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シナリオ詳細

デッドカリバー・ダスクブレイキング

相談期間中

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オープニング

●彼は誰ぞ……ゾンビなりや?
 夜の訪れを世界の塗潰しとして解釈するならば。
 朝の訪れを世界の再構築として演繹されよう。
 両者は対の概念として天秤を平行に保ち続け、しかし時として、片方に『錘』が落とされることがある。
 その『錘』に、ヒトは思いであるとか恐れであるとか、説明可能な名をつける。
 故に――今回のこの事件もまあ、どうにかなるだろう。よほど誰も興味を持たないとかでさえなければ。

「さあ刮目せよ!」
「他の世界ではあまりにありきたりな、この世界では普通にありえない恐怖!」
「ゾンビが来るぞ!」
「ゾンビが来ているぞ!」
「ゾンビが来ていたぞ!」
「ゾンビがもう居るぞ、諸君!」
「諸君!」

 まあまさか、そんなことにはならないだろう。
 覗くまいと、目を背けようとするこの世界の人々にはいつだって例外がいる。
 幸か不幸か、意図か偶然かはわからねど、彼らは確かにここに居て、見て、そして逃げた。
 そして告げるのだ。密やかに恐々と、君たちローレットにそのゾンビの訪れを!

「誰か……何か? の声が聞こえた感じしてサ、見てみたんですヨ。
 ゾンビ映画っての? パニック系の。や、トクサツかなーって思ったんだけどサ」
「ソイツラしかいないんだよね、そこに。ほら、トクサツならスタッフとかいるじゃん?」
「数えた、んですけど……コロイドに似てひしめいてまして……だから……すいません」
「よって身の危険を覚えた拙らは疾く引き返し、此方に至りました次第。
 お手数おかけし申すが、現場の確認など、お願い申し上げる所存にて」

 ――折りしも時は放課後の夕暮れ。
 夜が訪れてしまえば、世界は隠れんぼの大舞台と化す。
 夜に恐怖の『錘』が落とされてしまうだろう。
 昼を天秤から跳ね飛ばして弾き飛ばしてしまうくらいに、重い『錘』――。

●黄昏は逢ゾンビが時なりて
 ということで、名もなき境界案内人ズが説明します。
 今回の依頼は、緊急の、しかし危険性の低いものとなります。
 現場はこちらの世界の空き地です。
 交通の利便性が悪く、見どころもなく、近隣に住宅地も商店も宿泊施設もない閑散としたエリアですが、フィールドワークという体の学術的サボり行為や、人目を気にせざるをえないロミジュリ的デートなどに用いられることがあり、目撃者の一行もそういったタイプの活動を行っていたものを思われます。
「……」
「……ね、センセには言わないどいてくれない?」
「ろろろろろろロミジュ……いえ、そんな、あの、ちが」
「承知した。次は堂々と街に出ようではないか、姫」
 ウチの子が一人爆発しましたが説明を続けますね。
 不躾な言い方ですが、このゾンビの危険性の低さは、彼ら自身の無事が物語っています。
 しかし問題は、総数が不明であること。
 よって方針として、『威力偵察』兼『殲滅戦』を強く推奨いたします。
 わかりやすく言いますと、サーチ・アンド・デストロイです。
 本依頼を以て、当該地域のゾンビを完全排除できるものと、期待しております。

 ――あ。
 作戦時間は現着から日没までということで。1時間くらいですか。
 タイムリミットがあったほうが緊張感出ますよね、特異運命座標?

NMコメント

 こんにちは、はじめまして。
 ノベルマスターの君島世界です。
 今回はゾンビぶっ倒せスコアアタックです。レッツ効率厨。
 高威力ビームでまとめて蒸発させたり、ダッシュアンドキルで屍山血河したり、いろいろがんばってくださいませ。
 改めて場所を定義しますと、夕暮れ時、無人の空き地となります。
 小高い丘の上で林とも言えない雑木群に囲まれており、近くの市街地からはあまり視線が通りません。広さはぎりぎり野球ができる程度で、シナリオ参加者と、敵となるゾンビ以外の登場人物は居ません。街灯の類が一切なく、日没後は視界不良となる恐れがありますので、日没までの殲滅をお願いいたします。
 敵のゾンビは、うじゃうじゃいるだけで特筆すべきところのない雑魚敵です。ざーこざーこ。防技すかすか。攻撃スキルも積んでなーい。
 プレイングサンプルをおいておきますので、参考にしてください。

