PandoraPartyProject

シナリオ詳細

無人島、何を持っていく?

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ありがちではあるけれど
 この前、再現性東京の街並みを歩く高校生たちがこんなことを言っていた。
「ねーねー、無人島に行くとして、もし何か一つ持っていけるなら何を持っていく?」
「俺なら食料持ってくかなぁ」
「え~? 食料取るための道具じゃないの?」
「えっと……aPhone10」
「それ電波入らなくね?」
 これは現地で度々話題に上がる『無人島問題』であり、若者たちが食料・道具・娯楽のどれを持っていくべきかを議論するのだが、実際にどれを持っていくのが正解なのか結論が出た試しはない。
 この手の話題は時間が経てば皆忘れ、話にすら上がらなくなることがほとんどだが、その高校生たちの間では珍しく長いこと議論が続き、更には学級、学校全体、希望ヶ浜広域に渡って話が展開されることになる。
「いやいや、食料ないと死んじゃうから!」
「食料持っていってもなくなっちゃったらどうせ狩りに行かないとじゃん!」
「そもそも食料必要ない種族もいるよね。やっぱり娯楽しか勝たん」
 こうして議論が続いた果てに、ある人間の放った言葉がこの論争に口火を切ることになる。
「ならさ、実際に試してみればいいんだよ!」

●はい、とばっちりで無人島にいくことになったので今から準備してください
「ええまあ、つまりそういうわけなんですよ。おっと、ボクを睨まれても困ります」
 肩に珍妙な生き物を乗せた緑髪の男は、依頼を受けに来たあなたに細目で説明した。
「実際に試せばいいって考えまでは良いんですけどねぇ、流石にあそこに住む青年に無人島を生き延びる術はありませんし、だからといって結論を出すことを諦めるってのもなかなか不完全燃焼でしょうし、そういう理由もあってあなた方に依頼が来たってワケなんです」
 すぐそこで待機しているのは、イレギュラーズを無人島へ届けるためのフェリーだ。
 しかしそのフェリーに乗る前に、あなたは何を持っていくか決め、持ち物チェックを済ませなければならない。
「あ、わかってるとは思いますが、勿論付けてる装備は全て外してくださいね?」

NMコメント

 はい(はい)
 要するに例のアレですね。

●目標
 無人島で楽しく過ごす!

●状況説明
 なんやかんやあって無人島にいくことになりました。
 オープニングにある通り、何か1つだけ持ち込むことができます。
 プレイング内に何を持っていくか記載してくださいね。

●ロケーション
 何処かの無人島です。
 無人島なので建物とかないですし、木々が生い茂っていたりします。
 練達で生放送されているらしく、カメラが所々に設置されてるみたいです。


何を持っていく?
無人島に自分が何を持っていくのか選んでください。
兼ねて結論を出すための投票にも使われるらしいです。

【1】食料
食料を持っていきます。
持っていける食料に制限はありませんが、1つだけです。

【2】道具
役に立ちそうな道具を持っていきます。
持っていける道具に制限はありませんが、1つだけです。

【3】娯楽
持っていったら楽しそうな何かを持っていきます。
特に制限は設けませんが、倫理的にOKなものを1つだけです。


どんなふうに過ごす?
無人島に到着したらどんなふうに過ごすか選んでください。

【1】拠点を作ってのんびりする
独自の方法で拠点を作ってのんびりします。
個々の器用さや持ち込んだ道具により完成する拠点が変わります。

【2】食料を取りにいく
独自の方法で食料を調達しにいきます。
持ち込んだ道具によっては調達方法、取れる食材が変わります。

【3】適当にあそぶ
無人島生活なんて知るか! という方向け。
何で遊ぶんだって、私が聞きたいくらいですよ。

  • 無人島、何を持っていく?完了
  • NM名牡丹雪
  • 種別 カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年03月19日 20時50分
  • 章数1章
  • 総採用数6人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛

