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シナリオ詳細

<晶惑のアル・イスラー>砂漠市場襲う赤き獣を撃破せよ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 砂漠と商人の国、ラサ。
 そこでは今、ひとつの不穏な噂が広がっていた。
 紅血晶。
 まるで、魅了の呪いでもかけられているかのような美しい宝石にまつわる噂だ。
 この宝石は非常に美しく人気が高く、鮮やかなルビーのような輝きに目を奪われるだけでなく、宵闇の気配さえさせていた。
 どこで産出されたかは分からず、地下から発掘されたという話を聞くが、大元の出所は分かっていない。
 しかも流通量が絞られているのか手に入れるのも難しく、躍起になって商人達は取り合っている。
 その上、動乱の火が燻っている幻想の貴族達も商人に依頼を出し手に入れようとしているため、その人気は異常ともいえる熱を帯びていた。
 だが紅血晶には、不吉な噂が付き纏う。
 その宝石を手にした者が化け物になり果てる、と言うのだ。

 それは事実である。

 調査を行っていたイレギュラーズにより、すでに幾つかの事件の対処が行われていた。
 危険だという警告も流され、それが紅血晶にまつわる噂として広がっていた。
 だがそれでも、人の欲は深い。
 所詮は噂だと聞き流し、あるいは危険性を知りながら、負債は誰かに押し付ければ良いとばかりに、余計に紅血晶の売買は活発になっている。
 もはや手遅れ。
 紅血晶を取り上げようにも、大金をはたいて手に入れた商人は手放す筈もない。
 損をすれば、どのみち破綻するのだ。
 少しでも早く、可能な限り高く、売り抜けようとするのは必然だった。
 もちろん、その状況を危惧する者は少なくない。
 多くのイレギュラーズに調査を頼み、何かが起こるより早く、未然に防いでくれることを願っていた。

 その願いは、破られる。

 それは美しき冬の夜。
 灰色の王冠(グラオ・クローネ)の伝承を讃え人々が過ごす、憩いの日。
 多くの商人が様々な商品を広げ、それを目当てに多くの客が集まるサンドバザール。
 そこで悲鳴のような叫び声が上がった。
「化け物が来るぞ!」
 叫び声に視線を動かせば、その先には紅き血晶に侵された獣の群れが近付くのが見える。
 それは紅血晶により転じた憐れな獣。
 理性は無く、本能すら紅き狂乱に塗り潰され、温かき赤き血を啜り貪ろうと、サンドバザールに集った人々に向かって来る。そして――
「奔れ、獣共。血袋共の腸をぶちまけろ」
 獣たちを引き連れているかのように、進む者が1人。
 それは真紅の瞳と、夜に映える白い肌をした、喪服に身を包んだ男装の麗人。
 紅を塗ったかのように赤い唇から覗く犬歯は鋭く、まさしく牙であるように見えた。
「祝え、これは先駆けだ」
 男装の麗人は、歩を進めながら言祝ぐように声を上げる。
「偉大なる純血種(オルドヌング)の姫君のため、我らが生きる場所のため、月の王国の威を知らしめよ」
 薄らと肌を紅潮させ、狂乱に酔うように、サンドバザールに近付いてくる。
 それは殺戮の行進。
 明確な殺意を持って近付く獣達を前に、サンドバザールは混乱に陥った。
 我先に逃げ出そうとする者。
 親しい者を守るように逃げ出そうとする者。
 逃げる前に売り物を掻き集める商人。
 残された商品を奪うように盗む者。
 皆が協力し、理路整然と逃げれば速やかに退避できたかもしれないが、それぞれの思惑でバラバラに動くせいで巧くいかない。
 その隙を逃さぬというように、駆けてくる赤き獣たち。
 虐殺が始まる――しかし、ここにはアナタ達、イレギュラーズがいる。
 紅血晶にまつわる警戒の一環として、サンドバザールの警護についていたアナタ達は、赤き獣たちを迎え撃つ。
 被害を最小限に食い止めるべく、アナタ達の戦いは始まった。

GMコメント

おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
今回は、紅血晶にまつわるシナリオのひとつになります。

以下が詳細になります。

●成功条件
 晶獣を撃破し、可能な限り人の被害を少なくする。
 物的被害は成功条件には含まれないので、多少破壊されていたとしても問題ないです。

●状況
 以下の流れで進みます。

1 晶獣達が襲撃して来るのに気付く
  サンドバザールの警護についていた状態から始まります。
  晶獣の襲撃で、サンドバザールの人々が混乱状態になってます。
  すぐさま敵の撃退に向かっても良いですし、人々の避難誘導などをしてから
  戦闘に加わる等、その辺りは自由です。

