PandoraPartyProject

シナリオ詳細

いつもの仕事、それぞれの事情

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●誰にだって事情はある

 この日の貴方は、ローレットに赴いて、仕事をこれから探す所だったのかもしれない。
逆に、一仕事終えてさあ帰路に付こうという所だったのかもしれない。

或いは、そもそも昼夜逆転型の生活をしている者だったり、単純に眠れなくって、ふと外に出てみようと思い立っただけの人物だっていることだろう。

そう、イレギュラーズと一口に言えど、彼らの抱える事情、正体、生活は人それぞれ。
どのような経緯であれ、今宵貴方は、ある人物を目撃する事になるだろう。

始まりは些細な事だ。『いつもの事』『いつもの仕事』と割り切ってしまえば、確かにその通りだったのかもしれない。けれど、『彼』を知っている人間ならば。或いは、後に『彼』を知ることになる君ならば、強烈な違和感を抱く事になるかもしれない。

●『少年』の場合

「ねえ、そいつ捕まえて!」

 この時間に似合わぬ幼い声が、突如貴方の耳に届く。それはどうやら、少年の声らしい。
それと同時に聞こえてきたのは、石畳をタタタと打つブーツの靴音。
姿を見れば、フードを深く被り、何やら鞄を持って走り抜けようとする男。

貴方は咄嗟に足を出してソイツを転ばせたのかもしれない。すれ違いざまに抑え込み、動きを封じたのかもしれない。或いは、自らは動かず、召喚した何かに事を任せる術師だって居よう。

いずれにせよその場に倒れた男に止めとばかりに振り下ろされたのは、ゴッと重い金属バット。
その一撃で今度こそ昏倒した男が取り落とした荷物を拾い上げる少年が居た。

「ありがと。コイツに財布擦られちゃって困ってたんだ。それにしても……」

一体こいつは、どこの馬の骨だろう。それに答えてやるとばかりに、急に一迅の風が吹いて、乾いたチラシをペラリと鳴らした。

それはとある窃盗団の人相書き。
『この近辺でスリが多発しています!』
その中の男と今倒れている男は、まさにそれとピッタリ人相が一致した。
それも、最も目立つ位置にある2枚の手配書のうち、右側に描かれている男の方だ。

「丁度いいや、こいつ突き出して、サクッと報奨金貰っちゃおうぜ。……ねえ、キミ、まだ『小遣い稼ぎ』する気ある?」

少年は、にまっと笑って手配書に書かれた残りの人物を指さした。
理由はどうあれ、それに同意してくれた人物に、少年は……暗がりの中で、笑みを返すことだろう。よし行くか、と歩みを進めようとして。

「……あ、そういや、まだオレ名前言ってなかったよな」

ピタ、と足を止めて、彼は貴方に向き直った。

「オレは清水洸汰。洸汰でいいよ」

よろしくな、と差し出された手は少年のものにしては妙に硬く潰れた肉刺が散見された。

NMコメント

どうも、なななななです。
ガッと悪党をやっつけて、カーッと一杯やりましょう。
以下、詳細になります。

●状況
洸汰に出会った地点から窃盗団の集合場所を探り出し、全員で殴り込む形になります。
戦闘は彼らの集合場所となっている商家の廃倉庫で行うので、ある程度の広さと足場は確保されています。
明かりも窃盗団が持ち込んでいるので、心置きなくやっちゃってくだだい。

●エネミー
『窃盗団の一員』×?
※このシナリオに参加される皆さん+洸汰と同数登場します。
つまり敵の数は最大5人です。

下っ端はイレギュラーズの皆さんならば一対一で充分です。輪の中に紛れ込んでいるリーダー格のやつもサクッとやっちゃいましょう!

そういえばOPで捕まった男もリーダー格の一人なのですが、随分あっさり倒れましたね。
どうやら、既に何者かによって固い棒状のもので何度か殴打を受けていたようですが……。

●NPC
『清水洸汰』
バットを握り振るい戦う、少年の姿をした旅人です。
戦闘になれば積極的に前に出て、相手に殴りかかっていきます。

話し掛けられれば誰に対しても気さくに答え、嬉しい事、楽しいことには素直に笑みを浮かべます。

しかし、何処となく影のある振る舞いに違和感を覚えるかもしれません……。

※貴方は平素の清水 洸汰(p3p000845)と何かが違うことに気づいても、そうでなくても構いません。
平素の彼を知っている場合は、プレイングでその旨をご記載ください。

●戦闘後
窃盗団を突き出した謝礼金で、『何か美味いモノ食べない?』と洸汰が提案してきます。
この時間でもやっているような大衆酒場でご飯にしましょう。
せっかくなので勝利の美酒と洒落込むのもいいでしょう。
(洸汰&未成年のPCさんはジュースになりますが……)

以上になります。
皆さんの仕事ぶり、思いっきり発揮しちゃってください!

