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シナリオ詳細

【護法寺】棲み家を追われた鬼たちの末路

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●棲み家を追われた鬼たちの嘆き

 節分が終わったあと、豆まきで棲み家を追われた鬼たちがどこに行くのか、あなたはご存知だろうか?

「痛いよぅ……痛いよぅ……」

「どうして……? 私はあの家を守ってきたのに……」

「俺たちが鬼だから……?」

 ここは『護法寺』と呼ばれる寺。
 寺の中では、節分の豆まきで人間から間借りして暮らしていた棲み家を追われた鬼たちのすすり泣く声が聞こえてくる。
 護法寺は、そんな行き場を失った鬼たちを保護して、傷を癒やし、鬼が消滅するまで面倒を見るという役割を持った寺なのである。
 
 何故、鬼などという怪異を寺が保護しているのか?
 実は仏や神に仕え、人を守る善い鬼というものも、この世界には存在するのである。

 しかし、何も知らない人間は、「鬼は外」と善い鬼も悪い鬼も関係なく追い出し、鬼たちは護法寺をはじめとした寺や神社に集まって匿われているのだ。

 豆まきに使われる炒り豆には、魔を滅する力がある。
 鬼の肌に炒り豆が触れると、鬼は火傷を負ってしまう。
 鬼は身体も心も傷つけられて、悲しみに暮れながら、あるいは人間への憎しみを燃やしながら、火傷と寒さに震えている。
 
 ――しかし、疑問に思った者もいるだろう。
 毎年そんなひどい目にあっているのに、なぜ鬼は豆まき対策をしていないのか?
 答えは簡単、毎年棲み家を追い出された鬼は消滅し、転生しているからだ。
 ある鬼は人間への憎しみを募らせて悪い鬼に転生し、ある鬼は人間に虐げられても、人間を愛し続け、善い鬼へと生まれ変わる。
 そうして、転生した鬼は以前の記憶を失い、また人間の家へ、あるいは人間の邪心に入り込む。
 そんなサイクルが毎年繰り返されているのが、この鬼と人の暮らす世界だ。
  
 さて、家から追い出された鬼たちを消滅の時が来るまで手当てしているのは、護法寺の住職、木蓮という男だ。

「ふぅむ……」

 木蓮は顔を曇らせて低い声でうなる。
 なにしろ、今年はやけに寺にやってくる鬼が多いのだ。
 近くの神社や寺が後継者不足で廃墟と化していたり、今年の節分ブームが過熱しているのも関係しているだろう。

「ワシひとりでは面倒が見切れんかもしれんなあ……」
 
 しかし、普通の人間では鬼を恐れてしまい、世話を焼くどころではないだろう。この世界での救援は望めそうにない。
 そこで、木蓮は境界案内人・水鏡透を通して、本の外の住人――イレギュラーズに助けを求めたのである。

●境界案内人・水鏡透の依頼

「――というわけで、今回お前たちに頼みたいことは、鬼の消滅まで面倒を見ることだ」

 境界案内人――水鏡透は、『福は内、鬼も内』と表紙に書かれた本に目を通し、パタンと閉じて、あなたのほうに顔を向けた。

「護法寺の住職・木蓮は、毎年節分の時期に鬼を匿い、鬼たちを転生させるために、カウンセリングや治療、必要であれば精神鍛錬の修行などを行っている。今年は鬼の数が特別多いため、お前たちの力を貸してほしい、と救援依頼が来た。善い鬼も追い出しているとは、人間はつくづく愚かだな」

 言葉のキツさとは正反対に、水鏡は本の表紙を眺めながら、手で優しく本を撫でている。

「改心した鬼は善い鬼に成り、最後まで改心せずに消滅した鬼や、人間に憎しみを抱いたまま消滅した鬼は悪い鬼に成る。まあ、人間の自業自得とは思うが、本の世界の住人は守らねば。

 お前たちにやってほしいことを伝えよう。
 鬼の話を彼らが満足するまで聞き届けたり、身体や心の傷を癒やしてなるべく善い鬼に転生させてやってほしい。要はカウンセリングや、回復スキルなどによる治療だな。
 寒さに震える鬼を暖めたり、炒り豆による火傷を負っている鬼の治療。心の傷は鬼の話を聞いてやるといいだろう。
 どうしても改心しない、人間への憎しみを募らせた鬼は、戦いを挑んでくるかもしれないな。場合によっては戦って鬼の憎しみを受け止め、ストレスを発散させてやれば、案外スッキリして改心するかもしれん。