●二人のマイホーム
「しーちゃんしーちゃん、お家のほうはどう?」
「もう少し待って。あとちょっとでできるから!」
 ちょっと離れたところで、何かと格闘する音が聞こえる。
 落ちてた棒と廃材で作った釣竿を池に垂らし、優雅に釣りを楽しむ睦月は、其れの完成を待ち侘びていた。
「ところで魚は釣れてるの?」
「んー、頑張る」
 絶賛格闘中の史之は、睦月のキレの悪い返事に調子が悪いんだろうなと思う。
 彼の察する通り、睦月の傍らに置いてある水バケツには一匹も魚がおらず、居るのは食べれるのか分からないザリガニが数匹いるだけ。大きなナマズでも釣れれば、旦那様も少しは驚いてくれるんだろうなと思うが、世の中そんな上手くいくものでもない。
「よし、カンちゃんおまたせ! できたからちょっと休憩しよう」
 結局ナマズなんて釣れる訳もなく、作業を終えた史之に声を掛けられ、睦月はちょっと不服そうな顔をしながらも、水バケツを持って彼の方へ歩いていく。
「しーちゃんごめんね、お魚釣れなかった……」
「あらら、あとで海の方に言ってみる? それよりほら、見てよ」
 実際、魚が釣れなかったことを睦月が思うほど史之は気にしていなかったのだが。
 それはそうと自身気な史之に釣られて前を向いた睦月は、不漁で落ち込んでいたのが上書きされるように目を輝かせた。
 それは立派な小屋。打ち付けられた板の壁に、雨を防ぐ屋根。ちゃんと地面は麻のような物で覆っており、外には焚火とハンモックまで用意されている。
「しーちゃんこれ、全部1人で作ったの?」
「ちょっと時間かかっちゃったけどね。どうせならいいとこで過ごしたいじゃん?」
 褒められて誇らしさ半分、照れくささ半分な史之は頭を搔きながら言う。
 彼がその全貌を説明することはないだろうが、島に漂着していた廃材や、力技で切り倒した木から得た木材を、ナイフ一本でどうこうするにはかなりの労力だっただろう。
「そうだけど……やっぱりしーちゃんは頼りになるね」
 嬉しそうにする睦月を見れば、そんな労力なんてことないものだ。
 それじゃあ休憩しようかと焚火に木材をくべる史之は、水バケツの中に数匹のザリガニが入っていることに気付いた。
「あれ、カンちゃんそれ……」
「あ……違うの。別にこれを捕まえたかったわけじゃなくて……」
 言いにくそうにそれを隠そうとする睦月に、史之は優しい笑みを浮かべてこう言った。
「調理……してみる?」
「え……」
 食べれるの? これが?
 そう言いたそうな睦月と裏腹に、史之は自信気にバケツを引き寄せ水を捨てる。
「やだなあカンちゃん、俺のギフト忘れちゃった? 確かにこのままじゃ泥臭いけど」
 バケツに注がれるはスピリタス。史之のギフトの賜物である。
「ちゃちゃっと下処理を済ませちゃおうか。これも食べれるよ」
 まだ無人島生活は始まったばかり。
 マイホームとも呼べるそこで、きっといつも通りの楽しい時間になる筈だ。

成否

成功


第1章 第2節

フィノアーシェ・M・ミラージュ(p3p010036)
彷徨いの巫

●これ一本で十分
「む、また失敗か。なかなか難しいな」
 先の切れた罠は、一度は掛かった獲物が逃げてしまったことを示している。
 数度に渡り罠を仕掛けたものの、壊され糸が切れたそれを手に取ったフィノアーシェはため息交じりにそう呟いた。
「やはり即席の物では限度があるか。ならば……」
 持参できたのであれば、罠で獲物を捕まえることなど易し過ぎるものだ。
 しかしそれができないのが、この無人島生活の難しいところ。持ち込むことのできる道具を罠したなら、獲物を捕まえることはできてもそれしかできなくなってしまう。
「自分で仕留めるまでだ」
 踏み込んだ先に居たのは、罠を逃げ伸びたと思われる一匹の鹿。
 イレギュラーズだからこその芸当かもしれないが、つい先程辛うじて生き延び安堵に暮れた獲物が、一瞬で詰められた間合いに対応しうる反応など持ち合わせてはいない。
 先端にナイフの括り付けられた棒で貫かれた鹿は、何が起きたか分からぬまま絶命した。
「ううむ、使い慣れてない武器はしっくりこないな」
 本人はそういうものの、持ち込まれたナイフは汎用性に優れたものだ。
 狩りや採取、今している獲物の血抜きにも使えるし、その気になれば何かのクラフトにも役立てることができる。
「……さて、火を起こしてひと段落にしよう」
 そして、少し満足気だったフィノアーシェは、石とナイフで火花を散らしながら思う。
 起こした火で風呂でも沸かそう――と。

成否

成功


第1章 第3節

ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
温もりと約束

●食には困らない?
「いつ見てもすごい色してるな、これ。毒があるのは知ってるけど……」
 美しいものには毒があるとはいうが、毒蛇なんてその典型だとジョシュアは思う。
 森で暮らす経験がある彼は森の生態に人一倍詳しいが、今しがた持参したサバイバルナイフで串刺しにした蛇は、イレギュラーズであれ噛まれれば勿論、食べても無事では済まない程の毒を持つことを知っていた。
「……美味しいですって見た目はしてないよね」
 食中毒が死活問題と成り得るサバイバル生活において、毒の有無がわかるというのはかなり有効な能力であるものの、ジョシュアはそもそも毒に強い耐性を持つ。
 要するにその猛毒蛇を食したところで身体には何も問題がない筈なのだが、独特な臭みにツルツルした見た目。ウナギと似て非なる特徴は、どうしても食欲をそそる要素がない。
「うーーーん……」
 もともと兎や猪といった獣を狩るつもりだった彼は、悩ましい唸り声を上げる。
 これがベニテングダケのような、毒はありつつ調理次第で美味しく食せるものなら迷う必要もなかったのに、寄りにも寄ってどうしてこんな……!