  • いつもの仕事、それぞれの事情完了
  • NM名ななななな
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年01月27日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
時任 零時(p3p007579)
老兵は死せず
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
シャーラッシュ=ホー(p3p009832)
納骨堂の神

リプレイ

●イレギュラーズの事情

 寒櫻院・史之は、自分達がより良く暮らす金銭を求めて。
水月・鏡禍は、今宵の相手は脅かしても問題がないと聞いて。
時任 零時は、仕事後の格別な一皿を楽しみに。
シャーラッシュ=ホーは、静かな夜が乱されることを厭い。
理由はどうあれ、誰もが今宵『清水洸汰』と行動を共にする事を良しとした。そして今、一同は窃盗団員が集合するという倉庫へと足を運んでいる。

その洸汰は、何かにワクワクして靴を弾ませるでも無く。正義の心を燃やし勇み進むでもなく、ただただ、目的地に向かうというタスクをこなすためだけに足を動かしている。

「うーん」
「如何されましたか史之殿」
「いや、いつも遠くから見かけるだけだったから俺も確証がないんだけど」

一応洸汰に配慮したのだろう、隣にいるホーだけに聞こえるよう小声で答えた。

「やっぱり何か、違和感があるんだよ。でもその理由はよくわかんない」
「ふむ。私一人の思い違いとも思いましたが……」

 アハハと笑う彼に対し、ホーの声はどこまでも平坦だ。
一同は先の悪党の身柄を詰所に預けてから現場へ向かっていた。その道中、洸汰はホーの挨拶に対し『はじめまして』と言ったのだ。まあ人間の記憶容量には限度があり、ましてたったの一度、偶然会っただけのモノの事など忘れていても不思議はないのだが。そう、その悪党といえば。

「彼、僕達が取り押さえる前から随分ボロボロでしたね。もしかして」
「ああ、オレが歩いてたらアイツがぶつかってきて。その直後にスられたのに気付いて、何度かボコったんだけど、そのまま逃げられちゃってさ」
「まあ、そういう人間なら何をされても文句は言えませんよね」

男は己の行いに依って相応の報いを受けた。悪い事をしたならば裁かれて当然であるし、抗う力がないものは殴られて当然。それ以上でもそれ以下でもないという風に鏡禍は頷いた。

「他の子達も、もう悪いことなんてしようと思えなくなるくらいにしっかり躾ないとね」

その為に僕達のような『大人』がいるのだからね、と零時は静かに笑う。
洸汰が『オトナ』に僅かに視線を向けたが、それも一瞬のことだった。

「っと、ここだな」

見れば、夜にも関わらず倉庫から明かりが漏れ出している。間違いなく中に『誰か』がいる証拠だろう。

「じゃ、初めようか」

誰もが静かに頷いた。

●お前らの事情なんて知ったこっちゃない

「お前達、『土産』は持ってるよな」
「勿論ですよ兄貴! ババアから貰っちゃいました」
「ヨッパの爺なんてチョロいもんスよ」
「しかしもう時間だってのに、遅いっすねセンパイ」
「マブいのみっけて引っ掛けてんじゃね? あの人そういうの好きだからな〜」

 聞かれているとも知らずにガハハと笑う窃盗団の若者達。今にも切れそうな頭上のフィラメントが瞬く。

「おい、ヒコ。腕、血ィ出てんぞ。ババアに引っ掻かれたんじゃねぇの」
「待ってくださ、兄、貴、」

しかし、先に切れたのは彼らの皮膚の方だった。リーダー格に異変を告げ終わるよりも前に、身体に線が増えていく。

「ねえ、盗みのってはスピード命でしょ。なのに随分と遅いねキミ達」

その声に振り向けば、刀を握った史之がそこに立っていた。窃盗団の誰にも、彼の斬撃を止めることができなかった。困惑するばかりの彼らに、ニッコリ笑みを向けて。

「でもよかったね、君らの膿果てた人生が今日で終わるよ」

男達の顔色が一気に青ざめる。しかし、雪崩れるように乗り込むイレギュラーズは、逃亡を許さない。

「さて、一番奥に座っている彼がリーダーで相違無いんだったね、鏡禍君」
「ええ、手配書とも一致します」
「ふむ、では『頼むよ』」

零時の静かな『号令』と共に、鏡禍が史之に並び立った。その直後、倉庫内がペンキをぶちまけたかの如く、赤く円く染まっていく。

「ひ、に、逃げ……!」

辛くも鏡禍の起こした惨劇から逃れた男の動きが急に縫い止めたように固まる。否、彼だけがスローモーションの世界の住人になったかのように、その動きが緩慢に、鈍くなっている。