・フロントマン+各個撃破
「片っ端からブッた斬る! そこで震えて待っていやがれ、腐れ巻藁どもがァ!」
 ということで、目についたやつを適宜倒して回るぜ。

・アウトレンジ+突破
「寄るな。寄るな。寄るな! 私の歩む道に寄るなゾンビ如きが!」
 歩きながら両手に持った二丁ボウガンを的確にゾンビに当て、近寄らせずに戦おう。

・エスケープ+エリア攻撃
「ホラこっち! こっちこっち! みんなこっちに来たところで……まとめてドカーン♪」
 逃げ回ってゾンビを集めたところで、爆弾で一網打尽! トレイン狩りだね!

・ブレイクダウン+スカウティング
「こんな沢山の敵に囲まれてると、ゾクゾク……はしないわねやっぱ無理。ああもうそこのあなた、倒しちゃって頂戴な」
 ゾンビは趣味じゃないわ。たかるだけならハエと同じよ。はぁマジ嫌悪。病む。

 今回は『参加者同士の面識の有無によらず共闘状態となる可能性があります』。
 その他かなりアドリブ感の強いリプレイとなります。

 どうぞよろしくお願いいたします。


スタイル
 どのように戦いに挑むか、選んでください。

【1】フロントマン
 多少の傷は顧みず、果敢に襲いかかります。

【2】アウトレンジ
 戦場を俯瞰し、最適解を選びます。

【3】エスケープ
 機動力で撹乱し、有利な状況を呼び込みます。

【4】ブレイクダウン
 己に攻め込ませ、攻め返します。


作戦
 どのようにゾンビを倒すか、選んでください。

【1】各個撃破
 ゾンビ集団の端から一体ずつ倒していきます。

【2】突破
 ゾンビ集団の真っ只中に飛び込んでいきます。

【3】エリア攻撃
 複数のゾンビをまとめて倒していきます。

【4】スカウティング
 仲間にゾンビの位置を教え、同時に倒していきます。

  • デッドカリバー・ダスクブレイキング相談期間中
  • NM名君島世界
  • 種別 ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 依頼公開日時2023年02月05日 22時25分
  • 第1章募集中0人
  • 総採用数6人
  • 参加費50RC

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第1章

第1章 第1節

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛

 引き込むような冷風が、後ろから吹いている。
 ぱす、と、睦月の背後に傘が開いた。
「……風向きが、ふたつ……」
 もう一つは、うすぬるい沼のような悪気だ。ゾンビ。反死の徒。それらからくるもの。
 包囲網をゆっくりと狭めてくるゾンビに、睦月は眼差しを向け、間合いを測る。
「根の国から溢れでてきたのですか?」
 応えもなく、射程に踏み込まれた……否。
「であれば、千引の向こうへやらいましょうか。しーちゃん?」
 先に踏み込んだのは、こちらだ。
「あぁ!」
 彼我相対距離を史之の踏み込みが食い尽くした。
「さあこいよ、カンちゃんへは指一方触れさせないからな!」
 ダン!
 大音声上げるがごとき止めの跫に、史之は切っ先を合わせ乗せる。
 ある種の『呼び水』となるそれに、二の太刀、三の太刀を振る舞った。
 空振った刀身が、にわかに湧く薄霧に揺らぐ。
「秘技――」
 史之は、瞬きの間に、眼前のそれらを見た。
 意思はなく、故に遺志もなく。ただ害・悪・敵として在る、それらは。
 あろうことか遠くを見ていた。
「――秋霖」
 四の太刀を、円く振り抜く。それ以前から形成されていた撃波に、衝の一文字が刻まれた。
 ばら、ばら。ばらばらばら。
 拍動のないゾンビの心臓は、その鮮やかな輪切りの断面に、血飛沫を上げることはない。
「どこを見ているんです? なあ。なあ、お前たちは、どこを」