2 晶獣達を撃破する
  晶獣達を倒し終えれば終了です。
  傷付いた人々の治癒に動いたり、破壊された後の片付けを手伝ったり
  そうしたアフターケアも自由に出来ます。

●戦場
 サンドバザールで戦うことになります。
 開始時点では、敵である晶獣達が、サンドバザールの端に到着する寸前の状態です。
 その後、時間経過と共に、サンドバザールの中に晶獣達が侵入して来ることになります。
 商品や簡易店舗、逃げ遅れた人々がいる可能性もあるので、それらが戦闘時に邪魔になる
 可能性はあります。
 戦闘時間帯は夜になりますが、サンドバザールのための光源が設置されているため
 戦闘時に明るさで支障は出ません。

●敵
 晶獣
 紅血晶により、動物あるいは死体が変化した物です。
 人が晶獣になる場合もありますが、今回は人由来の晶獣は含まれません。
 以下の種類の敵が出てきます。

 サン・エクラ×??
 小動物や小精霊などが、紅血晶に影響されて変貌してしまった小型の晶獣です。
 キラキラと光る、赤い水晶で構成された姿をしています。
 クリスタルそのものや、犬や猫のような姿をしていることが多いです。
 鋭い水晶部分による物理至~近距離戦闘を行うことが多いです。
 いわゆる雑魚敵です。

 ポワン・トルテュ×??
 ラサに打ち捨てられた、巨大リクガメの化石が紅血晶に侵食されて誕生した
 大型のアンデッド・水晶亀です。
 動きは遅いですが、タフで固く、他の晶獣を守るようにふるまいます。
 いわゆるタンク役・盾役としてふるまいます。『怒り』を付与する咆哮などで
 イレギュラーズを引き付けてくるでしょう。

 リール・ランキュヌ×??
 紅血晶が付近の亡霊と反応し、生まれたアンデッド・モンスターです。
 もともと亡霊として強力な怨念を抱えていましたが
 紅血晶によってさらに強化されました。
 その嘆き声は、強力な神秘の魔術に匹敵します。
 強力な神秘遠距離攻撃を行ってきます。体力面では脆いため、後衛で味方に守られながら
 攻撃を行います。
 『嘆き声』には、『毒』や『狂気』系列のBSを付与する効果もあります。

 上記の敵は、ご参加いただいた皆さまのレベル帯などを考慮して数量を調整します。

 男装の麗人
 吸血鬼(ヴァンピーア)です。紅血晶の流通に携わっている者達の1人です。
 皆が紅血晶のことを「血色で美しい宝石だ」と口にするため、何処かで
 噂のように吸血鬼と呼ばれ始めたそうです。
 晶獣達にバフを掛けます。
 パッと見は晶獣を操っているように見えますが、そんなことは無いです。
 晶獣が襲撃するのを見てテンションが上がり勝手について来た。
 このキャラの内面は今のところ決めてないんですが、ポンコツかもしれません。
 一定以上のダメージを受ける、あるいは晶獣が一定数撃破されると撤退します。
 この敵については、撃破しなくても成功になります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 説明は以上になります。

 それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。

  • <晶惑のアル・イスラー>砂漠市場襲う赤き獣を撃破せよ完了
  • GM名春夏秋冬
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年03月05日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
Lumière Stellaire
ジルーシャ・グレイ(p3p002246)
ベルディグリの傍ら
ライ・ガネット(p3p008854)
カーバンクル(元人間)
トスト・クェント(p3p009132)
星灯る水面へ
ファニー(p3p010255)
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
ガイアドニス(p3p010327)
小さな命に大きな愛

