芸能人とは違う、平凡な顔だ。でも、きっと、我々にとって、最高に美しいカーチャンの顔をしていた。
「ほら、食べちゃいなさい」
 ママがそういった。ホカホカのごはん。味噌汁。ふりかけ。梅干し――もし味わったことがなかったとしても、我らの郷愁を掻き立てる、ママ……いや、カーチャンの光景。それは、我々の心に植え付けられた原体験なのかもしれない……。
 一口、ご飯を運ぶ。なんの変哲もない、ご飯だ。ほかほかの、ご飯だ。それが、どうして、こんなにも美味いのだろうか……。
「そりゃあんた、愛情が入ってるからね」
 カーチャンが言った。
 そうか、そうなんだね。カーチャン。ありがとう。いつも、本当に、ありがとう。
 ちゃんと言ってやればよかった。言えなくなる日が来るなんて思わなかった。いや、洗井落雲のカーチャンはめちゃくちゃ元気だが。それはさておき、ちゃんと言わなきゃ。そう思った。
 ありがとう、カーチャン。いただきます。そして、ちゃんと言うね。ご馳走様って。
 リプレイ終わり。









 いや、終わるなよ。どうも攻撃力の高いママばっかりだな! しかし、さすが賽の河原オンラインに招かれたママたちである。そのママ力は非常に高い。
「どうしたのですか? リプレイ書くのに疲れてきたのですか?」
 そういって、ママがにぱ、と笑った。ニルである。いや、ママである。
「リプレイおわり、って空行を重ねるネタも、もう使えないのです。天丼はにかいまでなのです。
 でも、ニルは、一生懸命ぼうや様が働いている姿が、えらい、って思います」
 そういって、ママは僕を抱きしてめてくれた。
「だいじょうぶです、がんばりましたね。
 よしよしって頭をなでてもらうの、ニルは好きだから。
 あなたの頭もよしよしってしますね」
 よしよししてくれる。ママ。おぎゃあ……。
「ふふ。いいこいいこ、です。
 すこし、寝てしまいましょう?
 膝を、貸してあげますね。転がってください」
 はい……。
「よく眠れるように、おでこに、おまじない、してあげますね。
 ……ちゅっ。いいこ、いいこ。こわいゆめなんて、見ないですよ。
 ゆっくり、ゆーっくり、休んでくださいね」
 ママ……ママありがとう……僕、もう、寝るね……。
 寝。




 いや、危ない。皆殺傷能力が高い。すでに彼方此方で、ママに癒された魂たちが昇天しかかっている!
「すごいですね! これが超特別ハイレベルママキャスト達の力ですか……!」
 井がぐるんって回った。さすがに大興奮である。
「見てください、あちらを」
 指さしてみれば、そこには雪莉の姿があった。

「なるほど、貴方は毎日のようにお仕事でミスをしてしまって自信を無くしてらっしゃるんですね。
 他の人に出来る事が自分は出来なくて辛い。
 後から思い返せば分かるのにその時はどうして間違って事をしてしまうのか、上手くやれないの悔しい」
 そういって、雪莉ママが柔らかく笑った。
「ふふ。誰だってそうです。私だって――ドラネコさんとの日々は、失敗ばかりで。どすいてうまくやれないんだろう、って思ったりもします」
 そういって、優しく手を握り、ほほ笑んだ。
「誰しもミスはしてしまうものとはいえ、それが続くと自信を無くしてしまうし周りからの目も気になります。
 ですが、失敗ばかりではないはずです。ちゃんと出来た事もあるのではないでしょうか。
 嫌な記憶というものは、得てして残りがちです。大丈夫。あなたのことを、ちゃんと評価してくれる人たちはいます。
 例えば、私とか」
 そういって、ママは少しだけいたずらっぽく笑った。
「私も、失敗ばかりのママですけれど。一緒に頑張りましょう? 私は最後まで、あなたのママなのですから――」
 男の魂が昇天していく。どこか嬉しそうに、ママは笑った。
「頑張るんですよ。私のぼうや――」