 ……俺から伝えるべきことは伝えた。あとはお前が参加するかどうか決めろ」

 水鏡は、まっすぐにあなたを見つめている。

NMコメント

●ご挨拶
 はじめましての方ははじめまして、ご存知の方はこんにちは。NMの永久保セツナです。
 今回は節分をテーマにライブノベルをひとつ。
 世界観説明や目標などをお読みいただき、よろしければ鬼たちの面倒を見てくだされば幸いです。
 よろしくお願いいたします。

●世界観説明
 現代日本に近い世界です。とはいえ、護法寺から出ることはないので時代はあまり関係ないかもしれません。
『護法寺』という寺の中に、150体ほどの鬼がいます。
 鬼は子供から大人まで、見た目の年齢は様々です。男性も女性もいます。肌の色は赤く、頭に角が生えています。
 皆、炒り豆をぶつけられて身体に火傷を負い、寒さに凍えています(寺の中は隙間風が入り、あまり暖かくないようです)。
 人間を愛する善い鬼と、人間を憎む悪い鬼がいます。
 鬼は消滅するとき、雪のように白く舞い散り消えてしまい、この世界のどこかで次の鬼として転生します。

●目標
 ・鬼の身体や心の傷を癒やし、悪い鬼は改心させて鬼たちをなるべく善い鬼に転生させてあげましょう。
 ・回復スキルを持っていれば、それで身体の傷を癒やすことが出来ます。
 ・寺には救急箱があるので、スキルがなければ木蓮を手伝って手当てしてあげることも出来ます。
 ・心の傷は、鬼の話を聞いてあげるといいでしょう。鬼の心に寄り添うことで鬼の魂は救われます。
 ・また、寒さに凍えている鬼もいるので、何らかのスキルや手段で暖めてあげるのも効果があるかもしれません。ちなみに護法寺にはお茶っ葉が常備してあり、囲炉裏もありますが、それだけで全員を暖めるのは鬼の数が多すぎて難しいかもしれません。
 ・改心しない、人間への憎しみを募らせた鬼と戦うことは出来ますが、退治してしまうと来世も悪い鬼に転生してしまいます。戦うとしたら、ストレス発散の手合わせ程度にしたほうがいいでしょう。鬼の憎しみをすべて受け止めてあげるのも優しさです。
 ・鬼とは言っても、イレギュラーズほどは強くありません。手加減してあげてください。
 ・混沌世界から持ち込んだアイテムを使うのはOKです。プレイングに記載してください。

●サンプルプレイング1
 身体だけじゃなく、心にまで傷を負っているんだ……辛いよね……。
 そうだ、なにか温かい料理でも作って振る舞ったらどうかな?
 温かくておいしいご飯は、食べると幸せになれるよね。
 ご飯を食べながら鬼の話を聞いて、少しでも心の傷、癒せるといいな。

●サンプルプレイング2
 なにっ!? 鬼と戦えるのか!?
 ……って思ったら、そんなに強くないのかあ……なーんだ。
 でも、俺には戦うくらいしか出来ることないし、鬼のストレスのはけ口くらいになら、なってもいいよ。
 手加減しなきゃいけないのはちょっと面倒だけど、鬼の事情を聞くと、さすがに可哀想だもんな。

●サンプルプレイング3
 150体の鬼か……たしかに多いな……。
 お茶っ葉があるとはいえ、隙間風もあるし、全員分淹れたそばから冷めちゃいそう……。
 とりあえず僕は回復スキルとか持ってないから、木蓮さんを手伝って傷の手当てをするよ。
 ちょっと沁みるかもしれないけど、我慢してね。

  • 【護法寺】棲み家を追われた鬼たちの末路完了
  • NM名永久保セツナ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年02月14日 22時05分
  • 参加人数6/6人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
玄野 壱和(p3p010806)
ねこ
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標
プエリーリス(p3p010932)