 引き込むような冷風が、後ろから吹いている。

「しーちゃん、送ってあげて? 僕援護するから」
「カンちゃん……」
 睦月のやわらかな言葉が、触れられるような暖かさで、振り向く史之の首筋を包む。
 睦月の瞳だけを見た。
「ありがとう」
「どういたしまして」
 にこりと、まばゆく。
 ――それ以外の部分へ、睦月の掌が開いた。
「(ああ)」
 掌握する。
「(生憎と、この世にあなたがたの居場所はありません)」
 睦月の後ろで、一体のゾンビが、すぱ、と閉じた。
 すぱ、すぱ、すぱ。
 一体、一体、また一体と、ゾンビが閉じていく。
 傘を閉じるように、としか形容の出来ない、その終わり方が、連続した。
「優しいんだね、カンちゃん」
 史之は心からそう言った。
 慈愛とそれ以外とをこころのうちに同居させる、妻は。
「俺よりも余程、優しく送る」
 あれらの魂を憐れんでいるかのように、わらった。
「そんなこと、ないよ。それに」

「僕、しーちゃんにはもっと優しくしてあげてるでしょ?」

「……まあ、ゾンビなんかに嫉妬しても、しょうがないんだけどさ」
「だよね」
 いつしか冷風は止んでいる。
 風などに引き込まれずとも、睦月は、史之は、お互いのもとに歩み寄った。
「えへへ」
 月色の終わりの真只中で。

成否

成功


第1章 第2節

クウハ(p3p010695)
あいいろのおもい

「シェエアァ!」
 バガッ!
 クウハの付き込んだ鎌の背が、ゾンビの頭蓋を鈍く割った。
 引き抜いて嗤うと、人魂の光が、彼の顎を照らして彷徨う。
「よーしよし、狙い通り集まって来たじゃねえか」
 緩い動きのゾンビの抱きつきを、クウハは屈んで避けた。
「っと!」
 低い姿勢で走り、包囲網を抜ける。
 足の爪先、指の爪先を土に引っ掛けて、集団に振り向いた。
「念の為、先に言っておくが!」
 クウハは軽いステップで足場を均すと、そこに深く構える。
 ゾンビの集団が、文字通りに首を折りながら勢いよく、こちらに向き直った。
「オォオ……アアァァァア……!」
 その虚ろな視線を、クウハは受けない。見てすらもいない。
 観るのは、己の裡の力の流れだ。
「巻き込まれたくねェ奴は離れとけ! 怪我しても知らねーぞ!」
 ドクン。
 骨肉の上から掴んだ心臓が、力強く拍動した。
「来た……来た、来た来た来たァ!」
 見上げる夕暮れに、喚ぶは願いを乗せて宙駆ける凶星!
「巻き込んで挽き潰せ、アイゼン・シュテルンッ!」
 伸ばした腕の指先に引っ掛けるようなイメージで、クウハはそれを操作する。
 バキベキバキバキドゴォオオオオオッッッ!
 周辺地形ごと前方の形を変えていく、その轟景の中に、それまで『有った』ゾンビの姿は、『無い』。
 ――凡そ存在に対する、無制限無躊躇の暴力行使!
「~~~~~~~~ッッッ!」
 クウハは拳を握り、自らの行いに歓喜した。

成否

成功


第1章 第3節

玄野 壱和(p3p010806)
ねこ

 にゃぁああああん。
 夕陰伸びる丘の影、壱和には見えない所で、野良猫が鳴いた。
「アア、君は喚んでないヨ。塒にお帰リ」
 そう告げると、気配はいなくなった。
 かわりに。
「……………………」
 [ねこ]が浮いている。
「コイツを試せる依頼が来たカ! 他依頼じゃ被害がデカ過ぎて禁止だったからナ!」
 壱和のそばで呼吸のような上下動を繰り返す[ねこ]に。
「……………………」
「術式起動」
 かざした手で、言った通りのことをさせる。した。
 眼下、狭くない範囲にうごめくゾンビ。
 あれらはこちらに気づきもせず、ただ直立し、熱のないうめき声を上げている。
「すろうとーる」
 ぎゅるり。
 [ねこ]の背に何かが生えた。
 壱和は繊細に、言葉を選ぶ。
 ――ただ直立し、熱のないうめき声を上げている――。
「射程内全罪確認」
 [ねこ]は鳴かない。
 背に生えた何かが棘となり、釘となり、杭となり、鉄の形容を得る。
 ぷつんと、それらは[ねこ]から離れた。
「制裁執行」
 シュカン。
 滑るような音を立てて、[ねこ]から放たれた杭が一本、地面に突き刺さる。
 その途上にある、空気も、闇も、ゾンビも、何もかも無差別無作為無制限に通り過ぎて。
「ぶっ放セェ! アハハハ!」
 シュカン。シュカン。シュカン。
 杭の数が、減らない。突き立てて突き立てて、尚。
「アッハハハハハハハハハ!」
 シュカン。シュカン。シュカン。
 その地獄を見下ろす、緋い光点が、四つ。