「ママじゃん」
 井が言った。確かにママじゃん。
「それにあちら。マリエッタさんです」
 井が指さす。

「私は、母のことは覚えていなくて。ですから、どのように接すればいいのか、わかりません」
 ママは気恥ずかしそうに微笑んだ。
「マールさんやメーアさんの様に……とマネするのも、なんだかすこし、くすぐったくて。
 だから、普段通りに接していこうと思います。それがきっと、一番いいって思います」
 ママが優しく話を聞いてくれるのだ。落ち込んでいる僕を、勇気づけるように――。
「ええ、貴方は本当に頑張ってる。とても強いお人です……でも、たまにはいいじゃないですか……ねぇ」
 そういって、いたずらっぽく、ママは微笑むのだ。手にしたのは、ちょっとだけ優しい、お酒。
「ふふ、今日ぐらい好きなように、おいしいご飯でもお酒でも……思う存分楽しみましょう?
 私も、リクエストにお応えして、お料理、してみます。
 カレーとか、肉じゃがとか? そういうのが好きなのかな?」
 ふふ、と笑ってみせるママ。そうだね、僕はママの作った料理なら何でも好きなんだ。
「なんでも、って一番困るやつですよ? わがままなんですから。
 でも、今日くらいは、わがままになってもいいんですよ。
 生姜焼き、好きでしたよね。つくってあげます」
 すぐに、懐かしい匂いが漂ってくる。ママの生姜焼きだった……。
「私も見守ってますから、明日は頑張ってくださいね。
 甘えん坊はちょっとだけ、それ以上はめっ、ですよ?」

「最後にしかってくれるのめっちゃよくない?」
 めっちゃいい、わかる。それよりペース配分大丈夫?
「大丈夫です大丈夫です。次々行きましょう」

 子守唄だ。子守唄が響いている。優しい音色? 穏やかな声? いいや、僕のママは、とっても元気な歌声だ。
「きらきら♪ ふわふわ♪ おふとん♪ おほしさま♪」
 子守唄にしては、元気すぎるかもしれない。でも、その元気さが、ピリアママの良さなのだ――。
「ふふふ、おしごと、おつかれさま。きょうもがんばって、えらい!
 ピリア、ぽんぽん、ってしてあげるね!」
 ふわふわと、孤独な魂たちが集まってくる。ママに導かれ。ママの愛に包まれるために。
「みんな、がんばったの。えらいえらい、なの!」
 ぽんぽん、と元気よく。でも柔らかく、優しく。ぽんぽん、としてくれる。ママ。元気いっぱいで、かわいらしい優しいママ――。
「ねむくなったら、おひざにのってもいいのよ。ひざまくら、してあげるの。
 ……あの」
 ママはもじもじと、マールママとメーアママに声をかけた。
「マールさんとメーアさん、ピリアと同じディープシーだから、少しぎゅってしてもらいたいの!
 きっと、ママやパパとおんなじにおい、するとおもうの♪」
 そういって、にっこりと笑う。そうだよね。ママだって疲れるよね。
「わ、いいよいいよ! ほらほら、おいで~」
「じゃあ、みんなで一緒に、ぎゅってしましょう?」
 マールとメーアが両手を広げてピリアを呼ぶ。ピリアは、嬉しそうに駆け出して、三人でぎゅーってしあった。やだ、尊い。

 華蓮ママはママーメイドである。ママであり、メイドであり、マーメイドである。無敵じゃん。
「ママって呼んでみて?
 大丈夫……まずは一度、口に出してみるだけで良いのだわ。貴女のお話聞かせて?」
 ママがそういうのは、仕事で疲れ切ったギルド受付嬢だ……僕じゃないのか……。
「ママ……?」
 そう受付嬢が言えば、華蓮ママは優しく笑ってくれる。
「はい、よくできました、なのだわ。それじゃあ、ママに何でも話してみて。つらいこと、あるのでしょう?」
 そういわれれば、受付嬢の口から、次々と言葉があふれてくる。つらいこと。仕事のミス。あるいは、パワハラ的なあれ。
「そう。ずっと、ずーっと、耐えてきたのね? えらいのだわ!」
 ママはそういって、受付嬢を抱きしめた。耳元で、ささやくように。
「良い子良い子……大丈夫……」
 そういって、ママは受付嬢を、ぎゅーってした。抱きしめられると、幸せホルモンが出るので、受付嬢は幸せに包まれている!
「ごめんね、ドキドキしてるのうるさいかしら?
 ……最近、女性にもドキドキするようになっちゃって……」
 マジで? そりゃ僕は間に挟まれないわ。pipiさんに殺される。
 それから受付嬢がとろけてオギャるまで、華蓮ママはずっと、抱きしめてあげ続けていた――。