リプレイ


『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)の事前準備は万端だった。
 まず馬車を用意し、その中に燃料やアルミホイル、空いたスペースには芋を積み込んだ。さらに、レンガや石なども数個持ち込んだ。
「さて、まずは準備をするから、その間にこれを」
 子鬼に、ウェールは日輪結晶を手渡した。
「わぁ、暖かい!」
「一つしかないから、みんなで順番に使ってくれ」
 子鬼たちは、カイロとして交代で暖を取る。
 ウェールは寺の外に出ると、練達上位式を使って式神を召喚した。そして、式神に手伝ってもらって、境内のあちこちに穴を掘り始める。もちろん、寺の敷地を穴だらけにする許可は、「来年も使えるからいいよな」と木蓮から得ていた。
 穴をあけたら、周りにレンガや石を敷き詰め、ファイヤーピット……日本でいう「炉」を作る。
 火の周りに集まり、暖まっている鬼たちに、ウェールは馬車から芋を取り出した。
「芋を新聞紙で包んで、バケツに入れた水にざっとくぐらせ、軽く絞り、アルミホイルで包んで、ぎゅっと握ってしっかりと包む。こうすると焦げない。一緒にやるか? 何かしてる方が気が紛れるぞ」
 興味津々の子鬼たちが作業を手伝った。
 焚き火の端に芋を並べて片面ずつ15分焼く。串を刺して火が通ってるかの確認も万全。
 食事中に、子鬼がぽつりと話した。
「僕たちは子供だから、大したことは出来なかったけど、弱い動物霊くらいなら、なんとか退治してきたんだ。『鬼は外』って追い出されちゃったけど、あのおうち、僕たちがいなくて大丈夫かな」
 ウェールは言葉に窮した。棲み家を追い出されても、子鬼たちはその家の心配をしている。「そうか、今までお疲れさん」とモフモフした手で頭を撫でるのが精一杯だった。
 彼の行動は、鬼たちを充分に慰めた。それでも、納得いかない悪鬼はやはりいた。
「本当にこんな末路でいいのか!? 俺は赦せねえ、腹の底が煮えたぎってたまらねえ!」
 そして襲いかかる鬼だったが、蹴戦で軽くいなされ、もふもふヘッドロックを食らって気絶。そんな悪鬼も含めて、怪我をしている鬼たちをヴァルキリーオファーで治療したウェールであった。

「良い鬼が虐げられるというと、昔話にあった『泣いた赤鬼』を彷彿させるな」
『陰性』回言 世界(p3p007315)は、そう呟いた。
「他の世界にも鬼がいるの?」
 子鬼はそんな回言の独り言に返事をした。
「そうだ。この世界じゃどうかは知らんけど、基本的に鬼は悪いモノとされているから仕方ない部分もあるが」
「でも、他の世界にも善い鬼がいてくれてよかった」
 無邪気に笑う子鬼の頭を、女鬼が優しく撫でる。親子なのか、この寺で初めて出会って仲良くなったのか、鬼の生態はよくわからない。
(現代日本に似た世界だし、鬼の存在なんて信じて無くて風習として残ってるだけの場合も……)
 回言は鬼が報われない考察をしてしまったが、ふと自分がここに来た目的を思い出して首を横に振る。
「……っと、失礼。仕事に戻ろうか。さて、寺は隙間風が吹いて寒いんだったな。俺は修理こそできないが――」
 彼は簡易式召喚陣で火の精霊を数体喚び出す。火の精霊とは言っても、暖かさは感じるがその火が燃え移ることはない。もし燃え移ったらこんな木造の寺はあっという間に大炎上だ。鬼たちは見慣れない精霊に興味と同時に、その温もりに歓声を上げた。
「というか早急に建て替えるなり直すなりしてくれよ寺を」
「いや、すまん。毎年無償で鬼の世話をしているからこの寺もなかなか経営難でな。しかし隙間風くらいはなんとかしたほうがいいかもしれん。ワシ一人だけなら修行で片付く問題ではあるんじゃが」
「風邪引くからほどほどにしておけよ」
 頭をかく木蓮の言葉に、回言は呆れ顔だ。
 その後、彼は回復スキルのハイネス・ハーモニクスで、鬼の怪我の治療をして回ったのだった。