リプレイ

 来襲する赤き獣達。
 サンドバザールに訪れていた人々は恐怖し逃げ惑う。
 混乱する状況を収めるべく、イレギュラーズ達が素早く動いた。

(精霊たちが騒いでいると思ったら……!)
 いち早く走り出したのは、『月香るウィスタリア』ジルーシャ・グレイ(p3p002246)。
 精霊達のざわめきを感じ取り、直感に促され一手早く動いていた。
「大切なグラオ・クローネの夜を、アンタたちの好きにさせるもんですか!」
 精霊の竪琴を手に取り、逃げ惑う人々に呼び掛けるための旋律を響かせる。
(お願い、力を貸して頂戴)
 妙なる旋律に魅了されるように周囲の精霊が集まり、竪琴の音色と心を落ち着かせるラベンダーの香りを届ける。
 それが届くと、狂騒に陥った人々の心が鎮められていく。
 同時にジルーシャは、皆が不安がらないよう明るい声で指示を出した。
「安心して、大丈夫よ。アタシたちが絶対に守るから、信じて頂戴」
 まずは落ち着かせ避難を促す。
 人々は恐怖しながらも、ジルーシャの言葉に従う。
 しかしその状況でも不届き者がおり――
「ちょっとそこ、火事場泥棒なんていい度胸じゃない。アタシの目は誤魔化せないわよ?」
 火事場泥棒を諌めながら避難誘導を続けた。

 避難を進めていくが、その間も晶獣は迫ってくる。
 だからこそ迎撃に動く者もいた。

(殺戮の行進などさせん)
 晶獣を迎え撃つため前に出たのは、『Stargazer』ファニー(p3p010255)。
 連続して星屑を降らせながら、晶獣の行進を押し留めるように歩を進めた。
 晶獣は降り注ぐ星屑で、血潮の代わりに赤い花のような結晶を咲かせ散らせる。
 傷を受け動きが止まりそうになったが、突如赤い輝きに包まれ勢いが増した。
(なんだ?)
 訝しむファニーに男装の麗人が声を上げる。
「道を開けろ、人に与する者」
「やだよ。誰が道を開けてやるかよ」
 すぐさまファニーは返した。
「道を譲るのはそっちのほうだ」
 星屑を降らせ続けながら、さらに前に踏み出す。
「さぁ、俺様を止められるものなら止めてみせろ」
「貴様っ」
 男装の麗人は怒りを露わにし晶獣達を赤き輝きで包む。
 その度に晶獣達の勢いは増していった。
(あの吸血鬼みたいなやつは……晶獣を操ってるのか?)
 見極めようと、晶獣の動きをファニーは追うが、晶獣と男装の麗人の動きが合っているようには見えなかった。
(連携してるようには見えない……混乱に乗じて出てきただけの愉快犯か? それともただのアホなのか?)
 現時点では判断できないが放置も出来ない。
 ファニーは避難する人々を守るためにも、星屑を降らせ続け晶獣を相手取っていた。

 ファニーと同じく、襲撃に対するのは『炎の守護者』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)。

「オイラたちはあいつらをどうにかするから、依頼人さんたちはとりあえず逃げて!」
 避難を促すように声を掛けると、チャロロは襲い来る晶獣の群れに走り出す。
(サンドバザールへ警護についてきたと思ったら、やっぱり……というか紅血晶絡みでえらいことになってるよ!)
 逃げ出す人々の間をするりと抜けながら、チャロロは晶獣の前に立ちふさがる。
「これ以上市場を襲うのは、炎の勇者が許さないよ!」
 堂々と口上を響かせながら、大剣を撃ち振るう。
 狙いは巨大な水晶亀。
 硬質な音をさせ、甲羅の一部を削る。
 途端、水晶亀は怒りの雄たけびを響かせるが、チャロロは一歩も退かず、勇気と覚悟を込めた大剣を連続で撃ち振るう。
 チャロロの攻勢に、敵の一部が押し留められた。

 しかし敵の数は多い。
 チャロロやファニーの迎撃を逸れて進もうとする物もいる。
 それを防ぐように、『星灯る水面へ』トスト・クェント(p3p009132)は動いた。

(せっかくのグラオ・クローネ……みんなが誰かのために、って浮き立つ時期だってのに……台無しにしないでよね)
 避難する人々を背に守るようにして、最速で駆けつけたトストは全力を振う。
 励起した魔力で青き衝撃波を作り出すと、晶獣に向け連続で撃ち出す。
 小型の獣の姿をした晶獣達が、衝撃を防ぎきれず砕け散る。
 攻撃を受け一瞬、晶獣の動きが止まった隙を逃さず、周囲の人々に避難を促した。
「もう大丈夫だよ! 避難誘導してる人もいるから従って逃げて!」
 敵への攻撃に集中するために振り返らず、けれど身体を張ってトストは襲撃を押し留める。
(ここでは、誰も、殺させない)
 不退転の覚悟を胸に、数で勝る敵と戦い続けた。