成否

成功


第1章 第4節

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
ルエル・ベスティオ(p3p010888)
虚飾の徒花

 ウェールはひとたびまたたくと、理性の光を内にしまいこんだ。
 そうなってしまえば、もはや徒に吠える意味はない。
 氷の冷徹と泥の狂気。

 ルエルはひとたび柏手を打つと、冷たい頬に表情を流し込んだ。
 これから起こすことは全て、ひとときのたわむれ。
 ぬめる沼沢に咲く蓮花のうつくし。

 狼たちは――。
 ――自然と視線を交わすと、それ以上の相互了解を取らなかった。
 群れではなく、群れるわけでもないからだ。

「食べ応えのなさそうな有象無象がわらわらと……」
 ルエルが行く。街歩くような仕草で、歩幅で、雰囲気で。
 すれ違うゾンビには、しかし、ただ後を追うことだけを許した。
「……私ちゃん、新鮮なものを好んでおりますので」
 前髪を払うような気楽さで、右指を外に泳がせる。
 指の間、遊びに柄を転がした刀が、すぱん、とゾンビの首を落とした。
「あなた方は守備範囲外ですわ〜」
 袖にしたゾンビを透かして、ルエルは遠くを見る。
 水平……いや、垂直方向。
 同じものを見ていた『何か』がいる。
「あら」
 向いたその先に、空中、輪を描く鴉。

『ケェエエアアアアアアァーッッッ!!!』

 それは一声高く哭くと、さらに上、己を見下ろす主を呼ぶ。
 仕事をしたから退避を待て、と。
 果たして主は、ウェールは、その要請を聞いたうえで完全に無視した。
 ――為すべきことを為し、それ以上がもう無いのなら、消えるべきだ。
 ウェールは飛行状態を維持、ファミリアーを通して得た情報を再検分。
 クリア。
 三手先まで確定、七手先も例外なく把握。
 何一つ憂うこと無く、目標地点へ全力を指向した。
「アアア゛ア゛ッ!?」
 羽散らして逃げ惑う鴉のはばたき、その一つ一つを避けて、狼札が降る。
 きらめきは夕日を受けて銀朱。
 その彩を目に焼き付けて、ひとつのゾンビが、眉間を一発の銃弾に貫かれた。
 ズパンッ!
 色あせた脳漿をぶちまけて、なお銃弾は奔る。頭蓋に沿って曲げられた、その軌道は――。
「ほいっと」
 ――ルエルの差し出した合いの刀に、欠けるところの無い完璧な殺意を得た。

『それ以上の相互了解を取らなかった』
『群れではなく、群れるわけでもないからだ』

 銃弾が衝く撃点に、ルエルの斬撃が即座の追討をかける。
 時に並行し、時に反発して、踊るように。
 花畑で繰られる死神の収穫祭。
「ハイ、さくっと♡ まとめて切り落としましょ♡」
 そんな様を見て、ウェールはらしくもなく微笑んだ。
 牙を見せる嗜虐の微笑。
 そんな顔を見せてしまっては、殺されてしまうと、標的が勘づいてしまうような――。
「ギャァアアアァァァーーッッッ!!!」
 ファミリアーは、一心不乱に逃げ出した。
 危険が危ない。ここにいたら死ぬ。巻き添えで死ぬ。殺される!
 後ろから、何かが来るような気がして、ふと。
 振り向いてしまったファミリアーの目を。

 二対の視線が、射竦めた。

成否

成功

相談掲示板

運営
[2023-02-05 22:25:03]
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