「ふふ、ここまでリプレイお疲れ様でした♡」
 そういって、布団の中から、ぽんぽん、と枕を叩いて見せるのは、妙見子である。これは――ま、まさか、添い寝!?
「ふふ、その通りですよ? ささ、遠慮なさらず。
 いつもお仕事お疲れ様です♡
 納期が早まったなんて……大変ですよね……妙見子もよ~くわかります。でも今日はしっかり寝んねしましょうね?」
 ぱさ、と温かいお布団をかけてくれる。ママ……。
「はいはーい、ママですよ♡
 ふふっ、甘えん坊さんですね♡ では妙見子からもぎゅ~♡ とんとん、してあげますから。ゆっくりお休みなさいませ?」
 暖かさとやさしさに包まれて眠る。これがおそらく、この世に残された最後の幸福なのだ。
 皆人類は、妙見子ママと一緒に眠るがよい。それが人生の至福である。もう仕事なんてしたくねー……。
「貴方はいつも頑張っておりますね……。
 でも無理をして体を壊したらいけませんよ? しっかり睡眠をとって、おいしいご飯を食べてまた頑張ればいいんですからね?
 ……ふふ、偉い偉い♡」
 ありがとう、ありがとうママ……このまま、このまま眠れそうだよ……。
「あら、井さまも、ほら♡ 遠慮なさらず♡
 最近重傷になったり四次元の壁を超えたりで大変でしょうし、ささ、洗井落雲と一緒にお眠りください♡」
「えっ!? いいんですか!? 僕は遠慮とかしませんよシューッ!」
 布団に潜り込む井! そのまあすぐにとろけた感じになった。
 そして洗井落雲と井は眠り続けた……ママのぬくもりに包まれながら――。


「で、まぁ、満足したならいいんだけどな?」
 はぁ、と頭を掻きながら、ゴリョウがそういう。賽の河原オンラインは、ほとんどの魂が根こそぎ浄化されていた。井も寝ていた。洗井落雲も寝ていた。もう世の中は平和である。
「これで、あとは観光の続きができるってわけだな。
 で、だ。ディーネー姉妹よ。今日は甘やかす側だったが、困った時は頼ってくれていいんだぜ?
 俺ぁ野郎だしママにはなれねぇが、大人として子供を守るのは当然だからな!」
 ぶははっ、と豪快に笑うゴリョウ。大人として、二人を心配する愛情が、確かにあった。ママじゃん。
「えっ、ママだ……!」
 マールがにこにこと笑ってみせた。「いや」とゴリョウが苦い顔をする。
「ママにはならねぇって言っただろう!?」
「じゃあ、性別的にパパ、でしょうか?」
 メーアが小首をかしげる。
「いや、それはなおのことやばい気がする……おいおい、メーアもからかわないでくれ!」
 その様子に、皆は笑ってみせる。一方、そんな中、おずおずと手を上げる、華蓮ちゃんが一人。
「あの……マールさん……皆に内緒で、私も、貴女にその……少しだけ……。
 オギャる側を体験させてほしいな……ぎゅってしてもらってよしよしってされたいな……なんて……」
 小声で誰にも分らないようにそういう華蓮に、マールはにっこり笑って「おっけー♪」と笑ってくれた。
「ちょっと内緒のお話ししてくるね~」
 と、マールが華蓮の手を引いて、物陰に隠れる。
「えーと、抱きしめて、よしよし、ってしてあげればいいかな?」
 そういって、ぎゅ、と抱きしめたマールに、華蓮はぎゅー、と抱きしめ返した。
「うえぇぇん! ごめんねぇ、貴女大好きなパートナーにちょっと似てるのだわぁ!
 一緒に居る所も見かけてて気になってたのだわぁ! これを機に仲良くしたいのだわぁ!」
 甘える華蓮に、マールは目を丸くしてから、
「え、そうなの!? いいよいいよ! 仲よくしよう!
 えへへ、うれしいなぁ~♪」
 と、ぎゅーと、さらに強く抱きしめるものだから、華蓮もうれしくなって、半泣きでぎゅー、と抱きしめあうのだった。尊い。
「ところで、地蔵菩薩様は、どちらですか?」
 と、ニルが言うので、井がぎゅるぎゅる回転しながら飛んできた。
「はいはい! こちらに!」
 回転する井に、ニルはにぱ、と笑いながら、
「地蔵菩薩様もお疲れ様なのです。
 地蔵菩薩様も、ママがほしいですか?
 地蔵菩薩様のことも、ぎゅってしてよしよしって、したいです。
 今日のニルは、ママなので。
 ……ママにどうしてほしいですか?
 ニル、なんでもしますよ!」
 とか言うので、井が凄い勢いで回転しだした。
「マジで!? マジですか!?!?! なんでもするの!?!?!? 今何でもするって言ったよね!!!
 えーとですね、じゃあまず、ぎゃあリプレイ文字数上限!!! こんな時に!!!!!」

 というわけで、終わりである。めでたしめでたし。

成否

成功

MVP

水天宮 妙見子(p3p010644)
ともに最期まで

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ書きながら浄化されてしまい、危うく2023回成仏しかけました。
 来年は2024回成仏します。

PAGETOPPAGEBOTTOM