 トスト達の奮闘のお蔭で、襲撃は一時とはいえ押し留められている。
 その猶予を無駄にしないため、『超合金おねーさん』ガイアドニス(p3p010327)は避難誘導を急いだ。

(大変なのだわ! 小さなニンゲンさん達を護ってあげなくちゃ!)
 大きな体に大きな愛がいっぱいなガイアドニスは、人々を守るため声を張り上げる。
「大丈夫よ、みんな!」
 混乱の中にあっても視線を引き付けるような声を上げ、人々の意識を誘導していく。
「こんな時の為のおねーさん達、ローレットなのだわー!」
 ローレットに対する信頼も使いながら、安堵させるように落ち着いた、それでいてハッキリとした声で言った。
「おねーさん達の指示に沿えば安心安全よ!」
 皆の注意を引き、実際に避難経路に誘導する。
「さあ、こっちよ!」
 怪我人や病人、あるいは赤ん坊や老人のように自分で逃げられない人達をチャリオッツに乗せ走らせる。
「すぐに逃がしてあげるよ! おねーさんの輪動制御っぷりお見せするわ!」
 率先して弱い者を庇って逃がすガイアドニスに、周囲の人々も感化されたのか、声を掛け合い一緒に逃げ出す。
 避難は巧くいく、ように見えたが、中には火事場泥棒に勤しもうとする者も出る。それに――
「あらあら、今なら見なかったことにしてあげるから逃げなさいな。でないとどうなるか、分かるわよね?」
 火事場泥棒は言いくるめも駆使して逃げるよう促し――
「命あっての物種なのだわ! 商人なら引き際も心得てるわよね!」
 商人は説得する。
「商品が大切なのも理解できるから、これだけはというのだけを持って逃げなさいな! おねーさんもオルド・クロニクルで善処するわ!」
 広範囲の保護結界で商品を守ってくれたこともあり、商人達は礼を言いながら避難を始めた。

 避難誘導が巧くいき始める中、『オンネリネンの子と共に』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)も尽力する。

「大丈夫、慌てないで」
 パニックを起こしそうになっている人々に声を掛けながら避難誘導を進める。
(少しでも多くの人を助けないと)
 一瞬だが、襲い来る晶獣に視線を向けながらも、人々を助けることを優先してココロは積極的に動く。
(何でこんなことになってるのかは分からないけど……わたし達が何かを知るまで事態は待ってくれそうにない。晶獣が人を襲うのなら、わたしは助けにいく)
 避難誘導を続けながら、親と離れてしまったらしい少女の手を取り一緒に走る。
「わたし達がついてるから、安心して」
 ココロの呼び掛けと、何より繋いでくれる手の温かさに少女は安堵したのか、こくりと頷きココロについていく。
 信頼してくれる少女に力を貰い、ココロは避難誘導を続ける。
(このままみんなを逃がしてあげて、援護に向かわないと)
 先んじて戦ってくれている仲間達の事も考えながら、不安を飲み込みつつココロは人々を助けて回っていた。

 ココロと同じように、『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)も避難誘導に動く。

「落ち着いて。大丈夫、私達が守ります」
 安心させるように声を掛けながら、ユーフォニーは避難誘導する。
 指し示すルートは、混乱の中にあっても最短を導いていた。
 それはドラネコさんのリーちゃんのお蔭。
 バザールの警護をしていた時は位置が被らないよう巡回して貰っていたが、今は空から情報を集めて貰っている。
(今ならまだ、安全に避難して貰うことが出来ます。少しでも早く誘導しないと)
 前線で戦ってくれている仲間のことは気になるが、今は避難誘導を優先する必要がある。
 自分が出来る最善を、ユーフォニーはこなしていた。

 皆が避難誘導をしてくれるので、混乱は収まりつつある。
 それを加速させるように、『カーバンクル(元人間)』ライ・ガネット(p3p008854)も動いた。

(何事も無ければ良いと思っていたが……そううまくはいかないもんだな)
 ライは混乱する状況に危機感を抱きつつも、気持ちを切り替え素早く動く。
(ま、化け物に変えられる犠牲者が出なかっただけましだと思っておこう)
 走るよりも飛行した方が避難の邪魔にならないと考え、宙に浮かびながらバザールを駆け回る。
「皆落ち着くんだ。慌てていちゃ逆に避難が遅くなっちまう」
 声はハッキリと、けれど落ち着かせるように穏やかな声で呼びかける。
 同時に、周囲の注意を引くように、額の宝石を発光させていた。
 夜、混乱する中で周囲を照らす輝きは人々の目を惹き、より多くの人々にライの言葉を意識させた。
「あの化け物どもは俺達が食い止める。だからその隙に確実に避難してくれ」
 そう言うとライは、今も晶獣と戦ってくれている仲間達の方角を照らすように、額の宝石を発光させる。
 照らされる中、晶獣と戦うイレギュラーズの勇姿に、人々の表情に僅かだが安堵の色が滲む。
(これは、効果ありだな。このまま巧く心を掴んで――)
 仲間達の勇姿をプロデュースするようにライは額の宝石を発光させながら、避難誘導のため声を掛け続けた。