 ――。
 ――――。
 ――――はぁ、紅茶を飲みたい。

「最後の手段。そう、これはどうしようもない時の非常食……」
 結局、考えた結果そういうことにしたらしい。

成否

成功


第1章 第4節

イルミナ・ガードルーン(p3p001475)
まずは、お話から。

●楽しんだもん勝ち
 水が流れる音、風の吹く音、木々が揺れる音。
 無人島を彩る大自然の音に混ざり、軽快な音楽が聞こえてくる。
「ケ・セラ・セラ、無人島生活なんて、なるようになるッスよ~」
 音楽の正体といえば、ノリノリの様子で作業に勤しむイルミナのヘッドデバイスに流れる大音量の”RE:direct”が音漏れしたものだ。
 再現性東京であるなら兎も角、こんな無人島のド真ん中で大音量の音楽を流し、カラオケで歌うように口ずさんでも苦情を云う人間は何処にもいない。
「ふふーん、これで完璧ッスね!」
 作業を終えた達成感と、ちょっと熱く感じる頬。
 無人島に来てから熱心にずっと手を動かしていた彼女が作っていたのは、切り倒された木々を沢山組み合わせて作られた、大自然のステージ。
「ふっふっふ、イルミナだからできた、匠の技ッスよ!」
 どこかこそばゆい感覚を隠しながらステージでキメポーズを取るイルミナは、流していた音楽の音量を更に上げ、軽快な四拍子に合わせてステップを踏み始める。
 まさに豪快、独壇場、そして反則。けれども無人島で真に娯楽を楽しむ彼女は輝いていて。

「まぁ、真面目に考えたらファイアスターター付きナイフとかになるッスけど……」
 その先に設置されたカメラに拾われない程度の声で小さく呟くイルミナは、自分にしかできない、自分だからこそできるひと時を過ごすのだ。

成否

成功


第1章 第5節

リサ・ディーラング(p3p008016)
蒸気迫撃

●火起こしから始まるスチーム・キャンパー
「あー、薪が少し足りなそうっすね。後で用意するっすか」
 パチパチと火の粉が弾ける音の中、彼女ことリサ・ディーラングは呟いた。
 彼女のキャンプは優雅なものだ。こん棒のような切り欠きを中心に木の梁を骨組みとした、ティピー型の簡易拠点を前にぬるま湯を飲みながら、焚火が消えない様に薪を追加する。
「うーん、工具箱があればもう少し綺麗にできたっすけど、些か不格好っすね」
 彼女が持ち込んだのは、商売道具の工具箱――ではなく、火起こしのためのジッポー。
 いつもの工具があればと思う所もあるが、火起こしが簡単なのは彼女が思うより便利である。
 火は明かりになり、暖になり、そして食事にも必要不可欠だ。
 実際、今飲んでいるぬるま湯も目の前の火で煮沸させたものだし、火起こしで時間を取られれば、拠点を作り終える頃には日が暮れてしまっていただろう。
「っと、そろそろ良い頃合いっすかね~?」
 少し前に捕ってきたらしい、火の通った魚を柔く頬張りながら、残り僅かになった薪を足す。
 焚火が獣払いの役割を果たすお陰で、危険な猛獣や虫に襲われる心配が無いのも、こうして寛げるキャンプが出来ている要因といえよう。
「あとは、もう少し火の温度が上がれば良いっすけどねぇ……」
 けれど、メカニックの彼女にとっては、まだ物足りない。
 炎の中に突っ込んだ、変わらぬ鉄鉱石を見て、リサはそう思うのだった。

成否

成功


第1章 第6節


「それで、どのような結果になったの?」
「集計いたしますね。ええと、道具が4、娯楽が2、食料が0ですね」
「食料が0!? ローレットの連中は何も食べないの!?」
「ああいえ、そういうわけでもなく、食料は現地調達する方が多い模様です」
 練達のテレビ局員と、肩に珍妙な生き物を乗せた緑髪の男は交互に話す。
 ひょんとしたことから始まったバラエティー番組のLIVE放送が終わり、番組では結果発表が行われていた。
 勿論、一般人とイレギュラーズではサバイバルで取れる行動が違うため、一般人であるリポーターには娯楽が二人もいたことが予想外といったリアクションを見せるも、冷静に解説する緑髪の男は、ある程度この結果が予想できていたそうな。
「(まあ、極論あの人らは遊んでいるだけで番組終わりますからね)」
 むしろ、全員娯楽に走らなかっただけ番組としては大成功と言えよう。
 無人島生活が簡単なんて一般人が視る番組で吹聴しては、真似する輩が出ることだってあるのだから!

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