「こんな寒い中を追い出されて、可哀想に。ここにきたからにはもう安心ですよ」
『しろがねのほむら』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)は、寺にやってきた鬼を出迎えた。
「傷を癒やして、あたたかいご飯を食べて、人心地ついてください。いや、この場合は、鬼心地かな?」
 睦月の歓迎の言葉に、鬼はクスッと笑った。
 なにしろ、いきなり「鬼は外」などと寒空の下に追い出されてしまったのだ。彼らの今後に関する不安は想像に容易い。しかし、この寺だけは自分たちを迎え入れてくれるのだと、鬼たちの心はほぐれていく。
「いたいのいたいのとおくのおやまへとんでいけ。ほら、楽になったでしょう?」
 彼女の幻想福音は鬼たちの傷を癒やした。
「ああ……もう痛くない……ありがとう、お嬢さん……」
 その福音を聞いただけで満足して消滅していった鬼もいた。
 どうか、来世でも善い鬼になれますよう。睦月はそう願ってやまなかった。
 さて、身体の傷を癒やした次は、心の傷にも寄り添おうと、彼女は鬼の話に耳を傾けた。
「鬼は一年で生まれ変わる、というのはご存知ですよね。私は発生した瞬間からこの姿でした」
 女鬼が睦月に語る。
「我々鬼にも、自分たちのことがよくわかりません。自分のことなのに、おかしいですよね」
 おかしくなんてない。人間も他の生物も似たようなものだ。
「それでも、鬼というのは、ある使命を持って生まれます。それは神か仏の指令なのでしょう。人を守れ。人の家を護れ。私たちはその指令に従って、人や家に寄りつく悪霊や怪異から守っている。でも……」
 そこまで言って、女鬼は言葉に詰まった。
「――私達の仕事は、一年きり。ある日突然、『鬼は外』と雪の中に放り出されました。豆は痛い。冬は寒い。最初は廃墟になった神社に身を寄せていましたが、『福は内、鬼も内』と受け入れてくださったのは、この寺だけで……」
 耐えきれなくなったのか、女鬼は涙をこぼす。
「そうでしたか……辛かったですね。ただ鬼に生まれたというだけで、良いも悪いもなく、一緒くたに迫害され、住処まで奪われるなどと……悲しいお話です」
 睦月は鬼の話を聞き届け、ある提案をした。
「この寺の周りに住み、お互いに助け合いながら暮らしてみませんか。交代で護法寺の警備をすれば、恩返しにもなるでしょう。なにより自分の足で立ち上がらなくては今後の生活が成り立ちません」
「自分の、足で……」
「ええ、転生するまでで良いので。一年の命とはいえ、転生するタイミングは鬼によって違うようですから。木蓮さんも、そのほうが何かと安心ですよね?」
 自分たちが去った後も鬼はこの世界で生きて行くのだから、何らかの手立てを示してあげたい。そういった意図があっての提案だった。
「ワシも異論はない。共に御仏に仕えて転生までに徳を積んでおくとよかろうて」
 木蓮は笑って賛成した。ひとまず、今後の鬼の生活に関しては、これで憂いはなさそうだ。
 次は、改心していない鬼への説得である。
 ブレッシングウィスパーによる祝福を施し、敵意がないことを告げる。
「あなたたちもわかっているはずです。暴れまわるだけではなんの解決にもならないということを。やられたからやりかえす、残念ながら不毛な連鎖を生むだけです。勇気を出して武器を捨てましょう? お願いです」
「……くそっ……なんでよそ者のあんたらが、俺たちに優しくしてくれるんだよ……」
 悪鬼の手から棍棒が落ちる。彼らとて、人間の悪意さえなければ話は通じる。きっと彼らは人の心を映す鏡なのだ。悪鬼は涙のシミを床に残して、粉雪のように消えていった。

「ホント、水鏡の言う通り、人間ドモって愚かだよネー。強いからって理由で勝手に縋ってきたと思ったら、急に手のひら返して排斥してきやがル」
『ねこのうつわ』玄野 壱和(p3p010806)は、呆れて肩をすくめる。
「[ねこ]としては何故そこまで人間風情に入れ込むのか理解に苦しむがネ。まぁ、同じ怪異のよしみダ。消えるまでなら相手になってやるヨ」
 壱和の行動は早かった。怪我をした鬼たちの治療を迅速に始めたのだ。治癒スキルや医療技術、医療鞄まで持ち込んだ万全の体制だった。
「ほぉ、手際が良いな」
「一応オレもとある救護隊の端くれダ。簡単な治療くらいはしてやるヨ」
 感心する木蓮。まあ一介の坊主でしかない彼よりは確実に治療には自信がある。
 身体の傷を癒やしただけでも、満足して消滅していく鬼がいる。彼らはきっと、迫害されても心は満足だったのだろう。そんな鬼に声をかける。
「これでも元は神として祀り上げられたもんダ。転生に対して簡単にだが言祝ぐくらいはしてやらねーとナ。再び生まれ出るものに幸多からん事を。そして、どうかその命に[ねこ]の瞳の祝福のあらん事を」
「ありがとう……」
 鬼は笑顔で消えていった。
「っとまぁ、こんなとこかネ。あいつらもまた生まれて、また傷ついて、またここに来るんだろうサ。やるせねぇカ? でもそれが奴らの在り方ダ。オレらにどうこう出来るもんじゃねぇヨ。たとえそれが御[ねこ]様であってもナ」