 役割分担し巧く動いたことで、敵の抑えと避難誘導は巧くいく。
 それでも敵の数が多く前線で抑えるのが難しくなっていたが、その頃には避難誘導に動いていた仲間が駆けつける。
 全員が集まり、抑えでは無く撃破するため皆は全力を尽くしていった。

●撃破戦闘
(遅れてきたから急いで回復しないと)
 避難誘導を終わらせたココロは前線に辿り着くと回復に動く。
 命の輝きに満ちた炎を生み出すと、不死鳥の飛翔を思わせる軌跡で炎を放ち、傷付いた仲間を癒していく。そこに――
「邪魔をするか、女」
 晶獣を強化していた男装の麗人が警戒するように声を掛けてきた。これにココロは――
「わたしはココロ。あなたは?」
 応じる麗人。
「名乗るか。ならば私も返そう。私はカーりゃ」
 思いっきり噛んだ。
 羞恥のためか押し黙る麗人に、ココロは続けて問い掛けた。
「何しにここにいますか?」
「見て分からぬか」
「良くないことをしているのは分かります。だから立ち去って下さい」
「断る」
 返答を聞くと同時に、ココロは地面に拳を叩きつけ、麗人に向け巨大な赤い光の柱を噴出させる。
「あの、わたし気が長い性格じゃないんです」
 さっさと追い払おうと連続して叩き込むが、その度に赤い光を放ち相殺する麗人。
「危ないだろうがー!」
「だったら早く立ち去って下さい」
 顔を引きつらせる麗人に攻撃を叩き込み続けるココロ。
 それを見たファニーも攻撃に加わる。
(あの女はバッファーで厄介だからな。まとめて攻撃範囲に巻き込んでやろう。見たところ攻撃手段はないようだし)
 麗人は防御手段はあっても攻撃手段が無さそうなので、問答無用で星屑を降らせる。
(正体が分からねぇから殺す必要もないだろうが、晶獣を引き連れてるってことは”あっち側”であることは間違いない。だったら、容赦する必要はないよな?)
 まさしく容赦なく星屑を降らせ続けるファニー。
 麗人は、それも防ぎつつ晶獣の強化を続けているが、明らかに余裕が無くなっていた。
 そこにユーフォニーも戦いに加わる。
(近くに、逃げ遅れた人はいませんね)
 勇気を現すようなオーラを纏いながら前線に向かっていたユーフォニーは、周囲を確認してから本格戦闘を開始する。
(温かな想いが集った場所を、少しでも壊さないように)
 バザールへの被害も考慮しながら最大火力を叩き込む。
 狙いは、晶獣と化した亡霊たち。
 万華鏡のように煌めき移り変わる神秘の輝きを放ち、浄化するように砕いていく。
 次々亡霊たちを粉砕していくと、突如真紅の輝きに亡霊たちが包まれ威力を軽減される。
(これは……)
 晶獣を強化している麗人に視線を向け、ユーフォニーは呼び掛けるように言った。
「強襲はすごいですが……不利な状況で防ぎきったらもっとすごいでしょう?」
「すごい?」
 反応する麗人にユーフォニーは続けて言った。
「物語だといますよね、急に寝返って一躍ヒーローになるひと。あなたもそういう存在になりませんか?」
 説得するように言ったが、麗人は怒りを露わに返す。
「寝返れだと。貴様、姫君や月の王国を裏切れと言うのか!」
 怒りで傷を受けるのも無視し、晶獣の強化を優先する麗人。
 勢いを増す晶獣達。
 それを抑えるようにトストが動く。
「君たちはここで止める!」
 トストは呪術を展開。
 無数の晶獣を捕えると、前に進もうとする意志に呪いを掛け足を止めさせる。
 そこにすかさず連撃。
 極寒の霧を作り出し敵を包み込むと、凍りつかせ動きを封じた。
 敵の勢いを止めると、麗人に視線を向ける。
(ポンコツそうだし、煽ったら情報吐いてくれないかな……)
 攻撃の狙いを変え、麗人も巻き込むように攻撃する。それと同時に――
「ここに来てるのはひとりだけ? 仲間はいないの?」
 情報収集も兼ね声を掛けると、麗人は怒りの表情を浮かべ返してきた。
「私独りなわけが無かろうが! 他の皆は忙しいだけだ! ドクター・ピオニーも力を貸してくれている!」