「洸汰殿」
「うん」

寸分の狂いもなく、男の頭部をバットが捉えた。力なく倒れる一人。

「くそっ何だよ、何なんだよ!」

全身を切り刻まれた男達の目は恐怖と動揺に揺れている。だが、その感情も長くは続かなかった。
史之の愛刀によって、男がまた一人と崩れ落ちる。

「クソ、そこのガキ共ならオレでも畳めらァ!」

洸汰、そして鏡禍を突破しようと突っ込んでくる者も居たが。

「僕達なら叩き割れると思いましたか」

自ら懐に飛び込んでくる男を、鏡禍も見過ごしはしない。銀の水鏡に打ち据えられた男は倒れ込み、そのままピクピクと震えた。

「あれ、やりすぎちゃいましたかね」
「大丈夫じゃない? ちゃんと息もあるし」

二人で冷たくそれを見下ろす。これで三人目。

「やべ……と、トンズラすっべ」
「この夜分にお出掛けですか」

いつの間に背後に居たホーにウワッと声を上げる。その瞬間、彼の背後に後光が指したような気がして……四人の子分は、これで皆意識を失った。

「さ、投降するなら今のうちだが、どうするんだい?」

零時が残ったリーダーに問いかける。自ら縄につくなら、こちらとしても乱暴する気は無い。

「は、はい……。悪い事は……二度と……」

俯き、フラフラとこちらに歩み寄ってくる男。しかし。

「……五月蝿えんだよ爺、俺達に説教垂れるんじゃねぇ!」

その顔にぶつけようとした拳は、しわの刻まれた手に留められた。そして。

「そうか」

残念だよ。その言葉とともに、男に裁きの光が降り注ぐ。
倉庫の明かりが、プツンと途絶えた。

●彼の事情

「うーん、他人の財布で味わうご飯は最高だね!」
「お肉も美味しいですけど、人間はビタミンも必要なんじゃないですか?」

もりもりと唐揚げに齧り付く史之。サラダを盛っては皆に配る鏡禍。
ここは洸汰の案内でやってきた大衆居酒屋。例の一味を突き出した一同は、ここの食事で胃を満たしてもお釣りが出る程度には、報酬をたんまりと貰っている。だから派手に打ち上げをしているのだ。

「ふふ、やはり若者が美味しいものを美味しく食べられるのは良いことだ」

麦酒の喉越しを楽しみ、カルパッチョをつまむ零時であったが、ふと、隣のホーの箸が止まっている事に気づく。

「何か苦手な食材でもあったのかい? 良ければ、僕のと交換するけれども」
「いえ、そうではないのです零時殿。この店の賑わいぶりと流れてくる言葉からサッする限り、この店の味付は一般庶民にとっては好ましい物であることは理解していますし、この死骸達に新鮮味が欠けるだとか、そういった事も無いのですが」

ホーの視線は、最も端っこの椅子を選んだ洸汰の席に向いた。
当の彼は、一度トイレに行くと席を外しているが。

「何故でしょう、今日はあまり味を感じられません。以前洸汰殿にお菓子をいただいたときの方が美味しかったように思うのです」
「んー、その時の洸汰さんと今日の洸汰さんが、何か違うってこと? 確かに俺もイメージ違うなあ、って思ったけど」

頬にモッモッモッと唐揚げを詰め込んだ史之が首を傾げた。もう、そんなに詰めなくても料理は逃げませんよとツッコんだ後。

「でも、僕が見た限り、彼はきちんと『人間』だと思いますよ。何かが化けてるなんて事は無いのでは。何より洸汰さんに化ける理由がわかりません」

妖怪である鏡禍にとって、『同族』の匂いがそこにあるならば、よほど巧妙に隠されていない限りはなんとなく伝わってくるものだ。しかし、彼からはそれが残り香程も感じられない。

「ふむ、以前ホー君が談笑したという彼。または史之君が伝え聞いた彼の話と、今日僕達と行動した彼。そこにはどんな違いがあるのだろうね」

腕を組み、しばし思考を巡らせる零時。その答えが出ぬままに、洸汰は笑顔で戻ってきた。

「ただいま。何の話をしてたの?」
「いえ、何でも。ところで今更ですけど、洸汰さん、この時間まで出歩いてて大丈夫なんですか?」
「何言ってるんだよ鏡禍」

彼はこともなげにこう言って笑った。

「こう見えて、オレ、結構大人なんだぜ?」

●『彼』の事情

「ねーそこの人! ちょっといーい?」

ある日のローレットで、貴方を呼び止める少年の声。

「オレの知り合いの食堂のおばちゃんがめっちゃ困っててさ! 人手が今から超必要なの! ねね、手伝ってくんねー? 飯たっぷり奢っちゃうからさあ〜!」

あっでも、オレの事知らない?つーか覚えてる?などと言いながら、彼はこう付け足した。

「オレはシミズコータ! よろしくな!」

 この日のローレットには、貴方が全く知らない。
または、貴方がよく知る方の彼が立っていた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

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