「自業自得な鬼は仕方がないとしても、所謂、護法童子にあたる鬼まで被害に合うとはな。確かに、これは浮かばれない話だ」
『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)は、料理を作ることにした。
 木蓮に「宗教的に肉は大丈夫か」と訊けば、「ワシが食わねば問題ない」と許可を得て、肉豆腐と豚汁、あとは豆乳鍋。さらに、きな粉おはぎ、揚げ大豆、豆乳の蒸しプリン、豆乳ラテなどの甘味も用意すると、子鬼たちは大喜び。
「なぜ豆料理ばかりを?」と訊かれ、「自分達を傷つけた豆を、自分達の腹の足しに美味しく味わってやれば、せめてもの意趣返しにならないか?」と返すと、鬼は「なるほど」としたり顔で笑っていた。
 己に敵意を剥き出しにする悪鬼には、こう告げる。
「最初に言っておく。殺す気で戦うつもりはないが、かと言って、手加減をする気も一切ない。手加減は、お前達の抱える怒りへの、侮辱だと考える」
 一嘉は鬼の攻撃を全て受け、その全てを耐えきってみせた。
「次の転生、善悪どちらの鬼を選ぼうと、ただ、後悔だけは無い様、せめて祈らせて貰おう」
 それで満足して消滅していった鬼もいた。そういう救いの形も、あるのだろう。

「まぁ! 鬼さんたちがそんなことになっていたなんて思いもしなかったわ! 嗚呼、かわいそうに……! せめて精一杯の癒しと労りを。そして善い鬼へ転生させてあげましょう」
『ファーブラ』プエリーリス(p3p010932)は、その慈愛で鬼を救った。
 ありったけの治癒符と、足りない分は寺にある傷薬を借りて、懸命な手当てを施したのだ。
 温かいお茶も用意したかったが、数が足りない。せめて指先だけでも、と、鬼の両手を包んで温め、そっと抱きしめて、頭をなで、背中をさする。
 彼女にはママ適性があり、その母性は老若男女の鬼の魂を癒やした。本来怒りで暴れ回る悪鬼ですら、彼女の前では鎮まった。
「大丈夫。大丈夫よ。ここには豆をまくひとはいないわ」
「痛いなら痛いと言っていいのよ。苦しいなら苦しいと言っていいのよ」
「嗚呼、つらかったでしょう。でももう大丈夫よ。もう痛いことなんて起きないわ」
「つかれたでしょう。ゆっくりおやすみなさい」
「大丈夫よ、貴方が眠りにつくまで、ママはここにいるわ……」

 こうして、イレギュラーズの活躍で、百五十体ほどいた鬼の八割は、安らかに転生していき、残った鬼は、消滅の時まで護法寺に仕え護る存在になったのだ。
「ねぇ木蓮さん、このままでは苦しみのループは終わらないわ。一刻も早く『人を守る善い鬼』の存在を広く知らしめるべきではないかしら。そうでなくてはいたちごっこよ。毎年毎年こんなことを続けていくわけにもいかないでしょう? なにより、鬼さんたちがかわいそうだわ」
 プエリーリスの言葉に、木蓮も「そうじゃな。外の世界に助けを求めなければならぬ状態まで追い込まれるのは流石にいかん。このままでは、いずれワシの寺も廃寺になるやもしれん。いっそ、鬼を連れて街に行き、人助けをしてみるというのもいいかもしれんのう」と、さらに活動を広めていく決意をした。
 あとはこの世界の住人達の問題だが、イレギュラーズの中には「きっと大丈夫」と言う者もいた。
 ――だって、こんなに優しい鬼たちが、人を護っている世界なのだから。

成否

成功

状態異常

なし

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