 気のせいか、ボッチ呼ばわりされ傷付いているかのように顔を引きつらせると、晶獣の強化に勤しむ。
 再び勢いの増した晶獣に、トストは傷を受けつつも決して退かず前に出る。
(こっちは傷ついてからが本領発揮だ、粘ってやる)
 底力を見せるようにトストは奮闘していった。
 戦闘が激しくなる中、ジルーシャも戦いに加わる。
「人だけじゃなく、動物や――精霊たちまであんな姿に変えてしまうなんて……紅血晶って一体何でできているのかしら……」
 ジルーシャは考察しながら、精霊達に助けを求める。
 精霊の眠りを覚ます香気を風に乗って広げ、香りを受け取った精霊達は熱風となり敵に絡み付き焼いていく。
 焼かれ動きが鈍る晶獣たちを麗人が強化。
 おどろおどろしい赤い輝きを纏い襲い掛かって来た。
「嘘でしょぉぉぉ……おばけってそれだけでもう怖いのに、何で赤くなるのよ! なんでもっと怖くするのよぉ!!」
 近づいてくる亡霊たちに悲鳴のような声を上げながらも、ジルーシャは応戦していった。
 そこに横手から新手が突っ込んで来ようとするが、チャロロとライが撃ち砕く。
「これ以上は進ませないよ!」
 チャロロは身体を張って敵の行進を押し止める。
「ここはオイラに任せて、みんなは攻撃と回復を頼むよ!」
 仲間を庇いながら大剣で敵を撃ち砕き、バフを掛けている麗人に怒りの声を上げる。
「おまえがバザールに紅血晶を流してるのか! あんなに多くの人を巻きこんでおいて許せないよ!」
「なら止めてみるがいい!」
 麗人は応えを返すように、チャロロに向かう晶獣を強化。
 多数の敵が勢い良く突進してくるが、ライが迎撃する。
 無数の雷撃を作り出し、獲物を狙う蛇のような軌道で放った。
「罪の無い奴が無惨に虐殺されるのは見たくないんでな、全員吹き飛んで貰うぞ」
 敵の数を減らすことを優先し、雷撃を降らせ続ける。
 イレギュラーズの連続攻撃に敵は大きくダメージを受けていく。
 それを麗人は癒し、あるいは強化しようとしたが――
(あの子を止めないとダメね)
 いつのまにか麗人の後方に移動していたガイアドニスが、自身の存在感を誇示するように敵の意識を誘導する。
 結果、ガイアドニスに多くの敵意が向かい攻撃が放たれ、軌道上にいた麗人にまとめて攻撃が飛んだ。
「うきゃあっ!」
 まともに食らい吹っ飛ばされる麗人。
 さらに追撃を加えるイレギュラーズ。二重に攻撃を受け――
「せ、戦略的撤退だー!」
 気のせいかな泣きそうな顔で逃げる麗人。
 あとに残ったのは、無秩序に暴れる晶獣たち。
 それに勢い良く攻撃を叩き込み、全滅させるイレギュラーズだった。

 その後――

「見た目からは想像しづらいかもしれないが傷の手当てには慣れている。応急処置くらいならしっかりできるから安心してくれ」
「伝染病に掛からないよう消毒はしっかりしましょう。それと、体調が悪化したらすぐ教えて下さいね」
 医療の心得のあるライやココロが避難民の怪我の処理を行い、他の仲間も手伝ったり、あるいは破壊されたバザールの片付けなどを手伝う。
 アフターケアも万全に行うイレギュラーズだった。

成否

成功

MVP

ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
Lumière Stellaire

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様でした!
皆さまのお蔭で、避難民には死傷者も無く、バザールの被害も少なく済みました。
アフターケアにも尽力いただいたので、多くの人々が感謝したようです。

それでは、最後に重ねまして。
皆さま、お疲れ様でした。ご参加、ありがとうございました!

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